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解決
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そうしてアスラムと周りの衛兵が逃げ出した衛兵を抑えてる間に、他の衛兵が本棚の下にあった地下室へと降りていきました。
泣き叫んでいた女の子、教会の秘密の地下室……そこで何があったのかは分かりませんが、ちらりと地下室への入口を見ただけで足がすくんでしまいます。
「奥様……いえ、エスリン様、大丈夫ですよ。浮気の事も何もかも、今日の内に終わりますから」
「……有難う、マッケナ。結局、あの人は教会の教えだとか言っていたけど、何もかも嘘だったのね」
不安になっている私を侍女のマッケナが支えてくれてる時に、厚かましくもフラミーが声を掛けてきます。
「それは違うよ、エスリン。僕はただ、子供達を世話していただけだよ。浮気も何もしていないから安心してくれ」
私は……堪らず、侍女と共に孤児院の外へ駆け出していました。
もう、顔も見たくありません。
それから暫くして、衛兵に抑え込まれて暴れ叫んでいるフラミーが孤児院を出て、同時に衛兵長のアスラムが私の元へやって来ました。
「これから色々と事後処理やらあるが、一先ずは終わったよ。……お疲れ様、あんな奴の妻になったのは色々と大変だったろう」
「もういいわ、今はさっさとあの人の顔も名前も忘れたい気分なの。家だって出ていきたいわ、あの人の家なんて」
「そうか……なら、暫くうちの家に泊って行かないか? それで慰めになるとは思わんが、今日は帰る気分じゃ無いだろうし」
急な提案でしたけど、これからどうしようと思っていた私には有難かったです。
「……そうね。侍女のマッケナも連れて来ていいのなら、貴方の家に失礼したいわ」
「エスリン様、アスラム様、いいのですか? 私まで失礼する事になると、雇うお金でかなりの負担になると思いますが……」
「勿論、構わないさ。実を言うと、一人暮らしが最近は寂しくてね。人が増えるのは有難いよ」
こうして私は二度とあの家に帰る事なく、アスラムの家へと行く事になりました。
~~~~~
浮気、それも自分が指導している子供達への浮気の話は、瞬く間に広まっていきました。
街の偉い人達があの人と協力し、子供達に指導と偽りとんでもない事をしていたという話も。
そして私の離婚は認められ、あの人から慰謝料も貰って家も私の物になりました。
当然、あの家は売り払いましたけどね。
その後、裁判も終わりあの人の死刑が確定し、あの人と協力して孤児院を邪悪な物に変えていた人達もそれに相応しい罰が与えられました。
どうやら、あの地下では厳しい虐待に耐えきれずに死んでしまった子供もいたようです。
全てが露見し、あの人はそれでも子供達の愛を叫んでいて……私の名前は一言も出ませんでした。
結局、私がああまで耐え忍んであの人に尽くしていたのは全て無駄だったのですね。
そうと分かっていれば、私はさっさと離婚していたのにと後悔しかありません。
……まぁ、それも終わった話です。
今ではアスラムの家で新しい人生が送れる様になりました。
あの人のせいで不安が全く無かったという訳ではありませんでしたが、それを吹き飛ばしてくれる位にアスラムはいい人です。
家の家事は手伝ってくれて、旅行にも連れて行ってくれて……そして今日は婚約の日から丁度一年目という大事な日。
正直、あれから私が恋をするなんて思っていなかったけど、アスラムとなら毎日が楽しくて、結婚生活も楽しく過ごせています。
それに自分を解放して自由に生き始めてから、マッケナにも貴女が楽しく過ごしていると自分も嬉しいと言われたりもしました。
これからの人生、もしかしたら辛い事が再び来るかもしれないけど、三人で一緒なら大丈夫。
マッケナに手伝って貰った花嫁衣装を着ながら、アスラムとの結婚式をあげてる時に、私はそう確信しました。
泣き叫んでいた女の子、教会の秘密の地下室……そこで何があったのかは分かりませんが、ちらりと地下室への入口を見ただけで足がすくんでしまいます。
「奥様……いえ、エスリン様、大丈夫ですよ。浮気の事も何もかも、今日の内に終わりますから」
「……有難う、マッケナ。結局、あの人は教会の教えだとか言っていたけど、何もかも嘘だったのね」
不安になっている私を侍女のマッケナが支えてくれてる時に、厚かましくもフラミーが声を掛けてきます。
「それは違うよ、エスリン。僕はただ、子供達を世話していただけだよ。浮気も何もしていないから安心してくれ」
私は……堪らず、侍女と共に孤児院の外へ駆け出していました。
もう、顔も見たくありません。
それから暫くして、衛兵に抑え込まれて暴れ叫んでいるフラミーが孤児院を出て、同時に衛兵長のアスラムが私の元へやって来ました。
「これから色々と事後処理やらあるが、一先ずは終わったよ。……お疲れ様、あんな奴の妻になったのは色々と大変だったろう」
「もういいわ、今はさっさとあの人の顔も名前も忘れたい気分なの。家だって出ていきたいわ、あの人の家なんて」
「そうか……なら、暫くうちの家に泊って行かないか? それで慰めになるとは思わんが、今日は帰る気分じゃ無いだろうし」
急な提案でしたけど、これからどうしようと思っていた私には有難かったです。
「……そうね。侍女のマッケナも連れて来ていいのなら、貴方の家に失礼したいわ」
「エスリン様、アスラム様、いいのですか? 私まで失礼する事になると、雇うお金でかなりの負担になると思いますが……」
「勿論、構わないさ。実を言うと、一人暮らしが最近は寂しくてね。人が増えるのは有難いよ」
こうして私は二度とあの家に帰る事なく、アスラムの家へと行く事になりました。
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浮気、それも自分が指導している子供達への浮気の話は、瞬く間に広まっていきました。
街の偉い人達があの人と協力し、子供達に指導と偽りとんでもない事をしていたという話も。
そして私の離婚は認められ、あの人から慰謝料も貰って家も私の物になりました。
当然、あの家は売り払いましたけどね。
その後、裁判も終わりあの人の死刑が確定し、あの人と協力して孤児院を邪悪な物に変えていた人達もそれに相応しい罰が与えられました。
どうやら、あの地下では厳しい虐待に耐えきれずに死んでしまった子供もいたようです。
全てが露見し、あの人はそれでも子供達の愛を叫んでいて……私の名前は一言も出ませんでした。
結局、私がああまで耐え忍んであの人に尽くしていたのは全て無駄だったのですね。
そうと分かっていれば、私はさっさと離婚していたのにと後悔しかありません。
……まぁ、それも終わった話です。
今ではアスラムの家で新しい人生が送れる様になりました。
あの人のせいで不安が全く無かったという訳ではありませんでしたが、それを吹き飛ばしてくれる位にアスラムはいい人です。
家の家事は手伝ってくれて、旅行にも連れて行ってくれて……そして今日は婚約の日から丁度一年目という大事な日。
正直、あれから私が恋をするなんて思っていなかったけど、アスラムとなら毎日が楽しくて、結婚生活も楽しく過ごせています。
それに自分を解放して自由に生き始めてから、マッケナにも貴女が楽しく過ごしていると自分も嬉しいと言われたりもしました。
これからの人生、もしかしたら辛い事が再び来るかもしれないけど、三人で一緒なら大丈夫。
マッケナに手伝って貰った花嫁衣装を着ながら、アスラムとの結婚式をあげてる時に、私はそう確信しました。
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