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第二章 集う幻魔
第9話 新たなる仲間
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「くっ・・・」
凄まじい揺れと大きな声が、私達を襲う。
もう立つことも難しいくらいだ。
やがて衝撃は収まった。
「春!」
私は、谷川さんが無事なことを確認すると、由紀ちゃんを追いかけた。
「もう!すっごく心配したんだから!急に襲ってきて!」
谷川さんは身に覚えにないという風に、首を傾げた。
「え、え、何。何かあったの」
「あったどころじゃないよ、もう!」
どうも落ち着けない由紀ちゃんの隣に私は立つ。
私は尋ねた。
「谷川さんは、ケガはない」
笑顔が返ってくる。
「うん。平気。ありがとう。にしても・・・」
彼女は考える顔をして、うつむく。
「あの力は何だろう。今まで感じたことなかった・・・。でも、その先のこと覚えてないし」
私と由紀ちゃんはハッ、となった。
そうだった、私はこの人に事実を言わなければいけない。
読者の皆さんは、きっと予想がついていると思う。
「谷川さん。あなたの体を乗っ取ったは、怪魔っていう霊みたいなやつだよ」
ゆっくりと言葉を選んで説明した。
由紀ちゃんは驚き、谷川さんは更に判らないというように立ち尽くした。
前回、みなさんに内緒にしていた松ノ殿との会話。
それはこんな内容である。
由紀ちゃんの加勢を断念した私に、松ノ殿は言った。
「ま、この戦いももうすぐ終わるだろう」
私にはそう思えなかった。
由紀ちゃんが、なんだか無理しているように見えたからだ。
そろそろ体力の限界がくるはず。そうしたら、彼女はきっと動けなくなるだろう。
でもそれで途中で止めるような由紀ちゃんではないことを、私は良く知っている。
彼女は何でもやり遂げることが出来る、強い気持ちの持ち主だ。簡単に引き下がりやしない。
それに敵も容赦なしだ。一歩間違えれば、最悪な事態にも成り兼ねない。
そんな風に、私が思いを巡らせている時。
「あ、そうそう」
「ん?」
「今、怪魔が操っている人間、誰だっけ」
神が名前を忘れるなんてあるか?と思いながら、応えた。
「谷川さんですか」
「そうだ。単刀直入に言うと、君達の仲間だ。8人の一人だ」
私は大きな衝撃を受けた。あの人も、仲間なの・・・?
「この戦いが終わったら、言わなければならない___」
その時。凄まじい断末魔が起きた。
そう、由紀ちゃんが勝ったのだ。
私達は、昨日の幻魔と、その宿命について話した。
すると呆然としていた谷川さんは、段々と理解していき、最後には、
「なるほどねえ・・・」
と独り言をこぼした。
私はドキドキして、谷川さんの返事を待った。
「ふーん、そっかあ。幻魔、8人・・・」
言い聞かせるように、呟いている。
こんな話、いきなり信じるわけないよね。私だってまだ半分、本当だって思ってないし。
でも、返ってきた言葉は。
「面白いじゃん。乗ったよ!」
あまりにも意外だった。
「なんか素敵なことが待ってる気がするの。楽しそう!」
由紀ちゃんと私は、ぱあと明るく笑った。
まさかこんなにも早く、新しい仲間が出来るなんて。
「さっすが、春!話早いなあ」
由紀ちゃんはトン!と谷川さんの背中をたたく。
私も言った。
「これからよろしくね。谷川さん」
すると、少し恥ずかしそうに彼女が言った。
「さん付けはやめて。春で良い」
「!うん、判った」
心の奥で幸せな気持ちが湧き出た。
「そういえば、あなたの名前聞いてない」
「ああ、私は加奈だよ」
「加奈かあ。いい名前だねえ」
そう言われると、照れるなあ。
「ありがとう」
「これからもよろしくね、加奈!」
「うん!」
私達は互いに微笑んだ。由紀ちゃんも嬉しそう。
「あ、そうだ。先生とみんなは、どこかな」
不意に由紀ちゃんが言った。
「そういや」
確かに忘れてた。どこに行ったろう。
いつの間にか松ノ殿のことも記憶からすっ飛んでいる。
「加奈ー」
由紀ちゃんが私を呼ぶ。
ちょっと遠くにいた。出遅れたかも。
「うん!今行くー」
私は満面の笑みで、2人へ駆け寄った。
凄まじい揺れと大きな声が、私達を襲う。
もう立つことも難しいくらいだ。
やがて衝撃は収まった。
「春!」
私は、谷川さんが無事なことを確認すると、由紀ちゃんを追いかけた。
「もう!すっごく心配したんだから!急に襲ってきて!」
谷川さんは身に覚えにないという風に、首を傾げた。
「え、え、何。何かあったの」
「あったどころじゃないよ、もう!」
どうも落ち着けない由紀ちゃんの隣に私は立つ。
私は尋ねた。
「谷川さんは、ケガはない」
笑顔が返ってくる。
「うん。平気。ありがとう。にしても・・・」
彼女は考える顔をして、うつむく。
「あの力は何だろう。今まで感じたことなかった・・・。でも、その先のこと覚えてないし」
私と由紀ちゃんはハッ、となった。
そうだった、私はこの人に事実を言わなければいけない。
読者の皆さんは、きっと予想がついていると思う。
「谷川さん。あなたの体を乗っ取ったは、怪魔っていう霊みたいなやつだよ」
ゆっくりと言葉を選んで説明した。
由紀ちゃんは驚き、谷川さんは更に判らないというように立ち尽くした。
前回、みなさんに内緒にしていた松ノ殿との会話。
それはこんな内容である。
由紀ちゃんの加勢を断念した私に、松ノ殿は言った。
「ま、この戦いももうすぐ終わるだろう」
私にはそう思えなかった。
由紀ちゃんが、なんだか無理しているように見えたからだ。
そろそろ体力の限界がくるはず。そうしたら、彼女はきっと動けなくなるだろう。
でもそれで途中で止めるような由紀ちゃんではないことを、私は良く知っている。
彼女は何でもやり遂げることが出来る、強い気持ちの持ち主だ。簡単に引き下がりやしない。
それに敵も容赦なしだ。一歩間違えれば、最悪な事態にも成り兼ねない。
そんな風に、私が思いを巡らせている時。
「あ、そうそう」
「ん?」
「今、怪魔が操っている人間、誰だっけ」
神が名前を忘れるなんてあるか?と思いながら、応えた。
「谷川さんですか」
「そうだ。単刀直入に言うと、君達の仲間だ。8人の一人だ」
私は大きな衝撃を受けた。あの人も、仲間なの・・・?
「この戦いが終わったら、言わなければならない___」
その時。凄まじい断末魔が起きた。
そう、由紀ちゃんが勝ったのだ。
私達は、昨日の幻魔と、その宿命について話した。
すると呆然としていた谷川さんは、段々と理解していき、最後には、
「なるほどねえ・・・」
と独り言をこぼした。
私はドキドキして、谷川さんの返事を待った。
「ふーん、そっかあ。幻魔、8人・・・」
言い聞かせるように、呟いている。
こんな話、いきなり信じるわけないよね。私だってまだ半分、本当だって思ってないし。
でも、返ってきた言葉は。
「面白いじゃん。乗ったよ!」
あまりにも意外だった。
「なんか素敵なことが待ってる気がするの。楽しそう!」
由紀ちゃんと私は、ぱあと明るく笑った。
まさかこんなにも早く、新しい仲間が出来るなんて。
「さっすが、春!話早いなあ」
由紀ちゃんはトン!と谷川さんの背中をたたく。
私も言った。
「これからよろしくね。谷川さん」
すると、少し恥ずかしそうに彼女が言った。
「さん付けはやめて。春で良い」
「!うん、判った」
心の奥で幸せな気持ちが湧き出た。
「そういえば、あなたの名前聞いてない」
「ああ、私は加奈だよ」
「加奈かあ。いい名前だねえ」
そう言われると、照れるなあ。
「ありがとう」
「これからもよろしくね、加奈!」
「うん!」
私達は互いに微笑んだ。由紀ちゃんも嬉しそう。
「あ、そうだ。先生とみんなは、どこかな」
不意に由紀ちゃんが言った。
「そういや」
確かに忘れてた。どこに行ったろう。
いつの間にか松ノ殿のことも記憶からすっ飛んでいる。
「加奈ー」
由紀ちゃんが私を呼ぶ。
ちょっと遠くにいた。出遅れたかも。
「うん!今行くー」
私は満面の笑みで、2人へ駆け寄った。
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