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独立都市の番兵と、外から来たおじさんの出会い
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ダァン!発砲音が虚しく木霊する。
「ふぅ…やれたかな…うん、動きはない。
これで今日は5人か…
あれだけスナイパーが、狙ってますって看板出してるのに何で入ってくるんだろ…
友達の現代アーティストに飛びっきり怖く書いてって言ったのになぁ…」
ここは、元の世界ではない。
牟田(むた)市丸ごと転移した、生を競い合う世界だ。
都市、町そんな単位の物が、だだっ広い砂漠の上にポツンと集落として形成されている。
元の世界に戻れる条件は2つ。周囲半径500キロの内に有る、同じ様な集落を全滅させる。
もう1つは、人口を転移した時から300倍にさせる。住人として認められるのは、住所として、その都市の焼印を押された者。
そして、転移するのは、住人全員ではなく、その都市に残っている者だけ。
つまりは、外に出て敵を全て倒した瞬間転移は始まる。
敵を倒した戦士たちは、戻ることが出来ない。
また、人を増やして戻るとしても、人はその土地の許容量の人しか、戻れない。
秩序は、崩壊する。
先導しようとする者。絶望し自殺する者。無法を是とする者。
転移して、全員がテレパシーの様にこの状況を感じ取った瞬間、それは始まった。
そんなすぐに変化が起きるか…簡単に起きた。
この世界を感じ取った後、凄惨な映像を見せられた。
人が人を泣き笑いしながら殺す様。
戦士たちが自分たちの都市の方を見ながら自殺する様。
人が人を工場のように産ませている様。
全員が理解した。これは生の競走ゲームだと。
「周りは砂漠なのに、なんでか水、電気、食料に困らないから、戦い合う必要なんてないように思うのにな…」
スコープを覗きながらそんな事を考える。
外から来る者たちは、何を求めるのか…
ダァン!……
「あれ、外したか…」
息を吐き、手の震えを最小限にする。
ダァン!……
「足か…胴体は………見えない…か、仕方ない直接行くしかないか。おーい!こっちのカバーお願い!」
少し離れたビルに居る仲間に声をかけて、銃を肩にかけ、拳銃の装填を確認する。
「15階もあるから降りるの大変なんだよなぁ…」
独り言を言いながら、ステップを降りていく。
「これで今日は6人、ご飯は大盛りにして貰おうっと!」
ビルを降り、狙撃をした場所へ向かう。
手負いの動物はしぶといと言う、人間も然り。
物陰にかくれながら進んでいく。
どうやら、来訪者はしぶといらしい、血の跡がそれを物語っていた。
「地下か…暗いところは嫌いなんだけど…」
地下鉄のホームへ続く階段に、乾いていない血が降りていっていた。
ヘッドライトをつけて中に入っていく。
何故か地下だけは、電気が供給されない。
暗い中を渋々降りていく、地下は今となっては暗闇を好む動物たちの住処になっている。
「はぁ…ジメジメ、ヌルヌル…この感じ大嫌いだ…」
そんなことを言いながら降りていると、足が摩擦力を失った。
階段も降りきる所だったので、背中を階段に打ち付ける程度で済んだが、転んだ弾みに、発砲をし尚且つ拳銃を落としてしまった。
「くそぅだから地下は嫌いなんだ。」
ブツブツ言っていると
「ここの番兵は、お喋りなんだな」
拳銃を構えた音とともに、男が声をかけてきた。
「なんだ、やっぱり生きてたか。そのまま死んでいれば楽になれたのに。僕を殺してもいいよ。どうせみんな死ぬんだ、ここで死んだって同じさ、でもおじさんも出血死は免れないでしょ?だったらまだ僕が生きていた方がいいと思うんだ。人は救える。ね、おじさん僕が生きていた方がためになると思うんだよ、ね!おじさん!」
「うるさい!本当にうるさいガキだ…くぅ…てぇ…黙ってろ…」
「ね!おじさん!ね!おじさん!」
パン!軽い発泡音がして、紫煙がくゆる。
「ようやっと黙ったか…俺をここから逃がせ」
「へぇ僕を撃たないんだ。おじさん変だね。いいよ!逃がしてあげる。拳銃はもういいよ、反撃しないから。」
これから僕とおじさんの不思議な関係が始まる。
「おっと、まずはおじさんの治療だね!」
さぁ、変なおじさん治したら何が起こるか楽しみだ!
「ふぅ…やれたかな…うん、動きはない。
これで今日は5人か…
あれだけスナイパーが、狙ってますって看板出してるのに何で入ってくるんだろ…
友達の現代アーティストに飛びっきり怖く書いてって言ったのになぁ…」
ここは、元の世界ではない。
牟田(むた)市丸ごと転移した、生を競い合う世界だ。
都市、町そんな単位の物が、だだっ広い砂漠の上にポツンと集落として形成されている。
元の世界に戻れる条件は2つ。周囲半径500キロの内に有る、同じ様な集落を全滅させる。
もう1つは、人口を転移した時から300倍にさせる。住人として認められるのは、住所として、その都市の焼印を押された者。
そして、転移するのは、住人全員ではなく、その都市に残っている者だけ。
つまりは、外に出て敵を全て倒した瞬間転移は始まる。
敵を倒した戦士たちは、戻ることが出来ない。
また、人を増やして戻るとしても、人はその土地の許容量の人しか、戻れない。
秩序は、崩壊する。
先導しようとする者。絶望し自殺する者。無法を是とする者。
転移して、全員がテレパシーの様にこの状況を感じ取った瞬間、それは始まった。
そんなすぐに変化が起きるか…簡単に起きた。
この世界を感じ取った後、凄惨な映像を見せられた。
人が人を泣き笑いしながら殺す様。
戦士たちが自分たちの都市の方を見ながら自殺する様。
人が人を工場のように産ませている様。
全員が理解した。これは生の競走ゲームだと。
「周りは砂漠なのに、なんでか水、電気、食料に困らないから、戦い合う必要なんてないように思うのにな…」
スコープを覗きながらそんな事を考える。
外から来る者たちは、何を求めるのか…
ダァン!……
「あれ、外したか…」
息を吐き、手の震えを最小限にする。
ダァン!……
「足か…胴体は………見えない…か、仕方ない直接行くしかないか。おーい!こっちのカバーお願い!」
少し離れたビルに居る仲間に声をかけて、銃を肩にかけ、拳銃の装填を確認する。
「15階もあるから降りるの大変なんだよなぁ…」
独り言を言いながら、ステップを降りていく。
「これで今日は6人、ご飯は大盛りにして貰おうっと!」
ビルを降り、狙撃をした場所へ向かう。
手負いの動物はしぶといと言う、人間も然り。
物陰にかくれながら進んでいく。
どうやら、来訪者はしぶといらしい、血の跡がそれを物語っていた。
「地下か…暗いところは嫌いなんだけど…」
地下鉄のホームへ続く階段に、乾いていない血が降りていっていた。
ヘッドライトをつけて中に入っていく。
何故か地下だけは、電気が供給されない。
暗い中を渋々降りていく、地下は今となっては暗闇を好む動物たちの住処になっている。
「はぁ…ジメジメ、ヌルヌル…この感じ大嫌いだ…」
そんなことを言いながら降りていると、足が摩擦力を失った。
階段も降りきる所だったので、背中を階段に打ち付ける程度で済んだが、転んだ弾みに、発砲をし尚且つ拳銃を落としてしまった。
「くそぅだから地下は嫌いなんだ。」
ブツブツ言っていると
「ここの番兵は、お喋りなんだな」
拳銃を構えた音とともに、男が声をかけてきた。
「なんだ、やっぱり生きてたか。そのまま死んでいれば楽になれたのに。僕を殺してもいいよ。どうせみんな死ぬんだ、ここで死んだって同じさ、でもおじさんも出血死は免れないでしょ?だったらまだ僕が生きていた方がいいと思うんだ。人は救える。ね、おじさん僕が生きていた方がためになると思うんだよ、ね!おじさん!」
「うるさい!本当にうるさいガキだ…くぅ…てぇ…黙ってろ…」
「ね!おじさん!ね!おじさん!」
パン!軽い発泡音がして、紫煙がくゆる。
「ようやっと黙ったか…俺をここから逃がせ」
「へぇ僕を撃たないんだ。おじさん変だね。いいよ!逃がしてあげる。拳銃はもういいよ、反撃しないから。」
これから僕とおじさんの不思議な関係が始まる。
「おっと、まずはおじさんの治療だね!」
さぁ、変なおじさん治したら何が起こるか楽しみだ!
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