レベル99の帰宅部員

和ノ國

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帰宅の最善

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家には素晴らしさがある。
衣食が揃い。
娯楽がある。
プライベートの空間を有する。

社会とは別の世界。
家は安らぎと安寧を与えてくれる。

そう思い、帰宅部に入部した。

小学校の頃から、皆んなより早くを目標に帰宅を心掛けてきた。
あらゆる、帰宅ルートを作り、覚え、記録し、調査した。
その結果、小学5、6年生の頃には皆んなに負けることはなかった。

小学生の頃にできた最高の帰宅は「滑空」だった。
帰りの会が終わり、すぐさま屋上にから飛び降り
毎日持ってきている、傘で家まで翔んだ。
普通に帰宅する者は、地を歩き一歩一歩進む。
しかし、俺は空を飛び。
風を感じ帰宅した。
絶景、これが最高の帰宅だ。

中学生になった俺は「滑空」を失った。

理由は、成長による体重の増加だった。

滑空を失い、最速のすべを失い。
帰宅の道に暗雲がこもった。

迷った末に、出した結論。
それは。

「あらゆる手段を持っても最速の帰宅を目指す」
決意し。
中学は帰宅部に入部した。

まずは、いつものごとく帰宅ルートの模索と調査から始まった。
距離、時間をめあすにはじめた。

最短で短時間で帰宅ができるルートが一つだけあった。

「ルートC 直線ルート」だった。
学校から家まで、ほぼ家々の間を抜けていくような道になっている。

初めは、家のthe道を使おうと考えていたが。
しかし、俺はそれに深く疑問を覚え
「道は狭く細い、上を見上げ空を見れば、大きく広い道がある」と考え。
屋根の上を帰宅ルートにした。

しかし、これには大きな問題があった。
屋根から屋根へ移る際に飛ぶという行為が必要になる。
飛ぶ=滑空を失っている俺は果たして出来るのか。

良く考え、決めた。
「筋トレだ」

中学始めの頃は仕方なく、「ルートC」の次に早い地を歩く「ルートB」で帰宅した。

まあ、このルートでも側から見たら断然早く帰宅できた。
俺は、帰宅するとすぐに筋トレを始めた。
脚筋の強化、腕筋の強化と他もそれなりに鍛え続けた。
三ヶ月後
その結果、俺は最強の最速を手に入れた。

ホームルームが、終わり。
すぐに俺は学校を出て、目の前の家の塀を登り、屋根へと移る。

そこからは、飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ。
佐藤さん、高橋さん、鈴木さん、他にもたくさんの家の屋根をとんだ。

それから月日が経ち。
学校にも、帰宅にも十分に慣れが出てきた頃。

最悪な事態になった。
雨だ。それも、台風に直撃した。

それでも、学校は休校にはならず。
朝の電話はなく。
登校することになった。

俺は、なんとしてでも最速で帰宅したい。
しかし、新たな問題がある。
雨が降りかかる屋根は、危険である。
足が滑り、転落の恐れがあるということだ。

なに、ルートBがあるって言う意見があるかもしれないが。
しかし、そのルートは時期が経つにつれ使う生徒が多くなり。
最速を目指すには人が邪魔なのだ。

だから、全ルート不可能ということだ。
俺は考える。
最速で帰宅できる方法を

俺は、主婦である母にあるお願いをする。

今日の授業が終わり、ホームルーム始まる。

ここで俺は今日の秘策を開始する。
急いで、母に連絡をした。
「家を頼む」

ホームルームが終わり、俺は校舎を出て、家に着いた。

これは、家を移動させたのだ。

みなさんが想像する、大きな住宅と言える家は移動できないが。

俺は、キャンピングカーを頼んだのだ。
うちは貧乏ではない。
「なんとしてでも、最速の帰宅」
金がものが語る。

それが、帰宅部の意地だ。

帰宅部の部員は俺だけだが。
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