僕らの10パーセントは無限大

華子

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ホームレスのテメさんと、ココアサイダー味の飴と

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「色々は聞いてない。だけど昔一緒に住んでた家族から、『テメエ』の『テメ』ってあだ名をつけられたって話は聞いた。それだけでも、可哀想じゃない?」
「その家族って、誰」
「そ、それは知らないけど……たぶん、親とか?」
「たぶんってなんだよ。それって和子の予想ってこと?」
「うん」
「それじゃあもしかしたら姉や弟、嫁や息子かもしれないってわけか」
「そうだけど…それは誰でもよくないかな?家族は家族なんだから」
「テメって人は、そうやって呼んでくる相手のことをなんて呼んでるの?」
「そんなの知らないよっ」
「もしお互いに『テメエ』の『テメ』って呼び合ってるとしたら、そんなんおふざけか喧嘩と一緒で可哀想でもなんでもねーし、両成敗だと俺は思うけど」
「でも、テメさんだけがそう呼ばれてる確率だってあるっ」
「それは、確率だけの話だろ。どっちに転ぶかわかんねえ確率なんて、あってないよーなもんじゃん。そんなんで人のこと、勝手に可哀想って決めつけんのやめろよ」

 そこで返す言葉を失ったわたしは、ぐぐっと下唇を噛んで黙った。

 どうしてユーイチに、ここまで責められるのかがわからなかった。わたしはただ、今日あった出来事と、今日感じたことを聞いてほしかっただけなのに。

 ちーちゃん……

 一瞬にして、ちーちゃんの声が聞きたくなる。ちーちゃんはわたしと話す時、こんな風に尖った言い方はしてこない。

 ユーイチを、言い負かしてやりたい。

 そんな子どもじみた気持ちが前に出た。

「だってさ、わたしは誰が見たって可哀想でしょ」
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