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原田くんは、諦めない人だ
原田くんとわたし4
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え。
原田くんをフりまくった記憶はないから、きょとんとする。原田くんは、クスッと笑う。
「瑠夏は覚えてないよ。だってそれ、俺が戻った過去での出来事だから」
「そう、なの?」
「何回も瑠夏に好きだって告白したんだぜ、俺。なのにぜーんぶ撃沈。理由はもっぱら、『わたしはエレン先生が好きだから』って」
衝撃的な情報に、わたしは口を手で覆う。
「うそ……」
は、つかない原田くんだと知っているけれど。
「うそ、でしょ?」
と、反射的に聞いてしまった。
「うそじゃないよ、ほんとほんと。過去に戻って、瑠夏を助けようとしてるうちに、どんどん好きになっていった。瑠夏といると、ヤル気がでたりテンションが上がったりすることに気付いたんだ。俺にとって瑠夏は赤色と同じだったんだ。なんとなく、人生に欠かせない人。だからきっと、いちクラスメイトの俺なんかが、瑠夏のために過去に戻ることもできたんだよ」
信じられない、その真実。胸にじーんと、温かいものが染み渡っていく。わたしは今、感動している。
「何度告白しても、瑠夏はいっつもエレン先生を選んでいた。何度引き止めても、瑠夏は俺のことなんか見向きもしない。だからもう今回は、瑠夏と両思いになりたいなんて、恋人同士になりたいなんて望まないようにしてたのに……」
そこで一度、下唇を噛んだ原田くん。ビターに笑って、少し涙ぐんで。
「瑠夏も俺を好きになってくれたなら、もう望まずにいられないじゃんかっ。俺は瑠夏のことが大好きです。だから瑠夏、俺と付き合って」
その瞬間に、やんだ雨。雲間を抜けた陽の光が、サーチライトのように降り注ぐ。きらきらと輝く原田くんの笑顔は、やっぱり太陽に負けないくらい眩しくて。そして、尊いと思った。
傘を下ろした原田くん。彼の手をとり、わたしは言う。
「わたしも原田くんのことが大好きです。わたしと付き合ってくださいっ」
原田くんをフりまくった記憶はないから、きょとんとする。原田くんは、クスッと笑う。
「瑠夏は覚えてないよ。だってそれ、俺が戻った過去での出来事だから」
「そう、なの?」
「何回も瑠夏に好きだって告白したんだぜ、俺。なのにぜーんぶ撃沈。理由はもっぱら、『わたしはエレン先生が好きだから』って」
衝撃的な情報に、わたしは口を手で覆う。
「うそ……」
は、つかない原田くんだと知っているけれど。
「うそ、でしょ?」
と、反射的に聞いてしまった。
「うそじゃないよ、ほんとほんと。過去に戻って、瑠夏を助けようとしてるうちに、どんどん好きになっていった。瑠夏といると、ヤル気がでたりテンションが上がったりすることに気付いたんだ。俺にとって瑠夏は赤色と同じだったんだ。なんとなく、人生に欠かせない人。だからきっと、いちクラスメイトの俺なんかが、瑠夏のために過去に戻ることもできたんだよ」
信じられない、その真実。胸にじーんと、温かいものが染み渡っていく。わたしは今、感動している。
「何度告白しても、瑠夏はいっつもエレン先生を選んでいた。何度引き止めても、瑠夏は俺のことなんか見向きもしない。だからもう今回は、瑠夏と両思いになりたいなんて、恋人同士になりたいなんて望まないようにしてたのに……」
そこで一度、下唇を噛んだ原田くん。ビターに笑って、少し涙ぐんで。
「瑠夏も俺を好きになってくれたなら、もう望まずにいられないじゃんかっ。俺は瑠夏のことが大好きです。だから瑠夏、俺と付き合って」
その瞬間に、やんだ雨。雲間を抜けた陽の光が、サーチライトのように降り注ぐ。きらきらと輝く原田くんの笑顔は、やっぱり太陽に負けないくらい眩しくて。そして、尊いと思った。
傘を下ろした原田くん。彼の手をとり、わたしは言う。
「わたしも原田くんのことが大好きです。わたしと付き合ってくださいっ」
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