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アンディのささやかな計画②
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アンディが『丘』と呼んだのは、シープリィヒルにある『妖精丘』のことで、人間が立ち入ることの出来ない“かれら”の領域である。
書庫にある書物には、どうやら妖精の国へと繋がっているらしい、記されている。
このシープリィヒルにいる“妖精”は、丘にある扉が開く時期に、この地と妖精の国を自由に出入りすることが出来る。
普段はその丘にいるという水色の髪をした妖精は、雨の日に現れては、シープリィヒル内を飛び回るらしい。
そして、かれらが喜ぶと雨が長引く。
降りやまない雨は、水色の髪をした“ひとならざるもの”の仕業であると言われているとか。
昨日から降り続く雨の一因に、もしかしたら、妖精がいるのかもしれない。
そう思えば、シェリアの心は浮き立つけれど、今はそれよりも、目の前の饒舌なアンディだ。
向かいに座る弟は、どうやら本物らしいが、シェリアはどうしても訝しげに見てしまう。
今まで、血の繋がった他人のようなもので会話なんて殆どなかったはずなのに、饒舌に話しているのだから、当然かもしれない。
「───丘にある“かれら”の国への扉が開くのは、もうすぐらしいよ、ねえさん。妖精の国は人間の国とは時間の流れが違うそうだから、……もしも逢いたい誰かがいるなら、急いだ方がいいと思う」
自分と同じエメラルドグリーンの瞳に、射抜くように見つめられ、シェリアは咄嗟に目を反らした。
見透かされそうな気がしたのだ。
「あちらでの時間の流れは出鱈目なんだって。もしも逢いたい相手があちらに行った場合、ねえさんが生きている間に戻ってくるかは分からないよ。むしろ可能性が限りなく低いといってもいいかもしれない」
“逢いたい相手”と言われて、シェリアの脳裏に浮かんだのは、アンディのふりをしていたあの子だった。
どこに行けば逢えるのかも分からないけれど。
何故、アンディは、こんなことを話すのだろう。
そう思ったシェリアは、顔を上げてまっすぐアンディの瞳を見つめた。
すると、そこにあったのは、シェリアが王都から帰ってきた日に見たのと同じものだった。
──ああ、確かに本物のアンディだ。
こちらを見透かすように見つめるエメラルドグリーンの瞳に、シェリアはそう確信した。
書庫にある書物には、どうやら妖精の国へと繋がっているらしい、記されている。
このシープリィヒルにいる“妖精”は、丘にある扉が開く時期に、この地と妖精の国を自由に出入りすることが出来る。
普段はその丘にいるという水色の髪をした妖精は、雨の日に現れては、シープリィヒル内を飛び回るらしい。
そして、かれらが喜ぶと雨が長引く。
降りやまない雨は、水色の髪をした“ひとならざるもの”の仕業であると言われているとか。
昨日から降り続く雨の一因に、もしかしたら、妖精がいるのかもしれない。
そう思えば、シェリアの心は浮き立つけれど、今はそれよりも、目の前の饒舌なアンディだ。
向かいに座る弟は、どうやら本物らしいが、シェリアはどうしても訝しげに見てしまう。
今まで、血の繋がった他人のようなもので会話なんて殆どなかったはずなのに、饒舌に話しているのだから、当然かもしれない。
「───丘にある“かれら”の国への扉が開くのは、もうすぐらしいよ、ねえさん。妖精の国は人間の国とは時間の流れが違うそうだから、……もしも逢いたい誰かがいるなら、急いだ方がいいと思う」
自分と同じエメラルドグリーンの瞳に、射抜くように見つめられ、シェリアは咄嗟に目を反らした。
見透かされそうな気がしたのだ。
「あちらでの時間の流れは出鱈目なんだって。もしも逢いたい相手があちらに行った場合、ねえさんが生きている間に戻ってくるかは分からないよ。むしろ可能性が限りなく低いといってもいいかもしれない」
“逢いたい相手”と言われて、シェリアの脳裏に浮かんだのは、アンディのふりをしていたあの子だった。
どこに行けば逢えるのかも分からないけれど。
何故、アンディは、こんなことを話すのだろう。
そう思ったシェリアは、顔を上げてまっすぐアンディの瞳を見つめた。
すると、そこにあったのは、シェリアが王都から帰ってきた日に見たのと同じものだった。
──ああ、確かに本物のアンディだ。
こちらを見透かすように見つめるエメラルドグリーンの瞳に、シェリアはそう確信した。
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