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あと一押し

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「あと一押し」という言葉があるけれど、あまりにも抽象的だと思う。
いったい何本の手が必要なのか。
そんなことを考える僕がもどかしかったのかもしれない。
彼女が後ろでバシッと背中を叩く。「行ってこい」と言わんばかりに。
だから僕は振り返る。
「あと一押し」してもらった腕を掴んで、そして――。
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