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第1話 ドラゴン・マーセナリー
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ある国の王女が隣国での留学を終え
聖竜騎士団の面々と共に国に帰る途中
竜騎傭兵のナイン・スペードは
その護衛団の一員に加わっていた
期間は1年間
それも本日
城につくまで
元々ナインとその国の国王は
銃マニア友達というきっかけで知り合い
それ以降身分を超えて対等な関係となる
自分の姫が留学の折
王はナインに護衛の任を受けてもらうため
カード勝負を持ちかけた
王が勝ったため姫の護衛を引き受ける
実際この勝負は王がイカサマで勝ち
強引にナインを警護団にスカウトしたのだ
「なんでそこまでして俺を入れたいの?」
「ワシが知っている限りお主以上に腕が立つ者はおらん」
「あのなーじいさん
俺は傭兵なんだよ
敵の言い値で裏切るかもしれんのよ」
「お主との付き合いもそろそろ長い
人となりは分かっている」
あー
こーゆーとこが
このじいさんのやらしいところだよ
ナインは心で思う
「そもそも『セインツ』(聖竜騎士団)の連中がいるでしょうが」
「娘が向かう国は一筋縄ではいかぬ土地
きれいごとで終わらぬ場合も予想される
死線を幾度と超えてきたお主ほど頼りになる者はおらん
お主ならわかるだろう
いざという時
人を護るためには手段を選べん
騎士団育ちと傭兵あがりではここで違いがでる」
「しかしだねぇ」
「それにお主が探している
『あの男』の情報集めにも
あの国はちょうどいいはずじゃ
なんせ世界中の情報が集まる国と言われておるしな」
「あーもう
分かったよ
姫さんが留学する1年限定だ」
「頼りにしておるよ」
王はニコリと笑い
ナインは苦虫を嚙み潰したよう顔をした
これが1年前
ナインは元々『トランプ竜騎傭兵団』という傭兵団の一員
当時この傭兵団は世界トップクラスの実力を誇った
その団を裏切り
ナインの慕っていた団長の殺害と傭兵団を壊滅に追いやった
裏切者ジュダを探し殺す事が今の人生の目的となっている
王はナインに言う
「復讐のみの人生は乾いてしまうぞ
お主を求める者もおるんだ」
「復讐ともちょっと違うんだよ
なんていうかな
これは
俺の仕事なんだ
死の間際の団長からの依頼でね」
そんなことから1年がたち
護衛と情報収集を終え
国への帰路の最中だった
この1年ずっと
聖竜騎士団への入団を誘われるが断り続けていた
聖騎士団の隊長ランスロットがナインに言う
「ナイン
お前本当にセインツに入る気はないのか」
「悪いね隊長さん
名誉じゃお腹は膨れないんだよ」
コインを指で真上にはじき無邪気に笑うナイン
その横目でナインはおかしな光に気付く
だが今は何もしない
「そもそもこの護衛に参加したのも
あのじいさんとの賭けに負けたからだし」
「お前なぁ
何度も言っているがな
陛下に対してそのような呼び方はやめないか」
「いいんだよ
じいさん自身が良いって言ってんだから」
「しかしだな……」
「ナインに口のきき方を言ったところで直りません
この1年何度私が言ったことか」
話しを聞いていたヴィトーリア姫が
馬車から身を乗り出して話しに参加してきた
「姫!
なりません!」
「こら姫さんうかつに窓開けんな!」
ナインと隊長のランスロットが慌てて姫に注意を促す
「お前は姫様に向かって」
!
案の定だ
「すぐ閉めろ
賊が襲ってくる」
ナインが銃を取り臨戦態勢を取る
「なぜ分かる?」
「火薬の臭い
ちらちら目に付く望遠レンズの光
浮足立った気配
なにより風上に立つ間抜けさを考えれば
ほら来たよ!」
「ナイン!
敵の数は?」
「全部で
7つだね
軽3
中1
重1
長距離1
隊長騎1ってとこだな」
意外に少ない
とナインは考える
しかし
考えるより先に身体を動かす
「隊長さんは姫の護衛を
俺は敵のクビをとる」
そう言ってナインは愛竜のイザナミと駆けた
まずは姫の乗る馬車に向けミサイルが一つ
大きく外れるが爆風で視界が遮られる
続いてマシンガンの第二波
セインツは姫の馬車を囲み防御そして反撃にでる
ボスはあそこか
攻撃から一番遠い所にナインはそれを見つけた
降りしきる銃弾の中
ナインの乗った黒い竜は一閃
敵のボスへと最短で向かった
「全くお粗末な攻撃だ」
「で
姫とセインツとは知らずに襲いましたってか」
「はい
そーです」
ナインは敵のボスを膝まづかせ
頭に銃を突きつけ問答をしている
「そんなアホがいるか?」
「はい
ここに」
「護衛の武装レベルを見れば
王族かそれに近しいことくらい分かるでしょーが」
「いえ
我々も仕事として請け負っただけだったので」
「ただ馬車を破壊しろと?」
「はい」
「報酬は?」
野盗の首領はそっと指を4本立てた
「4000?」
「いえ400」
「飽きれたな
そんな額で王族を襲うとは」
「だから
ホントに知らなかったんですよ!」
「依頼主は?」
「黒ずくめのローブを着ていてどんな人物かは」
「あー
もうベタ」
「まぁ
いいや
後は軍に引き渡すから
『獄死』なり『吊り』なり好きなの選べよ」
「どうにかならないでしょうか
我々も軽い気持ちで受けた仕事でして」
「ならない」
「国には妻や子が……」
「嘘はダメ
あと人殺しの仕事を軽い気持ちで受けちゃダメ」
姫の元へ戻るナイン
「姫は?」
「ご無事だ
しかしあの賊はなんだ
姫様や我々を狙うにしてもあまりに軽すぎる」
「試したのかもな
もしくは陽動か
城までは陣を変えて戻った方がいいだろう」
「そうだな
直ちに隊を編成し直す」
その後目立った襲撃はなく無事城へと着いた
1年ぶりの帰国
早速王へと謁見するため王の間に向かう
玉座にはすでに王がいた
前に出てナインは膝をついた
「無事で何より」
「全く
イカサマ負けの代償にしては骨が折れたぜ
じいさん
姫さんの無茶で何度大変な思いをしたことか」
「そう言うな
娘からもお主の働きの報が多くてな
あの子もお主には心を開いているようだ」
「ただの番犬くらいにしか思ってねーよ」
「そんな事は無い
どうだこれからも姫の護衛を」
「約束は1年
それにこれからは俺の本当の目的のために動かないと」
「奴の情報はえられたか?」
「具体的な物はなかったよ
ただ十分な情報網は築いてきた」
「そうか
これでまた傭兵生活に戻るには残念だが仕方ないな
だがたまにはこちらに顔を出すのだぞ
また狩り勝負なぞな」
「はい
わかりましたよ」
ナインはホームタウンに戻ってきた
街の名は『アルカディア』
理想郷の名を持つこの町は
皮肉にも傭兵のたまり場となっていた
帰るなりナインは気付く
いつもと空気が違う事に
いつもは猥雑な活気のある街が
静まり帰っている
じっと獲物を狩るために
張り詰めた空気
一発の銃弾がそれを破壊した
「走れイザナミ!」
黒竜は一瞬で加速しその場を離れる
襲撃?
続けざまにマシンガンの弾幕音
「てめーら!
誰に喧嘩売ってるのか分かってんのか!」
「死ね!
スペードナイン」
俺の名前は『ナイン・スペード』だ!
せめて殺しに来た相手の名前くらい正確に覚えて来い
それくらいが最低限の礼儀だろうが
「しかし
奴ら
俺を元トランプと分かってて攻撃してやがんのか」
「ここがお前の墓場だ!」
「さっさと死にやがれ!」
「お前の墓場はここだ!」
しかしどーしてこの手の連中はボキャブラリーが無いのだろうか
かぶってる奴もいるし
ま
しゃれた事言える奴はこんな仕事してないで
スーツでも着てデスクワークしてるわな
両手に愛銃ラッキーストライクを二丁持ち
戦闘用のスイッチを入れる
「人違いならまだしも
俺と知ってくるとはとんだ命知らずか大馬鹿野郎か」
敵の気配を確認する
「さてイザナミ
家に帰るまでが遠足ですよ」
イザナミが駆ける
すぐさま二つの影をとらえ
手にした銃で撃ち抜く
2つ
数は今2つとったから
残りは11……か
覚えのある気配は
ない
しかも素人か?
命を狙われる身に覚えは……
ある
死ぬほどある
こんな稼業じゃ命狙われる恨みは
日に日に増えていくに決まってる
多分利子だってつくくらい
「てめーら誰の差し金だ!」
銃弾とわめく声しか返ってこない
「死ね!」
「くたばれ!」
本当に言葉を知らない連中だ
酒でも飲んでる暇があったら本を読め
本を
「とりあえずもう少し数を減らしておくか」
再びイザナミが駆け
単発で
しかし的確にナインの銃弾は敵を屠っていく
3つ
4つ
5つ
「さーて次に死にたいやつは?」
そこにロケットランチャーが撃ち込まれる
爆音
煙が立ちこむ
「街中でそんなものうつんじゃねーよ!」
煙の向こうから3騎の竜が突っ込んで来る
だが一瞬でナインがそれらを仕留める
6つ
7つ
8つ
間髪空けずにマシンガンが撃ち込まれる
「おいおい
仲間が生きてるかもしれんのに見境なしか」
イザナミはそのマシンガンの射線をかわしつつ撃ち手に迫る
「狙って撃たなきゃ弾もったいないよ」
そう言いマシンガンの射手を撃ち抜く
9つ
残りは4つか
ここで大声でナインが言う
「どうすんのお前ら!」
静まりかえる
あっさりと7人の味方がやられ
どうやら残りの連中は雲を巻いて逃げた様だ
「一昨日来やがれ!」
ナインはそうどなりながら
倒した相手の体に近づき
持ち物を知らべる
すると内ポケットから一枚の紙が出てくる
それはナイン殺害の依頼書だった
額は1000万ギニー
「安!
せめて億からだろうが」
ふざけやがって
許すまじ
傭兵ギルドに向かう
「サッソ!
出て来い!」
「おやおや
これはお尋ね者の『スペードナイン』さんじゃありまえんか」
「ふざけるな
コラ
何だこれ!
安すぎんだろ!」
「僕もそう思いますよ
この額じゃ★4クラスの傭兵ですら動いてくれないでしょうにね」
「てめー
俺の死を望んでんのか」
「いやいや
上得意の『スペードナイン』さんに死なれては
こちらも商売あがったりですからね
あなたはある意味既にレジェンドですから」
「名前ちゃんと言えよ」
「だって面白いじゃないですか
金かけて報奨金首の名前間違えるってお馬鹿さんは」
「そのお馬鹿さんは誰なんだよ」
「それがさー
分からないんだよね」
「は?
それでも情報屋かよ!」
「情報屋じゃありません
私はあくまでも傭兵ギルドの職員です」
「つまり正規のオーダーじゃねーってことか」
「ご明察ー」
「で
いくらだ」
「そうですねー
じゃあ
ヴィルヘルム金貨5枚で」
「5枚!?
足元見やがって」
「いいんですよ
私はこのままでも
伝説のナインさんをやる
新たなるレジェンドの登場も
見てみたいですし」
「分かったよ!
明日持ってくる」
「まいどありー」
ナインは自宅に戻った
自宅は切り立った断崖の上にあり
イザナミほどの機動力を持った竜がいなければ
到底たどり着けない場所である
「やっぱ家が一番落ち着く
なイザナミ」
相棒の竜のイザナミがゆっくりうなずきあくびをした
「まったく1年仕事を終えて
明日は久々のオフと思っていたのに」
傭兵は金がかかる
武器
竜
そして情報
1000万ギニーの仕事はせいぜい
★2か★3クラスの傭兵の仕事である
翌日
再び傭兵ギルド
「ヘセミセ・ドッガ?
だれだそれ!」
「貿易商だそうですよ」
「なんでそいつが俺を」
「なんでも昔トランプ傭兵団に取引を潰されたんだそう」
「何年前で何の取引だ
もっと正確な情報よこせよ」
「ああ
ごめんなさいね
えーと
7年前のアヘン取引だって
場所は東欧」
「7年前の東欧遠征か
俺それに参加してねーぞ」
「とにかくトランプの一味なら誰でもいいそうです
報酬は一人につき1000万
それで
その雑なオーダーリストの中に
ナインさんの名前も入っちゃってたと」
「完全に
逆恨みじゃねーかよ!」
「はっはっはっ」
「笑いごとじゃねー
で
そいつは今どこに」
「はいこちらに」
その紙を受け取りナインはギルドの出口に向かう
「どちらに?」
「決まってるだろ
今からそいつを潰してくる」
「いってらっしゃーい」
「クソ!
せっかくのオフが!」
門番を倒して中に入る
「せっかくのオフが!」
わらわらとくる傭兵を一掃する
「クソ!
俺のオフを!」
「でね
俺その遠征に参加してないの
分かる?
団がやったからって
狙われてたらキリがねーでしょーが」
小太りの貿易商ドッカを膝まづかせ
頭に銃を突きつけ問答をしている
奥で固まっている秘書と思しき男を見つける
「ちょっと!
あんた!
そこのあんだ
あんた秘書でしょ
こっち来て!」
びくびくして動けない秘書に発砲
「はやく!
時間がもったいない」
秘書がビクビクと近づいてきた
「とにかくさっさと
このオーダーを取り消す
新しいオーダーを出してほしーのよ」
「はい
おつかれさま
早速これ全国に伝えといて
あと
これ退職金」
「え
退職金とは?」
「もう今日限りこの仕事なくなるから」
「なくなるとは?」
「で
これはオフを台無しにされた代償」
ナインは貿易商ドッガの額を撃ち抜く
ドッカは絶命し
床に倒れた
「このオーダーがしっかり全国に伝わらなかったら
つまり
俺の所にまた刺客がきたら
あんたも殺しに行くからね」
ナインはニコっと笑って秘書の肩をポンと叩く
「じゃあ
よろしく!」
呆けた顔の秘書
「ほら
早く行った行った
死にたくないでしょ」
秘書は慌ててその仕事にとりかかった
「まったく
貿易商のクセに
なんでこんなに爆弾を抱え込んでるかねー
戦争でもする気かよ」
ナインは倉庫にあった大量の爆弾と爆薬を屋敷のあちこちに配置した
鼻歌混じりで楽しそうに
♪ロンド橋落ちた落ちた落ちた
♪ロンド橋落ちたロンドン橋
「いくぞイザナミ」
うなずく相棒
ナインの発砲
一つ目の爆発
そして次々と誘爆していく
崩れ落ちる屋敷
「まったく
なんてオフなんだよ」
聖竜騎士団の面々と共に国に帰る途中
竜騎傭兵のナイン・スペードは
その護衛団の一員に加わっていた
期間は1年間
それも本日
城につくまで
元々ナインとその国の国王は
銃マニア友達というきっかけで知り合い
それ以降身分を超えて対等な関係となる
自分の姫が留学の折
王はナインに護衛の任を受けてもらうため
カード勝負を持ちかけた
王が勝ったため姫の護衛を引き受ける
実際この勝負は王がイカサマで勝ち
強引にナインを警護団にスカウトしたのだ
「なんでそこまでして俺を入れたいの?」
「ワシが知っている限りお主以上に腕が立つ者はおらん」
「あのなーじいさん
俺は傭兵なんだよ
敵の言い値で裏切るかもしれんのよ」
「お主との付き合いもそろそろ長い
人となりは分かっている」
あー
こーゆーとこが
このじいさんのやらしいところだよ
ナインは心で思う
「そもそも『セインツ』(聖竜騎士団)の連中がいるでしょうが」
「娘が向かう国は一筋縄ではいかぬ土地
きれいごとで終わらぬ場合も予想される
死線を幾度と超えてきたお主ほど頼りになる者はおらん
お主ならわかるだろう
いざという時
人を護るためには手段を選べん
騎士団育ちと傭兵あがりではここで違いがでる」
「しかしだねぇ」
「それにお主が探している
『あの男』の情報集めにも
あの国はちょうどいいはずじゃ
なんせ世界中の情報が集まる国と言われておるしな」
「あーもう
分かったよ
姫さんが留学する1年限定だ」
「頼りにしておるよ」
王はニコリと笑い
ナインは苦虫を嚙み潰したよう顔をした
これが1年前
ナインは元々『トランプ竜騎傭兵団』という傭兵団の一員
当時この傭兵団は世界トップクラスの実力を誇った
その団を裏切り
ナインの慕っていた団長の殺害と傭兵団を壊滅に追いやった
裏切者ジュダを探し殺す事が今の人生の目的となっている
王はナインに言う
「復讐のみの人生は乾いてしまうぞ
お主を求める者もおるんだ」
「復讐ともちょっと違うんだよ
なんていうかな
これは
俺の仕事なんだ
死の間際の団長からの依頼でね」
そんなことから1年がたち
護衛と情報収集を終え
国への帰路の最中だった
この1年ずっと
聖竜騎士団への入団を誘われるが断り続けていた
聖騎士団の隊長ランスロットがナインに言う
「ナイン
お前本当にセインツに入る気はないのか」
「悪いね隊長さん
名誉じゃお腹は膨れないんだよ」
コインを指で真上にはじき無邪気に笑うナイン
その横目でナインはおかしな光に気付く
だが今は何もしない
「そもそもこの護衛に参加したのも
あのじいさんとの賭けに負けたからだし」
「お前なぁ
何度も言っているがな
陛下に対してそのような呼び方はやめないか」
「いいんだよ
じいさん自身が良いって言ってんだから」
「しかしだな……」
「ナインに口のきき方を言ったところで直りません
この1年何度私が言ったことか」
話しを聞いていたヴィトーリア姫が
馬車から身を乗り出して話しに参加してきた
「姫!
なりません!」
「こら姫さんうかつに窓開けんな!」
ナインと隊長のランスロットが慌てて姫に注意を促す
「お前は姫様に向かって」
!
案の定だ
「すぐ閉めろ
賊が襲ってくる」
ナインが銃を取り臨戦態勢を取る
「なぜ分かる?」
「火薬の臭い
ちらちら目に付く望遠レンズの光
浮足立った気配
なにより風上に立つ間抜けさを考えれば
ほら来たよ!」
「ナイン!
敵の数は?」
「全部で
7つだね
軽3
中1
重1
長距離1
隊長騎1ってとこだな」
意外に少ない
とナインは考える
しかし
考えるより先に身体を動かす
「隊長さんは姫の護衛を
俺は敵のクビをとる」
そう言ってナインは愛竜のイザナミと駆けた
まずは姫の乗る馬車に向けミサイルが一つ
大きく外れるが爆風で視界が遮られる
続いてマシンガンの第二波
セインツは姫の馬車を囲み防御そして反撃にでる
ボスはあそこか
攻撃から一番遠い所にナインはそれを見つけた
降りしきる銃弾の中
ナインの乗った黒い竜は一閃
敵のボスへと最短で向かった
「全くお粗末な攻撃だ」
「で
姫とセインツとは知らずに襲いましたってか」
「はい
そーです」
ナインは敵のボスを膝まづかせ
頭に銃を突きつけ問答をしている
「そんなアホがいるか?」
「はい
ここに」
「護衛の武装レベルを見れば
王族かそれに近しいことくらい分かるでしょーが」
「いえ
我々も仕事として請け負っただけだったので」
「ただ馬車を破壊しろと?」
「はい」
「報酬は?」
野盗の首領はそっと指を4本立てた
「4000?」
「いえ400」
「飽きれたな
そんな額で王族を襲うとは」
「だから
ホントに知らなかったんですよ!」
「依頼主は?」
「黒ずくめのローブを着ていてどんな人物かは」
「あー
もうベタ」
「まぁ
いいや
後は軍に引き渡すから
『獄死』なり『吊り』なり好きなの選べよ」
「どうにかならないでしょうか
我々も軽い気持ちで受けた仕事でして」
「ならない」
「国には妻や子が……」
「嘘はダメ
あと人殺しの仕事を軽い気持ちで受けちゃダメ」
姫の元へ戻るナイン
「姫は?」
「ご無事だ
しかしあの賊はなんだ
姫様や我々を狙うにしてもあまりに軽すぎる」
「試したのかもな
もしくは陽動か
城までは陣を変えて戻った方がいいだろう」
「そうだな
直ちに隊を編成し直す」
その後目立った襲撃はなく無事城へと着いた
1年ぶりの帰国
早速王へと謁見するため王の間に向かう
玉座にはすでに王がいた
前に出てナインは膝をついた
「無事で何より」
「全く
イカサマ負けの代償にしては骨が折れたぜ
じいさん
姫さんの無茶で何度大変な思いをしたことか」
「そう言うな
娘からもお主の働きの報が多くてな
あの子もお主には心を開いているようだ」
「ただの番犬くらいにしか思ってねーよ」
「そんな事は無い
どうだこれからも姫の護衛を」
「約束は1年
それにこれからは俺の本当の目的のために動かないと」
「奴の情報はえられたか?」
「具体的な物はなかったよ
ただ十分な情報網は築いてきた」
「そうか
これでまた傭兵生活に戻るには残念だが仕方ないな
だがたまにはこちらに顔を出すのだぞ
また狩り勝負なぞな」
「はい
わかりましたよ」
ナインはホームタウンに戻ってきた
街の名は『アルカディア』
理想郷の名を持つこの町は
皮肉にも傭兵のたまり場となっていた
帰るなりナインは気付く
いつもと空気が違う事に
いつもは猥雑な活気のある街が
静まり帰っている
じっと獲物を狩るために
張り詰めた空気
一発の銃弾がそれを破壊した
「走れイザナミ!」
黒竜は一瞬で加速しその場を離れる
襲撃?
続けざまにマシンガンの弾幕音
「てめーら!
誰に喧嘩売ってるのか分かってんのか!」
「死ね!
スペードナイン」
俺の名前は『ナイン・スペード』だ!
せめて殺しに来た相手の名前くらい正確に覚えて来い
それくらいが最低限の礼儀だろうが
「しかし
奴ら
俺を元トランプと分かってて攻撃してやがんのか」
「ここがお前の墓場だ!」
「さっさと死にやがれ!」
「お前の墓場はここだ!」
しかしどーしてこの手の連中はボキャブラリーが無いのだろうか
かぶってる奴もいるし
ま
しゃれた事言える奴はこんな仕事してないで
スーツでも着てデスクワークしてるわな
両手に愛銃ラッキーストライクを二丁持ち
戦闘用のスイッチを入れる
「人違いならまだしも
俺と知ってくるとはとんだ命知らずか大馬鹿野郎か」
敵の気配を確認する
「さてイザナミ
家に帰るまでが遠足ですよ」
イザナミが駆ける
すぐさま二つの影をとらえ
手にした銃で撃ち抜く
2つ
数は今2つとったから
残りは11……か
覚えのある気配は
ない
しかも素人か?
命を狙われる身に覚えは……
ある
死ぬほどある
こんな稼業じゃ命狙われる恨みは
日に日に増えていくに決まってる
多分利子だってつくくらい
「てめーら誰の差し金だ!」
銃弾とわめく声しか返ってこない
「死ね!」
「くたばれ!」
本当に言葉を知らない連中だ
酒でも飲んでる暇があったら本を読め
本を
「とりあえずもう少し数を減らしておくか」
再びイザナミが駆け
単発で
しかし的確にナインの銃弾は敵を屠っていく
3つ
4つ
5つ
「さーて次に死にたいやつは?」
そこにロケットランチャーが撃ち込まれる
爆音
煙が立ちこむ
「街中でそんなものうつんじゃねーよ!」
煙の向こうから3騎の竜が突っ込んで来る
だが一瞬でナインがそれらを仕留める
6つ
7つ
8つ
間髪空けずにマシンガンが撃ち込まれる
「おいおい
仲間が生きてるかもしれんのに見境なしか」
イザナミはそのマシンガンの射線をかわしつつ撃ち手に迫る
「狙って撃たなきゃ弾もったいないよ」
そう言いマシンガンの射手を撃ち抜く
9つ
残りは4つか
ここで大声でナインが言う
「どうすんのお前ら!」
静まりかえる
あっさりと7人の味方がやられ
どうやら残りの連中は雲を巻いて逃げた様だ
「一昨日来やがれ!」
ナインはそうどなりながら
倒した相手の体に近づき
持ち物を知らべる
すると内ポケットから一枚の紙が出てくる
それはナイン殺害の依頼書だった
額は1000万ギニー
「安!
せめて億からだろうが」
ふざけやがって
許すまじ
傭兵ギルドに向かう
「サッソ!
出て来い!」
「おやおや
これはお尋ね者の『スペードナイン』さんじゃありまえんか」
「ふざけるな
コラ
何だこれ!
安すぎんだろ!」
「僕もそう思いますよ
この額じゃ★4クラスの傭兵ですら動いてくれないでしょうにね」
「てめー
俺の死を望んでんのか」
「いやいや
上得意の『スペードナイン』さんに死なれては
こちらも商売あがったりですからね
あなたはある意味既にレジェンドですから」
「名前ちゃんと言えよ」
「だって面白いじゃないですか
金かけて報奨金首の名前間違えるってお馬鹿さんは」
「そのお馬鹿さんは誰なんだよ」
「それがさー
分からないんだよね」
「は?
それでも情報屋かよ!」
「情報屋じゃありません
私はあくまでも傭兵ギルドの職員です」
「つまり正規のオーダーじゃねーってことか」
「ご明察ー」
「で
いくらだ」
「そうですねー
じゃあ
ヴィルヘルム金貨5枚で」
「5枚!?
足元見やがって」
「いいんですよ
私はこのままでも
伝説のナインさんをやる
新たなるレジェンドの登場も
見てみたいですし」
「分かったよ!
明日持ってくる」
「まいどありー」
ナインは自宅に戻った
自宅は切り立った断崖の上にあり
イザナミほどの機動力を持った竜がいなければ
到底たどり着けない場所である
「やっぱ家が一番落ち着く
なイザナミ」
相棒の竜のイザナミがゆっくりうなずきあくびをした
「まったく1年仕事を終えて
明日は久々のオフと思っていたのに」
傭兵は金がかかる
武器
竜
そして情報
1000万ギニーの仕事はせいぜい
★2か★3クラスの傭兵の仕事である
翌日
再び傭兵ギルド
「ヘセミセ・ドッガ?
だれだそれ!」
「貿易商だそうですよ」
「なんでそいつが俺を」
「なんでも昔トランプ傭兵団に取引を潰されたんだそう」
「何年前で何の取引だ
もっと正確な情報よこせよ」
「ああ
ごめんなさいね
えーと
7年前のアヘン取引だって
場所は東欧」
「7年前の東欧遠征か
俺それに参加してねーぞ」
「とにかくトランプの一味なら誰でもいいそうです
報酬は一人につき1000万
それで
その雑なオーダーリストの中に
ナインさんの名前も入っちゃってたと」
「完全に
逆恨みじゃねーかよ!」
「はっはっはっ」
「笑いごとじゃねー
で
そいつは今どこに」
「はいこちらに」
その紙を受け取りナインはギルドの出口に向かう
「どちらに?」
「決まってるだろ
今からそいつを潰してくる」
「いってらっしゃーい」
「クソ!
せっかくのオフが!」
門番を倒して中に入る
「せっかくのオフが!」
わらわらとくる傭兵を一掃する
「クソ!
俺のオフを!」
「でね
俺その遠征に参加してないの
分かる?
団がやったからって
狙われてたらキリがねーでしょーが」
小太りの貿易商ドッカを膝まづかせ
頭に銃を突きつけ問答をしている
奥で固まっている秘書と思しき男を見つける
「ちょっと!
あんた!
そこのあんだ
あんた秘書でしょ
こっち来て!」
びくびくして動けない秘書に発砲
「はやく!
時間がもったいない」
秘書がビクビクと近づいてきた
「とにかくさっさと
このオーダーを取り消す
新しいオーダーを出してほしーのよ」
「はい
おつかれさま
早速これ全国に伝えといて
あと
これ退職金」
「え
退職金とは?」
「もう今日限りこの仕事なくなるから」
「なくなるとは?」
「で
これはオフを台無しにされた代償」
ナインは貿易商ドッガの額を撃ち抜く
ドッカは絶命し
床に倒れた
「このオーダーがしっかり全国に伝わらなかったら
つまり
俺の所にまた刺客がきたら
あんたも殺しに行くからね」
ナインはニコっと笑って秘書の肩をポンと叩く
「じゃあ
よろしく!」
呆けた顔の秘書
「ほら
早く行った行った
死にたくないでしょ」
秘書は慌ててその仕事にとりかかった
「まったく
貿易商のクセに
なんでこんなに爆弾を抱え込んでるかねー
戦争でもする気かよ」
ナインは倉庫にあった大量の爆弾と爆薬を屋敷のあちこちに配置した
鼻歌混じりで楽しそうに
♪ロンド橋落ちた落ちた落ちた
♪ロンド橋落ちたロンドン橋
「いくぞイザナミ」
うなずく相棒
ナインの発砲
一つ目の爆発
そして次々と誘爆していく
崩れ落ちる屋敷
「まったく
なんてオフなんだよ」
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