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アフター
Side I 28
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「そんな気にしなくても…俺も気持ちよかったよ」
湯船に浸かっている透さんの髪を洗いながらなだめるもたぶん顔はしかめ面をしているのが想像できた。
「おれが気絶しても好きにしていいって」
「そういう趣味ないんだけど…」
「自分のαの相手も満足にできないのへこむ…」
そんなふうに反省会をしているのに、悪いけど笑ってしまう。
俺は気にしてないというか、なんなら体力差がかなりあるなかでよく付き合ってもらったほうだと思うし、念入りに準備してくれたのとか嬉しかったんだけど、Ωの矜持としてそれは別問題らしい。
流すよーと言うと、頭を後ろに倒してくれるので目に入らないように気を付けながらシャワーで泡を流していく。
泣き腫らした目が赤く腫れていてかわいい。
シャワーを一旦横に逸らせて尖った口に上からキスしたら半目でこちらをじとりと見られた。
気にせずリンスを揉みこんでやる。
細い柔らかい毛は俺と違うなと思ってそれすら愛おしい。
中に出すと腹を下すだろうからと外に出そうとしたのだけれど、いっぱいいっぱいなわりになぜかそれを感知した透さんががしっと足を腰に回して離さないものだから請われるままに中に出してしまった。
疲れて動くのがしんどそうだったので、嫌がる透さんを半ばむりやり風呂に連行して掻き出してやり、今だ。
処理なんか自分でやると最初は激しく抵抗したが、よしよしと撫でてやると段々それも弱まってくるというライフハック。
あなたの弱点はなんだかんだ俺のことが好きなことと俺にとても甘いことだから。
掻き出す刺激にもビクビク震えて泣くものだからこっちも結構…結構大変だったけど、さすがにこれ以上むりさせるわけにもいかない。
リンスまできれいに流し終わってシャワーを止めるべくきゅっとコックをひねると、くるりと身体を反転させた透さんが浴槽のフチに顎をのせながら不満そうにぼそぼそと続けた。
「だって、ヒートあんなしんどいのに、なんのためのΩなんだって…。
…お前と違って、おれがお前にしてやれることそんなないんだから
このくらい、してやりたかったんだけどなぁ…。
おれ、お前に何を返せるんだろう…」
そんなことを考えていたのか。
なでなでと濡れた髪ごとこめかみを撫でてやると、気持ちよさそうに目が細まる。
シャンプーの匂いにローズマリーの匂いがまざる。
「…にまにま笑うなよ」
「…だって」
透さんは俺が透さんを捨てるかもしれないと不安に思ってるようだけど、こんなかわいい人を差し置いてほかに目移りするとかありえない。
高さ3センチの台から落ちて死ぬことを想定しているようなものだと思う。
「俺愛されてるなーって思ったら嬉しくなっちゃって。
どんどん甘やかしちゃうから、あなたがなにやっても俺のほうが上回るよ」
「…お前ねぇ…」
「んふふ。考えるだけ無駄だから。諦めよう」
そうして俺も湯船に入る。独り暮らし用の賃貸だから男二人で入るには狭すぎるが、限界までくっつけばなんとでもなる。
「はー…幸せ…」
「ん…」
「透さん」
「うん?」
「俺といてくれてありがと」
透さんは恥ずかしそうに身じろぎしたが、やがてちらとこちらに視線を向けると首を伸ばしてキスしてくれた。
fin.
湯船に浸かっている透さんの髪を洗いながらなだめるもたぶん顔はしかめ面をしているのが想像できた。
「おれが気絶しても好きにしていいって」
「そういう趣味ないんだけど…」
「自分のαの相手も満足にできないのへこむ…」
そんなふうに反省会をしているのに、悪いけど笑ってしまう。
俺は気にしてないというか、なんなら体力差がかなりあるなかでよく付き合ってもらったほうだと思うし、念入りに準備してくれたのとか嬉しかったんだけど、Ωの矜持としてそれは別問題らしい。
流すよーと言うと、頭を後ろに倒してくれるので目に入らないように気を付けながらシャワーで泡を流していく。
泣き腫らした目が赤く腫れていてかわいい。
シャワーを一旦横に逸らせて尖った口に上からキスしたら半目でこちらをじとりと見られた。
気にせずリンスを揉みこんでやる。
細い柔らかい毛は俺と違うなと思ってそれすら愛おしい。
中に出すと腹を下すだろうからと外に出そうとしたのだけれど、いっぱいいっぱいなわりになぜかそれを感知した透さんががしっと足を腰に回して離さないものだから請われるままに中に出してしまった。
疲れて動くのがしんどそうだったので、嫌がる透さんを半ばむりやり風呂に連行して掻き出してやり、今だ。
処理なんか自分でやると最初は激しく抵抗したが、よしよしと撫でてやると段々それも弱まってくるというライフハック。
あなたの弱点はなんだかんだ俺のことが好きなことと俺にとても甘いことだから。
掻き出す刺激にもビクビク震えて泣くものだからこっちも結構…結構大変だったけど、さすがにこれ以上むりさせるわけにもいかない。
リンスまできれいに流し終わってシャワーを止めるべくきゅっとコックをひねると、くるりと身体を反転させた透さんが浴槽のフチに顎をのせながら不満そうにぼそぼそと続けた。
「だって、ヒートあんなしんどいのに、なんのためのΩなんだって…。
…お前と違って、おれがお前にしてやれることそんなないんだから
このくらい、してやりたかったんだけどなぁ…。
おれ、お前に何を返せるんだろう…」
そんなことを考えていたのか。
なでなでと濡れた髪ごとこめかみを撫でてやると、気持ちよさそうに目が細まる。
シャンプーの匂いにローズマリーの匂いがまざる。
「…にまにま笑うなよ」
「…だって」
透さんは俺が透さんを捨てるかもしれないと不安に思ってるようだけど、こんなかわいい人を差し置いてほかに目移りするとかありえない。
高さ3センチの台から落ちて死ぬことを想定しているようなものだと思う。
「俺愛されてるなーって思ったら嬉しくなっちゃって。
どんどん甘やかしちゃうから、あなたがなにやっても俺のほうが上回るよ」
「…お前ねぇ…」
「んふふ。考えるだけ無駄だから。諦めよう」
そうして俺も湯船に入る。独り暮らし用の賃貸だから男二人で入るには狭すぎるが、限界までくっつけばなんとでもなる。
「はー…幸せ…」
「ん…」
「透さん」
「うん?」
「俺といてくれてありがと」
透さんは恥ずかしそうに身じろぎしたが、やがてちらとこちらに視線を向けると首を伸ばしてキスしてくれた。
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