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王都ゴルディア5
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「ところで、急なことで申し訳ないのですが・・・」
ニエ団長が改まって話を切り出した。今度はなんだ?海の探索か?
「2人に明日の『御前会議』に出席してもらいたい。いや、出席してもらう。」
「・・・は?」
『御前会議』とは国王の前で行われる大会議であり、最重要事項を決議する場である。そうなると当然出席者は王国の幹部ばかりだ。右大臣、左大臣、上位文官、騎士団長、地域管理長、保安団長などそうそうたるメンツが招集される。
「いやいやいや!無理ですって!俺はペーペーだし、オーリィはまだ子供ですよ!?」
報告書にオーリィは14歳と記載しただろうが!しかも世間の常識もない。国王の前で何を言うかわかったもんじゃないぞ!それに、あんたは俺の事情だって知ってるだろうが・・・国王の前に姿を現せない事情を。
だがそんな俺の思いなど全く無視されて話は進んだ。オーリィは礼服を調達してもらい、俺は兵士服を新調した。ニエ団長はどうやっても俺を逃がさないらしい。もうどうとでもなれ!
翌日。
さすがに会議内容を全て漏洩するわけにいかないらしく、俺とオーリィは大会議場の扉の前で待たされていた。俺たちの"出番"がきたら入れてもらえるらしい。全然入りたくないけど。
「すげえデカい扉だな。」
それもそのはず。大会議場はかなりの広さ・・・らしい。俺には縁のなかった場所、初めて入る。
2時間ほど待たされ、オーリィはすっかり飽きていた。足元の赤絨毯をむしっている(おい)。俺も心がダレてきたが、その時、重厚な扉が開いてニエ団長が迎えに来た。
「お待たせしました。さあ、入ってください。」
ニエ団長に続いて中へと入る。中はすり鉢型になっており、真正面にゴルディア国王が肩肘ついて座っていた。相変わらず気に食わねえ、色白の豚野郎だ。
俺たちが入ってくると一斉に視線が集まった。すり鉢の1番底の部分に俺とオーリィは並んで立たされた。どうも形式的に尋問されているようで居心地は最悪だ。
「あ!あいつは!!」
「おおっ!彼は!」
「フハハハ!貴様だったとは!」
少しザワついた中から、どうやらオーリィに対して特別な感情を込めた声が挙がった。って、第0、1、3騎士団長じゃねえか!お前、迷子になってる間に何してたんだ!?
「静粛に!」
議長席に座る最老大臣が声を挙げた。その瞬間、会議室は水を打ったように静まり返った。
「これより本日の第8会議に移る。ニエ=フングルス第2騎士団長、発言しなさい。」
「御前にて議を挙げさせていただきます。ここにいる2名のうち王から見て左の若者は、名をオーリィ=マクドネルと申します。」
その言葉を聞いて、出席者は再びザワついた。
「マクドネルだと?」
「まさか、あの・・・?」
ニエ団長が改まって話を切り出した。今度はなんだ?海の探索か?
「2人に明日の『御前会議』に出席してもらいたい。いや、出席してもらう。」
「・・・は?」
『御前会議』とは国王の前で行われる大会議であり、最重要事項を決議する場である。そうなると当然出席者は王国の幹部ばかりだ。右大臣、左大臣、上位文官、騎士団長、地域管理長、保安団長などそうそうたるメンツが招集される。
「いやいやいや!無理ですって!俺はペーペーだし、オーリィはまだ子供ですよ!?」
報告書にオーリィは14歳と記載しただろうが!しかも世間の常識もない。国王の前で何を言うかわかったもんじゃないぞ!それに、あんたは俺の事情だって知ってるだろうが・・・国王の前に姿を現せない事情を。
だがそんな俺の思いなど全く無視されて話は進んだ。オーリィは礼服を調達してもらい、俺は兵士服を新調した。ニエ団長はどうやっても俺を逃がさないらしい。もうどうとでもなれ!
翌日。
さすがに会議内容を全て漏洩するわけにいかないらしく、俺とオーリィは大会議場の扉の前で待たされていた。俺たちの"出番"がきたら入れてもらえるらしい。全然入りたくないけど。
「すげえデカい扉だな。」
それもそのはず。大会議場はかなりの広さ・・・らしい。俺には縁のなかった場所、初めて入る。
2時間ほど待たされ、オーリィはすっかり飽きていた。足元の赤絨毯をむしっている(おい)。俺も心がダレてきたが、その時、重厚な扉が開いてニエ団長が迎えに来た。
「お待たせしました。さあ、入ってください。」
ニエ団長に続いて中へと入る。中はすり鉢型になっており、真正面にゴルディア国王が肩肘ついて座っていた。相変わらず気に食わねえ、色白の豚野郎だ。
俺たちが入ってくると一斉に視線が集まった。すり鉢の1番底の部分に俺とオーリィは並んで立たされた。どうも形式的に尋問されているようで居心地は最悪だ。
「あ!あいつは!!」
「おおっ!彼は!」
「フハハハ!貴様だったとは!」
少しザワついた中から、どうやらオーリィに対して特別な感情を込めた声が挙がった。って、第0、1、3騎士団長じゃねえか!お前、迷子になってる間に何してたんだ!?
「静粛に!」
議長席に座る最老大臣が声を挙げた。その瞬間、会議室は水を打ったように静まり返った。
「これより本日の第8会議に移る。ニエ=フングルス第2騎士団長、発言しなさい。」
「御前にて議を挙げさせていただきます。ここにいる2名のうち王から見て左の若者は、名をオーリィ=マクドネルと申します。」
その言葉を聞いて、出席者は再びザワついた。
「マクドネルだと?」
「まさか、あの・・・?」
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