法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』

橋本 直

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第二十四章 魔法少女始まる

第109話 魔法と呼ばれるものの始まり

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「うわー!っ退屈だー!神前なんとかしろ!かえでと言うおもちゃが居ればアイツをぶっ叩いて喜ばせてやることもできるが……神前!オメエで良い!ちょっと首ぐらい絞めさせろ!」

 かなめは誠に向けて相変わらず無茶な要求を突き付けてきた。

「そんな不合理な理由で首を絞められるのは嫌ですよ!僕はかえでさんみたいにマゾじゃありません!」 

 そう言ってかなめが立ち上がるとそのまま誠の後ろに回りこみ首に腕を回しこんで極めた。意外にも事務仕事の得意なかなめが手持ち無沙汰なのは分かるが、急にそんなことをされて誠はじたばたと暴れるしかなかった。

「なに!なにすんですか!離してくださいよ!死んだらどうするつもりです!いくらマゾのかえでさんの『許婚』だからって僕までマゾにしないでください!」 

 誠は冗談とは言えサイボーグの怪力で首の頸動脈を極められて失神しそうになりながらそう叫んだ。

「つまんねえ!つまんねえよ!ああ、かえでが居なかった頃は退屈しのぎは銃で済んでたが、アイツが来てから虐められて喜ぶマゾを見るとゾクゾクして興奮が止まらなくなる女王様としての本能が目覚めちまったんだ!神前!なんとかしろ!」 

 叫ぶかなめを背負いながらカウラに目をやるが、明らかにかなめを押し付けられるのを恐れて視線を合わせようとしてくれない。

「アメリアさん達のところに行けば良いじゃないですか。かえでさんもあっちに居ますよ。僕は仕事をしないといけないんで」 

 誠がそう言うとかなめは気が付いたように誠から手を離した。

「そうか、あっちを見られるようにすればいいんだな?じゃあちょっと待てよ」 

 そう言うとかなめは首の根元からコードを取り出して誠の端末に差し込んだ。誠の端末の画面が報告書から見慣れない画面に切り替わった。

「あっ!報告書消えちゃいましたよ!どうしてくれるんですか!」 

 かなめの外部操作で真っ白になった画面を見て誠はあっけにとられていた。

「ああ、後でアタシがやってやるよ……ちょっと時間が……」 

 何度かかなめが瞬きする間にすさまじい勢いで画面が転換されていった。

「これで、行けるは……ず!」 

 そんな掛け声をかけたかなめの前にカウラの顔があった。その目の前には子犬ほどの大きさのどう見ても熊と思われる動物が映っていた。

 モニターに大きく写されるのは小熊のマスコットである。当然デザインしたのは誠だった。

『すみません!本当に僕こんなことに巻き込んでしまって……』 

 どうやらアンの声をサンプリングしたと思われる少年の声で話す小熊が画面の中で小夏に謝っていた。周りは電柱は倒れ、木々は裂け、家は倒壊した惨状。どう見ても常識的な魔法少女の戦いのそれとは桁違いの破壊が行われたことを示していた。

「おい、なんでこうなったんだ?魔法少女ってこんな過激な始まり方をする物語ばかりなのか?アタシはアニメはあんまり見た事ねえから知らねえけど」 

 あまりアニメを見ないかなめが尋ねてくる。甲武にはテレビは無いのでアニメと言えば映画館で数百年前のアニメ創世記の白黒アニメを見るしかないのは誠も知っていた。

「そんなわけないじゃないですか!普通の魔法少女モノはまさに少女を対象としていますからそれはそれは平和な導入で明るい物語が展開するはずです!それを……アメリアさんが歪んでるだけですよ!この導入部は!」

 この荒れ果てた荒野が広がっている画面を見て、誠はアメリアはかなりの『上級者』、いわゆる『マニア』向けにこの作品を作ろうとしていることだけは分かった。

『気にしないで大丈夫だよ!』 

「少しは気にしろ!爆撃でもあったのか?これは戦争モノか?それならそれで楽しめるが……というか、アタシとしてはそっちの方が好みだ。東和に来て戦争映画はたくさん見た。甲武の戦争映画は全部軍政策の国策宣伝映画しかねえからな。東和の戦争映画は戦争をリアルに描いてる。これもそう言うリアルな戦争映画になるんだな?魔法を使った」 

 小夏の台詞にかなめがツッコんだ。そしてかなめはこの映画がそのまま戦争映画になることを希望していた。誠が思わず生暖かい目を彼女に向けるとかなめの後ろには仕事をサボってのぞきに来たアンの姿がそこにあった。

『それより世界の平和がかかっているんでしょ?やるよ!私は』 

 小夏は周囲の被害甚大な状況を無視して明るく叫んだ。

「世界の平和の前にこの状況どうにかしろ!警察を呼べ!いや、軍隊……違うな、うちの出番じゃねえか?こういう時は。うちは軍事警察だからな。05式の出番だぞ!行け!神前!」 

 そう言ってかなめは手近な誠の頭を叩いた。誠は叩かれたところを抑えながら仕方なく画面を見つめた。

『ありがとうございます。ですが、僕の与える力は三人分あるんです。だから……』 

『じゃあ……そうだ!隣のおねえちゃんに頼みに行こう!サラお姉ちゃんならきっと君の言うことを聞いて協力してくれるよ!』 

 そう言って小熊を抱えると小夏は走り出した。半分町が焦土と化しあちこちにクレーターのある状況を後ろに見ながら彼女は走り続けた。

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