親に売られし王女は氷の王と幸せをつかむ

藍条森也

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最終章 未来への泣き声

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 そして、ノウラは正式にナフード王国の国王として即位した。
 砲撃によって半壊した王宮を早急に、形ばかりは修復してお披露目の場とした。王宮前には『どこからこんなに……』と思わせるぐらいの人々が集まり、歓喜の声をあげ、旗を振り、新王の即位を歓迎している。喜んでいる。
 それこそ、一〇〇歳近い年寄りから、なにが起きたのかわかっていない幼児にいたるまで全員が、歓喜の声をあげ、喜んでいたのだ。
 その歓声をあげる人々の前に、ノウラが姿を表した。
 王女としてではなく、女王としてでもない。
 ただひとりの正統な王として。
 女性用の衣服ではなく、国王としての正装をまとってテラスに出て、歓喜に沸く民衆に向かって笑顔を浮かべ、手を振るその姿。
 それはまさに『若き王』の姿だった。
 性別を超えて、ノウラはただひとりの王となったのである。
 ナフード国民の歓喜はそれはそれはすさまじいものだった。各地で喜びの声が爆発し、爆竹が鳴らされ、夜通し楽器の音と歌声とが響きわたり、踊りあかす人々の姿が絶えない。
 国内いたるところに建てられていたアブドゥル・ラティフの銅像は引きずり倒され、縄をかけられて引きずりまわされ、事情すらわかっていない小さな子どもたちがそのあとをついてまわって嬉しそうに棒でバシバシ銅像を叩いている。
 ノウラは自身の即位と新しい時代の訪れを全国民に知らしめるために、即位後すぐに全国を巡り歩いた。
 どこに行ってもノウラは国民の歓喜の声に迎えられた。熱狂の渦が巻き、人々は涙さえ流して新しい王の登場に喜んだ。
 その姿はまさに『暴君を倒した救国の英雄』。
 ノウラこそが新しい時代の新しい王なのだと、その姿を見守る世界中の人々の心に刻みつける光景だった。
 歓喜の声に迎えられ、にこやかな笑みとともに手を振るノウラに対し、ただひとり、喜びの表情を浮かべていないものがいた。しかめっ面を浮かべ、むっつりと黙りこんでいる。
 ノウラの夫、地球回遊国家の国王・葦原あしわら永都ながとである。
 永都ながとは全国民から喜び迎えられる妻に向かい、しかつめらしい態度で言ったものである。
 「人々は確かに喜んでいる。しかし、勘違いするなよ。人というものはいつだって現体制をきらい、いま現在の権力者をきらうものだ。『いまの』権力者がいなくなれば喜び、歓喜に沸き立つ。だからと言って、新しい権力者を歓迎しているわけではない。きらいなやつがいなくなった喜びに酔っているだけだ。
 この歓喜を維持していくためには、お前自身が成果を出さなくてはならない。それも、すぐに、目に見える形でだ。それができないとなれば、人々はたちまちお前に失望する。『なにもかわらない、いままでと同じだ』と、いままで、アブドゥル・ラティフに向けられていた敵意がすべて、お前に向くことになるぞ」
 厄介なのは、いまやナフード国民は『自分たちの力で暴君を追い出した』という自信をもっていること。王が新しくなってもなにもかわらない。そう思われれば、たちまちお前を引きずりおろすために武力を使ってくるぞ。
 永都ながとはそう、くどいほどに念を押したものである。
 「はい」
 と、ノウラは素直にうなずいたがその実、おかしくてたまらない。
 永都ながとが妻の晴れ姿に喜んでいるのに、無理して釘を刺しているのか見え見えだからだ。
 まるで、我が子が褒められていて嬉しいのに、調子に乗らないようあえて厳しく諭す親のような態度。それがなにやら微笑ましかった。そんな夫の姿にノウラは愛情に満ちた微笑みで応じた。とはいえ――。
 永都ながとの言っていること自体は正しいものだった。もし、ノウラが人々の望む成果をすぐに出せなければ、まちがいなく排除対象として認識され、大勢の人々が武力をもって挑んでくるだろう。
 ノウラもそのことはよくわかっていた。だからこそ、ほんの一瞬、永都ながとの気遣いに対して微笑みを浮かべたものの、すぐに真顔になって答えた。
 「心得ております。永都ながと陛下。そのような歴史は、地球回遊国家製のジャパニメーションで何度も見ていますから」
 「……お前は、ジャパニメーション以外から知識を得ることはないのか?」
 永都ながとは思わず苦虫を噛みつぶしたがそれでも、ジャパニメーションから学んだというノウラの知識は本物だった。
 人々が望む成果を目に見える形で出すために一時いっときも休むことなく行動を開始した。
 まずは、アブドゥル・ラティフのもとで甘い汁を吸っていた閣僚、官吏、高級軍人らを一掃し、中堅以下でくすぶっていた誠実な人々を登用し、さらに、民間からも広く人材を求めた。国の未来を考える論文を募集し、少しでも見所があれば多額の懸賞金を支払い、そのなかでもとくに見所があると判断すれば、誰であろうと新政府の一員として迎え入れた。
 そうすることで、人々に政治参加の意識を、『自分たちがこの国の未来を作るのだ』という意識を植えつけた。アブドゥル・ラティフのもとでは誰ひとりとしてもつことを許されなかったその意識を。
 さらに、新王の改革は貧しい農村地域に対してこそ行われた。
 日本の基準で言えば『掘っ立て小屋』というのもはばかられるような粗末な家に住み、わずかばかりの土地を家族全員で耕して、なんとか食いつないでいる人々。日々をしのぐことに精一杯で、将来のことなど考える余裕もない貧農たち。
 そんな人々に豊かさを、未来を与えることにこそ新王はこだわった。各地の貧しい農村に太陽電池とバイオガスプラント、そして、かねてよりの計画通りに石油生成菌が持ち込まれた。
 貧しい農村をエネルギーの生産地にかえ、それまで、ごくごく一部の人間だけが得ていたエネルギー利益を国民全体に広く、薄く、行き渡らせるために。
 もともと、地球回遊国家の経済政策は単純である。
 『自分より貧乏人から買って、自分より金持ち相手に売る』
 それだけである。
 「貧富の差を生みだしているのはあなただ! 『安いから』という理由で大企業から食品を買い、『安いから』という理由で大企業から服を買い、『安いから』という理由で大企業からスマホを買う。そんなことをしていれば冨が一極集中するのは当然。貧富の差を生みだし、維持しているのはあなた自身の日々の行動だ!」
 そう叫んだあと、こうつづける。
 「貧富の差を生みだしているのはあなた自身。だからこそ、あなたの行動によってなくすことができる。自分より貧しい人間から買い、自分より金持ち相手に売る。ただそれだけで金持ちから貧乏人へと資金が流れ、貧富の差はなくなっていく」
 とはいえ――。
 貧しい人間の作る製品が金持ちの大企業の製品より高くつくのはどうしようもない事実。貧しい人間を支援するために割高の製品を買うことは、それだけの経済力がなければできない。
 その日その日を食うや食わずの生活を送っている人間に、『貧富の差をなくすために割高の製品を買う』余裕などない。自分の行為が貧富をさらに広げることだと承知してはいても、生きていくために大企業の提供する安い品を買うしかない。
 だからまず、底辺層に経済力をもたせる。
 わずかばかりの土地を耕す貧農たちをエネルギーの生産者にかえることで収入を増やし、自分より貧しい人間の作る割高の製品を買えるだけの経済力をもたせる。
 そうして貧しい生産者の収入を増やし、経済力を手に入れた生産者がさらに自分よりも貧しい人間たちの作る製品を買い……その循環を作りあげ、貧富の差をなくしていく。
 それが、地球回遊国家の経済政策。
 そして、それは、やがて涸渇こかつする石油資源に頼るのではなく、再生可能エネルギーによる国作りを進めるための一歩でもあった。
 さらに、それらの農村には飛行船が配置された。
 貧しい農村がいつまでも貧しいままなのは、なにも作物の取れ高が少ないからだけではない。市場から距離が遠く、また、どこになにを持ち込めば高く売れるかという知識もないために、適切な売り場に持ち込めないためだ。
 もし、いつでも適切な市場に持ち込み、高く売ることができるとなれば、生産意欲は高まる。生産意欲が高まれば大抵の場合、生産高はあがるものだ。
 しかし、トラックを使って各地に売り込みに行けるようにしようとすれば、なによりもまず道路の整備をしなくてはならない。
 全国をつなぐ道路網を作るのは大変なことだ。金もかかるし、それ以上に時間がかかる。維持整備は未来永劫に渡って必要であり、道路網の維持していくためには無限の資金と時間を費やすことになる。
 そこで、飛行船である。
 空を飛んでどこにでも行けるとなれば、道路を作る必要はない。維持整備の手間も関係ない。安上がりに農村と市場とを直結し、農村に現金収入をもたらし、生産意欲を高めることができる。
 なにより、金も、時間も、人手もかからずにすむのでその分を他の事業にまわせる。それだけ、国の発展に寄与することができる。
 もちろん、これらの農村に住んでいるのは文字もろくに読めないような人たちだ。先祖代々、伝えられてきた農業以外のことはなにも知らない。代々の王が自分たちの権力を守るため、あえてそれ以外のことはなにも知ることができないようにしてきた。太陽電池やバイオガスプラント、石油生成菌などを持ち込んだところで使える人間は誰もいない。
 そこで、教師役として地球回遊国家の技術者たちが移り住んだ。これは、農村に住む人々の向上心を刺激するためでもあった。
 新しい技術を導入することで、自分たちよりも豊かな生活を送る人間がいたとする。その豊かさがあまりにも桁違いのものであれば人々の反感を買い、広まることはない。しかし、それが『少しばかり』豊かという程度なら反応がまるでちがう。興味をもち、自分もやってみたいと思うようになる。その結果、新しい技術が広まり、発展の足がかりとなる。
 それは、長年にわたる発展途上国支援が幾度となく苦い失敗を重ねながら得た教訓。地球回遊国家はその教訓をもとに活動を行ってきた。ノウラもその活動をそのまま受け入れた。
 つまり、太陽電池や飛行船など新しい技術を使う人々に、他の人たちより『少しだけ』豊かな暮らしをさせる。そうすることで『あの技術を使えるようになれば、自分たちもあんな暮らしができるようになる』と思わせる。
 そう思えば、新しい技術を使えるようになるために学ぼうと思う。学ぼうと思えば、そのための教育機関に集まる。手っ取り早く豊かになれる技術を教えることで教育の重要さを教え、子どもたちを学校に集め、教育する。そして、次の世代を育てていく。
 もとより、『子どもには、もっと豊かな暮らしをさせてやりたい』と望むのは親のさが
 そして、子どもの将来が保証されているとなれば、親たちは文句を言わずに従い、働き、国を支える。国の将来の発展のためにも、反乱の芽を摘み、治安を維持していくためにも重要なことだった。
 かくして、各地の農村に学校が建てられ、子どもたちが集まりはじめた。子どもたちを教え、導くのもまた、地球回遊国家のスタッフたち。貧困層を教育するための特別教育を受けた専門家たちだ。
 これらのスタッフたちは、自分自身が地球回遊国家によって貧困から救われ、将来に希望をもてるようになった人間たち。そのために、自分の受けた恩を他の人に送るという『恩送り』の理念を身につけている。自分の受けた恩を他の人々に送り、自分と同じように絶望から這いあがってほしい。その熱意に燃えている。
 そんな人々に教えられ、子どもたちは学んでいく。この子どもたちがナフード王国の未来を作る。オイルマネーにあぐらをかいて、なにひとつ新しいことをしようとしない怠惰な国ではない。自分たちの力で、自分たちの望む未来を作りあげようというたくましい希望と活力に満ちた国を。
 それはまさに、永都ながと七海なみが生涯を懸けて目指してきた世界。そして――。
 ノウラがふたりから受け継いだ思いだった。

 地球回遊国家の王宮前に一台の馬車がやってきた。
 侍従長のゾマス自らが操る馬車。ゾマスのその嬉しそうな顔は見るもの誰もが『どんなに良いことがあったんだ?』と思うようなものだった。
 馬車が王宮前にとまった。そこから、三人の人間が降り立った。国王永都ながと。その妻たる王妃にしてナフード王国国王ノウラ。そして――。
 ノウラの腕に抱かれてスヤスヤと眠る赤ん坊。
 永都ながととノウラの間に生まれた、はじめての世継ぎである。
 永都ながとは妻と子を見つめながら、なにやら照れくさそうな表情を浮かべていた。
 「……いや、しかし、まさか、この歳になって子どもができるとは思わなかった」
 七海なみとの間にも、ひとりもできなかったのにな。
 頭などかきながらそう付け加える永都ながとだった。
 そんな永都ながとに対し、ノウラは愛情に満ちた笑みを向けた。
 「すべては神さまの思し召し。そういうことです」
 「……うむ。そうだな」
 永都ながともまた、愛情に満ちた目で妻子を見つめながらうなずいた。すると――。
 突然、けたたましい鳴き声が響いた。ふたりの赤ん坊が目を覚まし、盛大に泣きはじめたのだ。
 ノウラが叫んだ。
 「たいへん! お漏らししてしまいました。オムツを用意しますから永都ながと陛下、それまでこの子をお願い!」
 「お、おう……」
 永都ながとはあわてて妻から赤ん坊を受けとった。慣れない手付きでなんとか赤ん坊を泣きやませようと奮闘する。その横で新しいオムツを用意するノウラ。
 「ああ、泣きやんでくれないぞ、ノウラ! どうしたらいいんだ⁉」
 「泣きやむまで、がんばってあやしてください!」
 「がんばってと言われても……ああ、赤ん坊の世話は国王なんぞよりよっぽど難しい!」
 「もうすぐです! もうすぐ、オムツをかえる準備ができますから!」
 国王夫妻自ら、赤ん坊のオムツをかえようと力を合わせて奮闘している。その姿を――。
 侍従長のゾマスがどこまでも微笑ましく、嬉しそうに見つめていた。
                 完


※参考文献
『大人のための乗り物図鑑 陸・海・空ビックリ大計画99』(金子隆一著 二見文庫)
『俺たちに不可能はない!』(ドリームファクトリー研究会編 大林組プロジェクトチーム、清水建設シミズ・ドリームプロジェクトチーム、前田建設ファンタジー営業部監修 中経出版)
『インスパイア型リーダーはここが違う WHYからはじめよ!』(サイモン・シネック著 栗木つさき訳 日本経済新聞出版社)
『カイエ・ソバージュⅡ 熊から王へ』(中沢新一著 講談社選書メチエ)
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