法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』

橋本 直

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第四十五章 物語の結末

第195話 失脚した脚本家

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「とりあえず……台詞……」 

「どうせ私の出番は無いわよ!一端役よ!眼鏡教師よ!悪かったわね!脚本家と監督の地位を取り上げられたらただの人よ……もう完全に傍観者を気取っちゃうから!」 

 誠が声をかけるが無視するアメリアは頬を膨らまして部屋の隅に向かった。

「あ、いじけた」 

「しょうがないわよ。アメリアはこの映画にかなり力を入れていたもの」 

 サラとパーラもいつものようにはかばってくれないと知ってアメリアはさらに部屋の隅に座っていた椅子を寄せた。

「そう言えば西園寺は?一緒じゃないのか?」 

 そんな何気ないカウラの一言にアメリアが反応した。彼女はそのまま立ち上がるとパーラとサラの手をつかんで引っ張った。

「何すんの!」 

 サラが暴れているが寄せた耳にアメリアが一言二言。すぐにサラの目が輝いてきた。

「あのー?」 

「ああ、誠ちゃんは聞いちゃ駄目!」 

 手を振るサラ。パーラも自然とアメリアのつぶやきに耳を貸した。

「なにがしたいんだか」 

 カウラはそう言うと一人カプセルの中に体を沈めた。誠もアメリア達の奇妙な行動の意味を詮索するのが無理だと悟ってカプセルに体を横たえた。

「あ!そう言えば小夏ちゃんはどうするの?」 

 サラの言葉に誠は新藤を見た。相変わらず目の前のモニターを凝視していた。

「アイツのボイスサンプルは十分取れたからな。俺が編集で何とかするよ」

 新藤はそう言うと目の前の機械をいじっていくつかの小夏のサンプルボイスを再生して見せた。 

「だったら全員のでやってくれれば良かったんじゃないか?サンプルボイスだけならすぐに取れる。あとはアメリアが勝手にやれば良い。あんなに恥ずかしい思いをするのはもうこりごりだ」 

 カウラが愚痴った。誠も苦笑いを浮かべながら一度ヘルメットをしたもののそれを外して起き上がった。

「そう言えば西園寺さんは……」 

 誠は戻る気配の無いかなめを思い出した。その言葉にアメリアとサラとパーラがいかにもうれしそうな顔で誠を見た。

「……どうしたんですか?」 

 明らかに変な妄想をはじめた時のアメリア達の瞳が輝いている、誠は自然と背筋が寒くなった。

「そうだな、西園寺がいないとはじめられないな。アメリア、呼んで来たらどうだ」 

 こちらも上半身をカプセルから持ち上げているカウラの声。今度はアメリア達の視線はカウラに向いた。

 三人に浮かぶ明らかに何かをたくらんでいる笑いがそこにあった。

「……気味が悪いな。西園寺が何かやってるのか?」 

「大丈夫。もうそろそろ来ると思うぞ。アイツも日野と一緒でムラムラする時が有るんだろう」 

 突然そう言ったのは新藤だった。アメリアが特別うれしそうな顔をした。

「新藤さん!もしかして覗いてたの?一階の北側の女子トイレの奥から二番目」

 パーラはかえでとリンが配属になってから事実上二人専用になっている北側の女子トイレのことを口にした。誠が聞く限り、二人が一緒にトイレに入るとなんだか変な声がするということで運航部の女子隊員もそのトイレは使用しないのが普通になっていた。 

「バーカ、勘だよ勘!それにしても細かい指定だな。いるところがわかるならお前等が連れて来いよ」 

 そう言う新藤をパーラが汚いものを見るような目で見ていた。

「なんだよ!信用ねえな!見て無いって!女子トイレには監視カメラは無いから。付けてようものなら日野少佐に斬られるよ」 

 新藤もかえでの変態の噂は知っているようでそう言うと苦笑いを浮かべた。

「はいはい!わかりました」 

 手を叩くアメリアを新藤がにらみつけた。

「本当に見てない……あっ来た」 

 新藤の言い訳にあわせるようにいつもよりも明らかにテンションの低いかなめが入ってきた。そしてかなめは誠を見るなりすぐに視線を落としてしまった。

「ねえ、何をしていたのかな?」 

「タバコだよタバコ」 

 アメリア達は再びうれしそうな視線をかなめに向けた。

「あ、トイレでタバコなんて感心しないわね……こんなところに!」 

 そう言ってサラはかなめのスカートのすそを指差した。かなめは慌てて視線を落とした。

「なんだよ!何も付いてないだろ!」 

 その言葉に飛び跳ねそうな反応を示すかなめ。誠とカウラはわけも分からず見守っていた。

「あのさー。人数そろったんだからはじめろよ」 

 奥のカプセルからの声。ランが痺れを切らしたのは間違いなかった。

「じゃあ深くは詮索しないからそこのカプセルに……」 

「詮索しないならはじめから言うんじゃねえよ」 

 アメリアの言葉にうろたえて見えるかなめ。彼女はなんどかちらちらと誠を見ていた。その頬が赤く染まっているのを見て、誠はいつものように酒を飲んでいたのだろうと安心してヘルメットをかぶりバイザーを下ろした。

「でも本当に何をしていたんだ?」 

 カウラの言葉をかなめは完全に無視した。
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