QUEENPOKER

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QUEENPOKER 1

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華やかな街並の中に構えるカジノ。

建物は煌びやかにライトアップされている。

光の中に全身を黒で包んだ男(K)が扉の前に歩いてくる

黒いスーツとコートを羽織り黒いハットを深く被っている

一度深く被りなおす

扉の前に居る2人のスーツを着た男性にカードを見せる

カードを見ると2人が鉄の赤い扉を開ける

中に入ると天井まで金色に塗られた広いフロントがあり、一人受付が立っている





受付「いらっしゃいませ。会員証はお持ちですか?」



K、無言で会員証と金色のJOKERのトランプを差し出す。



受付「はい。確認が取れました。でしたらゲストルームで、」



言いかけた瞬間に
チャリン、と一枚のコインを受け付けの目の前に置く



受付「…お飲み物は?」

K「ギムレット、ライム多めの氷が半分」

受付「かしこまりました。では、3番ゲート奥のVIPルームへ」



受付がカードキーを渡す

K、無言でカードキーを受け取る。



受付「行ってらっしゃいませ。」


金色の部屋の中であちこちで賭けを楽しんでいる声が聞こえている

その部屋の奥にあるゲートに入る。

奥に進むと、無機質な4メートル程ある鉄の扉の前に立つ。

扉の左側にカードキーロックが設置されている。

カードキーをシステムにかざすと重い扉が開く。

奥に進むと、紫のネオンが光る廊下。壁はチェック柄の布で覆われいる。

少し進むと赤いカーテンが見える。

カーテンを開けると観音開きになってるダークブラウンの扉を開ける

少し小さななカジノの部屋に入る。

中央にポーカーテーブルが一つ置いてあり、その後ろに黒と白の燕尾服を着て、右目にモノクルを付けた、黒髪のショートヘアの女性が立ってる

その前に、茶髪で赤いスーツを着た男と化粧をして首から白いファーを下げた方まで髪が伸びているスラッとしたモデルのような男が座っている




A「ようこそ。おいで下さいました。どうぞ、ご自由におかけ下さい。」

J「あー、やっと来た。待ちくたびれたよ。」

Q「これで、役者はそろったかしら?」

A「はい。」

Q「んー…、あ!ブラックジャック~!ついてるわ♡」

J「げー…また負けっすかー…」

A「掛けている訳ではありませんから。揃うまでの暇つぶしですからご安心を。」

J「だとしても負けるのは嫌です!」

K「…で?一体何の用だ?」

Q「んふふ。気が早い事。」

J「一番最後に来て一言目がそれっすか?」

K「貴様らが早すぎるだけだろ。」

Q「女性を2人も待たせるなんて、紳士失格よぉ」

K「黙れ」

A「(一回手を叩く)」

A「皆さま本日はお集り頂き、ありがとうございます。」

A「顔を合わせるのは本日が初めてですね」

J「そうっすねー。何度か仕事しているのに」

Q「忙しかったものねぇ。お・た・が・い」

K「…。」

K「時間は?限られてるんじゃないのか?」

A「そうですね。リミットは3時間、と言ったところでしょうか?」

Q「意外とゆっくりなのねぇ。」

K「先が控えてるんだ。さっさと始めたい。」

A「確かに、このまま初めても問題ありませんが、それでは面白みがありません。ですので、」


新品のトランプの箱を取り出し、机の真ん中に置く


A「ゲームを一ついかがですか?」

K「ゲーム?」

A「ポーカーです。」

Q「あらぁ、ギャンブル対決?」

J「えー、この調子だと今日はすっからかんになるよ!」

A「あら、嫌なら断っても構いませんよ?」

J「んぐ…。そう言われると、さぁ、やりたくなっちゃうじゃん。」

Q「チップで良いのかしら?」

A「はい。ですが、換金の必要はありません。代わりのコインを用意してあるので」


目の前にトランクケースを置き、開ける。
中から金色のコインが出てくる。


J「わぁーお。眩しいね。」

A「こちらを皆さんのマネー代わりとして使います。終了後にお支払いをお願いいたします。」

K「随分と緩いな。俺達がそれをもって消えたらどうする?」

A「御心配には及びません。そのコインは特製の物で、持ち主がどこにいるかを知らせてくれます。逃げられません」

J「こっわ!そんなの使うの?!」

Q「下手な事はしないって事ね。」

A「その通りです。」

K「(溜息)」

A「今回はポーカーで行います。」

J「りょーかいっす。」

A「ですが、4人で行う訳ではありません。」

A「1ゲームごと、ヘッズアップをしたいのです。」

K「ヘッズアップ?貴様とサシか?」

A「はい。」

Q「待ってる間暇じゃない。」

J「イカサマを見抜く監視員でもするのかな?」

A「それでも構いませんが、私達の雑談に入っていただくと盛り上がるかと。」

A「では、カードを開封させて頂きます。このカードは私がこちらに来る前にカードショップで購入したものです。カードにイカサマは仕込めません。」

J「念には念をって事かな。」

Q「この位当然よねぇ。で?最初は、だれと?」

A「そうですね。」

A「…あ!しまった。私としたことが大事なことを忘れていました!」

A、J、Q、Kのトランプを取り出す。

A「こちらから一枚選んでください。今回は選んだカードで呼び合いましょう。」

K「必要あるか?どうせ偽名だ。」

A「いいじゃありませんか。この空間内での特別な呼び方ですよ。」

Q「もう、遊びが分からない子ねぇ。そんなんじゃ嫌われるわよ。」

J「アッハハハ!言われたい放題だ。」

K「黙れ」(Jを睨む)

J「おーおー…!怖い怖い。んーと、んじゃ、僕はこれ!」(Jをとる)

Q「私は、これかしら?」(Qをとる)

K「…。」(Kをとる)

A「では、私はAで。」

A「では、まずはJさん。貴方とお願いします。」

J「僕からか!いいよ。可愛いディーラーさん。」

A「では。よろしくお願いします。」



3人席に座る

JとAが向かい合う。KとQが向かい合う席になっている。
Aがカードをシャッフルする。



A「以前お話しされていた地固めは順調にお進みですか?」

J「そうだねー。一気に拡大させてもいいけど、やっぱり地道が一番かな?」

A「出る杭は打たれます。ましてや貴方みたいにお若いとなおさら」

J「えー、おねーさんも若いじゃん!こんな美人だったなんて、もっと早くに声かければよかったー。」


カードを5枚配る


A「あら、お目が高いようですね」

J「こんな美人とゲームが出来るなんて、僕は幸せ者だね。」

A「恐縮です。フフフ。アンティーは100です。」

J「おおっと?なるほど、美人は安くないね。」

A「下げますか?」

J「いいや。そのままでいい。」



2人ともカードをみる。



J「ふーむ…。」

A「フフ。初手にしては良いカードかもしれません。」

J「ええー。そうなのかー。」

J「どうしよっかなー。」

A「降りても構いませんよ?」

J「んー…。ベット50。」

A「コール。」

J「じゃー。2枚チェンジ」

A「私は3枚で。」

A「本日はどうしてこちらに?」

J「んー?ちょーっと面倒くさいことがあってね。息抜きに来た。」

A「あら、それは大変でしたね。まだ途中なのですか?」

J「大方終わってるんだけどね。中々に頭の固いお方がずーっと居座ってさ」

J「「近頃の若者は」なんて戯言を沢山聞かされるもんだから嫌になっちゃってねー。リムジンすっ飛ばしてきた。」

A「仕方ありません。上は時代の流れには鈍感です。ですが、その時々の対処法は我々よりも優れているかと」

J「そうなんだよねー。それは分かってるんだけどさー。」

A「現状はそうではないから難しいと言う事ですか?」

J「いや、確かに上の意見はごもっともなんだよ。俺よりも多くの修羅場をくぐり抜けているから、上が言ったやり方でやるのがベストなんだ。分かってるんだよ」

J「でも、俺が短気なのかな?つい、黙らせちゃうんだよねー。お陰で後任が決まってない問題とか、先方の取引の問題とか多発しちゃって、今まさに「火の車」って感じー。」

A「あらあら。自らの仕事をわざわざ増やしているんですか?」

J「そういう事。ねー、なんかいい方法無い?」

A「あら?私はただのディーラーですよ?」

J「別の人間ってだけでいろんな方法は知ってるでしょ?」

A「ふむ…、「木の葉を隠すなら森の中へ。無いなら作ってしまえ」」

J「ん?」

A「先人の言葉です。」

J「ハァー…。なるほどね。」

J「何事も準備が必要って事ね。」

A「「備えあれば患いなし」こちらも先人の言葉。私達がこうして生きて行けるのは先人が作った道があるから。私達はその上を歩いているに過ぎません。」

J「それはそうだ。」

A「ですから、「全てモノにすればいい」かと」

J「…。へぇ…。」

A「先人が道標を作って私達がその上を歩き、また、私達が新しい道標となる。時代はそのように繰り返しています。」

A「「守らなければならない事」と「守る事」は大いに違いがありますよ?」

J「ハハッ。なるほど!それは大変だ。茨の道を進んでいるかと思ったが、自分で茨だと思い込んでいただけか。」

A「糸口は見えましたか?」

J「うん。スモールステップってとこかなー。鎮火するまで、水を掛けてみるよ。」

A「頭数をそろえてから動いた方が賢明ですよ。「どのような配置にするか」はできていると思うので。」

J「そうだねー。「火が出ている所」に水を掛けなきゃ意味が無い。」

J「鎮火した後に、どんな森を植えればいいのか。楽しみだね。」

J「ベット50」

A「コール」

A「ふふっ」

J「?」

A「いいえ、その答え、私が話さなくてもご自身でそうしていたのでは?と思いまして」

J「まぁね」

A「私の回答要りましたか?」

J「必要だったよー。何せ自信が無かったからね。組織は簡単に作れるものじゃないし?」

J「でも、どうせなら一番キツイ方法でやってみようかなって思ったんだよね」

J「一から作るのは造作も無く簡単な事なんだよ。でも、食い破ってからの方が獣らしくていいかなってね」

A「茨を敢えて進むのですね。ご武運を」

J「そいつはどうも。」

J「ベット。もう100追加だ。前祝としてもらっておこうかなと。」

A「…!承知しました。コール。」

J「じゃあ、SHOWDOWN」

A「ナインハイストレート」

J、会心の笑みを漏らして

J「悪いね。ナッツフラッシュだ。」

A「まぁ。お見事です。私の負けです。」

J「冷や汗が出たけど。勝ててよかった。」

J「ありがたく受けっとって置くよ」


J席を立つ



A「では、お次は?」

Q「じゃ、あたしが行くわ。」

A「では、こちらへどうぞ。」




JとQが入れ替わる




J「お次はレディ同士ですかね。」

Q「そうよ。女の子の時間♪」

A「美しい方とお手合わせできるのは光栄です。」

Q「やだ~。なにそれイケメンじゃないの~。」

A「皆様に楽しんで頂けるのが私の喜びですので」

A「ゲームは楽しんでこそ、行う意味がありますから」

Q「同感だわ。面白みがないゲームは時間の無駄よ。」

A「フフッ。では、始めさせていただきますね。」



シャッフルして5枚配る



Q「それじゃ、始めましよ?アンティーは100でいいかしら?」

A「もちろん。」

A「ふむ…。どうしましょうかね?」

Q「降りてもいいのよ?」

Q「ベット200。」

A「コール。」

Q「あたしは今回ゲストとして招かれたんだけど、何もしなくていいの?」

A「何もとは?」

Q「あら、アナタは知らないのかしら?あたしは2人と違って、直接ここに連れてこられたのよ~。」

J「えー?!なんすかそれ!!羨ましー!」

A「なるほど。オーナーがおっしゃってた大物VIPは貴女様だったのですね。」

Q「そぉーよぉー。面白い話があるから迎えに行くよって言われたから、こっちも美味しい話とお土産持ってきたのよ~。ただ招かれるだけってのも味が無いからね。」

A「なんと!お気遣いいただきありがとうございます。」

Q「正直ここに連れてこられた時、面白くないと感じてしまったの。ごめんなさいねぇ。」

A「いいえ。雰囲気で面白いと感じて頂けなかったのははこちらの失態です。オーナーに変わり謝罪いたします。」

Q「いいのよ~。さっきのブラックジャックからはとおっても面白いって思ってるから。只の飴ちゃんかと思ったら一流ホテルのスイーツが隠れていたんだもの。こんなに楽しい事はないわ。」

A「飴は作り手によって姿、味、香り、全てが変わります。技量を怠れば張りぼての粗悪品に、最高の技量を追い求めれば宝石よりも美しく変わります。」

A「元をたどればただの植物です。それを加工し美しい砂糖へ。そして、子供が喜ぶキャンディーから、大人が喜ぶショコラまで幅広く広がるのです。」

A「飴を一つ持ってもここまで広がるのです。楽しくないわけがありません。」

Q「んフフッ!やっぱり~。ここにきてよかったわぁ~。1つ面白いのが有れば海の様に広がるもの!」

A「それが私の仕事ですから」

Q「流石ね。じゃあ、このゲームも楽しまなくちゃ!」

Q「そうね~。3枚チェンジ」

A「1枚チェンジ」

A「不躾な質問ですが一つ宜しいでしょうか?」

Q「なぁに?」

A「オーナーとはどのような話を?」

J「!!」(目つきが変わる)

K「…!」(瞬きをする)

Q「礼儀は弁えてるから構わないわ。」

Q「最近アナタのオーナー新しいグラシエを採用してお店を出したじゃない。ちょっとそこに興味があってね」

A「なるほど。」

Q「遂に子ども向けも出しちゃって。どこまで大きくなるのかしら?」

A「僅か一年で作ってしまいましたからね。」

Q「容易い事じゃないわ。アタシは自分ので手一杯よ。」

A「人にはそれぞれ得手不得手があります。オーナーはたまたまそれが得手であっただけの事」

Q「んもう!上手ね。」

Q「でも、そうね~。アタシはアタシのやりたいように自由に着飾ってランウェイするわ。」

Q「カナリアは自由に羽ばたかないと。」

Q「ベット500」

A「コール」

A「それではSHOWDOWN」

Q「「クアッドクイーンズ」」(Qが4枚)

A「「トリプルキングス」」(Kが3枚)

Q「やった。あたしの勝ち。」

A「お見事です。」

Q「また素敵なお話を聞かせて頂戴。エンジェル・レクトル(可愛いディーラーさん)」

A「喜んでベル・プぺー(可愛いお人形さん)」



Q「さて、アナタもやるのかしら?」


K「…。」(腕組をして黙っている)

A「どちらでも構いませんよ。」

A「強制ではありません。」

K(無言で席に座る)

Q「もう、無愛想ねー。」

A「フフフッ。」

K「さっさと始めろ。時間の無駄だ。」

A「かしこまりました。」


シャッフルして5枚配る



A(微笑みながら出す)

K「ベット1000」

Q「あらぁ…。」

J「(口笛を吹くまたは、驚く)」

A「…………。」

K「(たばこを吹かす)」
K「勝負をしに来たんだ。この位が妥当だろ。」

Q「だからって…。」
A「(被せて)コール」

J「えぇー?!そんなことして大丈夫?!」

A「私はお客様要望にお応えしただけです。」

K「フン…。」

J「うへぇ、怖いもの知らずとはこの事だ」

Q「うふふ。面白そうじゃない。高みの見物と行きましょ」

J「終わった後体の一部が無いとか勘弁なんだけどな…」

Q「ここに来てる以上、仕方の無い事よ。楽しまなくちゃねぇ。」


5枚カードが配られる


K「ベット500」

A「コール」

K「…。」

A「さて、どうしましょう。ここまでの大金になると少々緊張してしまいますね。」

K「顔色一つ変えていないくせに何を」

A「あら、バレていましたか」

K「先程の2戦でもだ。」

K「貴様は勝つ処か、負けるのを見越してあの勝負に出ていただろう」

K「その気味悪い薄笑いを浮かべてだ」

A「あらま。よく見てますね。お恥ずかしい」

K「チッ」

Q「コラ!レディに向かって舌打ちだなんてはしたないわよ!」

K「貴様らは何も思わないのか?」

J「何がっすか?」

K「外にざっと50」

K「ハイエナが集まって来ている」

J「えっ?!」

A「…。」

Q「あら、それでピリピリしていたの?もう、器が小さい男ね。ポークピッツは嫌われるわよ。」

無視して

K「貴様の差し金か?」

A「まさか。私はただのディーラーです。オーナーに飼われてる犬ですよ。」

A「ですが、困りましたね。勝負の邪魔になるのでしたらすぐに対応を取りますが」

K「…。(息をつく)」

J「…。い、今の所入って来る気配はなさそうっすけど…。」

A「ええ。ここはセキュリティーが何十も仕掛けられています。おいそれと入れるものではありませんから、ご安心ください。」

K「構わん。進める。」

A「承知しました。」

K「2枚チェンジ」

A「では、3枚チェンジで。」

K「…どうやら俺の勘違いだったようだな。」

A「あら、もう警戒するのは宜しいのですか?」

K「貴様が文字通りの「犬」だとしたら、直ぐに首は撥ねられている」

A「誤解が解けて何よりでございます。」

A「ですが、お気を付けください。」

A「犬も獣です。特に躾が行き届いてる犬は、人よりも厄介な者かと」

K「肝に銘じておこう」

A「しかし、外が騒がしくなりましたね」

A「できれば終業後はビス・バルトでカルーアミルクをオーダーしたいものですが。」

K「俺はシェリーだな」

A「こんな夜はお酒に酔いしれるのも一興ですね」

K「…最悪な夜になりそうだがな。」

A「では、そうならない為にこちらは如何ですか?」

A「ベット5000」

K・J・Q「!!!!!」

K「…正気か」

J「うええ…」

Q「あらあら」

A「如何でしょう?」

K「クッ…ハハハ!」

K「良いだろう。コールだ」

A「お気に召しましたか?」

K「フン、そう簡単には頂けなさそうだ。」

A「私は飼い犬ですので、主人の元を簡単に離れる事はできません。」

K「一杯奢る事は許されるだろう?」

K「たまには首輪も外さないと」

K「外の歩き方は分からないのじゃないか?」

A「とても魅力的なお誘いですね。」

K「もちろん、俺以外は居ない。」

A「それは安心して行けますね。」

A「首輪も外さずに」

A「そのまま、私の自由に動けるのなら、これ以上良いものはありませんね。」

K「忘れられない夜になるぞ」

A「楽しみにしております。」

A「外の様子はどうでしょうかね?」

K「まだ無駄な工作を企んでいるようだ。」

K「命知らずは、馬鹿が多いから飽きはしないが、片付けるのが面倒だな」

A「ご自身で行っているのですか?」

K「うちは少数精鋭だ。その分舐められることも多い。」

K「黙らせるのも一苦労だ」

A「手っ取り早く行えるのがお金と力と言う事ですかね?」

K「…そうだな。」

A「それは苦労しますね。お察しします。」

K「…今日ここに来たのは、勝負をしに来た。」

A「なるほど。」

K「何かを得るには何かを捨てなければならない」

K「今日、俺の命日に成ろうとな。」

A「なるほど。覚悟をしてきたと。」

K「これは賭けだ。俺はここに全てを掛ける」

K「10000レイズ」

J「ゲェ!!」

Q「…。」

A「コール」

K「俺は馬鹿正直でね。こいつみたいに本心を隠すことはできないし、そいつみたいに頭が切れる訳でもない。全てを見渡す余裕も無い。上に立つものとしては致命的だ。」

K「だからこそ、悟られない為のハッタリだけは、極めて来た。」

A「…。」

K「これは俺の命だ。」

A「自ら地獄へ入られるのですか?」

K「(口角を少し上げて)違うな。既に地獄に入っている。」

K「上手い事動かせなかった為に、大方乗っ取られてほとんど失っている。」

K「今更失うものなんぞ無い。」

K「くだらない見栄も張っていたが」

K「無意味だ。」

K「ハデスに片道切符だけ持たされたが、帰りの切符は自分でぶん取る。」

Q「なるほどねぇ…。確かに幼稚な考えではあるけど、アタシは嫌いじゃないわ。ハデスは随分と熱意がある子に渡しちゃったのね。」

J「なーんだ。そういう事かー。まぁ、確かにお兄さんの体からは血の匂いがしない。まだまだ浅かったんだねぇ。」

Q「でも、素質はあるわね」

J「ですね!さて、ペルセポネが手助けでもしてくれるのかな?」

K「ハデスに一泡吹かせられると良いがな。」

A「(にっこり微笑んで)では、参りましょうか?」

K「ああ。」

A「SHOWDOWN」




J「!!」

Q「あらあら。」



K「クアッドキングス」(Kの4カード)


A「クアッドジャックス」(Jの4カード)



K「ペルセポネが裏工作でもしてくれたのか?」

A「どうでしょう?貴方がハデスから加護を捥ぎ取った可能性もありますよ。」

J「良かったすね。これでアンタもこっち側だ。」

Q「歓迎するわよ。」

K「…感謝する。」

A「では、皆さまこちらへどうぞ」




壁に飾ってある本を一つ押し込むと扉が現れる。




J「えー!こんなのあったんですか?!」

A「先程、伝達がありましてこちらからお帰り頂くようにとのことでした。」

Q「もう少し居たかったのに残念ね。」

A「申し訳ございません。これが我々に出来る最大限になります。」

K「構わん。目的は達成だ。後は自分でやる」

J「そーそ。ここじゃ命がいくつあっても足りないからね。」

A「ご理解、感謝いたします。」

A「今回皆様は全て勝利いたしましたので、こちらをどうぞ」




別の扉が開きアタッシュケースを黒服が持ってくる

アタッシュケースをそれぞれに渡す


A「中身はお間違え無いでしょうか?」



それぞれが中身を確認する


J「問題ないっす」

Q「確かに受け取ったわ」

K「委細承知。」



A「それでは以上を持ちましてポーカーを終了させて頂きます。」

A「お付き合い頂き、ありがとうございました。」




A、深々と頭を下げる








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