キスしてなんて言わないから

奏 -sou-

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思い返すこともあるさ

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今ならわかるが、そこいらの嵩の信者的ネコたちのいびりとなんら変わりのない言葉を坂東は僕に小声でノイローゼになるぐらいにささやき続けていたわけだ…

そのおかげとは言いたくなかったが、酷い言葉の暴力にもそこまで気にも留めず受け流すことができた。感謝したくはないがメンタルを強くしてくれた坂東には感謝をすべきなんだろう。

そして、どれほどの言葉を奴は僕に浴び聞かせていたのか、という点では今度横っ腹をぐりぐりしても僕は罪に問われないのではないかと思う程苛立ちを覚えていたのは言うまでもない。それほどに苦痛だったのだ。

話は大きく横にそれたけれど
それほどまでに好きでもなかった筈が

最初こそは強制的な部分はあったけど一緒にいてその日あった話だとか自分たちの過去のことだったりとか何気ない話をしたり

生徒会の仕事をしている横で仕事をこなしている嵩の表情だとか真面目さをみていたらふと真剣に取り組んでいた目線を僕に向けてくれたり

アイコンタクトっていうのかな…

度々重なってふと見せてくれる
彼の切れ目から垣間見れる優しい視線だったり

愛されてるのかなって思えるような
表情、しぐさ、行動が伝わってきて

そう時間なんてかからずに
僕は嵩の出す雰囲気に呑まれ、流され、、

でも確実にドキドキと心臓が煩く響いて嵩に恋をしだしたんだと実感しだした。

そのうえで、まだ実感すら浅くって自分でかみしめてる暇もなく嵩に僕のハジメテを捧げた。

はじめて繋がって、好きな人と繋がるってこういうことなんだってすごく嬉しくなって

その後からじわじわと幸せだなっていう思いが身体の奥から溢れ出しているような感覚に自分自身どうしたらいいか分からなくなったけど素敵な感情なんだってことだけは理解した。

今まで恋してもみのることがなかった分これから好きな人との幸せな日々をかみしめて大切にしていきたいなって思ってたのに…ね。

たった1回と言われれば、たった1回。

僕にとっては恋人同士なのだから
今後があると思ったんだ。

だけど嵩にとって、たったその1回で
僕に飽きたのかもしれない。

はじめてなのを言ったとき優しく「大丈夫、大切にする」っていってくれたけどやっぱり面倒くさくなってしまったのかな。

よく耳に挟む話だけど、処女ってめんどくさがる男って多いんだってチワワたちがいってた。

嵩もそうは僕に言ったものの僕の平べったく柔らかくもない貧疎だと言われるような素肌をみて冷めてしまったのかもしれない。

ただ、少々の同情で優しい言葉と僕に恥をかかさないために抱いてくれたのかもしれない。

なんて、マイナスなことばかり頭の中をよぎるのは事実、浮気する相手をみていたら仕方のないことだと思うんだ。

でも、もしかしたら、ならば、

また、あの日のように嵩と二人で笑い
イチャイチャできるんじゃないのかなって

そんな日が気づいたら
戻ってくるんじゃないかなってさ

やっぱりいろんなかわいい子たちのつまみ食いに飽きて「今まで、悪かった。やっぱりずっと今後付き合っていきたいのはお前だけだ。もう、よそ見しない。」って僕のもとに戻ってきてくれるんじゃないのかって、、

そんな日がくる望みを捨てきれずに、僕は別れを告げることもなく黙って待ってるんだ。

そんな僕のここ数か月を見て、坂東いわく
「お前は馬鹿だよな。目を覚ませよあんなヤリチン野郎のどこがいいんだか。」って怒ってるし

・・・それにはあれだけ褒め称えてたくせに坂東が言う?って笑っちゃったけどね。

坂東の言葉遣いから感じ取る僕のことを心配してくれてることに関して、今まで僕をどちらかというと貶していた奴と同人物なのかと驚いてしまったのは本人には黙っておこうって思う。

坂東からの心配からなのだろうと思う忠告にも近い不器用な言葉にありがたくも嬉しく思うけど

僕の嵩を好きだって気持ちが
止まらなくって、とまらなくって、

自分でも坂東が言うようにバカだと思うけどどうしようもないんだ。
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