1 / 1
お化け屋敷
しおりを挟む最近、近所のテーマパークにお化け屋敷ができたらしい。俺は怖い話や心霊現象が大嫌いで、もちろんお化け屋敷なんてもってのほかだ。だが、怖いもの好きの彼女が「どうしても一緒に入りたい!」と言うので仕方なく一緒に行くことになった。
「もうすぐだね!楽しみだね!」
彼女が話しかけてくる。お化け屋敷の入口はもう目の前だ。
と、その時俺は言いようのない違和感を覚えた。だが、それは何なのかはわからない。それによく見ると安っぽい造りになっているようだ。これなら中学生が文化祭で作るお化け屋敷のほうがまだ怖そうだ。さっきの違和感はきっと勘違いだろう。そう自分に言い聞かせ、とうとう順番が来た。目の前に停まっている二人乗りトロッコに乗り込むと、
「当アトラクションはこのトロッコに乗ってお化け屋敷を1周していただくものです。ご乗車の際は安全バーをしっかり下ろしてください。こちらの安全バーはアトラクション終了まで上がりませんので予めご了承ください。」
と、係員のお姉さんが笑顔で案内をする。
バーが降りると身体はがっちり固定され少し動いたくらいではびくともしなさそうだ。
「それではいってらっしゃ~い」
そんな声とともにトロッコが前へと進む。
その時、かすかに前のほうから悲鳴とも叫び声ともつかない声が聞こえた。やっぱり結構怖いのかもしれないな。そんな後悔をしているうちにトロッコはどんどん先に進んでゆく。入口の光が小さくなって見えなくなった時、俺は違和感の正体に気がついてしまった。隣の彼女はまだ何も気がついていない。並んでいた時に覚えた違和感。このお化け屋敷には出口がどこにもなかった。
安全バーは上がらない
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる