引きこもり令嬢エスリーンの逆襲 婚約破棄・追放からの逆転人生の答えは魔導書にあった！

第六章

第二話

軍勢が出発する。ザックだけは本拠地に残る。ザックは先生とともに生徒と本拠地を守るのだ。軍勢は竜や天馬に乗って進撃する。

ザックは表向きの理由だが……。

軍勢が見たものは北の大地で鉄道を敷設する光景だった。

そこには例の三人もいた。クレア、イザベラ、ギルバートだ。

三人はわざと負けるかのような感じであった。

勝負にならなかった。

虜囚になった三人から信じられない言葉を聞いた。

――帝国に反逆した罪によって開拓刑にされた

全員耳を疑った。

クレアのたどたどしい言葉を聞いてさらに絶望と怒りがわく。

「私、部族を滅ぼすと脅されました。なので部族守るために私奴隷になってます。そして部族を率いて鉄道を建設していますがうまくいきません」

当たり前だ。ここは極寒の地。架線が切れるのだ。

クレア、イザベラ、ギルバートの三名は急遽学園に戻ることとなった。アドルフとアイザックとトマシュが同行した。

三人は学園に帰ると数日地下牢に収監されたのちに聖女に謁見した。

三人に下された内容は衝撃的だった。

――もう一回学生になる事

こうして彼らは修士課程の受験を行い、晴れて合格した。また信仰を……神学を学ぶことも条件となった。つまり学部の科目履修生になるのだ

◆◇◆◇

ザックは三人が虜囚の身になった頃遊園地に行った。エスリーンが発明したエスカレーターもそうだが気になったのは占いの館だった。気休めに入ったのだった。

――いよいよ死神の仕事が本番になるんだな

本当は自分の罪の事を占ってほしかったがそれはさすがに言えなかった。

「ようこそ、占いの館へ」

見るからに魔女だ。高等魔術を習得できずそれでも魔術で食いたいものは人の心の中をのぞく呪文で飯を食うことがある。

「占ってくれ……そうだな、恋の事でも占ってもらうか」

すると魔女は呪文を唱え最後にこう言った。

「ステータス、オープン！」

するとマリアンヌがＡ、エリックの好感度がＳと出た。空間に表示される。ほかはＣと出た。

「おばあちゃん、恥ずかしいから辞めてくれ。というか隠してくれ！！」

そう、エリック。つまり男の名前が表示されている。それは非常にやばいことであった。

「おまえさん、同性も愛してるわけじゃな。安心せい。占いは守秘義務あるんじゃ。誰にも他言せぬよ」

ステータス画面がふっと消える。

「魔女も迫害されたもんじゃ。だからお前さんもその愛は真剣なものでかつ覚悟のもんじゃろ」

「まあ……な」

「おまえさん、その風貌を見るに学園の重鎮じゃな？」

当たらずも遠からずであった。

「さあな」

「お前さんには覚悟の心も見える。大丈夫じゃその力は安心して力を振るうがええ」

「それを聞いて安心したぜ」

「この恋心を持ってる相手により愛を伝える必要は……無いようじゃな。もう自然体でええ」

「ほら、占い費だ」

ザックは気晴らしで入ったつもりが冷や汗をかいた。急いで占いの館を抜け出す。

「愛する者を守れ」

館から声が聞こえる。あの魔女め。俺を知っているのか……。もし俺の正体を知ってるのなら殺すしかない。