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第6話 アベンジャーキッド
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ナインの目の前に包丁を持った子供がいる
「おいガキ
そりゃ台所でママが使うもんだろうが
外に持ち出しちゃだめだろう」
「うるさい!
死ね!」
包丁を正面構え突っ込んで来る
ナインはその包丁を持っていたリンゴで受け止め
子供の手を掴み捻り上げた
そしてそのまま仰向けで倒し
馬乗りになる
ここまで一瞬の出来事
「いいか小僧
包丁ってのはな
こう使うんだよ」
そう言ってリンゴの皮をむく
皮を一筋でむききった
我ながら素晴らしい腕だという顔をしている
「で
誰に頼まれた」
「うるさい!
かーちゃんを返せ!」
「はぁ?」
元々居た飯屋の奥に陣取り詳しく話を聞くため
他の客を追い出した
店主にはすごい文句を言われたが
ナインも飯の途中だしと強引に諦めてもらった
カジノタウンでの怪盗団殲滅の後
イザナミは無事脱皮した
基本的にドラゴンは成長のために脱皮するが
特にサイズは変わっていない
変化が無いかナインはアルマと調べたが
鱗の硬さなどには変化は見られない
ただスピードが増した気がする
ナインは「軽くなったかな?」
くらいにしか思っていなかった
抜け殻は研究をするとアルマが預かり
調査が終わったら
元団員の防具職人に送り加工しておくと話は決まった
まだまだ謎の多いイザナミだけに
アルマも気になっているらしい
ナインもやっとミネルバから解放され
久しぶりにホームタウンに戻る途中で
カジノタウン滞在中に受けた
ある仕事のために立ち寄った街での出来事だ
子供を椅子に縛りつける
「つまり
一年前にお前のかーちゃんが殺されたってことか?」
「……」
「答えろガキ」
ほっぺを軽く叩く
「いてーな!
そうだよ!」
「で
殺した奴は小型の竜に乗ってたってたと?」
「……」
再び黙る
またほっぺを叩く
「痛いだろう!」
「答えなさいって」
「そうだよ!」
「で
俺がそいつだと」
「死ね!」
ちょっと強めに頭を叩く
「叩くな!」
「お前なー
それだけの一致点でよく俺だと思ったな」
「だってそもそも傭兵なんてこのあたりにはあまり来ないし
小型の竜なんて珍しいし」
「そいつの特徴を冷静になって思い出してみろ」
「そういえば!」
「何だ?」
「こんなチビじゃなかった」
グーで力一杯頭を叩く
「痛いって言ってるだろ!」
「こっちは心が痛てーんだよ」
子供の家に向かった
「とーちゃんはどーしたんだ」
「かーちゃんが死んで酒ばっか飲んでる」
「そりゃ
よくねーな」
「今日もいつもの酒場にいるはず」
「よし行くか」
「どこにいくんだよ」
「決まってんだろ
子供のしつけは親にいわねーとな」
「無駄だよ」
酒場に入るなりナインは近くの酔っぱらいを力いっぱいぶん殴った
「なんだてめーは!」
「違う!」
子供が叫ぶ
「何が違う?」
「それとーちゃんじゃない」
「は!?」
ナインは今殴った相手の方を向き
「えーと
すまん」
と詫びを入れ立ち去ろうとする
「すまんじゃねーだろ小僧が!」
「小僧じゃねー
もう23だこのやろう」
殴られる
「くそ」
「どいつだとーちゃんは!」
「あれだよ」
つかつかと近づきぶん殴る
子供の父親は椅子から倒れる落ちる
「なんだ突然!」
「なんだじゃねーよこのやろー!
俺は人違いでお前のガキに刺されそうになったんだよ!」
倒れた親父にまたがり
「聞かせろ
何があったか」
「領主の息子が俺の妻の事を気に入ったが
結婚していると断ったんだ」
「で」
「奴にやとわれた傭兵に殺された」
「は!?
なんだそれ!
んなもん役所に届けて裁いてもらえばいいだろう」
「役所には言ったさ
何度もな!
でもダメなんだ
領主は役所も丸め込んでいた
結局は事故って事で処理された」
「それでこのありさまか」
「そうさ
ここは掃きだめだ!」
「てめーがだよ!」
「なっ!?」
「ダメだダメだで昼間っから酒食らってよ
役所がダメなら州でも国でも訴えろや
それでもだめならてめーでやれ!」
「そんなこと
できる訳が……」
「このガキは人違いとはいえ
自分でどうにかしようとしたぜ
あんたよかよっぱど立派だぜ」
「力が無いんだよ
私には!
あんたの様な力が!
腕っぷしで生きているあんたら傭兵には
わかりゃしないんだ」
「力ってのは気の力なんだよ
要は胆力
強く望めば誰でも力なんて手に入んだよ」
「私は……」
「帰るぞ小僧
胸糞わりー」
子供の家に着く
「お前は傭兵なんだよな」
「ああ
それもトップレベルのな」
子供は奥に急いで向かい何かを抱えて戻って来た
手に持っていたのは豚の貯金箱
それをおもむろに床に叩きつけて壊す
沢山のコインが散らばった
「今はこれしかないけど
足りない分は後から稼いで返すから
頼む!
これであの領主の息子を殺してくれ!」
「ちなみになー
俺の仕事の最低額は1000万ギニーからだ」
「いっ!
……
働いて払う!
何年かかってでも!」
まっすぐ見てくる子供の目線を外し
ナインは散らばった小銭を集め始める
「まったく
俺がこんな格安で仕事を受けた事
他に言うんじゃねーぞ
今後の仕事に差し支えるからな」
「それじゃあ!」
「特別だ
そいつの眼前にお前を連れて行ってやる
ただしやるのはお前だ」
「……分かった」
集めた小銭を数える
「ヒーフーミー……
まぁ
弾薬代の足しくらいにはなるかな」
大きめのコインをいくつかポケットに入れる
「そうだ
お前の名前は?」
「アルフレッド
みんなにはアルって呼ばれてる」
ナインとアルはイザナミにまたがり
二人は領主の息子の屋敷の前に来た
「ご立派なこって
で警備にも金のかかっているのね
相当恨み買ってんなコレ」
「どうやって潜り込むの?」
「潜り込む?
違うな
殴りこむ時は
正々堂々正面からって相場が決まってる」
用心棒の竜乗りたちを蹴散らし進む
「す
すごい」
「だから言ったろ
トップレベルだってさ
舌噛むからあまりしゃべるなよ
アル!」
護衛の死体の山
その中に一人
震えながら立っている
「お前ら……
こんなことして
親父がただじゃおかねぇぞ!!!」
領主の息子だ
「親父は今関係ないだろ
おめーに話があんだよ
よしアル
ここまでが頼まれてた仕事だ」
アルフレッドは領主の息子の前に歩み出る
「1年前に
お前にかーちゃんを殺されたんだ
覚えているか!
名前はミランダだ!」
「ミランダ……
あぁ?
あの女のガキかよ
それがどうした」
領主の息子の頬を銃弾がかすめる
うっすらと赤い線となり
そこから血が流れた
「ひっ!」
慄く領主の息子
「それがどうしたじゃねーだろうが
人一人
子の親を殺させといてよ」
自分の血にたじろぐ領主の息子
「しょうがないだろう
俺様のアプローチを断った女なんて
生きてちゃダメだろーが!!!」
「なんだそれ」
ナインは持っていた銃をアルに渡す
「おら、やっちまえ」
アルフレッドはゆっくりと
銃口を領主の息子に向ける
「助けてくれ!
金ならいくらでもやる!
いくらでもだぞ!!!」
しばらくして
すっと銃口を下す
「どうした?」
「もういいよ
こんなクズ殺しても
かーちゃんは帰ってこない」
「そうか……
おいクズ
命拾いしたな
今後この親子に近寄るんだじゃねーぞ」
二人が部屋を立ち去ろうとした時
領主の息子が護衛の銃を拾い上げ
二人に向かって銃口を向ける
銃声
額に穴をあけ領主の息子がゆっくりと倒れた
「まったく
クズは死んでも治んねーか」
そう言ってナインは銃をホルスターにしまった
「よし
領主に話をつけに行くぞ」
「つー訳で
おたくの『バカ息子』がこのいたいけな少年の母親を
独りよがりの偏愛の末の逆恨みから殺したので
その報復をしました」
「貴様……
こんなことをして……
ただで済むと思っているのかぁ!!!」
「当然ですよね
なのでこの親子に慰謝料としてそれ相応の金額を……」
「貴様!
分かっているのかと言っている!!!」
「表に出れば今回の件は……」
「残念だったな
このあたりの役所はワシの言いなり
直ちに貴様らにを血祭りだ!!!」
「そろいもそろって
この子にしてこの親ありですか?」
「俺も大事な事をいくつか教えてやる」
「一つ
そんな命令を出す前に
俺はあんたを殺せます」
「二つ
俺の傭兵ランクは★5
つまりそこらの一個中隊くらい一瞬で消せる
庭見ればわかんだろバカでも理解できるよな」
広い中には軍隊とも称されていた
領主自慢の傭兵団の死体の山ができている
「つまり
さっさと金払えって言ってんの
で
今後はおとなしくしてなさいって事
おわかり?」
「だまれ!!!
ゆるさんぞ!!!」
銃声
「ひぃ!」
「聞こえてねーなら耳落とすぞクソジジィ」
ナインの銃弾が領主の耳を軽く焼いた
「だまれだまれまれ!!!!」
「あー
もう
わかんなくなっちゃんてんね
じゃあ蔵から勝手にお金もらっていくから」
二人が部屋のドアに向かった瞬間
領主は警備の銃を拾い持ち上げる
「死ね!」
「まったく
親子そろって」
額を撃ち抜かれた領主は倒れた
金庫室
「よし
金もらって帰るぞ」
物色するまでもなく金目の物があふれていた
「うわぁ
ため込んでんな
こりゃ沢山の恨みも買うわけだ」
ぼーっと立っているアルに向かい
「ほら
国軍に没収される前に持っていかねーと」
持ってきた鞄に色々と詰める
「今回の仕事分と
ほら
お前の取り分
慰謝料ってやつだ」
金の入った包みをアルに投げる
「オイラが言うのも何なんだけど
こんなことして
大丈夫なのかな?」
「ほんとだよな
こんなにため込みやがって」
「じゃなくて!
僕たちが
というかあんたが!」
「あぁ問題ねぇよ
元々ここの領主の重税に対して
中央に訴えが上がっててな
その調査のために俺来たんだわ」
「その話本当か!」
「言ったろ
★5ランクなもんで
こんな厄介な政治事にも巻き込まれるんだわ
今回は調査の中で
領主が俺の口封じを計画
俺が返り討ち
正当防衛
って事にしておくわ」
「そんな
無茶苦茶な話が通るの?」
「大丈夫
なんてったって俺★5だから」
「そんな無茶な話が通るか!!」
「何とか
頼むよ隊長様
実際奴らろくでもない奴らだったし」
「だからって皆殺しがあるか!!
そもそも
調査の名目で依頼したのに」
ここは中央正規軍
国の中心たるセインツ(聖竜騎士団)の隊長室
隊長のランスロットとナインは姫様の留学の際に
共に護衛任務にあたっていた
ランスロットは若くして名誉あるセインツの隊長に任命されたが
度重なる心労で髪には白いものが混じり始めていた
ナインはその護衛任務時の活躍で
隊長から正式なセインツに誘われたが
個人的な目的のために傭兵稼業にまた戻っている
「まったく
お前がセインツにいれば
何とかかばえる事も出来たが
今はもうお前は一介の傭兵なんだ」
「だからこうしてお願いに来てるんじゃない」
「これきりだからな!!」
「心がけます!!」
笑顔で敬礼
「お前絶対またやる気だろ」
「おいガキ
そりゃ台所でママが使うもんだろうが
外に持ち出しちゃだめだろう」
「うるさい!
死ね!」
包丁を正面構え突っ込んで来る
ナインはその包丁を持っていたリンゴで受け止め
子供の手を掴み捻り上げた
そしてそのまま仰向けで倒し
馬乗りになる
ここまで一瞬の出来事
「いいか小僧
包丁ってのはな
こう使うんだよ」
そう言ってリンゴの皮をむく
皮を一筋でむききった
我ながら素晴らしい腕だという顔をしている
「で
誰に頼まれた」
「うるさい!
かーちゃんを返せ!」
「はぁ?」
元々居た飯屋の奥に陣取り詳しく話を聞くため
他の客を追い出した
店主にはすごい文句を言われたが
ナインも飯の途中だしと強引に諦めてもらった
カジノタウンでの怪盗団殲滅の後
イザナミは無事脱皮した
基本的にドラゴンは成長のために脱皮するが
特にサイズは変わっていない
変化が無いかナインはアルマと調べたが
鱗の硬さなどには変化は見られない
ただスピードが増した気がする
ナインは「軽くなったかな?」
くらいにしか思っていなかった
抜け殻は研究をするとアルマが預かり
調査が終わったら
元団員の防具職人に送り加工しておくと話は決まった
まだまだ謎の多いイザナミだけに
アルマも気になっているらしい
ナインもやっとミネルバから解放され
久しぶりにホームタウンに戻る途中で
カジノタウン滞在中に受けた
ある仕事のために立ち寄った街での出来事だ
子供を椅子に縛りつける
「つまり
一年前にお前のかーちゃんが殺されたってことか?」
「……」
「答えろガキ」
ほっぺを軽く叩く
「いてーな!
そうだよ!」
「で
殺した奴は小型の竜に乗ってたってたと?」
「……」
再び黙る
またほっぺを叩く
「痛いだろう!」
「答えなさいって」
「そうだよ!」
「で
俺がそいつだと」
「死ね!」
ちょっと強めに頭を叩く
「叩くな!」
「お前なー
それだけの一致点でよく俺だと思ったな」
「だってそもそも傭兵なんてこのあたりにはあまり来ないし
小型の竜なんて珍しいし」
「そいつの特徴を冷静になって思い出してみろ」
「そういえば!」
「何だ?」
「こんなチビじゃなかった」
グーで力一杯頭を叩く
「痛いって言ってるだろ!」
「こっちは心が痛てーんだよ」
子供の家に向かった
「とーちゃんはどーしたんだ」
「かーちゃんが死んで酒ばっか飲んでる」
「そりゃ
よくねーな」
「今日もいつもの酒場にいるはず」
「よし行くか」
「どこにいくんだよ」
「決まってんだろ
子供のしつけは親にいわねーとな」
「無駄だよ」
酒場に入るなりナインは近くの酔っぱらいを力いっぱいぶん殴った
「なんだてめーは!」
「違う!」
子供が叫ぶ
「何が違う?」
「それとーちゃんじゃない」
「は!?」
ナインは今殴った相手の方を向き
「えーと
すまん」
と詫びを入れ立ち去ろうとする
「すまんじゃねーだろ小僧が!」
「小僧じゃねー
もう23だこのやろう」
殴られる
「くそ」
「どいつだとーちゃんは!」
「あれだよ」
つかつかと近づきぶん殴る
子供の父親は椅子から倒れる落ちる
「なんだ突然!」
「なんだじゃねーよこのやろー!
俺は人違いでお前のガキに刺されそうになったんだよ!」
倒れた親父にまたがり
「聞かせろ
何があったか」
「領主の息子が俺の妻の事を気に入ったが
結婚していると断ったんだ」
「で」
「奴にやとわれた傭兵に殺された」
「は!?
なんだそれ!
んなもん役所に届けて裁いてもらえばいいだろう」
「役所には言ったさ
何度もな!
でもダメなんだ
領主は役所も丸め込んでいた
結局は事故って事で処理された」
「それでこのありさまか」
「そうさ
ここは掃きだめだ!」
「てめーがだよ!」
「なっ!?」
「ダメだダメだで昼間っから酒食らってよ
役所がダメなら州でも国でも訴えろや
それでもだめならてめーでやれ!」
「そんなこと
できる訳が……」
「このガキは人違いとはいえ
自分でどうにかしようとしたぜ
あんたよかよっぱど立派だぜ」
「力が無いんだよ
私には!
あんたの様な力が!
腕っぷしで生きているあんたら傭兵には
わかりゃしないんだ」
「力ってのは気の力なんだよ
要は胆力
強く望めば誰でも力なんて手に入んだよ」
「私は……」
「帰るぞ小僧
胸糞わりー」
子供の家に着く
「お前は傭兵なんだよな」
「ああ
それもトップレベルのな」
子供は奥に急いで向かい何かを抱えて戻って来た
手に持っていたのは豚の貯金箱
それをおもむろに床に叩きつけて壊す
沢山のコインが散らばった
「今はこれしかないけど
足りない分は後から稼いで返すから
頼む!
これであの領主の息子を殺してくれ!」
「ちなみになー
俺の仕事の最低額は1000万ギニーからだ」
「いっ!
……
働いて払う!
何年かかってでも!」
まっすぐ見てくる子供の目線を外し
ナインは散らばった小銭を集め始める
「まったく
俺がこんな格安で仕事を受けた事
他に言うんじゃねーぞ
今後の仕事に差し支えるからな」
「それじゃあ!」
「特別だ
そいつの眼前にお前を連れて行ってやる
ただしやるのはお前だ」
「……分かった」
集めた小銭を数える
「ヒーフーミー……
まぁ
弾薬代の足しくらいにはなるかな」
大きめのコインをいくつかポケットに入れる
「そうだ
お前の名前は?」
「アルフレッド
みんなにはアルって呼ばれてる」
ナインとアルはイザナミにまたがり
二人は領主の息子の屋敷の前に来た
「ご立派なこって
で警備にも金のかかっているのね
相当恨み買ってんなコレ」
「どうやって潜り込むの?」
「潜り込む?
違うな
殴りこむ時は
正々堂々正面からって相場が決まってる」
用心棒の竜乗りたちを蹴散らし進む
「す
すごい」
「だから言ったろ
トップレベルだってさ
舌噛むからあまりしゃべるなよ
アル!」
護衛の死体の山
その中に一人
震えながら立っている
「お前ら……
こんなことして
親父がただじゃおかねぇぞ!!!」
領主の息子だ
「親父は今関係ないだろ
おめーに話があんだよ
よしアル
ここまでが頼まれてた仕事だ」
アルフレッドは領主の息子の前に歩み出る
「1年前に
お前にかーちゃんを殺されたんだ
覚えているか!
名前はミランダだ!」
「ミランダ……
あぁ?
あの女のガキかよ
それがどうした」
領主の息子の頬を銃弾がかすめる
うっすらと赤い線となり
そこから血が流れた
「ひっ!」
慄く領主の息子
「それがどうしたじゃねーだろうが
人一人
子の親を殺させといてよ」
自分の血にたじろぐ領主の息子
「しょうがないだろう
俺様のアプローチを断った女なんて
生きてちゃダメだろーが!!!」
「なんだそれ」
ナインは持っていた銃をアルに渡す
「おら、やっちまえ」
アルフレッドはゆっくりと
銃口を領主の息子に向ける
「助けてくれ!
金ならいくらでもやる!
いくらでもだぞ!!!」
しばらくして
すっと銃口を下す
「どうした?」
「もういいよ
こんなクズ殺しても
かーちゃんは帰ってこない」
「そうか……
おいクズ
命拾いしたな
今後この親子に近寄るんだじゃねーぞ」
二人が部屋を立ち去ろうとした時
領主の息子が護衛の銃を拾い上げ
二人に向かって銃口を向ける
銃声
額に穴をあけ領主の息子がゆっくりと倒れた
「まったく
クズは死んでも治んねーか」
そう言ってナインは銃をホルスターにしまった
「よし
領主に話をつけに行くぞ」
「つー訳で
おたくの『バカ息子』がこのいたいけな少年の母親を
独りよがりの偏愛の末の逆恨みから殺したので
その報復をしました」
「貴様……
こんなことをして……
ただで済むと思っているのかぁ!!!」
「当然ですよね
なのでこの親子に慰謝料としてそれ相応の金額を……」
「貴様!
分かっているのかと言っている!!!」
「表に出れば今回の件は……」
「残念だったな
このあたりの役所はワシの言いなり
直ちに貴様らにを血祭りだ!!!」
「そろいもそろって
この子にしてこの親ありですか?」
「俺も大事な事をいくつか教えてやる」
「一つ
そんな命令を出す前に
俺はあんたを殺せます」
「二つ
俺の傭兵ランクは★5
つまりそこらの一個中隊くらい一瞬で消せる
庭見ればわかんだろバカでも理解できるよな」
広い中には軍隊とも称されていた
領主自慢の傭兵団の死体の山ができている
「つまり
さっさと金払えって言ってんの
で
今後はおとなしくしてなさいって事
おわかり?」
「だまれ!!!
ゆるさんぞ!!!」
銃声
「ひぃ!」
「聞こえてねーなら耳落とすぞクソジジィ」
ナインの銃弾が領主の耳を軽く焼いた
「だまれだまれまれ!!!!」
「あー
もう
わかんなくなっちゃんてんね
じゃあ蔵から勝手にお金もらっていくから」
二人が部屋のドアに向かった瞬間
領主は警備の銃を拾い持ち上げる
「死ね!」
「まったく
親子そろって」
額を撃ち抜かれた領主は倒れた
金庫室
「よし
金もらって帰るぞ」
物色するまでもなく金目の物があふれていた
「うわぁ
ため込んでんな
こりゃ沢山の恨みも買うわけだ」
ぼーっと立っているアルに向かい
「ほら
国軍に没収される前に持っていかねーと」
持ってきた鞄に色々と詰める
「今回の仕事分と
ほら
お前の取り分
慰謝料ってやつだ」
金の入った包みをアルに投げる
「オイラが言うのも何なんだけど
こんなことして
大丈夫なのかな?」
「ほんとだよな
こんなにため込みやがって」
「じゃなくて!
僕たちが
というかあんたが!」
「あぁ問題ねぇよ
元々ここの領主の重税に対して
中央に訴えが上がっててな
その調査のために俺来たんだわ」
「その話本当か!」
「言ったろ
★5ランクなもんで
こんな厄介な政治事にも巻き込まれるんだわ
今回は調査の中で
領主が俺の口封じを計画
俺が返り討ち
正当防衛
って事にしておくわ」
「そんな
無茶苦茶な話が通るの?」
「大丈夫
なんてったって俺★5だから」
「そんな無茶な話が通るか!!」
「何とか
頼むよ隊長様
実際奴らろくでもない奴らだったし」
「だからって皆殺しがあるか!!
そもそも
調査の名目で依頼したのに」
ここは中央正規軍
国の中心たるセインツ(聖竜騎士団)の隊長室
隊長のランスロットとナインは姫様の留学の際に
共に護衛任務にあたっていた
ランスロットは若くして名誉あるセインツの隊長に任命されたが
度重なる心労で髪には白いものが混じり始めていた
ナインはその護衛任務時の活躍で
隊長から正式なセインツに誘われたが
個人的な目的のために傭兵稼業にまた戻っている
「まったく
お前がセインツにいれば
何とかかばえる事も出来たが
今はもうお前は一介の傭兵なんだ」
「だからこうしてお願いに来てるんじゃない」
「これきりだからな!!」
「心がけます!!」
笑顔で敬礼
「お前絶対またやる気だろ」
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