彷徨えるジパング~蒙古襲来編~

花田 一劫

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第7章 他国からの難民か?それとも侵略者達?

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対馬の厳原港を出港した開運丸の乗組員5人は、口をあんぐりと開き呆気に取られていた。
眼前の海原には、おびただしい船また船。百艘、二百艘、いや、数え切れない程の大船、小船が波に揺られている…。
その船々は見慣れない大きな帆を張った木造の船で、しかも、船上には鎧を着た沢山の男達が乗っていた。
その無数の船から数百の小鳥が一斉に大空へ舞い上がり、こちらに向かっているように乗組員達は観えた。
その小鳥達とは、放物線を描き開運丸を目指して放たれた矢だった。
乗組員達は下降してきた無数の矢にやっと気付き逃げる場所を探したが遅かった。
ストン、ストン、ストン、ストン、スト・ト・ト・ト・ト・・ト・ト・ト・ト・トン。
開運丸のデッキは無残にもハリネズミの背中の様な状態だった。
10数分後、大きな木造の船(千料舟)が開運丸へ近づき、鎧を着た男が5人が乗り込んできた。
「ナンダ、コノ船ハ。」と将と見られる男がモンゴル語で驚愕とした声をあげた。
船を進めるための帆、櫂、櫓が一切ない。どうやってここまで来たんだ…。
この船はのろし(白煙)を吐きながら進んでいた様に観えたが。
それにどうだ、船体には木を使っていない。こつん、こつん。拳で叩いてみた。何だ見たこともない外壁は…。
この世の造品とは思えない。内装も…全てだ。
死んだ男達は私たちと一緒のアジア人に見えるが、服はアジア、西洋の物とも違う。
履いている靴は黒くて膝まであり縫い目も一切なくツルッとし、水を弾いている。
この世には知らない異人がいたのか。それとも神か。
この船を見たら恐れを抱くものが者が出よう。我が軍(東路軍)の軍勢達に見せるべきでないな。と将は思った。
配下の忠実な男4人に、「ヨイカ。同志タチヨ。コノ船ノコトハ全テ忘レテクレ。ヨイナ。」
「ティーム(はい)。」4人は片ひざを折り頭(こうべ)を垂れた。
「皆ノ者、コノ船ニ、火ヲカケイ。」「ティーム(はい)。」
矢でハリネズミ状となった開運丸の乗組員5人にたっぷりの油を付け、更に乗組員室に有った布団などに油をまいた後、火をつけた。
「コレデ良イ。」と言ったが、将は、東路軍(約4万人)の総帥(ヒンドゥ元帥)へどのように奇妙な船の説明したら良いかと思い悩んでいた。

火が回ったことを確認し、5人は千料舟へ戻って行った。
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