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仕事も終わり

第41話 謎の報告書

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「それにしても……どんな報告書を出すんですかね?」

 島田のその一言で麗子が遊びに来たわけでは無く監査室長として監査に来たことを一同は思い出した。

「どうせ誰も見ねえ報告書だ。何が書いてあっても関係ねえよ」

 かなめはそう言ってラム酒を口に運ぶ。

「そう?司法局は甲武軍とは違うわよ……一応、ああ見えて監査の書類とかはしっかり見られているわよ……まあ地下に幽閉されてる役立たずの報告書がそれに入るかどうかは知らないけど……目ぐらい通すんじゃない」

「そうか?」

 開き直るかなめとたしなめるアメリア。カウラは完全に傍観を気取っていた。

「でもこれでよかったの?」

 めんどくさそうにアメリアはそう言った。

「これでよかったもなにもねえだろ」

 かなめはそう言って苦笑いを浮かべた。

「まあ仕方がない」

 カウラはそう言って手にした車のキーを回した。

「そうなんですね」

 誠もまたただ起きた出来事に何もすることができずにそう言って笑った。

「じゃあ私達も帰るわよ……永遠のアラサーとしてはお肌のことも気になるし……」

「永遠のアラサーって……でもオメエは便利だよな。二十年も戸籍上は三十歳じゃねえか……アタシはちゃんと戸籍通り二十八年前に生まれてるぞ」

 かなめは不服そうにそう言った。

「そうなんですか?それって戸籍の意味が……」

 誠は怪訝な表情でアメリアを見つめる。

「そりゃあ不老不死が闊歩している東和じゃ珍しいことじゃないわよ。それにもっとすごいのがうちにいるじゃない」

「ああ、クバルカ中佐ですね……あの人何年生きてるんです?」

 誠は外見が八歳、戸籍上三十六歳の副隊長のことを思い出した。そしてそう言うことには関心を持ちそうなカウラに目を向けた。

「私が知る訳が無いだろ」

 同じく実年齢八歳、戸籍上の年齢二十五歳のカウラを頼った自分に誠は少し呆れていた。

「ああ行くぞ。小腹が減ったな……帰りにラーメンでも食ってかねえか?」

「太る……ことが無いから言うわけね、そんなこと。私は遠慮するわ。誠ちゃんは?」

「僕もいいです」

 珍しく遠慮をするアメリアに誠もただ苦笑いを浮かべてカウラ達と一緒に立ち上がった。
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