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第13章 満足な海風と波乱

安心できる仲間達

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「帰ってきたんだ。ちょうどよかったわ」 

 戻ってきた誠達に向けてリアナが微笑んでいた。

「ほら、神前の分だ」 

 カウラはスイカ割りの結果生まれたかけらを二人に渡す。不恰好なスイカのかけらを受け取って誠は苦笑いを浮かべた。

「アタシのは!」 

「中尉のはこっちにありますよ」 

 島田が割れたスイカを解体している。シャムはすぐに大きな塊に手を伸ばす。その手を叩き落として菰田が自分のスイカを確保する。

「アタシはアイシャの割れた脳みそが……」

 先ほどまで埋められていたと言うのにアイシャはやたらと元気にスイカを食べている。それを見上げてかなめがポツリとつぶやく。 

「かなめちゃん。私を食べようって言うの?やっぱり百合の気が……」

 そう言って顔を近づけてくるアイシャの額をかなめは指ではじく。 

「うるせえ」 

 そう言うとかなめはアイシャからスイカのかけらを奪い取って口に放り込む。それでも懲りないと言うようにアイシャは顔をかなめに近づける。

「ねえ、どうなのよ。私があまりに美しいから惚れてしまうのも仕方ないことかもしれないけど……」

「うぜえ!離れろ!馬鹿野郎!」 

 アイシャの額を叩くかなめだが、本気ではないのでアイシャは懲りずに続ける。

「嫌よ嫌よも好きのうち……」

「だから言ってんだろ!アタシはテメエが大嫌いだって!」

 かなめはひたすら顔を寄せてくるアイシャを押しのけようとする。そんな二人を無視してキム達はスイカの破片が散らばるビニールシートの整理にかかった。

「ちゃんと砂は落とせよ!西!ちゃんと引っ張れ!」 

 島田と並ぶ仕切り屋のキムが西に指示を出す。

「なんかホッとしませんか?」 

 スイカの種をとりながら誠が声をかける。食べ終えたスイカの皮をアイシャの顔面に押し付けて黙らせて、ようやく一心地ついたかなめに誠が声をかける。

「そうか?……そうかもしれないな」 

 再びアイシャがキープしていた不恰好に割れたスイカにかぶりつきながら、かなめはそうつぶやいた。誠はかなめを見る。見返すかなめの頬に笑みが浮かんでいた。

「何かあったのか?」 

 カウラが不思議そうに二人を見つめる。

「何でもねえ!何でもねえよ!」 

 そう言うとかなめは再び大きくスイカの塊に食いついた。かなめにスイカの皮を押し付けられてべとべとになった顔をアイシャはタオルで拭った。
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