99 / 111
普段の一日
第99話 アメリアコレクション
しおりを挟む
「じゃあこれを『図書館』に運びましょう!」
昼食を終えたアメリアが誠達一同に声をかけてつれてきたのは駐車場の中型トラックの荷台だった。
「図書館?」
誠は嫌な予感がしてそのまま振り返った。
「逃げちゃ駄目じゃないの、誠ちゃん!あの部屋、この寮の欲望の詰まった神聖な隠し部屋よ!」
「あそこですか……」
あきらめた誠が頭を掻く。西はそわそわしながらレベッカを見つめた。
「クラウゼ少佐。図書館や欲望って言われてもぴんとこないんですけど」
アンは明らかに呆れた様子でアメリアを見つめていた。
「それはね!これよ!って確かアン君は17歳だから表紙しか見ちゃだめよ」
そう言ってアイシャはダンボールの中から一冊の冊子を取り出してアンに渡す。アンはそれを気も無く取り上げた次の瞬間、呆れたような表情でアメリアを見つめた。絡み合う裸の美少年達の絵の表紙。誠は自然と愛想笑いを浮かべていた。
「わかったんですが……こんなの堂々と見せるのは女性としては品格を欠くような気がするような……」
「そういう事言う?まるでアタシが変態みたいじゃないの」
「いや、みたいなんじゃなくて変態そのものなんだがな」
後ろからかなめが茶々を入れる。アメリアは腕を組んでその態度の大きなサイボーグをにらみつける。
「酷いこと言うわね、かなめちゃん。あなたに私が分けてあげた雑誌の一覧、誠ちゃんに見せてあげても良いんだけどなあ」
「いえ!少佐殿はすばらしいです!さあ!みんな仕事にかかろうじゃないか!」
かなめのわざとらしい豹変に成り行きを見守っていたサラとパーラが白い目を向ける。とりあえずと言うことで、アンと西がダンボールを抱えて寮に向かった。
「そう言えば棚とかまだ置いてないですよ……昨日部屋にあった奴は全部処分しちゃいましたし」
一際重いダンボールを持たされた誠がなんとか持ちやすいように手の位置を変えながらつぶやく。左右に揺れるたびに手に伝わる振動で誠は中身が雑誌の類だろうということが想像できた。
「ああ、それね。今度もまた島田君とサラに頼んどいたのよ」
「あいつ等も良い様に使われてるなあ」
誠の横を歩くかなめはがしゃがしゃと音がする箱を抱えている。そしてその反対側には対抗するようにカウラがこれも軽そうなダンボールをもって誠に寄り添って歩いている。
「これは私から寮に暮らす人々の生活を豊かにしようと言う提言を含めた寄付だから。かなめちゃんもカウラちゃんも見てもかまわないわよ」
「私は遠慮する」
即答したのはカウラだった。それを見てかなめはざまあみろと言うように手ぶらで荷物持ちを先導しているアメリアに向けて舌を出す。
「オメエの趣味だからなあ。どうせ変態御用達の展開なんだろ?」
「暑いわねえ、後ちょっとで秋になると言うのに」
「ごまかすんじゃねえ!」
かなめが話を濁そうとしたアメリアに突っ込みを入れる。そんな二人を見て噴出した西にかなめが蹴りを入れた。
「階段よ!気をつけてね」
すっかり仕切りだしたアメリアに愚痴りながら誠達は寮に入った。
「はい!そこでいったん荷物を置いて……」
「子供じゃないんですから」
先頭を歩いていたアンが手早く靴を脱ぐ。西の段ボールから落ちた冊子を拾ったカウラが真っ赤な顔をしてすぐに、西の置いたダンボールの中にもどしてしまう。
「二階まで持って行ったあとどうするんですか?まだ棚が届かないでしょ?」
「仕方ないわね。まあそのまま読書会に突入と言うのも……」
「こう言うものは一人で読むものじゃねえのか?」
そう言ったかなめにアメリアが生暖かい視線を送る。その瞬間アメリアの顔に歓喜の表情が浮かぶ。
「その、あれだ。恥ずかしいだろ?」
自分の言葉に気づいてかなめはうろたえていた。
「何が?別に何も私は言ってないんだけど」
アメリアは明らかに勝ったと宣言したいようないい笑顔を浮かべる。
「いい、お前に聞いたアタシが間抜けだった」
そう言うとかなめは誠の持っていたダンボールを持ち上げて、小走りで階段へと急ぐ。
「西園寺さん」
声をかけると後ろに何かを隠すかなめがいた。
「脅かすんじゃねえよ」
引きつった笑みを浮かべるかなめの手には一冊の薄い本が握られていた。誠はとりあえず察してそのまま廊下を走り階段を降りた。
「西園寺は何をしている?」
「さあ何でしょうねえ」
先頭を切って上がってくるカウラに誠はわざとらしい大声で答えた。二階の廊下に二人がたどり着くと空き部屋の前にはかなめが暇そうに立っていた。
「かなめちゃん早いわね」
アメリアの視線はまだ生暖かい。それが気になるようで、かなめは壁を蹴飛ばした。
「そんなことしたら壊れちゃうわよ」
サラがすばやくかなめの蹴った壁を確かめる。不機嫌なかなめを見てアメリアはすっかりご満悦だった。
昼食を終えたアメリアが誠達一同に声をかけてつれてきたのは駐車場の中型トラックの荷台だった。
「図書館?」
誠は嫌な予感がしてそのまま振り返った。
「逃げちゃ駄目じゃないの、誠ちゃん!あの部屋、この寮の欲望の詰まった神聖な隠し部屋よ!」
「あそこですか……」
あきらめた誠が頭を掻く。西はそわそわしながらレベッカを見つめた。
「クラウゼ少佐。図書館や欲望って言われてもぴんとこないんですけど」
アンは明らかに呆れた様子でアメリアを見つめていた。
「それはね!これよ!って確かアン君は17歳だから表紙しか見ちゃだめよ」
そう言ってアイシャはダンボールの中から一冊の冊子を取り出してアンに渡す。アンはそれを気も無く取り上げた次の瞬間、呆れたような表情でアメリアを見つめた。絡み合う裸の美少年達の絵の表紙。誠は自然と愛想笑いを浮かべていた。
「わかったんですが……こんなの堂々と見せるのは女性としては品格を欠くような気がするような……」
「そういう事言う?まるでアタシが変態みたいじゃないの」
「いや、みたいなんじゃなくて変態そのものなんだがな」
後ろからかなめが茶々を入れる。アメリアは腕を組んでその態度の大きなサイボーグをにらみつける。
「酷いこと言うわね、かなめちゃん。あなたに私が分けてあげた雑誌の一覧、誠ちゃんに見せてあげても良いんだけどなあ」
「いえ!少佐殿はすばらしいです!さあ!みんな仕事にかかろうじゃないか!」
かなめのわざとらしい豹変に成り行きを見守っていたサラとパーラが白い目を向ける。とりあえずと言うことで、アンと西がダンボールを抱えて寮に向かった。
「そう言えば棚とかまだ置いてないですよ……昨日部屋にあった奴は全部処分しちゃいましたし」
一際重いダンボールを持たされた誠がなんとか持ちやすいように手の位置を変えながらつぶやく。左右に揺れるたびに手に伝わる振動で誠は中身が雑誌の類だろうということが想像できた。
「ああ、それね。今度もまた島田君とサラに頼んどいたのよ」
「あいつ等も良い様に使われてるなあ」
誠の横を歩くかなめはがしゃがしゃと音がする箱を抱えている。そしてその反対側には対抗するようにカウラがこれも軽そうなダンボールをもって誠に寄り添って歩いている。
「これは私から寮に暮らす人々の生活を豊かにしようと言う提言を含めた寄付だから。かなめちゃんもカウラちゃんも見てもかまわないわよ」
「私は遠慮する」
即答したのはカウラだった。それを見てかなめはざまあみろと言うように手ぶらで荷物持ちを先導しているアメリアに向けて舌を出す。
「オメエの趣味だからなあ。どうせ変態御用達の展開なんだろ?」
「暑いわねえ、後ちょっとで秋になると言うのに」
「ごまかすんじゃねえ!」
かなめが話を濁そうとしたアメリアに突っ込みを入れる。そんな二人を見て噴出した西にかなめが蹴りを入れた。
「階段よ!気をつけてね」
すっかり仕切りだしたアメリアに愚痴りながら誠達は寮に入った。
「はい!そこでいったん荷物を置いて……」
「子供じゃないんですから」
先頭を歩いていたアンが手早く靴を脱ぐ。西の段ボールから落ちた冊子を拾ったカウラが真っ赤な顔をしてすぐに、西の置いたダンボールの中にもどしてしまう。
「二階まで持って行ったあとどうするんですか?まだ棚が届かないでしょ?」
「仕方ないわね。まあそのまま読書会に突入と言うのも……」
「こう言うものは一人で読むものじゃねえのか?」
そう言ったかなめにアメリアが生暖かい視線を送る。その瞬間アメリアの顔に歓喜の表情が浮かぶ。
「その、あれだ。恥ずかしいだろ?」
自分の言葉に気づいてかなめはうろたえていた。
「何が?別に何も私は言ってないんだけど」
アメリアは明らかに勝ったと宣言したいようないい笑顔を浮かべる。
「いい、お前に聞いたアタシが間抜けだった」
そう言うとかなめは誠の持っていたダンボールを持ち上げて、小走りで階段へと急ぐ。
「西園寺さん」
声をかけると後ろに何かを隠すかなめがいた。
「脅かすんじゃねえよ」
引きつった笑みを浮かべるかなめの手には一冊の薄い本が握られていた。誠はとりあえず察してそのまま廊下を走り階段を降りた。
「西園寺は何をしている?」
「さあ何でしょうねえ」
先頭を切って上がってくるカウラに誠はわざとらしい大声で答えた。二階の廊下に二人がたどり着くと空き部屋の前にはかなめが暇そうに立っていた。
「かなめちゃん早いわね」
アメリアの視線はまだ生暖かい。それが気になるようで、かなめは壁を蹴飛ばした。
「そんなことしたら壊れちゃうわよ」
サラがすばやくかなめの蹴った壁を確かめる。不機嫌なかなめを見てアメリアはすっかりご満悦だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黄金の魔族姫
風和ふわ
恋愛
「エレナ・フィンスターニス! お前との婚約を今ここで破棄する! そして今から僕の婚約者はこの現聖女のレイナ・リュミエミルだ!」
「エレナ様、婚約者と神の寵愛をもらっちゃってごめんね? 譲ってくれて本当にありがとう!」
とある出来事をきっかけに聖女の恩恵を受けれなくなったエレナは「罪人の元聖女」として婚約者の王太子にも婚約破棄され、処刑された──はずだった!
──え!? どうして魔王が私を助けてくれるの!? しかも娘になれだって!?
これは、婚約破棄された元聖女が人外魔王(※実はとっても優しい)の娘になって、チートな治癒魔法を極めたり、地味で落ちこぼれと馬鹿にされていたはずの王太子(※実は超絶美形)と恋に落ちたりして、周りに愛されながら幸せになっていくお話です。
──え? 婚約破棄を取り消したい? もう一度やり直そう? もう想い人がいるので無理です!
※拙作「皆さん、紹介します。こちら私を溺愛するパパの“魔王”です!」のリメイク版。
※表紙は自作ではありません。
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。
処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません
藤原遊
恋愛
「私は処刑される運命の悪役令嬢――そう信じて、死を望んでいた。
けれど、幼なじみの騎士は『この命に代えても守る』と離してくれなくて……?」
侯爵令嬢アメリアは、幼い頃から「悪役令嬢」として囁かれてきた。
その冷たい視線と噂の中で、彼女は静かに己の役目を受け入れていた――。
けれど、すべてを遠ざけようとする彼女の前に現れたのは、まっすぐに想いを示す幼なじみの騎士。
揺らぐ心と、重ねてきた日々。
運命に逆らえないはずの未来に、ほんの少しの希望が灯る。
切なく、温かく、甘やかに紡がれる悪役令嬢物語。
最後まで見届けていただければ幸いです。
※ 攻略対象の叔母である悪役令嬢に転生したけれど、なぜか攻略対象の甥に激重に愛されてます
にて、親世代の恋愛模様を描いてます。
殲滅(ジェノサイド)ですわ~~!! ~異世界帰りの庶民派お嬢様、ダンジョン無双配信を始めます~
SAIKAI
ファンタジー
「わたくしの平穏なニート生活を邪魔するゴミは……殲滅(ジェノサイド)ですわ~~!!」
ブラック企業の理不尽な上司に対し、「代わりがいくらでもいるとおっしゃるなら、さっそくその有能な方を召喚なさってはいかが?」と言い残し、颯爽と退職届を置いてきた華園凛音(はなぞのりおん)。
実家で優雅なニート生活を満喫しようとした彼女だったが、あろうことか自宅の裏庭にダンジョンが出現してしまう。
「お庭にゴミを捨てるなんて、育ちが悪くってよ?」
実は彼女、かつて学生時代に異世界に召喚され、数多の魔王軍を「殲滅(ジェノサイド)」してきた伝説の勇者だった。
現代に戻り力を封印していた凛音だが、暇つぶしと「デパ地下のいいケーキ代」を稼ぐため、ホームセンターで購入したお掃除用具(バール)を手に、動画配信プラットフォーム『ToyTube』でのダンジョン配信を決意する!
異世界の常識と現代の価値観がズレたままの凛音がバールを一振りするたび、世界中の視聴者が絶叫し、各国の専門家が物理法則の崩壊に頭を抱え、政府の調査団が土下座で資源を請い願う。
しかし本人はいたって庶民派。
「皆様、スパチャありがとうございますわ! これで今夜は高い方のメンチカツですわ! 最高ですわ~~!!」
これは、本人は至って普通の庶民派お嬢様だと思っているニートが、無自覚に世界ランクをのぼり詰める殲滅の記録。
レンタル従魔始めました!
よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」
僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。
そのまま【テイマー】と言うジョブに。
最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。
それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。
そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか?
そのうち分かりますよ、そのうち・・・・
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる