シンキクサイレン

秋村ふみ

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 翌朝になり、スマートフォンを確認したが、御手洗からの返信は無かった。
 今日は火曜日だ。今日は御手洗の貸し出し当番ではない。それはわかっていたが、昼休みに僕は図書室を訪れた。すると、昨日いた図書委員が、今日もカウンターに座っていた。
「御手洗さんなら、今日も休みだよ」
 図書室に入ってきた僕を見るなり、聞いてもいないのに彼女はそう言ってきた。
「いや、別に御手洗さんに会いたくて来たわけじゃないから…」
 僕は図書委員に対し、少しムキになって答えてしまった。そして適当に本棚から本を取り出して、自分は本を読みに来ただけなのですと言わんばかりに、窓側の席に座って本を読み始めた。たまにカウンターの方に目をやると、図書委員と目があった。図書室には、僕とその図書委員以外誰もいない。胸のあたりまで伸びた長い黒髪を指でいじりながら、ちらちらと僕の方を見てくる。僕の顔に何かついているのだろうか。赤縁メガネから覗く大きな瞳は、なにやら僕に興味深々のようだった。目が合うたび、彼女はニヤニヤ笑う。
 あんまり視線が気になるので、遂に僕は読んでいた本を閉じ、うつ伏せになって寝ているフリをして、昼休みが終わるまでやりすごした。
「ねえ、なんなら御手洗さんの家の場所、教えようか?」
 昼休みが終わりそうなので、図書室を出ようとした時だった。図書委員が突然僕に話しかけてきた。僕が「別にいいよ」と断ると、彼女は「そう?ならいいけど」と、残念そうな顔で図書室を出た。
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