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カウドゥール
お題小説「誰にも言えない悩みをRrに相談するナっちん」
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「あなたには、前々から親近感を抱いていました」
若き酒乱王、Ps・Trの護衛兵Zn・Stにいきなり面と向かって、そう言われたRrは驚いた。
「……はい?」
Rrは今、Kが突然「赤毛猿(P王)んとこの拷問椅子に座りたい」などとほざいたので、それに付き合ってわざわざIdsgTtr城に来ていた。
Kのたわけが、城内の地下でその拷問椅子や新作の毒薬を吟味している間、Rは恐れ多くもP王の部屋でNと共にシャンテリーショコラ(簡単に言えばチョコケーキ)をいただいていた。
部屋の中心のテーブルを挟んで向かい合う形となっているRrとZn、窓際の仕事机のPn王、という図式になっている。
Znは、仕事机の上で突っ伏しているP王をちらちらと横目で見つつ、Rrに話しかけた。
「お互いに、“どうしようもない奴の世話係”というポジションですよね」
「ぶっ」
Znの意外な言葉に、面食らう。
「あの、王様の前でそんな事を言っていいんですか……!?」
「あぁ~……」
Znが薄く笑いつつ、P王の方をチラ見する。
「ほら、あの寝息は本当に寝ている時のものです。大丈夫です、聞いてやいませんよ」
幼なじみだからこそ分かる事なのだろうか。Znは自信満々にそう言うと、構わず話を続けた。
「こちらのP王は、皮肉屋で意地悪で酒飲みで、まぁ~相手をするの面倒くさいったらなくて……」
Znが、とうとうと愚痴り出す。
RrはPn王が起きるのではないかと、内心ヒヤヒヤした。チョコケーキの味が感じられなくなっていた。
……それにしても、Znは語りながら紅茶の中に延々とどぽどぽ角砂糖を入れていっているのだが、これは止めなくてもいいのだろうかといつも思う。
どう見ても、やはり“体を張ったボケ”のように思えてならない。
しかしZnはこれをボケとしてやっているわけではなく、至って真面目に、嬉々としてやっている。
「……あ、いや、これは失敬。お互い“困らされている同士”だからと、誰にも言った事がないような愚痴までこぼしてしまいました。……あなたもどうですか? 何か愚痴りたい事はありませんか?」
Znが角砂糖を入れる手を止めた。カップの中は角砂糖でいっぱいである。
「はい……? 何の事でしょうか」
「とぼけないで下さいよ。あの黒髪赤目の事に決まっているじゃないですか」
Znがカップの中をスプーンでかき混ぜる。大量の角砂糖は溶けきらず、ダマになって残っている。
「黒髪赤目の事で、愚痴りたい事が山ほどあるでしょう? ほら、遠慮なくお兄さんに吐いてみてください」
Znが、もはや“砂糖水”と化した紅茶を飲んだ。
「理不尽なことでブン殴ってくるだとか、けなしてくるとか、自傷行為マジきもいとか」
「いえ、特にないです」
Rrは即答した。Znが軽く目を見開く。
「ウソ言わないでくださいよ。何かあるでしょう?」
「“どうしようもない奴”というのは認めますけど……まぁ、別に……」
Rrが苦笑しながらケーキの皿をテーブルの上に置いて、改めて呟いた。
「あいつがどうしようもない人格なのは育ってきた環境のせいですから、仕方ないですよ」
Rrの父親、Gg・Sdのせい。その父親に犯され続けたKを救えなかった自分のせい。
Kが自暴自棄で頑固で挙動不審で精神不安定なのは、全てそのせいだ。
かばってもやれなかった、自分のせいだ。
だからRは、Kに何をされようとも受け入れようと観念していた。
Rがそう言った瞬間、1人の衛兵が部屋に飛び込んで来て「お連れの黒髪赤目の男が全身キズだらけのまま、『飽きたからもう行くわ』と言い残して、城を出て行かれました」と報告をした。
それを聞いたRは大きな舌打ちをすると、ケーキと紅茶を一気に口の中に入れ、Znの方に「ごちそうさまでした。たいへんおいしかったです」と会釈をして部屋を出て行った。
***************
「いいコすぎやしないか、あのコ」
机に突っ伏したまま、P王が呟いた。
「愚痴を言いやすいように演じてみたのですが、ノッてきませんでしたねぇ」
Znは、カップの底に残りに残りまくっている砂糖の塊を指ですくいとって舐めた。
「心の中でも、Kに対しての不満は“自暴自棄行為”に関しての事だけで、自分に対しての理不尽な暴力行為には一切不満を感じていないんだよなぁ」
P王が顔を上げ、伸びをした。
「本当にいるんだな。ダメ男の世話をしたくてしたくてたまらない、奇特な女性って」
「Rさん、お身体や精神的に大丈夫でしょうかねぇ……」
角砂糖をボリボリと食べながら、Znが呟く。
「お前も大丈夫か?」
「はい?」
「“どうしようもないヤツ”の近くにいて」
P王が、真顔で我が家臣にストレートに尋ねた。
「嫌なら、とっくの昔に縁を切らせていただいてますよぉ」
Znも、臆する事なくストレートに返した。
若き酒乱王、Ps・Trの護衛兵Zn・Stにいきなり面と向かって、そう言われたRrは驚いた。
「……はい?」
Rrは今、Kが突然「赤毛猿(P王)んとこの拷問椅子に座りたい」などとほざいたので、それに付き合ってわざわざIdsgTtr城に来ていた。
Kのたわけが、城内の地下でその拷問椅子や新作の毒薬を吟味している間、Rは恐れ多くもP王の部屋でNと共にシャンテリーショコラ(簡単に言えばチョコケーキ)をいただいていた。
部屋の中心のテーブルを挟んで向かい合う形となっているRrとZn、窓際の仕事机のPn王、という図式になっている。
Znは、仕事机の上で突っ伏しているP王をちらちらと横目で見つつ、Rrに話しかけた。
「お互いに、“どうしようもない奴の世話係”というポジションですよね」
「ぶっ」
Znの意外な言葉に、面食らう。
「あの、王様の前でそんな事を言っていいんですか……!?」
「あぁ~……」
Znが薄く笑いつつ、P王の方をチラ見する。
「ほら、あの寝息は本当に寝ている時のものです。大丈夫です、聞いてやいませんよ」
幼なじみだからこそ分かる事なのだろうか。Znは自信満々にそう言うと、構わず話を続けた。
「こちらのP王は、皮肉屋で意地悪で酒飲みで、まぁ~相手をするの面倒くさいったらなくて……」
Znが、とうとうと愚痴り出す。
RrはPn王が起きるのではないかと、内心ヒヤヒヤした。チョコケーキの味が感じられなくなっていた。
……それにしても、Znは語りながら紅茶の中に延々とどぽどぽ角砂糖を入れていっているのだが、これは止めなくてもいいのだろうかといつも思う。
どう見ても、やはり“体を張ったボケ”のように思えてならない。
しかしZnはこれをボケとしてやっているわけではなく、至って真面目に、嬉々としてやっている。
「……あ、いや、これは失敬。お互い“困らされている同士”だからと、誰にも言った事がないような愚痴までこぼしてしまいました。……あなたもどうですか? 何か愚痴りたい事はありませんか?」
Znが角砂糖を入れる手を止めた。カップの中は角砂糖でいっぱいである。
「はい……? 何の事でしょうか」
「とぼけないで下さいよ。あの黒髪赤目の事に決まっているじゃないですか」
Znがカップの中をスプーンでかき混ぜる。大量の角砂糖は溶けきらず、ダマになって残っている。
「黒髪赤目の事で、愚痴りたい事が山ほどあるでしょう? ほら、遠慮なくお兄さんに吐いてみてください」
Znが、もはや“砂糖水”と化した紅茶を飲んだ。
「理不尽なことでブン殴ってくるだとか、けなしてくるとか、自傷行為マジきもいとか」
「いえ、特にないです」
Rrは即答した。Znが軽く目を見開く。
「ウソ言わないでくださいよ。何かあるでしょう?」
「“どうしようもない奴”というのは認めますけど……まぁ、別に……」
Rrが苦笑しながらケーキの皿をテーブルの上に置いて、改めて呟いた。
「あいつがどうしようもない人格なのは育ってきた環境のせいですから、仕方ないですよ」
Rrの父親、Gg・Sdのせい。その父親に犯され続けたKを救えなかった自分のせい。
Kが自暴自棄で頑固で挙動不審で精神不安定なのは、全てそのせいだ。
かばってもやれなかった、自分のせいだ。
だからRは、Kに何をされようとも受け入れようと観念していた。
Rがそう言った瞬間、1人の衛兵が部屋に飛び込んで来て「お連れの黒髪赤目の男が全身キズだらけのまま、『飽きたからもう行くわ』と言い残して、城を出て行かれました」と報告をした。
それを聞いたRは大きな舌打ちをすると、ケーキと紅茶を一気に口の中に入れ、Znの方に「ごちそうさまでした。たいへんおいしかったです」と会釈をして部屋を出て行った。
***************
「いいコすぎやしないか、あのコ」
机に突っ伏したまま、P王が呟いた。
「愚痴を言いやすいように演じてみたのですが、ノッてきませんでしたねぇ」
Znは、カップの底に残りに残りまくっている砂糖の塊を指ですくいとって舐めた。
「心の中でも、Kに対しての不満は“自暴自棄行為”に関しての事だけで、自分に対しての理不尽な暴力行為には一切不満を感じていないんだよなぁ」
P王が顔を上げ、伸びをした。
「本当にいるんだな。ダメ男の世話をしたくてしたくてたまらない、奇特な女性って」
「Rさん、お身体や精神的に大丈夫でしょうかねぇ……」
角砂糖をボリボリと食べながら、Znが呟く。
「お前も大丈夫か?」
「はい?」
「“どうしようもないヤツ”の近くにいて」
P王が、真顔で我が家臣にストレートに尋ねた。
「嫌なら、とっくの昔に縁を切らせていただいてますよぉ」
Znも、臆する事なくストレートに返した。
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