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第16章 聖矢よ怒れー、鬼畜どもへ
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遠くでの砲撃が終わりを告げ、対馬海峡は波の音だけが支配していた。
走行中のボートの、その5百m先には、5隻の船(巡視船だいせん、戦艦三笠、戦艦クニャージ、戦艦ボノジノ、戦艦オリョール)が一か所のところに固まって錨をおろしていた。
だいせんが向かってきているボートに気が付き、「そこの民間ボート。この場所は危険ですから来た方向へお戻り下さい。繰り返します。そこの…。」と言う大音量の警告がだいせんから発せられた。
だいせんの上野船長が双眼鏡を覗き込みながら、山木航海長へ声を掛けた。「ボートに乗っている、あの犬。どこかで見たことがあるが…。あっそうだ!蒙古が壱岐の島で殺戮をし始めたときに、人々を身を張って守ったワンちゃん、名前は確か。ハヤテ(颯)。何度もテレビ等メディアに取り上げられていたが…。」
「本当にそうですね。ヒーロー犬です。海上では、この船(巡視船だいせん)が獅子奮迅の活躍をしたのに、誰(テレビ等メディア)も取材に来てくれなかったですね。」
「私たちは公務だからね。当たり前の仕事をしただけだよ。」
「それに比べ仕事をしなかったのは、と言うか足を引っ張り、民間人の方や公職員の犠牲を多大にしたのは、さる御仁(橘田前総理)のご指示によるものです。今回にしても、政府の長(芦破総理)が、決闘をお認められるとは。世も末と考えざるを得ません。」
「私だから言いものの、(発言を)慎みなさい。」
「失礼しました。以後気を付けます。」
上野は、それ以外に、ボートの中に更にヒーローを見つけていた。武藤公嗣君と光月和希君。後の成人二人についてはわからない…が。
今回(バルチック艦隊)も何か古(いにしえ)があると言うのか。
「晋はん、もっと速く、目の前の5隻の方へ近づいてもらえるかな?」
「よし、わかった。」
ボートは高速運転となりだいせんを抜き去った。、
「木村先輩、5隻の方から銃声のような音が聞こえましたが。」
「危ないから、気を付けろよー。」と、木村が言ったが、二人(武藤、光月)は素早く弓矢を取って、船首のデッキに立っていた。
「しようがないな。」木村も弓矢を取り、後に続いた。
また、3発の銃声が鳴り響いた。
ようく見てみると、沈みつつあるクニャージの船上で動いている海上保安官の制服を着た仁を見た。
バアーン。
両手を広げていた仁が、一瞬うずくまったが、背中を向け尻を出してるのが見えた。木村らがあの銃声の元を捜そうと周りを見たら隣の戦艦(ボノジノ)の乗組員1人が銃を構えていた。
今度は、乗組員1人の他に2人が加わり、その仁へ向け銃を構えた。
「あの人、きっと、殺されるわ。」
光月は、きりきりと和式の弓矢を引き始めた。
距離は、100m位か。揺れて走っているボートの上からだと、当たらないと思うが、注意をこちらに向かせるだけでいい。でも当たって。
左右にいる武藤と木村もアーチェリーの弓矢を引き、3人、ほぼ同時に放った。
「ぴぃうー。」「たうんー。」「ぴぃうー。」
矢は勢いよく飛び出したが、距離が長すぎ失速し、コロシア人3人の前でカララン、カラランと床に落ちた。
その矢でコロシア人3人は、走って向かってくるボートに気付き、ボートの船首に立っている日本人3人へ向け、銃を撃った。
バアーン、バアーン、バアーン。
ビシッ。クワーン。ボートの窓ガラスに穴が開き、船体にも弾痕が残った。
ボートは大波のため左右前後に大きく揺れていて、撃つコロシア人も銃口が定まらない中での発砲だった。
「俺のナオちゃん号に傷をつけやがって、この外道がっ。」
坂元は、船の窓ガラスを割り坂元自身の近くを通過していった弾丸があるのに、恐怖ではなく、怒りに変わっていた。
その最中にもボートが進み、じわりじわりと相手との距離は70m位になっていた。
「坂元さん。エンジンを止めて下さい。みんな、船の中に逃げてぇ。」
エンジンが停止し、船の揺れが緩やかになってきた。
波の揺れるリズムを感じることが出来れば…。弓矢を引きながらリズムを身体に覚えこまそうと光月は集中していた。
(銃で撃たれる)身の危険より確実に弓で相手を仕留めることを光月は選んだ。
光月は波の音さえも聴こえない…。武藤との試合の時のように身震いするような恍惚状態となっていた。
まさに狩人そのものに…。全神経を集中し獲物をジッと見据えて、楽しんでいるようにさえ見えた。
その時、光月の周りを音速の鉛玉が閃光を発して通り過ぎて行ったが…。
バアーン、バアーン、バアーン。バアーン、バアーン、バアーン。
なぜに当たらない。くそー。コロシア軍兵は、微塵も動かない袴をはいた日本人を狙っても、狙っても当たらず、焦りが増してきていた。
それは何故か。光月の身体から発せられた気迫と言う名のオーラで、恐怖により自分の指が震えていることさえも気づかずに…いた悪鬼(コロシア人)達、それでも撃って撃って撃ちまくった。
「たうんー。」「ぴぃうー。」「ぴぃうー。」
小さな日本人が放った矢が近づいてくる。
何故に(飛んでくる矢が)見えるのか?…小さな矢先が俺の顔を目掛けてだんだんと近づいてくる。こんな目で見えるようなゆっくりとした速度の矢ならば、手でも払いのけられる。あっ、手が動かない~ぃ。矢先が大きくなってきたが大丈夫、顔を横に振れば、かわせる。出来なぁい。何故だ…。
「ぶすぅーん。」
時速200kmを超す光月の放った聖矢がコロシア軍兵の眉間に突き刺さっていた。
側にいたコロシア軍兵2人も、一人は首に、一人は心臓へと矢が突き刺さり絶命していた。
光月は、集中していてわからなかったが、木村や武藤も逃げずに船首に留まり矢を放っていた。
「二人とも血が…。」
木村の頭に巻いたバンダナや武藤の衣服が破れて、血がにじみ出ていたが、
「あっホントだ。でも擦り傷だけだようん。和希は大丈夫なの?」と、逆に気にしてくれた不死身の公嗣(こうし)や、「あいたた、ちっ血だぁ死ぬ~う。晋はん、ボートの修理代は、負けてね。」と、死んだふりをした木村。
何故かボートの運転停止後に船内に逃げていたはずの坂元も、頭に傷を負っていた。理由を聞くと、コロシア軍兵に嚙みつこうと、颯が海にダイブするのを止めに出たら、その時に流れ弾がかすったらしい。
坂元や木村の負傷箇所に光月が包帯を巻き終えると、「お二人とも、頭にテーピングテープを巻いたかっこいいラグビー選手みたい。」と言いおだてて持ち上げると、二人は狭い船内で、パスやタックルの真似や「ファイト。おー。」「ファイト。おー。」と騒ぎ始めた。
勇者でなく、遊者二人かもね。と、冷ややかに笑っているハヤテ(秋田犬)だった。
走行中のボートの、その5百m先には、5隻の船(巡視船だいせん、戦艦三笠、戦艦クニャージ、戦艦ボノジノ、戦艦オリョール)が一か所のところに固まって錨をおろしていた。
だいせんが向かってきているボートに気が付き、「そこの民間ボート。この場所は危険ですから来た方向へお戻り下さい。繰り返します。そこの…。」と言う大音量の警告がだいせんから発せられた。
だいせんの上野船長が双眼鏡を覗き込みながら、山木航海長へ声を掛けた。「ボートに乗っている、あの犬。どこかで見たことがあるが…。あっそうだ!蒙古が壱岐の島で殺戮をし始めたときに、人々を身を張って守ったワンちゃん、名前は確か。ハヤテ(颯)。何度もテレビ等メディアに取り上げられていたが…。」
「本当にそうですね。ヒーロー犬です。海上では、この船(巡視船だいせん)が獅子奮迅の活躍をしたのに、誰(テレビ等メディア)も取材に来てくれなかったですね。」
「私たちは公務だからね。当たり前の仕事をしただけだよ。」
「それに比べ仕事をしなかったのは、と言うか足を引っ張り、民間人の方や公職員の犠牲を多大にしたのは、さる御仁(橘田前総理)のご指示によるものです。今回にしても、政府の長(芦破総理)が、決闘をお認められるとは。世も末と考えざるを得ません。」
「私だから言いものの、(発言を)慎みなさい。」
「失礼しました。以後気を付けます。」
上野は、それ以外に、ボートの中に更にヒーローを見つけていた。武藤公嗣君と光月和希君。後の成人二人についてはわからない…が。
今回(バルチック艦隊)も何か古(いにしえ)があると言うのか。
「晋はん、もっと速く、目の前の5隻の方へ近づいてもらえるかな?」
「よし、わかった。」
ボートは高速運転となりだいせんを抜き去った。、
「木村先輩、5隻の方から銃声のような音が聞こえましたが。」
「危ないから、気を付けろよー。」と、木村が言ったが、二人(武藤、光月)は素早く弓矢を取って、船首のデッキに立っていた。
「しようがないな。」木村も弓矢を取り、後に続いた。
また、3発の銃声が鳴り響いた。
ようく見てみると、沈みつつあるクニャージの船上で動いている海上保安官の制服を着た仁を見た。
バアーン。
両手を広げていた仁が、一瞬うずくまったが、背中を向け尻を出してるのが見えた。木村らがあの銃声の元を捜そうと周りを見たら隣の戦艦(ボノジノ)の乗組員1人が銃を構えていた。
今度は、乗組員1人の他に2人が加わり、その仁へ向け銃を構えた。
「あの人、きっと、殺されるわ。」
光月は、きりきりと和式の弓矢を引き始めた。
距離は、100m位か。揺れて走っているボートの上からだと、当たらないと思うが、注意をこちらに向かせるだけでいい。でも当たって。
左右にいる武藤と木村もアーチェリーの弓矢を引き、3人、ほぼ同時に放った。
「ぴぃうー。」「たうんー。」「ぴぃうー。」
矢は勢いよく飛び出したが、距離が長すぎ失速し、コロシア人3人の前でカララン、カラランと床に落ちた。
その矢でコロシア人3人は、走って向かってくるボートに気付き、ボートの船首に立っている日本人3人へ向け、銃を撃った。
バアーン、バアーン、バアーン。
ビシッ。クワーン。ボートの窓ガラスに穴が開き、船体にも弾痕が残った。
ボートは大波のため左右前後に大きく揺れていて、撃つコロシア人も銃口が定まらない中での発砲だった。
「俺のナオちゃん号に傷をつけやがって、この外道がっ。」
坂元は、船の窓ガラスを割り坂元自身の近くを通過していった弾丸があるのに、恐怖ではなく、怒りに変わっていた。
その最中にもボートが進み、じわりじわりと相手との距離は70m位になっていた。
「坂元さん。エンジンを止めて下さい。みんな、船の中に逃げてぇ。」
エンジンが停止し、船の揺れが緩やかになってきた。
波の揺れるリズムを感じることが出来れば…。弓矢を引きながらリズムを身体に覚えこまそうと光月は集中していた。
(銃で撃たれる)身の危険より確実に弓で相手を仕留めることを光月は選んだ。
光月は波の音さえも聴こえない…。武藤との試合の時のように身震いするような恍惚状態となっていた。
まさに狩人そのものに…。全神経を集中し獲物をジッと見据えて、楽しんでいるようにさえ見えた。
その時、光月の周りを音速の鉛玉が閃光を発して通り過ぎて行ったが…。
バアーン、バアーン、バアーン。バアーン、バアーン、バアーン。
なぜに当たらない。くそー。コロシア軍兵は、微塵も動かない袴をはいた日本人を狙っても、狙っても当たらず、焦りが増してきていた。
それは何故か。光月の身体から発せられた気迫と言う名のオーラで、恐怖により自分の指が震えていることさえも気づかずに…いた悪鬼(コロシア人)達、それでも撃って撃って撃ちまくった。
「たうんー。」「ぴぃうー。」「ぴぃうー。」
小さな日本人が放った矢が近づいてくる。
何故に(飛んでくる矢が)見えるのか?…小さな矢先が俺の顔を目掛けてだんだんと近づいてくる。こんな目で見えるようなゆっくりとした速度の矢ならば、手でも払いのけられる。あっ、手が動かない~ぃ。矢先が大きくなってきたが大丈夫、顔を横に振れば、かわせる。出来なぁい。何故だ…。
「ぶすぅーん。」
時速200kmを超す光月の放った聖矢がコロシア軍兵の眉間に突き刺さっていた。
側にいたコロシア軍兵2人も、一人は首に、一人は心臓へと矢が突き刺さり絶命していた。
光月は、集中していてわからなかったが、木村や武藤も逃げずに船首に留まり矢を放っていた。
「二人とも血が…。」
木村の頭に巻いたバンダナや武藤の衣服が破れて、血がにじみ出ていたが、
「あっホントだ。でも擦り傷だけだようん。和希は大丈夫なの?」と、逆に気にしてくれた不死身の公嗣(こうし)や、「あいたた、ちっ血だぁ死ぬ~う。晋はん、ボートの修理代は、負けてね。」と、死んだふりをした木村。
何故かボートの運転停止後に船内に逃げていたはずの坂元も、頭に傷を負っていた。理由を聞くと、コロシア軍兵に嚙みつこうと、颯が海にダイブするのを止めに出たら、その時に流れ弾がかすったらしい。
坂元や木村の負傷箇所に光月が包帯を巻き終えると、「お二人とも、頭にテーピングテープを巻いたかっこいいラグビー選手みたい。」と言いおだてて持ち上げると、二人は狭い船内で、パスやタックルの真似や「ファイト。おー。」「ファイト。おー。」と騒ぎ始めた。
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