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遼州星系国際情勢と栄光の?05式特戦(愛称未定)
武装警察の『切り札』
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島田のバイクは駐輪場の明らかに専用スペースに停まった。
ヘルメットを取った誠の後ろには島田の兵隊がすでに待機しており、誠の脱いだ古フェイスヘルメットを渡す。
島田のかぶっていたのは大昔のジェット戦闘機のパイロットのヘルメット。しまだはこれを脱ぐとこれも大柄の兵隊の一人に渡した。
「ほんじゃあ、いいもん見せてやる……いいもんとは言えねえが、パイロットなら見たがるもんだ」
そう言って島田は巨大な格納庫に向けて歩き出した。
誠はその後に続いた。
「僕、私服でしちゃいましたけど……制服、まだないんですよ。せめて東和宇宙軍の制服なら着替えが寮のバッグに……」
周りの兵隊達がそろいの水色のつなぎを着ている。右胸に『火盗』と刺繍された技術部員の作業時の制服と決められているようだった。
「なあに、着てる服なんて問題じゃねえんだよ。『心』が武装警察だったらうちの隊員の資格がある。そしてオメエにゃそれがある。だからオメエが私服だろうが関係ねえよ」
そう言いながら島田はズボンのポケットからタバコを取り出し、同じく取り出したジッポーライターで火をつけた。
「いいんですか?ここ禁煙ですよ」
火をつけた場所は昨日、ガソリンエンジンの見慣れない旧車を兵隊の中でも飛びぬけて大柄で恰幅の良い技術部員がいじっていた『屯所』の建物と倉庫をつなぐ通路のような空間だった。
「ついてこい」
それだけ言うと島田はそこにある一番手前の扉に向けて歩き出す。誠はその後に続いた。
「うちは……『火盗』なんて書類上の略称で呼ばれてる。いつもは俺達は、それを名乗るのが恐れ多いってんで、『実働部隊』って呼んでるよ、自分らを」
そう言いながら島田は一番端の扉を開けた。
『おはようございます!』
入ったとたんにくわえタバコの島田に挨拶する技術部員達。島田は軽く手を挙げると、そのまま真っ直ぐ廊下を進んだ。
誠は技術部員達が誠達に必ず立ち止まって礼をしてから別の部屋へと走っていく光景をただただ感心していた。
「こんなにいたんですね、島田さんの兵隊」
確かに各部屋からひっきりなしに別の部屋に走る同じ水色の兵隊達の数は相当数だった。男ばかりかと思えば女性の姿も見える。その全員が島田の姿を見かけると、立ち止まって一礼する。
「まあな、数は俺の兵隊と俺の観察日記をつけて笑ってる将校共を足しゃあ、全部で百人前後だ。まあ大所帯とは言えるな」
島田はさらっとそう言った。
「将校まで部下に……力で従えたんですか?」
誠はドアから島田の兵隊達が出てくるドアが開く度に響く爆音や鉄を何かで叩いているような音を観察していた。
「うちに来る将校は、技術をもっちゃいるが、心が半人前だ。だから俺の言う事を聞く。うちで腹が座っているのはまず、クバルカ・ラン中佐殿。あのちっちゃい姐御が一番腹が座ってる。だからうちの肝心かなめの椅子に座ってるんだ」
そう言いながらもう二百メートル以上続いてきた廊下の突き当りに誠達はたどり着いた。
「おい!そこの!俺の権限をやる……開けな」
島田はそう言うと近くの兵隊に声を掛けた。兵隊はそのまま突き当りの扉の隣の中型の画面に直接タッチして何かのキーワードを入力している。
「こいつがね、まあオメエもパイロットだ。うちのあの部屋に偉大なるちっちゃい姐御とイカレタ姉ちゃん二人。腕には保証付きの三人の女パイロットを飼ってるってことは当たり前だが『アサルト・モジュール』ある」
誠は唖然としていた。だが、考えてみれば当然の話である。ランは『アサルト・モジュール』パイロット史上最強のエースである。ただ、将棋が好きで毒舌で人生を語る人なのはすることが無いからである。かなめもガンマニアはすることが無いから、カウラもバイトをしているのもすることが無いから、でも本職は『アサルト・モジュールパイロット』である。
「開きます!」
どうやら扉のロックシステムの解除コードを入力していた兵隊が叫んだ。
「こいつが、うちの切り札だ……」
そう言いながら島田は歩み寄ってきた兵隊の差し出した灰皿にくわえていたタバコを押し付ける。
同時に真っ暗の広大な空間に光がともる。そして真っ赤な何かの足、おそらく誠が初めて見る型のロボット兵器『アサルト・モジュール』の脚部の一部が目に入った。
確かにそれはこのお間抜けた部隊の最終兵器と呼ぶにふさわしい存在。誠にはそう思えた。
ヘルメットを取った誠の後ろには島田の兵隊がすでに待機しており、誠の脱いだ古フェイスヘルメットを渡す。
島田のかぶっていたのは大昔のジェット戦闘機のパイロットのヘルメット。しまだはこれを脱ぐとこれも大柄の兵隊の一人に渡した。
「ほんじゃあ、いいもん見せてやる……いいもんとは言えねえが、パイロットなら見たがるもんだ」
そう言って島田は巨大な格納庫に向けて歩き出した。
誠はその後に続いた。
「僕、私服でしちゃいましたけど……制服、まだないんですよ。せめて東和宇宙軍の制服なら着替えが寮のバッグに……」
周りの兵隊達がそろいの水色のつなぎを着ている。右胸に『火盗』と刺繍された技術部員の作業時の制服と決められているようだった。
「なあに、着てる服なんて問題じゃねえんだよ。『心』が武装警察だったらうちの隊員の資格がある。そしてオメエにゃそれがある。だからオメエが私服だろうが関係ねえよ」
そう言いながら島田はズボンのポケットからタバコを取り出し、同じく取り出したジッポーライターで火をつけた。
「いいんですか?ここ禁煙ですよ」
火をつけた場所は昨日、ガソリンエンジンの見慣れない旧車を兵隊の中でも飛びぬけて大柄で恰幅の良い技術部員がいじっていた『屯所』の建物と倉庫をつなぐ通路のような空間だった。
「ついてこい」
それだけ言うと島田はそこにある一番手前の扉に向けて歩き出す。誠はその後に続いた。
「うちは……『火盗』なんて書類上の略称で呼ばれてる。いつもは俺達は、それを名乗るのが恐れ多いってんで、『実働部隊』って呼んでるよ、自分らを」
そう言いながら島田は一番端の扉を開けた。
『おはようございます!』
入ったとたんにくわえタバコの島田に挨拶する技術部員達。島田は軽く手を挙げると、そのまま真っ直ぐ廊下を進んだ。
誠は技術部員達が誠達に必ず立ち止まって礼をしてから別の部屋へと走っていく光景をただただ感心していた。
「こんなにいたんですね、島田さんの兵隊」
確かに各部屋からひっきりなしに別の部屋に走る同じ水色の兵隊達の数は相当数だった。男ばかりかと思えば女性の姿も見える。その全員が島田の姿を見かけると、立ち止まって一礼する。
「まあな、数は俺の兵隊と俺の観察日記をつけて笑ってる将校共を足しゃあ、全部で百人前後だ。まあ大所帯とは言えるな」
島田はさらっとそう言った。
「将校まで部下に……力で従えたんですか?」
誠はドアから島田の兵隊達が出てくるドアが開く度に響く爆音や鉄を何かで叩いているような音を観察していた。
「うちに来る将校は、技術をもっちゃいるが、心が半人前だ。だから俺の言う事を聞く。うちで腹が座っているのはまず、クバルカ・ラン中佐殿。あのちっちゃい姐御が一番腹が座ってる。だからうちの肝心かなめの椅子に座ってるんだ」
そう言いながらもう二百メートル以上続いてきた廊下の突き当りに誠達はたどり着いた。
「おい!そこの!俺の権限をやる……開けな」
島田はそう言うと近くの兵隊に声を掛けた。兵隊はそのまま突き当りの扉の隣の中型の画面に直接タッチして何かのキーワードを入力している。
「こいつがね、まあオメエもパイロットだ。うちのあの部屋に偉大なるちっちゃい姐御とイカレタ姉ちゃん二人。腕には保証付きの三人の女パイロットを飼ってるってことは当たり前だが『アサルト・モジュール』ある」
誠は唖然としていた。だが、考えてみれば当然の話である。ランは『アサルト・モジュール』パイロット史上最強のエースである。ただ、将棋が好きで毒舌で人生を語る人なのはすることが無いからである。かなめもガンマニアはすることが無いから、カウラもバイトをしているのもすることが無いから、でも本職は『アサルト・モジュールパイロット』である。
「開きます!」
どうやら扉のロックシステムの解除コードを入力していた兵隊が叫んだ。
「こいつが、うちの切り札だ……」
そう言いながら島田は歩み寄ってきた兵隊の差し出した灰皿にくわえていたタバコを押し付ける。
同時に真っ暗の広大な空間に光がともる。そして真っ赤な何かの足、おそらく誠が初めて見る型のロボット兵器『アサルト・モジュール』の脚部の一部が目に入った。
確かにそれはこのお間抜けた部隊の最終兵器と呼ぶにふさわしい存在。誠にはそう思えた。
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