通学路の電柱に、幽霊である彼女は潜む

アイララ

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クイズは続くよ、どこまでも

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『それならちょっと話をしない?私の猫の話とか。』

猫って…唐突だなぁ。まぁ、このまま無言で帰るのも気まずいし、付き合う事にするか。

「猫の話といっても、僕は猫を飼った事ないしな。どんな猫なの?」

『真っ黒で、大人しい猫よ。何時も私の膝に乗って寝転がっているの。名前は、何だと思う?』

また名前、学校で聞いた幽霊も名前を答えられないなら刺されると聞いた気が。

とはいえ実際に刺されたりしたら、とっくの昔にニュースになってる筈だしな。多分、からかってるだけだ。

「名前か、そうだな・・・ミケとかタマとか?」『外れ。二回も言ったから、あと一回よ。』

「あと一回って、まるで学校で聞いた噂の幽霊みたいだな。思いつかないし、ヒントとかない?」

『ヒントね、映画に出てきた黒猫が名前。ほら、あの宅急便よ。』「あぁ、あれね。ジジだっけ。」

『正解、よく分かったわね。それじゃあ次は何にしようかしら。』

唐突にクイズ大会が始まった。場所は学校の帰り道、家に辿り着くまでの期間限定の開催だ。

『そうね、次はいつも行ってる店の名前。ハンバーガーね。』「マク〇ナル〇とか?」

『正解。それじゃあ次の問題ね。えぇと、何がいいかしら?』

クイズ大会は順調に進んでいる。どの問題も三回以内に正解し、更に問題がやってくる。

だけど今度の問題は難しく、一回、二回は答えが外れ、遂に三回目も外れてしまう。

『あらら、遂に失敗しちゃったわね。それじゃあ罰ゲーム、次は失敗しない様にね。』

彼女がそう言うと、手に鋭い痛みが走った。慌てて手を見れば血が流れ、指に切り傷が入っていた。

『まだ一回だけだから軽く斬っただけで終わらせたけど、次はどこが切られるかな?』

そう彼女が話す間に、僕はひたすら逃げ走る。ヤバい、危険だ、頭の中の声が悲鳴を叫ぶ。

幽霊が本当にいたとか噂話が本当だとか殺される事も本当だとか、兎に角、今は逃げないと。

早く逃げて、考えるのは後から幾らでも出来る。だから僕は走っている、転びそうになるのを踏ん張りながら。

彼女の声は段々と遠くなっていくけど、声はどんどん大きくなってる。『ねえ!クイズしようよ!』

僕は耳を傾けない、絶対に傾けない。足が痛い、息が切れる、でも逃げ走る。

後ろから聞こえる声は、段々と悲鳴の声に変わり僕を追いかける。だけど何とか声は小さくなってきた。

取り敢えず警察に行くべきかな。だけど僕も被害に会うまでは幽霊だと思っていたし、警察もそう思うかも。

まずは家に帰って軽く荷物をまとめて、それから近くのホテルかネカフェに…いや、遠くの方がいいな。

考えたり相談したりはその後にしよう。兎に角、今はこのまま走って家まで真っ直ぐ帰ればいい。

彼女とは距離も離れてるし、先回りされてる事は無いだろう。問題なのは家で何を取って来るかだ。

まずは財布、護身用に包丁、他には…まぁいい、急いで取って来るならその二つぐらいで十分だ。

もうすぐ家に辿り着く。素早くしないと、

『これで八問目、クイズはまだまだあるからね。』
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