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第一章 幼少期編

第17.5話 聖女って大変〜セナ視点〜

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鑑定の儀式が終わって家に帰った

お兄ちゃんはいなかった

用事があるからそれでいないのだろう

明日また教会に行けば聖女として王都に行くことになるんだ

王都でみんなと暮らすんだと考えると心が躍った

王都ってどんなところなんだろう

街みたいに綺麗で美味しいものたくさんあるところかな

そう考えていると

「セナ、ご飯よ」

「は~い」

夜ご飯の時間になった

いつもならお兄ちゃんは帰ってくる頃だけど帰ってこない

「お兄ちゃんは?」

「用事が長くなるらしい。だから遅くなるそうだ」

と、お父さんは言ったがどこか心配そうな顔だ

1年前のことが繰り返されるのではないか

とても心配になった

「お兄ちゃん探さないと」

「大丈夫だ、今回はしっかり戻ってくるさ」

「う、うん」

そして明日の準備をして

眠る時間になっても

ずっと帰ってこなかった

~朝~

目が覚めた

お兄ちゃんはいなかった

「お兄ちゃんは?」

「まだ用事が残ってるからってまた出かけたわよ」

なんか怪しい

「さ、早くご飯食べて、教会に行かないといけないでしょ」

気になるけど今日は教会に行かないといけない

朝ご飯を食べて

家を出た

もう帰って来ないんだ

そう思うとなんだか寂しくなってきた

そして教会に着くと

「うわぁ、綺麗」

豪華な馬車が停まっていた

馬車のドアが開き

中から神官のような格好の

だが神官とは違う雰囲気のお爺さんが出てきた

「おお、この子が今代の聖女様か。実に美しいのですぞ」

「あ、ありがとうございます」

「そう堅苦しくしなくてよいのですぞ。聖女になれば儂より偉くなるのですぞ」

「は、はい」

「そうそう、自己紹介がまだでしたな。私はケインズ・コースンですぞ」

「セナです」

「さぁ、馬車に乗ってくだされ。王都へ参りますぞ!」

すごく元気なお爺さんだな、と思った

~道中~

「いやぁ、聖女様の教育係になれるとは、これまで生きてきた甲斐があるというものですぞ」

「へ、へぇ」

「聖女様の能力スキルは間違いなく歴代最強、使い方を誤らぬようにしてくだされ」

「わ、わかりました」

私そんな強くなってたの!?

とそんなことを話していたら王都が見えてきた

王都はものすごく大きな真っ白い壁に囲われていて

門から入っていくようで

ものすごく警備が厳重だった

中を見れないかと頑張って角度を変えてみていると

「ここまで一匹も魔物に出会わなかったとは、これも聖女様の能力スキルによるものですかな?」

え!?そんな能力スキル知らないよ

「運が良かったんだと思います」

「さすが聖女様、運も味方にしてしまうとは、思いもしませんでしたぞ」

なんかどんどん過大評価されてく...

そう困惑していると王都に入った

王都は町とは違って屋台とかはあまりなかったが

たくさんの店があって

豪華な建物もあって

中央に立っているお城は王都の中でも別格の存在感を放っている

馬車は道を進んで行く

「そういえばどこに向かっているんですか?」

「大聖堂ですぞ。そこで聖女として1日に1回祈祷をするのですぞ。聖女の習わしですぞ」

祈祷、なんか聞いたことあるような

忘れちゃった

「おっと、こんな話をしていたら着いたようですぞ」

馬車の扉が開き、馬車から降りた

目の前の建物は神々しく、どこか夢の場所と似た雰囲気があった

そして入って祭壇の近くまで連れてかれた

「早速じゃが、神託を受けてもらうために祈祷してもらっても構わんか?」

「は、はい、わかりました」

そして膝を着き、両手を顔の前で組み、祈りのポーズをした

祈祷が発動しました

目を開けると夢の時の空間と同じ場所にいた

そして少女が目の前に立っていた

「もう、最後に祈祷したら会えるって言ったのに何でしてくれなかったの。僕怒ってるよ」

完っ全に忘れてた

「うう、ごめんなさい」

「全くもう、可愛いから許す!」

「ありがとうございます!」

「それで神託だったね。そうだね、セナが新たな聖女ということを神クリエの名において認める、でいいかな」

「わかりました!」

「それじゃあ、またね」

そう言われた途端目の前が白くなり、気がついたら教会にいた

「聖女様、どうだったのですか?」

「セナが新たな聖女ということを神クリエの名において認める、とのことです」

一言一句間違えずに言えたと思う

「ほお!神がお認めになった!新たな聖女の誕生ですぞ!ゴホッゴホッ」

「だ、大丈夫ですか!?」

「ち、ちと興奮しすぎてしまったようですぞ」

「ならいいんですが...」

「それでは次行きますぞ」

大聖堂から少し歩くと立派な家の前まできた

「さぁ、ここが聖女様の新たな家ですぞ」

「この家ですか!?」

「そうですじゃ、それでは中に入りますぞ」

中はとても広く、たくさん部屋があって

自分1人だけには大きすぎる家だった

「ここに1人で住むんですか?」

「そんなわけないでしょう。他にもメイドや召使い、護衛騎士などが住む予定ですぞ」

よかった、こんな広い家に1人だけだったらとても寂しくなるもん

「あの、家族は連れてきてもいいですか?」

「う~む、聖女様の願いと言っても無理なのですぞ」

「そんな!神官の人はできるって...」

「聖女様のためなのですぞ」

「私のため?」

「いつかわかる時が来るのですぞ」

なぜ私のためになるのかよくわからない

「それではそろそろ礼儀作法の勉強としましょう」

そういうと私を部屋まで連れてった

その部屋には1人女性が座っていた

「こちらが礼儀作法の先生、カトレア・クリスティアーノ先生ですぞ」

「こ、こんにちは、カトレア・クリスティアーノ先生」

そう言いながらお辞儀した

すると

「コラッ!お辞儀するときはもっと深く!」

「え、こうですか?」

「深すぎる!」

「えぇ...」

そしてお辞儀だけで二十分程怒られた

他の作法でも怒られて辛かった

普通にご飯食べる時もいて緊張がほぐれなかった

その後お風呂や寝る時も一緒で疲れが取れず

おそらく明日寝不足になるだろう
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