彷徨えるジパング~蒙古襲来編~

花田 一劫

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第25条 苦肉の策

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~昨日~
首相官邸で行われた、モンゴル帝国軍の対応についての会合の後、上野は津行警察庁長官と瀬川海上保安庁長官へ、あることについて相談を持ち掛けようと考えていた。

橘田首相、矢橋内閣官房長官、川原防衛大臣が早々に帰った後、上野がモニター越しに「津行警察庁長官、瀬川海上保安庁長官、お待ちください。ご相談がございます。」と帰りを押し止めた。
二人は上野が写っているモニターに見入った。

「明日、もしかすると明後日に、モンゴル帝国軍は壱岐の島の略奪に動く可能性が十分にあると思われます。モンゴルの国民性からしてフビライ皇帝の許しのないまま日本との和平交渉に乗ることはヒンドウ(総帥)の死罪につながりかねません。ヒンドウ(総帥)は日本の思惑には乗らないと思います。今日のモンゴル帝国軍からの話は日本を油断させるための口実だと思います。」
「私も橘田総理がモンゴル帝国軍との和平を信じているのが理解できない…。日本の資源状況からして(和平を)受けざるを得ないと思う気持ちも分かるが、自衛隊を全て引き揚げさせるとは…。モンゴル帝国軍から蹂躙され多くの国民の血が流されたら、どうするおつもりなのか。」瀬川が苦々しく答えた。
「上野君。私らを帰るのを止めたと言うことは、何か良い策があるのかね。」
「はい。津行警察庁長官。明日の朝、壱岐の島へ機動隊を派遣できる人数は最大どれくらい何でしょうか。」
「最大で3000~5000人くらいか。問題は島への移動手段がありとすればだが。」
「津行警察庁長官。それは、私(瀬川)が(海上保安庁の)船を何とかしましょう。」
「そりゃあ助かる。」
「上野君、さっきの話の続きだが、で、(勝てる)その方法とは?」津行が聞いてきた。
「モンゴルは現在上陸させている3万5千人を総動員して略奪をかけると思われます。それに対して日々訓練を積んでいる機動隊としても約7倍の敵(モンゴル帝国軍兵)を破るには至難の業です。そこで考えたのが、
『涙の後には虹もでる。作戦。』です。機動隊全員の試練が求められる死をいとわない非常に厳しい作戦となります。敵軍団に遭遇したら一塊に集結し二重にした盾を使い矢や剣からの攻撃をしのぎ、敵軍団の全ての接近を待ち、間違いなく殺傷できる距離になったら、各々拳銃5連発で一斉に射撃を行い敵兵達を一兵を残さず殲滅すること。誰かが一人でも勝手に銃を打ち始めたら作戦が失敗します。機動隊全員の胆力が問われる作戦です。」
「各々戦局がある中、敵との距離を見計らい。誰が、どのようなやり方で間違いのない一斉攻撃の指示できるのか。」津行は訝しげに言った。
「戦局ごとにドローンを飛ばし、本部にあるモニターを見て的確に判断して戦局の機動隊員へ銃攻撃の合図を送ります。やり方は、戦局にいる機動隊全員の携帯電話に曲を流す方法です。曲名はドラマ水戸黄門の主題歌『あゝ人生に涙あり。』がいいと思います。世直しの水戸黄門の曲が一番と考えます。」
津行、瀬川共に大きく縦に頷いた。

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