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070 夢十夜
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復活一日限りの教えてリル先生は終始いい流れで番組が進んで行った、愛宕や竈門、スーちゃん達の活躍は勿論の事、影の功労者、三島さんのおかげで視聴者にもいい手ごたえで、それはネットでの書き込みを見れば一目瞭然だ。
「さぁ、心、もうじき出番だぞ」
「はい、還流さん、行って来ます」
リル先生が終わり拍手が鳴る中突然暗転しステージが静まりかえる。
番組を見ている人は何かのトラブルでもあったのかと思うかもな。
暫く続く暗闇の中でふいに声が聞こえてくる。
「こんな夢を見た」
この瞬間スポットライトが声の主、白い浴衣を着た美少女に照らされる。
映し出された心は妖艶で美しく年齢以上に大人びて見えた。
朗読を読み上げる心の声は心地よくずっと聞いていたいと思わせる、本来は周りの状況や視聴者の反応などチェックしなければいけないのだろうが俺の視線は一点に集中して外すことが出来ずにいた。
「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」
このセリフで背筋がゾクッとした、初めての感覚で動けずにいる。
それから五分程度の時間だろうが世界には俺と心しかいないのではないのかと思わせられるほどの衝撃を感じたよ、漱石先生が凄いのか心が凄いのか‥‥きっと両方だろう。
朗読が終わると一転派手な照明とダンサブルな音楽が流れだす。
舞台から心が下りてきて笑顔で近づいてきた。
「還流さん、どうでした!」
さっきまでステージの上で朗読していた子とは別人のような可愛らしい表情を見せる。
「素晴らしかったよ、不覚にも見とれてしまっていた」
「え~、本当ですか! 嬉しいです、じゃあ次の衣装に着替えてきますねっ」
「次のステージも楽しみにしているぞ」
心はペコリと一礼し舞台裏まで着替えに行く、そうこうしていると彗夏と伊莉愛の息の合ったダンスパフォーマンスが始まった。
二人はステージ全体を使って激しく踊りだす、先程の心の朗読とは違った意味で釘付けにされる、以前もこの曲で踊る二人を見たことあるがクオリティが格段に上がっている、特に表情が違う、余裕のある笑顔というのか挑発的な顔を見せて何だか吸い込まれていきそうなそんな感覚を味わっている、自然と肩や足先がリズムをとっていて今にでも二人と一緒に踊りたくなってしまう。
最後にビシッとポーズを決めてダンスを終えた、会場で見ている方々から拍手が鳴る、おそらくこれを見ている画面の向こう側でも同じように拍手をしている人は大勢いるだろう。
さあ、これが最後の見せどころだ! プリフォーの新曲『シャイニング・ダークネス』のイントロが流れ出した。
_____________________________________
「はーはっはっはっはっ、愉快愉快」
キルトは懐から扇子を取り出しパタパタと仰ぎだした。
「弟の番組が成功したからって調子に乗るなよ、新曲を歌うまでまだ時間あるのだろう? 次は何をするつもりだ」
「まぁ黙って見て下さいよ」
キルトはカクテル片手に余裕な笑みを浮かべ視聴者の書き込みを見ている。
『リル先生最高だった』
『次新曲?』
『まだ時間に余裕があるが・・・・』
『ん? 照明消えた』
『トラブルか?』
『何だ?』
『女が一人、誰?』
『美人さん』
『女優?』
『いい声』
『・・・・・・』
「これは‥‥夢十夜の第一夜」
神谷はそうつぶやいた後、復活一日限りの教えてリル先生の放送中となりでずっと流していたリミテッドガーデンのライブ中継のモニターを消すと心の朗読を見入った。
『・・・・・・』
『すげー何かわからないけどすげー』
『感動して涙が出たよ』
『目が離せなかった』
『夏目漱石の夢十夜って言うらしい』
『前に声優さんが読んでいたの聞いたことあるけど段違いにこの人の方が上手い』
『朗読読んでたのプリフォーの一人心ちゃんだよ』
『え! この人アイドル? 舞台女優かと思った』
『まぁ舞台でも活躍しているし』
『4月に舞台で主演やってたよ』
『二日とも見た、良かった』
続くダンスパフォーマンスにも目をそらすことの出来ない神谷を横目にキルトはカクテルを口に付け満足げにモニターを眺める。
『おっ、今度はダンスが始まった』
『カッコイイ』
『二人の息ぴったりだ』
『レベル高いね』
『有名ダンサーの人?』
『二人とも普通に可愛い』
『ショートカットの子好み』
『俺は背の高い方がいいな』
『プリフォーのメンバーなんだけど』
『えっこの子等もアイドル? 可愛いから納得だけど』
「覚えていますか? キャッスルズがアメリカの大会で優勝した時のダンスです」
「忘れるわけがないだろ、私が勧めた曲だ、この娘達も上手いじゃないか、まぁお前達に比べたらまだ甘いところはあるようだがな」
「フッ」
鼻で笑うキルト。
『プリミアムフォーのCDってどこで買える?』
『自社レーベルだから店頭には置いてないけどHPあるからそこで』
『出てるやつ全部欲しい』
『俺も』
『限定生産だから欲しいなら早めにね』
『運が良ければ本人たちに会える特典ついてる』
『詳しく』
『調べろw』
『・・・・・・』
ダンスパフォーマンスが終わると同時にプリフォーの新曲『シャイニング・ダークネス』のイントロが流れ出す。
「さあ、宗さん、これが最後の見せ場だ!」
「さぁ、心、もうじき出番だぞ」
「はい、還流さん、行って来ます」
リル先生が終わり拍手が鳴る中突然暗転しステージが静まりかえる。
番組を見ている人は何かのトラブルでもあったのかと思うかもな。
暫く続く暗闇の中でふいに声が聞こえてくる。
「こんな夢を見た」
この瞬間スポットライトが声の主、白い浴衣を着た美少女に照らされる。
映し出された心は妖艶で美しく年齢以上に大人びて見えた。
朗読を読み上げる心の声は心地よくずっと聞いていたいと思わせる、本来は周りの状況や視聴者の反応などチェックしなければいけないのだろうが俺の視線は一点に集中して外すことが出来ずにいた。
「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」
このセリフで背筋がゾクッとした、初めての感覚で動けずにいる。
それから五分程度の時間だろうが世界には俺と心しかいないのではないのかと思わせられるほどの衝撃を感じたよ、漱石先生が凄いのか心が凄いのか‥‥きっと両方だろう。
朗読が終わると一転派手な照明とダンサブルな音楽が流れだす。
舞台から心が下りてきて笑顔で近づいてきた。
「還流さん、どうでした!」
さっきまでステージの上で朗読していた子とは別人のような可愛らしい表情を見せる。
「素晴らしかったよ、不覚にも見とれてしまっていた」
「え~、本当ですか! 嬉しいです、じゃあ次の衣装に着替えてきますねっ」
「次のステージも楽しみにしているぞ」
心はペコリと一礼し舞台裏まで着替えに行く、そうこうしていると彗夏と伊莉愛の息の合ったダンスパフォーマンスが始まった。
二人はステージ全体を使って激しく踊りだす、先程の心の朗読とは違った意味で釘付けにされる、以前もこの曲で踊る二人を見たことあるがクオリティが格段に上がっている、特に表情が違う、余裕のある笑顔というのか挑発的な顔を見せて何だか吸い込まれていきそうなそんな感覚を味わっている、自然と肩や足先がリズムをとっていて今にでも二人と一緒に踊りたくなってしまう。
最後にビシッとポーズを決めてダンスを終えた、会場で見ている方々から拍手が鳴る、おそらくこれを見ている画面の向こう側でも同じように拍手をしている人は大勢いるだろう。
さあ、これが最後の見せどころだ! プリフォーの新曲『シャイニング・ダークネス』のイントロが流れ出した。
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「はーはっはっはっはっ、愉快愉快」
キルトは懐から扇子を取り出しパタパタと仰ぎだした。
「弟の番組が成功したからって調子に乗るなよ、新曲を歌うまでまだ時間あるのだろう? 次は何をするつもりだ」
「まぁ黙って見て下さいよ」
キルトはカクテル片手に余裕な笑みを浮かべ視聴者の書き込みを見ている。
『リル先生最高だった』
『次新曲?』
『まだ時間に余裕があるが・・・・』
『ん? 照明消えた』
『トラブルか?』
『何だ?』
『女が一人、誰?』
『美人さん』
『女優?』
『いい声』
『・・・・・・』
「これは‥‥夢十夜の第一夜」
神谷はそうつぶやいた後、復活一日限りの教えてリル先生の放送中となりでずっと流していたリミテッドガーデンのライブ中継のモニターを消すと心の朗読を見入った。
『・・・・・・』
『すげー何かわからないけどすげー』
『感動して涙が出たよ』
『目が離せなかった』
『夏目漱石の夢十夜って言うらしい』
『前に声優さんが読んでいたの聞いたことあるけど段違いにこの人の方が上手い』
『朗読読んでたのプリフォーの一人心ちゃんだよ』
『え! この人アイドル? 舞台女優かと思った』
『まぁ舞台でも活躍しているし』
『4月に舞台で主演やってたよ』
『二日とも見た、良かった』
続くダンスパフォーマンスにも目をそらすことの出来ない神谷を横目にキルトはカクテルを口に付け満足げにモニターを眺める。
『おっ、今度はダンスが始まった』
『カッコイイ』
『二人の息ぴったりだ』
『レベル高いね』
『有名ダンサーの人?』
『二人とも普通に可愛い』
『ショートカットの子好み』
『俺は背の高い方がいいな』
『プリフォーのメンバーなんだけど』
『えっこの子等もアイドル? 可愛いから納得だけど』
「覚えていますか? キャッスルズがアメリカの大会で優勝した時のダンスです」
「忘れるわけがないだろ、私が勧めた曲だ、この娘達も上手いじゃないか、まぁお前達に比べたらまだ甘いところはあるようだがな」
「フッ」
鼻で笑うキルト。
『プリミアムフォーのCDってどこで買える?』
『自社レーベルだから店頭には置いてないけどHPあるからそこで』
『出てるやつ全部欲しい』
『俺も』
『限定生産だから欲しいなら早めにね』
『運が良ければ本人たちに会える特典ついてる』
『詳しく』
『調べろw』
『・・・・・・』
ダンスパフォーマンスが終わると同時にプリフォーの新曲『シャイニング・ダークネス』のイントロが流れ出す。
「さあ、宗さん、これが最後の見せ場だ!」
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