【2部開始】人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ

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第1部

第94話 いよいよな処刑宣告


「今日、そなたに、言い渡すことがある」

ああああッ!!
とうとう! とうとう、罰が言い渡されるんだっ!

ううう……せめて、どうか、生き延びられる感じの……だったら、いいなぁ……うう……


あああ、ひざが、ガクガクして、息がハァハァして、手がブルブルして、ちょっと寒い。


「本日をもって、そなたを――」


ぐぐ……ううう……



「……『王宮激励係』に任命する」

そう、か……げきれい……

「…………」

――うん? げきれいがかり?

…………?

って、どゆこと?

「――あの?」

そろーっと顔を上げて、こそーっと王さまの方を見てみる。

……と、王さまはまだ、ビシっとした顔のままこっちを見てた。
ひぇ……一瞬で、視界は王さまから床の模様へ。

「あの、えっと、いま……なんて……?」
「激励係だ」

「げきれい……」
激冷? 超冷たくされる刑?

どれくらい冷たい? 氷くらい?

「任務は、これまでどおり自由に王宮内を散策し、各所でいろんな場所を見学すること」
「ふぇ……?」

「そして気がついたら、仕事中の者などに思ったことを伝えたり、励ますこと」

「はげ、ます……?」
あ! 激冷じゃなくて、激励!?

おうえんするやつ??ってこと?

「え、ま、あの、え……、げきれ、えぇぇぇぇぇぇーー!?」

それ、今までやってたやつ……?

「え、ま、またやっても、いいんですかっ!?」
「もちろんだ」

「お仕事を見せてもらったり、びっくりしたり!わーって言ったり」
「ああ、それだ」

「い、いいんですかっ? ほん、ほんとうにっ!?」
「当然だ。是非、頼みたい」

「わ、わぁぁぁぁ……!!」
「非常に大事な任務だ。引き受けてくれるか?」

「はい! わあああ、ぼく、やりたいですっ!」
「そうかそうか。よかった。いつでも、好きなときに、気が向いたときでいい」

「わぁぁあ、すごい! へーかの、おすみつきっ!」
「ははは、そのとおりだ。難しい言葉を知っている。サファは賢いな」

「えへ、えへへぇぇぇへへへ……」

あ、だめだめ。有罪確定演出からのまさかの、大逆転、見学大公認のお役目任命で、頭と気持ちが、ついてこない。

「でも、でも、どおおして、いいんですかっ!? わ、わざわざ陛下がぁ、にんめいまで、してくださるなんてっ」
そう、それがいっちばん不思議。

「ああ、それだが――」
王さまは、にこーーっと笑うと腕を上げて、おっきな手のひらを、ぼくの頭に。

「近頃、あちこちの部署から、小さな元気な子どもから、仕事を盛大に褒められて、激励されて、非常に仕事にはりあいがでた。やる気が出たと」

おっきな手が、ぼくの頭をわしわし撫でてくれる。

「はわわ!」
まさかの、迷惑じゃなかったってこと!? えええ、ええええ!

「どうやら、そなたが無邪気に手放しで褒めたり感激してくれるのが、非常に嬉しかったようだ」
「わぁぁ! よかったぁぁぁ! です」

「はは、まさかそなたのお散歩解禁が、このような影響を及ぼすとはな。余も驚いた」
「ぼくもですっ! お仕事のぉ、邪魔かと思っていま、反省してたとこでしたっ」

「なんの。真逆だ、これからも自由に、存分にやってくれ」
うわぁぁぁぁ! 胸がかぁぁっとあったかくなって、ぴゃーーっと叫びたくなる。

「はい! ぞんぶんにやりますっ!」
「よしよし。じゃあ、これを進呈しよう」
「……!!」

王さまから、丁寧に渡されたのは、なにか勲章みたいなキラキラのワッペンみたいなブローチ。

「あ――ありがとございます」

すごい、すごいすごい、なにこれ……!

「きれい……」
「これは、王宮激励係の紋章だ。式典のときなどに、服につけてもらうといいぞ」
「きゃぁぁ!」
はわわ! しまったぁ! 王さまの前で変な声!

「ははは、気に入ったようだな」
「あいっ!」
よかった……気をつけないと。
もう、興奮しても、サイレンみたいな声出すの禁止。

刺繍が細かくてすごく、すごくきれいだなぁ……ん? あれ? これって――

「わ、ここ、お花とうさたんの刺繍……!」
「ああ。それは、そなた用の印として作らせたものだ」

「ええっ!? ぼく? これ、これぼくのマーク?」
「そうだ。そなた専用の印だ。持ち物に縫い取りしてもらうのもよかろう」

「わぁぁぁ、すごぉぉぉい! わぁぁぁ!」
「ははは。さ、菓子もいろいろ用意させたからな。一緒に持って帰るといい」

「えっ!」
いつのまにか、後ろにきれいな箱をどどーんと捧げ持った侍従さんたちが!

「わぁぁぁ……! ありがとうございますっ!」

はぁぁぁ、こんな、こんなことって、あるぅぅ?

もうダメ、絶対ってなったのに、お菓子とワッペン!

それに、大事な任務。たのしいやつ!

ぼく、ぼく……お散歩、邪魔になってなくてぇ、ほんとよかったぁ。

えへ、えへへへ。

「――サファ」
「おちびちゃん」

あれ? この声――

思わず、きゅるん、と振り返る。

するとそこには――

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