異世界における職普及

和ノ國

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第一話 スタートからの転機

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あの夏の日のことであった。
父から突然、一本の電話がかかってきた。

出張単身赴任中の父からの連絡だった。
電話に出ててみる。
電話の向こうが騒がしい。
飲み会でも行われているかの様だった。
「もしもし
「あっ、京舞か。元気にしてたか?
父と話すのはいつぶりだろうか。
懐かしいと言うか、呆れる程変わらないと言うか。
「元気だよ。なんかあったの?

父が少し黙っている。
なんだか、嫌な予感がした。

「実はな、この前、住んでる近くでイベントがあって、運試しにと思ってくじを引いたんだよ。
「それでさ、なんと

また、黙った。
オチは、一等でしたか、外れでした、とかしかない

久々の会話だ。
話したかったのだろう。
会話程度に一応を聞いてみた。

「どうだったの?
「なんと、一等だったんだよ

予想は的中、それにしても一等とかすごいよな。

「良かったじゃん
「良かったはいいんだけど、内容がな…
なに、一等の内容に困るものなんてあるの。
うちの近くでこの前、似たようことが行われていた。
その時は一等はとても豪華だった。
ハワイ旅行とか三年分の米とかだった。
それでも、困るものではない。

「一等の内容って何だったの?
「なぁ、京舞、お前、どうせまだ仕事決まってないんだろう?
いきなり話しを変えてきて。
いきなり、いたいとこつかれた。

まあ、基本は高校卒業してから約一年一番最初についた仕事を三カ月で辞めてしまって。

今は、アルバイトで生活している。
母も嘆いているのは分かっているが。
なかなか、良い仕事にめぐりあえてないのが現状だ。
「まあ…、でも、後もう少ししたら、見つかると思う

見つかる気がしないが自己暗示だ。
きっと、見つかるよね。
うん、見つかる。

「お母さんも言っていたぞ、早く仕事見つけて欲しいって

ギクッ
「ごめん、でも、もう少し待って、しっかり見つけるから
「まあ、ならいいんだけど

いいのかよ。

「で、だな。さっきの一等のやつ何だが、チケットが当たったんだ
チケットか。
チケットといえば、旅行チケットやお食事チケット、割引チケットなどがある。
それほど、どれも困るものではない

「いいじゃん、どんなチケットなの?「お父さんの住んでる近くって結構、有名な料理屋あるし、そこのお食事チケットとか?
「違う、それだったら、とっくに使ってし、連絡なんてしないだろう
連絡してくるほどのことじゃあないもんな。
料理屋のチケットぐらいなら。
「じゃあ、何なんだよ?いったい
「永住チケットだよ
永住チケット?なんだそれ。
聞いたことない。そんなチケットの名前。
永住ってことは、そこに住むことができるってことだろう。
それのチケットだから、パスポート的なやつか?
「それって、永住していいですよ。みたいなやつだろう?
「そうだな。そんな感じだ。でも、俺、今知ってのとうり、単身中だろう。
「それに仕事あるし永住とか無理なんだよね。仕事辞めるとか無理だしさ

それはそうだ、父の仕事は各場所をまわって、世の中の不備なところがないかの調査をしている。
30年以上もしている仕事を今更辞めるなんて、普通は出来ないよな。

「で、京舞に永住チケットやるから、行ってこいよ。勉強だと思ってさ。

この家に別に居たいっていう訳でもないし。

逆に今、いずらいし。

「いや、別に構わないけど、どこに永住するの?
断る理由はない。
「それがな…
うん?なんか…
「日本なの?もしかして海外?
「いや、違う!日本でも、海外でもない
日本でもなく、海外でもない場所?
どこだ、どこなんだ?
日本の領域に入らず、海外の領域ではない所ってどこだ。
「そんな所あったけ?聞いたことないけど
「俺も最初聞いた時、驚いたよ。そんな場所があるのか、って!

父がわからないなら、分かるはずがない。

「じゃあ、どこなの?
「カヘーテっていう町だ
カヘーテって知らない場所だな
外国ぽい名前なんだけど、外国じゃない所なんだよな

「カヘーテだっけか、もっと他に情報はないの?
考え始めた、すごく悩んでいる!
それぐらい、情報がないらしい
「あっ、京舞、アニメ好きだったよな?

高校の時、友達の紹介でアニメは大好きだ。
今でも時間があればアニメを見ている。
まあ、今は時間がたくさんあるから見まくっているけど。

「まあ、好きだよ。それが何?
「それに出てくる場所で、なんだっけ、『いせかい』ってあるだろう?そんな感じの場所だ

いせかいってあの異世界か!まさか
この世の中に異世界が
「いや、お父さん、異世界っていうのはね、日本とか外国と違っていて
さっき、違うって言っていよな

「そうだ、そのカヘーテっていう町は日本とか外国と違っているぞ
うん。そうだ、違うらしい。父の話しがほんとなら
「異文化人とか、日本や外国にないものがあるんだよ。
「アニメではそんな感じだよ。異世界って

大まかな異世界っていうのは、現実世界とは違う。

今見てる、見たことのある景色やものはなく、全てが新しいのだろう。

「その、今京舞が言っていることが、カヘーテにはあるんだよ」

ますます、意味が分からない
「で、京舞、異世界に行く気はあるか?
「うーん。ちょっとだけ時間ちょうだい。今週中には決めるから

今週中、後、3日しか残ってないな
「分かった。一応、母さんに話して置いたから、後は、京舞の決断だけだからな

「分かった。考えておく」
「よろしくな」
電話が切れて、深く深呼吸して、いつもの日常に戻る
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