原田くんの赤信号

華子

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原田くんは、赤信号みたいな人だ

赤色が似合う原田くん3

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「でもさ。俺思うんだけど」

 やっと手に取ったのは、小さな星が散りばめられたエメラルドグリーン色の包装紙。それを眺めていると、隣で原田くんが言ってくる。

「なんとなく欠かせないものが、本当に好きなものなんだろうな」
「欠かせない?」
「そ。人生に欠かせないもの」

 人生に欠かせないもの。これはまた唐突に、深い話を。

「ふうん」

 わたしは今ようやく、エレン先生が好みそうな包装紙を発見できたから、できればこっちに集中したい。原田くんは、続ける。

「俺の人生にはたぶん赤色って欠かせないんだよ。赤が身近にあると、なんとなくヤル気が出たりテンションが上がったりする。だから無意識に、赤色を選んでるのかも」
「ふうん」
「好きだとは思ってなかったけど、好きって意味だよなこれって」
「ふうん」
「おい瑠夏、聞いてる?」

 エメラルドグリーン一色だった視界に、ぬるっと原田くんの顔が侵入して来た。

「ちゃんと聞けよ、人の話っ」

 少々ご立腹な原田くん。わたしは包装紙を置いた。

「ちゃんと聞いてたよ」
「うそこけ、うわの空だったじゃん」
「ほんとに聞いてたってば。原田くんは赤色が好きだって話でしょう?」

 エメラルドグリーンのその隣。目に入った赤色のものを取って、わたしは原田くんの顔の横に持っていく。

「な、なんだよ」

 原田くん、赤。原田くん、赤。うん、いい感じ。

「すごく合ってる。原田くんは、やっぱり赤が一番似合うねっ」

 本当に、そう思った。
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