【完結】かみなりのむすめ。

みやこ嬢

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田舎町の謎

第34話:野生の勘

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 色々あって、今までお兄ちゃんが人知れずやっていた《この町に点在するおかしな場所を正常な状態に戻す》という役割を引き継ぐことになった。

 お兄ちゃんは身体が弱いから、今までは家の周りしか見回れなかったんだ。その点、あたしは元気だからご町内ならどこでも行ける。

 最初はお兄ちゃんと一緒に行ってコツとか聞けたらいいなと思ったんだけど、昨夜の無理がたたってベッドから起き上がれない状態だ。

「今日で連休も終わりだし、あたしひとりで行ってみるよ」
「本当に大丈夫か? なにも夕月ゆうづきがやらなくてもいいんだぞ?」
「ううん、やりたいの。だって、もし放置したら、この前みたいにクラスメイトが巻き込まれちゃうかもしれないでしょ?」
「あれは……、……そうだな。周りに影響が出たらマズいからな」

 やる気満々なあたしに対し、お兄ちゃんは気乗りがしないようで、事あるごとに止めようとしてくる。自分だって内緒で無理してた癖にね。

「あたしには御水振オミフリさんたちがついてるから平気平気! お兄ちゃんには瑪珞バラクさんに付いててもらうね。今の状態じゃトイレにも行けないだろうし」
「うっ……」

 お母さんたちに余計な心配を掛けないように、食事やトイレの時は瑪珞さんに憑いてもらい、普段通り演じる手筈となっている。

 緑色の光……瑪珞さんがあたしから離れ、ベッド脇に移動した。

「僕が前から気になってたところを教えるから、今日はそこだけにしろよ」
「ん、わかった!」
「……大丈夫かな、ホントに」

 清々しいくらいに信頼がない。





「さて、行こっか」
『隣町との境にある交差点か』
「そこにタチの悪い地縛霊おばけがいるらしいよ」

 お兄ちゃんが教えてくれたのは、ちょっと離れた場所にある心霊スポットだった。家から歩いて二十分くらいかかる場所にある場所で、噂だけは聞いたことある。でも、普段通らない道だから行くのは初めて。

 お散歩がてら歩いて行くと、前方に知り合いの姿を見つけた。今まさに車の後部座席に乗り込もうとしているのは、クラスメイトの歩香あゆかちゃんだ。歩香ちゃんはあたしに気付いたけど、フン!と顔を背けてそのまま車に乗った。連休最終日、家族でお買い物かな。

 それはそうと、無視されちゃった。
 八十神やそがみくんのことで、まだあたしのことを毛嫌いしているみたい。悲しい。





 しばらく歩いて件の交差点に到着した。噂によれば、ここには何十年か前に事故でなくなった人の幽霊が出るらしい。

 でも、おばけなんかいないよ?

「何にもいないね。単なる噂だったかな」
『いや、弱い霊が居たのだが、阿志芭アシハが近付いただけで浄化されたようだ』
『大したことなかったね~』
「なにそれ!」
『してやられたな。朝陽あさひは最初から其方そなたを危ない場所になど行かせるつもりがなかったのだろう』
「うう、じゃあコレただの散歩じゃん」
『いーじゃんいーじゃん、楽しいし~』

 釈然としない。





 お昼前。
 家に帰ると何故か玲司れいじさんがまた来ていて、ちょうど家の前でバッタリ会った。

「昨日の夜から電話しても出ないしメールも返信ないから、朝陽が心配で来ちゃった!」
「……はあ、そうですか」

 やばい、お兄ちゃん寝込んでるのに!
 でも、わざわざ心配して来てくれたんだよね。玄関先で追い返すわけにもいかないし。ていうか、玲司さん大学の寮に戻ったはずなのに、このためだけに来たの???

『やあ、玲司。よく来てくれたね』

 動けないお兄ちゃんに代わって、瑪珞バラクさんに憑いてもらい、玲司さんの相手をしてもらうことにした。

 しかし。

「……朝陽じゃない」
『えっ』
「えっ」

 なんと、玲司さんは一目で対応したのがお兄ちゃんではないと見抜いた。



「朝陽が俺を歓迎するわけない!」



 ……。
 何その悲しい理由。

 その場は何とか誤魔化して帰ってもらった。
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