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20 再会5
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シーナを飾って満足したのか、レクオンは外へ出かけて行った。「行ってらっしゃいませ」と見送り、窓辺から外の景色を眺める。レクオンが乗った馬車には王家の紋章があったが、以前とは少しデザインが変わったようだ。薔薇と盾の紋章だったが、盾の代わりに剣が描かれている。
シーナはこの三年ずっと王都に近寄らないようにしていたので、レクオンが今どこに住んでいるのかもよく分からない。でも昨晩マリベルの話になったとき「俺の城にいる」と言っていたぐらいだから、王宮を出てどこかに広いお城を持ったのだろう。
(レクオン様が王都に住んでいるとしたら、ケルホーンの人たちにも会うかもしれない……)
ホテルを出たとき、レクオンはどこへ向かうのだろう。王都に戻ったとしたら、義父にシーナを会わせるのだろうか。
グレッグの顔を思い出すたび、背中の古傷がずきずきと痛んだ。可能ならもう会いたくはないが、レクオンは先ほど簡単には許せないと言っていた。もしケルホーン伯爵家に戻れと命じられたら戻るしかない。
しばらくして戻ってきたレクオンは、見覚えのある袋をシーナに手渡した。ルターナがくれた袋だ。シーナはお礼をいって受けとり、なかの指輪を確かめる。
「その指輪は?」
「お姉さまが亡くなる直前に、わたしにくださったんです。でも小さいから、指には嵌められなくて……」
「じゃあ、鎖を通せばいい」
レクオンはアンネに命じてネックレス用の細い鎖を用意させた。指輪にとおして首にさげると、ちょうど鎖骨の下に翡翠が揺れてとても綺麗だ。
「ありがとうございます。これでずっと、お姉さまと一緒にいられる……」
嬉しくなって笑うと、レクオンは少し怪訝な顔をした。予想外の科白だとでも言いたげで、シーナはハッと気まずい気持ちになる。
レクオンはルターナと一緒に過ごしているつもりだったのに、「お姉さま」なんて余計な言葉を出したら台無しだ。どうしていつも、気の利いたことをいえないんだろう。
がっくりうな垂れていると顎をとられ、レクオンと視線が合う。相変わらず表情の読めない顔だ。怒っているのか、失望しているのかよく分からない。謝罪するべきだろうか。でもレクオンは、簡単に謝るなといっていたし……。
「……? ん?」
頭が破裂しそうなほど悩んでいる間にレクオンの顔が近づいてきて、唇に温かい感触が伝わる。見開いた視界にレクオンの閉じた目蓋が映り、彼の香りがふわりと鼻をくすぐった。シーナと同じ石鹸の香りのはずなのに、まるで違うもののように感じる。
混乱したシーナは何が起きているかも分からず、無抵抗でレクオンの口付けが終わるのを待った。唇を離したレクオンは、ぽかんとするシーナを見てなぜか嬉しそうだ。
「初めてなのか……。こういう時は、目を閉じるんだ」
「は……す、すみませ、」
ん、が言えないまま再び唇が重なる。また目を見開いたままだと気づき、慌てて目を閉じた。ほんの数秒のはずなのに、とても長く感じる。
レクオンの温かさを感じながら、シーナの頭はまた混乱していた。朝はシーナの裸を見ても淡白な反応だったのに、今はこうして唇を合わせている。レクオンがなにを考えているのか全く分からない。
(考えては駄目よ。わたしは自分に出来る事をすればいいんだから……)
今はルターナになりきったつもりで、レクオンに身を任せよう。シーナは目を閉じたままひたすら口付けが終わるのを待った。
シーナはこの三年ずっと王都に近寄らないようにしていたので、レクオンが今どこに住んでいるのかもよく分からない。でも昨晩マリベルの話になったとき「俺の城にいる」と言っていたぐらいだから、王宮を出てどこかに広いお城を持ったのだろう。
(レクオン様が王都に住んでいるとしたら、ケルホーンの人たちにも会うかもしれない……)
ホテルを出たとき、レクオンはどこへ向かうのだろう。王都に戻ったとしたら、義父にシーナを会わせるのだろうか。
グレッグの顔を思い出すたび、背中の古傷がずきずきと痛んだ。可能ならもう会いたくはないが、レクオンは先ほど簡単には許せないと言っていた。もしケルホーン伯爵家に戻れと命じられたら戻るしかない。
しばらくして戻ってきたレクオンは、見覚えのある袋をシーナに手渡した。ルターナがくれた袋だ。シーナはお礼をいって受けとり、なかの指輪を確かめる。
「その指輪は?」
「お姉さまが亡くなる直前に、わたしにくださったんです。でも小さいから、指には嵌められなくて……」
「じゃあ、鎖を通せばいい」
レクオンはアンネに命じてネックレス用の細い鎖を用意させた。指輪にとおして首にさげると、ちょうど鎖骨の下に翡翠が揺れてとても綺麗だ。
「ありがとうございます。これでずっと、お姉さまと一緒にいられる……」
嬉しくなって笑うと、レクオンは少し怪訝な顔をした。予想外の科白だとでも言いたげで、シーナはハッと気まずい気持ちになる。
レクオンはルターナと一緒に過ごしているつもりだったのに、「お姉さま」なんて余計な言葉を出したら台無しだ。どうしていつも、気の利いたことをいえないんだろう。
がっくりうな垂れていると顎をとられ、レクオンと視線が合う。相変わらず表情の読めない顔だ。怒っているのか、失望しているのかよく分からない。謝罪するべきだろうか。でもレクオンは、簡単に謝るなといっていたし……。
「……? ん?」
頭が破裂しそうなほど悩んでいる間にレクオンの顔が近づいてきて、唇に温かい感触が伝わる。見開いた視界にレクオンの閉じた目蓋が映り、彼の香りがふわりと鼻をくすぐった。シーナと同じ石鹸の香りのはずなのに、まるで違うもののように感じる。
混乱したシーナは何が起きているかも分からず、無抵抗でレクオンの口付けが終わるのを待った。唇を離したレクオンは、ぽかんとするシーナを見てなぜか嬉しそうだ。
「初めてなのか……。こういう時は、目を閉じるんだ」
「は……す、すみませ、」
ん、が言えないまま再び唇が重なる。また目を見開いたままだと気づき、慌てて目を閉じた。ほんの数秒のはずなのに、とても長く感じる。
レクオンの温かさを感じながら、シーナの頭はまた混乱していた。朝はシーナの裸を見ても淡白な反応だったのに、今はこうして唇を合わせている。レクオンがなにを考えているのか全く分からない。
(考えては駄目よ。わたしは自分に出来る事をすればいいんだから……)
今はルターナになりきったつもりで、レクオンに身を任せよう。シーナは目を閉じたままひたすら口付けが終わるのを待った。
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