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幼年期
#24 新世代
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「さぁ!決勝戦の開始です!ここで再び選手紹介と行きましょう!」
司会が声を上げる、今日聞くのは三度目だ。
しかし、三度目の今回はこれまでの会場と空気が違った。
なんというか……冷たい。
「まずは右手側、昨年優勝タッグ!2年!ターシャ=シルフィンド&レイ=グラント!!」
歓声は上がるには上がる、だがこれまでの歓声と比べると熱気が足りない。
俺達の紹介を終えた司会は相手の紹介を始める。
「次に左手側、今年も現れました最年少モンスター!今年の覇者はどちらとなるのか!1年!クルシュ=リバリンス&レイラ=ロランディア!!」
その紹介の熱気とは裏腹にこの場を満たすのは、冷たい空気……そして恐怖。
正直訳がわからない、どうしてここまで恐怖感で覆われているのか、何故ここまで怖がられているのか。
すると向こうの方から話しかけてきた、今日はなんだかやたらと話しかけられる日だ。
「ねぇ……君達、強い?」
話しかけてきたのはクルシュ=リバリンス、幹太くん似の彼だ、しかし、決定的に幹太くんとは違う所があった、話し方と態度だ。
瞬間俺はコイツと幹太くんとは別人だということを確信する。
そして、その問いに俺は「さあね」と答える。
クルシュはその答えに少し残念そうに肩をすくめる。
まるで、楽しみにしてたのに……とでも言いたげだ。
そして彼は不気味な笑顔を浮かべ、背中に背負っていた鎌を構え、こう言った。
「まぁ……いいや!それじゃせいぜい僕の遊び相手になってよね!」
クルシュの体から殺気が溢れ出る、その殺気は空気をビリビリと震わせ、背筋を凍らせる。
少しでも気を抜いたら腰が抜けてしまいそうだ。
「うぅ……こりゃキツイな……ターシャどう思う?」
「だいぶ勝つのは難しいかもね……まぁ頑張るしかないよ……」
「そりゃそうか」
俺とターシャが会話をし終わるのを待っていたかのように会話が終わった瞬間に掛け声がかかる。
その声に合わせて、慌てて構える。
「はじめ!」
その声の発された瞬間、クルシュは俺に肉薄する。
速い、でもまだ目で追える。
クルシュによる右からの横薙ぎを俺は後ろに下がり、避ける。
「!?」
瞬間、避けたと思った鎌の斬撃は俺の制服の端を斬り裂く。
なんで、どうやって斬りやがった!?
ふとクルシュの顔を見ると意外そうな顔をしていた。
「なんだよ」
「いえ、今の避けれるんだなって」
「避けられてなかったのか、これまで」
「次は外さない!」
どうやらクルシュは答えるつもりはないらしい。
次は大胆な上段からの振り下ろしだ。
「そんな単純な攻撃!」
俺は目の前に防壁を張り、それを防ぐ。
が、その防壁が攻撃を阻むことはなく、目の前のクルシュは空気に溶けるように霧散する。
「……?!ウッ!」
霧散したと思った瞬間背中に衝撃が走る。
斬られた。
どこから!?どうやって!?
そう考えた瞬間にも体に傷が出来た。
考えても仕方ない……今は身を守ることに精一杯力を注ぐんだ!
「[フレイムドーム]!!」
ダメ元でその魔法を発動する。
フレイムドームは自分を中心に同心円状に炎を展開する魔法だ。
発動したのと同時に見ていたクルシュとは別方面から声がした。
その方向を向くとクルシュが火だるまになるまいと火を消していた。
そこで、一つの魔法が頭に浮かんだ。
「……なるほどね、幻惑魔法の使い手か……珍しい、すっかり衰退したと思ってたよ」
「へ~……気付いたんだ、気付いたのは貴方が初めてだよ……」
幻惑魔法とは、闇属性の魔法の一種である。
能力は名前の通り、人に幻を見せて惑わせ、その隙に自分は逃げたり、死角から攻撃したりする、使いようによってはかなり強力な魔法だと言えるだろう、だが、理性や考える力を持つ頭の良い生物でないと効果が無いのと、今は闇属性を持つ人間が少なくなっているため、衰退してしまっている魔法の一つだ。
かく言う俺も闇属性の適性はあるにはあるが、一度も使ったことはない。
それに学校では存在は教えるが、基礎すらやらないため、どのような魔法か知らない生徒や忘れている生徒も多いため、考えるのも困難だろう。
やっと受験前の勉強が役に立った、ほんとにやっと。
とりあえずコイツの相手はターシャが向いているかもしれない、と考えた俺はターシャに呼びかけ、交代してもらう。
「ターシャ!交代だ!」
「オッケー!」
俺はターシャと背中合わせに立ち、応戦しながら互いに情報を交換する。
「……だから気を付けろよ」
「了解!そっちも気をつけて!」
「おう!」
さぁ2ラウンド目の開始のゴングが鳴る時間だ!
司会が声を上げる、今日聞くのは三度目だ。
しかし、三度目の今回はこれまでの会場と空気が違った。
なんというか……冷たい。
「まずは右手側、昨年優勝タッグ!2年!ターシャ=シルフィンド&レイ=グラント!!」
歓声は上がるには上がる、だがこれまでの歓声と比べると熱気が足りない。
俺達の紹介を終えた司会は相手の紹介を始める。
「次に左手側、今年も現れました最年少モンスター!今年の覇者はどちらとなるのか!1年!クルシュ=リバリンス&レイラ=ロランディア!!」
その紹介の熱気とは裏腹にこの場を満たすのは、冷たい空気……そして恐怖。
正直訳がわからない、どうしてここまで恐怖感で覆われているのか、何故ここまで怖がられているのか。
すると向こうの方から話しかけてきた、今日はなんだかやたらと話しかけられる日だ。
「ねぇ……君達、強い?」
話しかけてきたのはクルシュ=リバリンス、幹太くん似の彼だ、しかし、決定的に幹太くんとは違う所があった、話し方と態度だ。
瞬間俺はコイツと幹太くんとは別人だということを確信する。
そして、その問いに俺は「さあね」と答える。
クルシュはその答えに少し残念そうに肩をすくめる。
まるで、楽しみにしてたのに……とでも言いたげだ。
そして彼は不気味な笑顔を浮かべ、背中に背負っていた鎌を構え、こう言った。
「まぁ……いいや!それじゃせいぜい僕の遊び相手になってよね!」
クルシュの体から殺気が溢れ出る、その殺気は空気をビリビリと震わせ、背筋を凍らせる。
少しでも気を抜いたら腰が抜けてしまいそうだ。
「うぅ……こりゃキツイな……ターシャどう思う?」
「だいぶ勝つのは難しいかもね……まぁ頑張るしかないよ……」
「そりゃそうか」
俺とターシャが会話をし終わるのを待っていたかのように会話が終わった瞬間に掛け声がかかる。
その声に合わせて、慌てて構える。
「はじめ!」
その声の発された瞬間、クルシュは俺に肉薄する。
速い、でもまだ目で追える。
クルシュによる右からの横薙ぎを俺は後ろに下がり、避ける。
「!?」
瞬間、避けたと思った鎌の斬撃は俺の制服の端を斬り裂く。
なんで、どうやって斬りやがった!?
ふとクルシュの顔を見ると意外そうな顔をしていた。
「なんだよ」
「いえ、今の避けれるんだなって」
「避けられてなかったのか、これまで」
「次は外さない!」
どうやらクルシュは答えるつもりはないらしい。
次は大胆な上段からの振り下ろしだ。
「そんな単純な攻撃!」
俺は目の前に防壁を張り、それを防ぐ。
が、その防壁が攻撃を阻むことはなく、目の前のクルシュは空気に溶けるように霧散する。
「……?!ウッ!」
霧散したと思った瞬間背中に衝撃が走る。
斬られた。
どこから!?どうやって!?
そう考えた瞬間にも体に傷が出来た。
考えても仕方ない……今は身を守ることに精一杯力を注ぐんだ!
「[フレイムドーム]!!」
ダメ元でその魔法を発動する。
フレイムドームは自分を中心に同心円状に炎を展開する魔法だ。
発動したのと同時に見ていたクルシュとは別方面から声がした。
その方向を向くとクルシュが火だるまになるまいと火を消していた。
そこで、一つの魔法が頭に浮かんだ。
「……なるほどね、幻惑魔法の使い手か……珍しい、すっかり衰退したと思ってたよ」
「へ~……気付いたんだ、気付いたのは貴方が初めてだよ……」
幻惑魔法とは、闇属性の魔法の一種である。
能力は名前の通り、人に幻を見せて惑わせ、その隙に自分は逃げたり、死角から攻撃したりする、使いようによってはかなり強力な魔法だと言えるだろう、だが、理性や考える力を持つ頭の良い生物でないと効果が無いのと、今は闇属性を持つ人間が少なくなっているため、衰退してしまっている魔法の一つだ。
かく言う俺も闇属性の適性はあるにはあるが、一度も使ったことはない。
それに学校では存在は教えるが、基礎すらやらないため、どのような魔法か知らない生徒や忘れている生徒も多いため、考えるのも困難だろう。
やっと受験前の勉強が役に立った、ほんとにやっと。
とりあえずコイツの相手はターシャが向いているかもしれない、と考えた俺はターシャに呼びかけ、交代してもらう。
「ターシャ!交代だ!」
「オッケー!」
俺はターシャと背中合わせに立ち、応戦しながら互いに情報を交換する。
「……だから気を付けろよ」
「了解!そっちも気をつけて!」
「おう!」
さぁ2ラウンド目の開始のゴングが鳴る時間だ!
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