2 / 12
無口な狼は魔王様とデートはしない
しおりを挟む
「お、おはよう、怜!」
「なんでいきなり怜なんですか、昨日まで龍ヶ崎だったのに。」「あ、あんたが私のことを気安く魔王様なんて言うからじゃない!」
今日の白崎は妙によそよそしい。「まあ別にいいですけど。」
嫌じゃないからね。
「白崎、いいこと教えてやるよ、そいつ、人が嫌いなんだよ、関わんないほうがいいぞ!」
「うるさいわね!怜の事悪く言うのやめてくれる?怜のこと何もわかってないくせに。」
その言葉が嫌だったのか、相手は顔を歪ませた。
「ちっ、悪かったよ、勝手にしろ。」
ちなみに今白崎に話しかけてきたのは学校一モテると言われている花川蓮だ。そんなやつに対抗するとはさすが…
「白崎さん、ちょっとー。」
「はーい!」
白崎は転校してきたばかりで忙しい。書類やら教科書やらたくさん用意するものもあるらしい。
「ねえ、なんで龍ヶ崎くんはあの子とだけ仲良くするの?」
げ、めんどくさいやつだ。答えないままじっと遠くを見つめる。廊下の方からバタバタと足音が聞こえた。白崎が手を振って叫んでいる。
「れーい!」
いっせいにクラスの奴らの視線が俺に集中する。思わず下を向いてしまった。
「もー、怜ってば!」
白崎は不機嫌そうにこっちへ歩いてきた。
「龍ヶ崎くんには近づかないでくださいーい。」
「えっ?」
思わず声が漏れた。
「は?怜はあんただけのものじゃないんですけど!」
「その言葉、そっくりそのままお返しします。」
「なっ!」
やばい。喧嘩になった。でも俺が入ることは許されない。
「ブスは近づくな!」
「きゃっ!」
威力がすごかったのか、押された白崎は俺の机の2つ前の机の辺りまで飛んでった。
「な、何すんのよ!」
「別に~?ブスが近づくと龍ヶ崎くんが可哀想だから!」
「なっ、そんな訳…」
最後の方は聞き取れないほど小さかった。もしかしたら…と思ってしまったのかもしれない。
「あんた、私が誰か分かってる?委員長だよ?委員長に口ごたえしたらどうなるか…」
「だったら、委員長らしくしなよ!委員長はこんなことしないよ!」
「黙れブス!龍ヶ崎くんはお前のことなんてなんとも思ってねーっつうの!」
白崎は俺の方を見た。助けて、という表情と委員長が言ってることはほんとなの?、という表情が読み取れた。
「あんたなんて、転校生だから可愛がってもらえてるだけだからね。」
白崎は何も言い返せなくなった。委員長が言ってることはウソだ。でも白崎は…
「消えろよブース!」
プツン。あ、ダメだ。
「お前のほうがブスだよ。」
「えっ?」
もう、抑えられない。
「委員長ならもっと委員長らしくできねーわけ?人傷つけてよく委員長だって名乗ってられるよな、お前のほうがブスだぜ?」
全部俺が言ってるんだ。これは委員長と白崎の会話じゃない。
「ほら、立てよ白崎。」
「あっ…」
白崎は俺を見た。その目は涙でいっぱいだった。嬉しいのやら悲しいのやら、全部混ざってた。
「行くぞ、白崎。」
「あっ、怜っ。」
俺は白崎を連れて教室を飛び出した。
「龍ヶ崎くん!」
そんな言葉が聞こえた気がした。でも俺は止まらず進み続けた。
「怜っ!」
白崎に呼ばれて俺は我に返った。「あ、ごめ…」
「ありがとう!」
ちょっ、抱きつくなっ。声には出せないけどちょっと嫌そうな表情をしてみせた。
「ひどいっ、せっかくありがとうって言ったのに。」
白崎は一生懸命膨れっ面をしてみせた。ばればれだよ…
「ごめんな、自分が止められなくて…白崎まで巻き込んじまってさ。1時限目は西岡先生の授業だから理由言えば許してもらえるだろうし…」
「ぜんぜん怜は悪くないよ!ねえ、委員長が言ってたことほんとなの?」
少し不安そうだ。
「ちがう。全部ちがう。」
白崎の顔がみるみるうちに笑顔になった。
「じゃあ、怜が私のこと嫌いってのも嘘でホントは好きなのね!?」
「好きではないです。」
「ひどいっ!」
こんな会話すらしたことの無かった俺にはとても楽しい時間に思えた。
「あ、あのさ。今週の日曜、空いてる?遊びに行かない?」
「それってデートですよね?」「違う!遊びに行くの!」
遊びにいくのとデートって同じだよな…いつもなら断ってる。白崎は昨日一日でそれは分かったはずだ。でも、なぜか俺の口から出たのは意志とは全く反対の言葉だった。
「空いてますよ。」
「えっ!」
白崎もビックリしたみたいだ。俺自身もビックリしている。なんせ、思ってもいないことが口から出たのだ。
「あ、違う違う!」
でも、もう遅かった。そういえば白崎はめんどくさいやつだった。「ありがとう、怜!それじゃあ日曜の朝11時に駅前集合ね!」
あーもう!
「分かりました。時間通りに来ないと帰りますからね?」
「やったー!ありがとう!怜!」これはデートじゃない。遊びに行くだけだ。そう自分に言い聞かせた火曜日だった。
「なんでいきなり怜なんですか、昨日まで龍ヶ崎だったのに。」「あ、あんたが私のことを気安く魔王様なんて言うからじゃない!」
今日の白崎は妙によそよそしい。「まあ別にいいですけど。」
嫌じゃないからね。
「白崎、いいこと教えてやるよ、そいつ、人が嫌いなんだよ、関わんないほうがいいぞ!」
「うるさいわね!怜の事悪く言うのやめてくれる?怜のこと何もわかってないくせに。」
その言葉が嫌だったのか、相手は顔を歪ませた。
「ちっ、悪かったよ、勝手にしろ。」
ちなみに今白崎に話しかけてきたのは学校一モテると言われている花川蓮だ。そんなやつに対抗するとはさすが…
「白崎さん、ちょっとー。」
「はーい!」
白崎は転校してきたばかりで忙しい。書類やら教科書やらたくさん用意するものもあるらしい。
「ねえ、なんで龍ヶ崎くんはあの子とだけ仲良くするの?」
げ、めんどくさいやつだ。答えないままじっと遠くを見つめる。廊下の方からバタバタと足音が聞こえた。白崎が手を振って叫んでいる。
「れーい!」
いっせいにクラスの奴らの視線が俺に集中する。思わず下を向いてしまった。
「もー、怜ってば!」
白崎は不機嫌そうにこっちへ歩いてきた。
「龍ヶ崎くんには近づかないでくださいーい。」
「えっ?」
思わず声が漏れた。
「は?怜はあんただけのものじゃないんですけど!」
「その言葉、そっくりそのままお返しします。」
「なっ!」
やばい。喧嘩になった。でも俺が入ることは許されない。
「ブスは近づくな!」
「きゃっ!」
威力がすごかったのか、押された白崎は俺の机の2つ前の机の辺りまで飛んでった。
「な、何すんのよ!」
「別に~?ブスが近づくと龍ヶ崎くんが可哀想だから!」
「なっ、そんな訳…」
最後の方は聞き取れないほど小さかった。もしかしたら…と思ってしまったのかもしれない。
「あんた、私が誰か分かってる?委員長だよ?委員長に口ごたえしたらどうなるか…」
「だったら、委員長らしくしなよ!委員長はこんなことしないよ!」
「黙れブス!龍ヶ崎くんはお前のことなんてなんとも思ってねーっつうの!」
白崎は俺の方を見た。助けて、という表情と委員長が言ってることはほんとなの?、という表情が読み取れた。
「あんたなんて、転校生だから可愛がってもらえてるだけだからね。」
白崎は何も言い返せなくなった。委員長が言ってることはウソだ。でも白崎は…
「消えろよブース!」
プツン。あ、ダメだ。
「お前のほうがブスだよ。」
「えっ?」
もう、抑えられない。
「委員長ならもっと委員長らしくできねーわけ?人傷つけてよく委員長だって名乗ってられるよな、お前のほうがブスだぜ?」
全部俺が言ってるんだ。これは委員長と白崎の会話じゃない。
「ほら、立てよ白崎。」
「あっ…」
白崎は俺を見た。その目は涙でいっぱいだった。嬉しいのやら悲しいのやら、全部混ざってた。
「行くぞ、白崎。」
「あっ、怜っ。」
俺は白崎を連れて教室を飛び出した。
「龍ヶ崎くん!」
そんな言葉が聞こえた気がした。でも俺は止まらず進み続けた。
「怜っ!」
白崎に呼ばれて俺は我に返った。「あ、ごめ…」
「ありがとう!」
ちょっ、抱きつくなっ。声には出せないけどちょっと嫌そうな表情をしてみせた。
「ひどいっ、せっかくありがとうって言ったのに。」
白崎は一生懸命膨れっ面をしてみせた。ばればれだよ…
「ごめんな、自分が止められなくて…白崎まで巻き込んじまってさ。1時限目は西岡先生の授業だから理由言えば許してもらえるだろうし…」
「ぜんぜん怜は悪くないよ!ねえ、委員長が言ってたことほんとなの?」
少し不安そうだ。
「ちがう。全部ちがう。」
白崎の顔がみるみるうちに笑顔になった。
「じゃあ、怜が私のこと嫌いってのも嘘でホントは好きなのね!?」
「好きではないです。」
「ひどいっ!」
こんな会話すらしたことの無かった俺にはとても楽しい時間に思えた。
「あ、あのさ。今週の日曜、空いてる?遊びに行かない?」
「それってデートですよね?」「違う!遊びに行くの!」
遊びにいくのとデートって同じだよな…いつもなら断ってる。白崎は昨日一日でそれは分かったはずだ。でも、なぜか俺の口から出たのは意志とは全く反対の言葉だった。
「空いてますよ。」
「えっ!」
白崎もビックリしたみたいだ。俺自身もビックリしている。なんせ、思ってもいないことが口から出たのだ。
「あ、違う違う!」
でも、もう遅かった。そういえば白崎はめんどくさいやつだった。「ありがとう、怜!それじゃあ日曜の朝11時に駅前集合ね!」
あーもう!
「分かりました。時間通りに来ないと帰りますからね?」
「やったー!ありがとう!怜!」これはデートじゃない。遊びに行くだけだ。そう自分に言い聞かせた火曜日だった。
0
あなたにおすすめの小説
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました
小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」
二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。
第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。
それから二十年。
第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?
朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!
「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」
王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。
不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。
もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた?
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる