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悲劇の代償
第79話 悲劇の人工女性型戦闘バイオロイド『ラスト・バタリオン』
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屈辱感にさいなまれながら、誠は島田の右手から解放されてた。
誠が顔を上げると、そこには島田の『彼女』のサラと素敵な女性が立っていた。
女性の表情は『善意と同情』に満ちていた。久しぶりの『人間』扱いしてくれる視線に誠は少し照れて頭を掻く。
「ごめんね、神前君。うちは馬鹿しかいない『特殊な部隊』だから」
そう言うと水色の髪の女性は、ひざまずく誠に手を差し伸べた。
「私はパーラ・ラビロフ中尉。運行艦『ふさ』の総括管理担当。つまり、アメリア達の『馬鹿』をフォローする『疲れるお仕事』担当……をやらされてる」
パーラはそう言って誠の手を握り立ち上がらせた。
『同志だ!』
そのどこか人工的な表情を見ながら誠はそう確信した。
喜びに胃の内容物を彼女の顔面にプレゼントしたくなる欲求に耐えながら、誠は笑顔でサラと島田の馬鹿を見下ろした。本心からr二人を見下した。
「ラビロフ中尉……」
いかに島田とサラが『バカップル』であるかの自覚を促すべく、誠はこの『特殊な部隊』ではレアな存在であるパーラに声を掛けた。
「ああ、いいわよ、『パーラさん』で。一応、神前君の先輩なんだから」
パーラはそう言ってほほ笑む。彼女の『先輩』と言う言葉に『真性体育会系縦社会』を経験中の誠は少し恐怖を感じた。
「私達の髪の色、変でしょ」
落ち着いたその言葉に誠はどういう反応を返せばいいか迷っていた。
「うちの女子の九割は『ラスト・バタリオン』と呼ばれる存在なの。『ゲルパルト帝国』が『第二次遼州大戦』の末期に生み出した『戦闘用バイオロイド』つまり『戦うために作られた人工人間』なの。普通の人間と区別をつけるために髪の毛の色が変な訳」
パーラはとんでもないことをさらりと言った。まるで誠が『知っていて当然』と言うように言う姿に、誠はやはり彼女も『特殊な部隊』で思考回路が『特殊』になってしまったんだと思った。
「『戦闘用人工人間』なんですか?お二人とも。普通の『人間』にしか見えませんが……」
顔を引きつらせながら誠はそう言った。
誠が横を見た。そこには島田とサラは何故か窓の外を指さして立っていた。お互い誠にとっては意味不明な言葉をしゃべって、感涙にむせび泣いている。とりあえず誠はこいつ等は無視することにした。
「他にもいるわよ。運航部はアタシとサラを含め全員女子で、全員『ラスト・バタリオン』。あと、誠ちゃんの前の……」
機動部隊の部屋の誠の席の前には二人の女性が座っているが、どう考えても『西園寺かなめ大尉』の方が戦闘的だった。しかも、『ロボ』である。
「あ、たぶん神前君の想像の逆。かなめちゃんは『甲武国』で一番のお姫様だったりする人だけど、本人が『それを知った人間は全員殺す』と言ってるから知らない方が良いわよ」
かなめではないことはパーラの人の良さそうな言葉から分かった。
同時に、『かなめに確実に殺される』方法を知ってしまった誠は青ざめた。
「神前君!顔色が青い!面白い!」
誠を見たサラが大爆笑している。
誠はこの女に『戦闘用人工人間の悲劇』と言う過去があるとは信じられない。そこで誠は彼女を『無視』することに決めた。
『戦闘用人工人間の悲劇』と言うと……誠はひたすら考えた。
そうなると、当然誠の脳裏には『偉大なる中佐殿』ことクバルカ・ラン中佐の萌え萌えフェイスが浮かび上がる。同じような『幼女型魔法プログラム』が誠の大好きな『バトル系魔法少女アニメ』でも、『一生懸命』に『みんなを守る』ために戦っていた。
きっとクバルカ・ラン中佐だ、そうあってくれ!その方が安心して『萌え』られる!
そう思いながら誠はパーラを期待の目で見つめた。
「神前君の期待には沿えないわね。クバルカ中佐は『遼帝国』出身。私たち『ラスト・バタリオン』とは無関係よ」
誠は心底がっかりした。あの『萌え』な幼女が、時々『殺戮マシーン』だった過去をほのめかすこと。そこに期待した自分が馬鹿だったと再び諦めた。
この二つの消去法の結果に誠は驚愕した。
残りは……どう考えてもあの第一小隊小隊長、カウラ・ベルガー大尉しか残らない。
彼女の髪の色が緑な時点で気づくべきだった。しかし、それ以上に彼女の『趣味』がその思いを捨てさせてきたのは事実だった。
誠が顔を上げると、そこには島田の『彼女』のサラと素敵な女性が立っていた。
女性の表情は『善意と同情』に満ちていた。久しぶりの『人間』扱いしてくれる視線に誠は少し照れて頭を掻く。
「ごめんね、神前君。うちは馬鹿しかいない『特殊な部隊』だから」
そう言うと水色の髪の女性は、ひざまずく誠に手を差し伸べた。
「私はパーラ・ラビロフ中尉。運行艦『ふさ』の総括管理担当。つまり、アメリア達の『馬鹿』をフォローする『疲れるお仕事』担当……をやらされてる」
パーラはそう言って誠の手を握り立ち上がらせた。
『同志だ!』
そのどこか人工的な表情を見ながら誠はそう確信した。
喜びに胃の内容物を彼女の顔面にプレゼントしたくなる欲求に耐えながら、誠は笑顔でサラと島田の馬鹿を見下ろした。本心からr二人を見下した。
「ラビロフ中尉……」
いかに島田とサラが『バカップル』であるかの自覚を促すべく、誠はこの『特殊な部隊』ではレアな存在であるパーラに声を掛けた。
「ああ、いいわよ、『パーラさん』で。一応、神前君の先輩なんだから」
パーラはそう言ってほほ笑む。彼女の『先輩』と言う言葉に『真性体育会系縦社会』を経験中の誠は少し恐怖を感じた。
「私達の髪の色、変でしょ」
落ち着いたその言葉に誠はどういう反応を返せばいいか迷っていた。
「うちの女子の九割は『ラスト・バタリオン』と呼ばれる存在なの。『ゲルパルト帝国』が『第二次遼州大戦』の末期に生み出した『戦闘用バイオロイド』つまり『戦うために作られた人工人間』なの。普通の人間と区別をつけるために髪の毛の色が変な訳」
パーラはとんでもないことをさらりと言った。まるで誠が『知っていて当然』と言うように言う姿に、誠はやはり彼女も『特殊な部隊』で思考回路が『特殊』になってしまったんだと思った。
「『戦闘用人工人間』なんですか?お二人とも。普通の『人間』にしか見えませんが……」
顔を引きつらせながら誠はそう言った。
誠が横を見た。そこには島田とサラは何故か窓の外を指さして立っていた。お互い誠にとっては意味不明な言葉をしゃべって、感涙にむせび泣いている。とりあえず誠はこいつ等は無視することにした。
「他にもいるわよ。運航部はアタシとサラを含め全員女子で、全員『ラスト・バタリオン』。あと、誠ちゃんの前の……」
機動部隊の部屋の誠の席の前には二人の女性が座っているが、どう考えても『西園寺かなめ大尉』の方が戦闘的だった。しかも、『ロボ』である。
「あ、たぶん神前君の想像の逆。かなめちゃんは『甲武国』で一番のお姫様だったりする人だけど、本人が『それを知った人間は全員殺す』と言ってるから知らない方が良いわよ」
かなめではないことはパーラの人の良さそうな言葉から分かった。
同時に、『かなめに確実に殺される』方法を知ってしまった誠は青ざめた。
「神前君!顔色が青い!面白い!」
誠を見たサラが大爆笑している。
誠はこの女に『戦闘用人工人間の悲劇』と言う過去があるとは信じられない。そこで誠は彼女を『無視』することに決めた。
『戦闘用人工人間の悲劇』と言うと……誠はひたすら考えた。
そうなると、当然誠の脳裏には『偉大なる中佐殿』ことクバルカ・ラン中佐の萌え萌えフェイスが浮かび上がる。同じような『幼女型魔法プログラム』が誠の大好きな『バトル系魔法少女アニメ』でも、『一生懸命』に『みんなを守る』ために戦っていた。
きっとクバルカ・ラン中佐だ、そうあってくれ!その方が安心して『萌え』られる!
そう思いながら誠はパーラを期待の目で見つめた。
「神前君の期待には沿えないわね。クバルカ中佐は『遼帝国』出身。私たち『ラスト・バタリオン』とは無関係よ」
誠は心底がっかりした。あの『萌え』な幼女が、時々『殺戮マシーン』だった過去をほのめかすこと。そこに期待した自分が馬鹿だったと再び諦めた。
この二つの消去法の結果に誠は驚愕した。
残りは……どう考えてもあの第一小隊小隊長、カウラ・ベルガー大尉しか残らない。
彼女の髪の色が緑な時点で気づくべきだった。しかし、それ以上に彼女の『趣味』がその思いを捨てさせてきたのは事実だった。
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