底辺男のミセカタ 〜ゴミスキルのせいで蔑まれていた俺はスキル『反射』を手に入れて憎い奴らに魅せつける〜

筋肉重太郎

文字の大きさ
77 / 153

いざ、新たな舞台へ

しおりを挟む
「ん……あ……」

 一体どれだけ、どれだけの月日、目を閉じていたのだろう。いつまで暗闇にいたのだろう。それすらわからない時の中、光が灯る。

 これを見るのももう3度目。できればもう見たくないものだ。

(……まぁ、また見ることになるんだろうけどな)

 そして俺は光をつかむ。目的を果たすために。




「……あ、うあ」

 目を開けば知らない天井。白い壁、白い床、白い天井。ベッドの独特な感じからも、ここが病室であると言う事が理解できた。頭が痛い。かなりの時間眠っていた様だ。

「起きましたか」

 聞いたことのない声を聞き、聞こえた方へゆっくりと顔を向ける。

「安心してください。ここは病院です」

「……そうすか」

 病院。病院と言う事は、俺はあの神奈川から逃げ切った。逃げ切ったのだ。目の前の男は医者だろう。俺は自分の成り上がり様に、自分でも驚愕する。

(ちょっと前までクラスの底辺男……そんな男がまさかこんなことができるなんてな)

 純粋に嬉しい。そんな気持ちがこみ上げてくる。俺は今回もやり切ったのだ。そして次も、そしてその次も……

(成し遂げてみせる)

 初めての目標。はじめての夢。雲がかかった空のような俺の人生に、初めて彩りが、変化が生まれた。

 真っ黒の復讐心と言う彩りが。



 やり遂げてみせると言う変化が。


 俺の心を劇的に変え始めていた。



「そんなことより……どうします? もう退院できますよ?」

「……まじすか」

 怪我をするようなことなんて、久方ぶりだった。
 その性かは知らないが、目覚めたその日に退院できる声色に、喜びを隠しきれない。現代の技術に感謝だ。

「ええ……もう歩けると思いますし、血も元に戻しました。何ら不自由ないと思いますよ」

「……ありがとうございます」

 もうすでに、任務は終了したと思っていいだろう。まだ俺が死んでいないと言う事は、既に店主のもとにハカセが行き、代償の返済を終了したに間違いない。

 ……そういえば、ハカセは?


「あの……ハカセは……」

「ハカセ……? ああ、あのペストマスクをつけた方ですか。問題ありませんよ。あなたが起きたので連絡させていただきます」

「……そうですか」

(…………全てが終わった)


 俺は脱力し、改めて、任務の完了を実感した。








 ――――








「伸太!! 目が覚たか!?」

 俺が目覚めて1時間後、連絡を受けたであろうハカセが病室に転がり込んできた。肩で息をし、荒い息遣いをしている。かなり飛ばしてきたのだろう。

(嬉しがったらいいのか……体を大事にしろと言ったらいいのか……)

 まぁ、ここは喜ぶのが正解なんだろう。
 少しの喜びを体に感じ、ハカセにむかって言葉を発する。

「ああ……悪かったなハカセ。面倒かけちゃって」

「はぁ~……全く、ほんとに死んだかと思ったぞ…まだまだお前には死んでもらっては困るからな」

(……ん? お前?)

「保護者様、もうすでに患者は退院できる状況にありますが……どうしますか?」

「はい。もう彼も大丈夫そうですし……今日の午後、退院することにします。本当にありがとうございました」

(……はい?)

 ハカセのこんな口調、聞いたこともない。外用の言葉遣いと言うやつだろうか。そういえば、初めて出会った時も今のような老人口調ではなく、どちらかと言うと社会人のような言葉遣いをしていた気がする。

(ハカセにもちゃんとそういうのはあったのか……)

 ハカセの新たな一面に驚きつつ、ベッドに身を任せていたその時。

「あの……申し訳ないんですが、先生抜きで2人でお話しさせていただきたいんですが……」

 ハカセが言葉を放つ。2人きりで話したいと言う事は、金がらみの話だろうか。

「おっと、私としたことが、配慮に欠けておりました……それでは2人とも、ごゆっくり……」

 そう言って、医者はささっと病室を出る。別に親子の感動の再会とかそういうものでは無いのだが……どう思われていようと、出て行ってくれたのは好都合だ。ゆっくりと話し合いができると言うもの。

「さて……伸太、言わなければならないことだが……まぁ、まずは良い知らせから言ったほうがいいわな……と、言うわけで……任務は成功した。よくやった」

 ハカセの言葉を聞き、ホッと一息つく。俺が生きている以上、代償は払い終わったと言うことなのだが……やはり考察するより、ちゃんと教えてもらった方が安心できると言うものだ。

「それと、良い知らせはもう一つ……これじゃ」

 ハカセは持ってきていたカバンから、とあるものを取り出す。

 その物体の正体は……それはそれは黒光りした剣であった。

「お、おい、それって……」

「ああ……店主がお礼にとウルトロンを分けてくれたんじゃ。そいつで作ってくれた……大サービスで付与エンチャントをつけてくれたんだと……オヌシにやる。うまいこと使え」

「まじでか!? サンキュー!!」

 俺は、興奮気味で剣を受け取る。剣は日本刀ではなく、西洋剣のような感じで、とてもスラッとした感じが見受けられる。

「お、おう……過去1興奮しとるなオヌシ……」

 当たり前だろう。剣をくれると言って興奮しない男はいない。ましてやこんな黒光りしたカッチョイイ剣だと、尚の事だろう。やっぱり凄まじくかっこいい。持ち手の部分も黒くしたのには、店主のセンスを感じる。いい趣味だ。

「あ、でも……こんなのもってたら一瞬で不審者だぞ?」

 ここは動乱渦巻く戦国時代ではない。同じく動乱は渦巻いているが、現代では剣を持って歩くのは禁止されている。こんなのを腰につけて歩いていたら、一瞬で職質にあってしまう。

「あーそれは問題ない。ほれ、剣に消えろと念じてみい」

 俺はハカセに従うままに、剣に向かって消えろと念じてみる。

「……えっ」

 するとどうだろう、さっきまで手元にあったはずの剣は、一瞬にして見えなくなってしまったではないか。透明になったのかと疑ったが、さっきまで感じられていたズシリとした重みが感じられない。手元からは完全になくなっている。

「お、おい! 一体どういう「で、次は出てこいと念じてみい」……ああ? ……うおっ!?」

 またまたハカセに従い、今度は出てこいと念じる。するとどうだろう。剣がなくなり、フリーだった右腕に、新たにずしりと重みを感じる。右腕を見ると、そこには今までなかったはずの剣があった。

「ハ、ハカセ……これって……」

「うむ、これが店主の付与エンチャントして剣に付けた能力……まぁ、対価の代償でつけとったんだかな……"具現化"じゃと」

「なるほど……これなら安心ってわけか……」

 これは嬉しい。初めて誕生日プレゼントをもらった気分だ。

 嬉しみ深し。

「……さて、良い話も終わったところで、次は悪い話をしよう」

 さぁ、おそらく、次が本番だろう。この話1つで俺の向かうルートがどういうものになるのか、それが決まるからだ。

「……東京派閥がいよいよオヌシのことを指名手配した」

「……そうか」

 まぁ、わかりきっていた事だ。

 神奈川とは言え、東京の実力者もいる中で、堂々と姿を見せてしまった。顔は黒マスクで隠せていたとしても……スキルの関係上、ばれるやつにはばれてしまっただろう……

「と、言うことで、オヌシは東京以外のところに行かなければならぬ……それは理解してくれるな?」

「……ああ」

 どうしようか。東京以外に親戚なんて1人もいない。父さんや母さんの親族なんて知らないし、そもそもその2人もどこにいるかすらわからない。どうしたものか。

「そこでじゃ……ワシに良い提案がある」

「……ほう。どんな提案だ」

「クククッ……心して聞け~」

 さて、どんなぶっとび提案が飛び出してくるのか。







「伸太よ。大阪に行ってみる気はないか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

処理中です...