上 下
2 / 7
二話

教育問題? 問題はお前だ

しおりを挟む
 午後一一時過ぎ。と言うより、午前零時近くと言った方がいい。
 そろそろ日もかわろうかというそんな時刻。
 二四時間営業のカフェの一角で脇にランドセルを置いたひとりの子供が黙々と夜食を食べている。
 内容はオートミール粥に豆乳スープ、それに温野菜サラダ。
 一応、消化しやすいように気を使っているし、栄養バランスも考えてはいる。しかし、それは本人が選んだものではない。こんな時間に子供が夜食を食べることを気にしたカフェの側が、せめてもの気遣いとして用意したものだ。いずれにせよ、こんな時間に子供がひとり、カフェで夜食をとっているなど、常識として考えられないことだろう。
 黒瀬くろせヒロはその子供が気になって仕方がない。店の奥から何度もチラチラと不安と心配と、少しばかりの怒りを含んだ視線を送っている。
 ヒロはその子供を知っていた。
 田島たじま栄人えいと、一〇歳。
 同じ出版社に務める先輩社員、田島たじま賢人けんとのひとり息子。
 小学校が終わると家にも帰らずにそのまま電車に乗って塾に向かい、そこが終わるとコンビニで弁当を買って夕食。そのあと、さらにふたつの塾に通い、電車を乗り継いで帰ってくる。そして、駅前のこのカフェによって夜食をとり、家に帰る。
 それがこのカフェ、売れないマンガ家・藍条あいじょう森也しんやが同期の桜であり、戦友でもある売れっ子マンガ家・赤岩あかいわあきらと共に立ち上げたカフェ兼出版社兼書店兼図書館兼ホビー店兼地域センター兼その他諸々であるところのクリエイターズカフェがオープンしてからの田島栄人の毎日だった。
 ――まだ小学生の子供にこんな毎日を送らせているなんて。
 ヒロは腹が立って仕方がない。
 栄人を見る視線に含まれた怒りはもちろん、栄人自身に向けられたものではなく、その親に向けられたものだ。
 ――お母さんがやたら教育熱心だって言うけど、さすがにやり過ぎよね。田島さんも気の弱い質だから押し切られちゃうんだろうなあ。
 ヒロは控えめ、と言うよりもいっそ卑屈と言ってもいい先輩社員の姿を思い返した。
 田島賢人は社内でも決して目立つ存在ではない。善良で指示に従順と言うのが最大限の評価であり、際だった個性や特徴はない。仕事は普通に出来るが、逆に言うと普通以上には出来ないと言うことだ。
 無名大学の出とあって一流大学卒が揃う出版社では身の置き所がないらしく、そのことも影が薄く、卑屈な原因となっている。それでも『大手出版社に入社できたんだから何か取り柄はあるんだろう』と、そう思われることもあるようだが、何のことはない。
 『うちは学歴フィルターなんてかけてませんよ。有名・無名大を問わずに採用しますよ』
 というアピールのために特別枠で採用されたにすぎない。だから、社内でも最初から期待はされず、重要な仕事を任されたりするようなことは一度もなかった。
 仕事で目立てないのは条件の悪さもあるから仕方がない。だけど、まだ小学生の子供にこんな負担をかけているなんて。
 ヒロは気は弱いが善良な先輩社員を嫌っていたわけではなかったが、やはり、こんな夜更けにひとり黙々と夜食をとる子供の姿を見ると腹が立ってしまう。
 実は、これでもまだマシになった方なのだ。このカフェがオープンするまではコンビニで買い込んだおにぎりを駅のベンチに座ってぱくついていた始末なのだから。
 それと聞いて見かねたヒロが『担当しているマンガ家がオープンしたお店があるから』と紹介して、毎日、こさせるようにしたのだ。
 「栄人君」
 さすがに見ているだけでは我慢できなくなってヒロは栄人に声をかけた。
 栄人は驚いたように顔をあげた。
 「あ、黒瀬さん」
 そう答える表情も口調も疲れ切っている。
 本来、溌剌とした生命力の塊であるべき小学生にはあまりにも不釣り合いなその姿に、ヒロは胸が傷んだ。
 「栄人君、だいじょうぶ? 無理はしちゃだめだよ?」
 「……うん。でも、勉強しないとママに怒られるから」
 そう言って栄人は連絡用のスマホを見た。
 「あ、ごめんなさい、もう帰らなきゃ。それじゃ」
 栄人はスマホをしまうとランドセルを背負ってカフェの外に飛び出した。食事代は毎月末にまとめて銀行振り込みで支払われる契約になっているのでいちいち払う必要はない。
 夜更けの道をひとり、駆けていく小学生。
 その後ろ姿を見ながらヒロは、
 ――何とかしてあげたいけど……。
 と、心を痛めた。そして――。
 かの人にはその『何とかしてくれる』知り合いがいるのだった。

 「ただいま」
 栄人は自宅アパートのドアを開けると、疲れ切った声をあげた。生命力を感じさせない動作が小学生というより、小柄な老人のよう。
 「今日のテストは?」
 玄関まで出迎えた、と言うより、先ほどからそこで待ち構えていたらしい母親の田島たじまゆかりが『お帰り』の一声もないままにそう声をかけた。
 栄人は無言でランドセルをおろすと中身をガサゴソやりはじめた。少々シワの入った何枚かの紙片を差し出す。それを見たゆかりの顔が真っ赤に染まる。
 「また点数がさがってるじゃないの! 何をやってるの、やる気あるの⁉」
 「だって……」
 「だってじゃありません! せっかく、ママがこんなに頑張って勉強できる環境を整えてあげてるのに、あなたときたら……そんなことじゃ将来、パパみたいにうだつのあがらない人生を送ることになりますよ!」
 「ま、まあまあ……」と、自らの妻君さいくんに『うだつがあがらない』と酷評された夫君ふくんの賢人が奥から顔を出した。『奥』と言っても狭い安物アパートのこと。すぐそこではあるのだが。
 もし、ここで堂々と胸を張って登場し、妻君を諭すことが出来たなら格好良かったのだろう。しかし、賢人の態度はどう見てもオドオドビクビク。専制君主を前にした家臣そのものの姿だった。
 「そう、責めることないだろう、お前。栄人だって頑張っているんだから……」
 「お黙りなさい! あなたがそんなだから栄人まで無気力になるんでしょう! 少しは大河原おおがわらさんを見習ったらどうなの⁉」
 同期の出世頭の名前を引き合いに出されて賢人はしたたかに傷つけられた。もちろん、ゆかりはそんなことには気が付かない。
 「ああ、もう! こんなことでは将来が思いやられるわ。もっともっと頑張らせないと……」
 「で、でも、お前……そんなに根を詰めたら却って……」
 「お黙りなさい!」
 夫君のか弱い抵抗を一撃の下に粉砕し、ゆかりは叫んだ。
 栄人はと言うと、両親が騒ぎはじめた隙に素早く自分の部屋に逃げ込んでいた。
 「そうだわ! 塾の数をもっと増やしましょう。いまの三つから五つぐらいに……」
 「そ、そんな無茶な……。いまだってかなり厳しいスケジュールなのに……。それに、そんな金は……」
 「あなたが昼食を抜けばすむことです!」
 「そ、そんな……」
 「お黙りなさい! 子供の将来のためならそれぐらい我慢するのが親というものでしょう!」
 母親の言葉は部屋に逃げ込んだ栄人にも、もちろん聞こえていた。
 「まだ増える? これからふたつも……?」
 疲れ切った幼い顔に怯えが走る。
 「そんなの……そんなの、死んだ方がマシだ!」

 「塾を増やしましょう!」
 
 「そ、そんな……」

 「死んだ方がマシだ!」

 狭いアパートのなかに三つの声が響き渡る。
 その叫びがすべてのはじまり。
 それは藍条森也を呼ぶ声だった。

 「……だからだな」
 ヒロの運転する車の助手席に身を沈めながら、藍条森也は不機嫌そのままの声を出した。その表情もまた口調そのままの仏頂面。『大人げない』と、そう言われても仕方がない。それぐらい、露骨に嫌がる表情だった。
 「なんでお前は、いちいち他人の家の問題におれを引っ張り出すんだ。おれは何の関係もない赤の他人だぞ」
 「だから、何度も言ってるでしょ。あんたならなんとかできると思うから頼んでるんだってば」
 「何の恩も義理もない相手のために、なんでおれが一文にもならん世話を焼かなけりゃならんのだ」
 「まだ小学生の子供が辛い目にあってるのよ! 放っておけないでしょ」
 「そう思うならお前が自分で何とかしろ。おれを巻き込むな」
 「ああもう! わかったわよ」
 この冷血漢! と、吐き捨てながら、ヒロは叫んだ。
 それから大きな溜め息をつくと、わざとらしく言ってのけた。
 「あ~あ! ドラ○もんなら何とかしてくれるのに!」
 ピクリ、と、森也のこめかみに血管が浮きあがった。
 「なんだと? この藍条森也がドラ○もんに劣ると言うか?」
 ヒロを横目で睨む視線が怖い。
 「よかろう。地球生物史上最強の知性、藍条森也がドラ○もんに劣るかどうか、とくと見せてやろう」

 「あたしは子供の将来を一番に思ってるのよ!」
 森也とヒロを迎えた途端、ゆかりは口角泡を飛ばしてそう叫んだ。
 その横では夫君の賢人がいつも通りの卑屈な表情で愛想笑いなどを浮かべている。
 ゆかりはそんな夫君のことなど完全無視して叫んでいる。
 「この人みたいな三流大学出じゃ将来なんてたかが知れてる。結婚だって出来やしないわ。結婚して、子供を作って、人並みの人生を送るためには一流大学に入ってもらわないと。そのためには一に勉強、二に勉強。そのために出来るだけのことをして何が悪いの⁉」
 その言葉に――。
 キレたのは森也ではなく、夫君の賢人でもなく、黒瀬ヒロだった。
 「……お母さん!」
 一方的な主張に腹を立て、抗議の声をあげようとする。それを制したのは森也だった。
 「なんで……」
 邪魔するのよ⁉
 そう叫ぼうとしたヒロの言葉が途中でとまった。
 森也の顔を見たからだ。ヒロではなくゆかりを見る森也の顔はむしろ、慈愛あふれると言っていいほどに優しいものだった。
 「ゆかりさん」
 森也は静かな、それでいて深みのある声でそう言った。
 言われてゆかりはキョトンとした様子になった。それまでの叫びも忘れて押し黙った。
 『ゆかり』というのは自分のことだ。
 そう認識するまで時間がかかったのだ。何しろ、結婚してからは誰からも『奥さん』だったし、子供ができてからは『お母さん』、夫君からはいつだって『お前』。名前で呼ばれるなんて何年ぶりのことだろう。
 森也は呆気にとられて押し黙ってしまったゆかりに向かい、どこまでも優しい口調で言った。
 「お辛かったでしょうね」
 「えっ?」
 ゆかりのみならず、ヒロと賢人も同じ声をあげた。
 それぐらい、森也の言葉はその場にいる誰にとっても意外なものだった。もちろん、一番、驚いていたのはゆかり本人だった。
 ゆかりにしても、まったく客観性を失っているというわけではない。自分の振るまいが世間一般から見て、どう思われるかぐらいは承知している。だからこそ、自分を責めに来たのだと思い込み、機先を制して叫んでいたのだ。
 それをこんなに優しい視線で見られて名前を呼ばれ、しかも『お辛かったでしょう』とは!
 森也はつづけた。
 「その手を見ればわかります。荒れ放題のその手。お子さんの教育費を捻出するために家事用の手袋はおろか、お湯さえも使わず、冬でも水を使って家事をしているのですね。ハンドクリーム代すら節約して」
 森也の言葉にヒロははじめて、ゆかりの手に視線を向けた。するとたしかにゆかりの手はヒビ、あかぎれがはいり、ひどいものだった。賢人が同じように驚いているところを見ると夫君もいま、はじめて気が付いたにちがいない。
 森也は優しい声と視線のままつづけた。
 「子供の招来を守ってやれるのは自分しかいない。ずっとそう思っていたんですね。そして、ただおひとり、気を張っていらしたのでしょう。その姿勢には頭がさがります。ですが、気を張りすぎるのはよいことではない。あなたはもう充分に頑張った。気を緩めてもいい頃です」
 「うっ……」
 森也の言葉に――。
 ゆかりは一気に泣き崩れた。

 「……ようやく、落ち着いたようです」
 となりの部屋のドアを閉めながら賢人がやってきた。
 ゆかりはしばらくの間、泣きつづけたあと、そのまま寝入ってしまったのだ。泣き疲れて寝入ってしまう子供のように。
 賢人が頭をさげた。
 「いや、お恥ずかしい。妻は少々その、教育問題に敏感すぎるところがありまして……」
 「教育問題?」
 賢人の言葉に森也が眉をあげた。
 その表情も口調も、ゆかりに対していたときとはまったくちがう、冷徹で容赦のないものだった。
 森也は賢人に言い放った。
 「問題とするべき点がちがうだろ。問題はお前だ」
 「お、お前……?」
 初対面の、それも、自分より一〇歳以上も下の相手からいきなり『お前』呼ばわりされて、さしもの『従順さが取り柄』と言われる賢人も気分を害したようだった。
 森也はかまわずにつづけた。
 「お前はいままで一度だって子供の将来について話し合ったことがあるのか? 子供を育てるとは夫婦による共同作業。そのことを認識したことがあるのか?」
 「そ、それは……」
 「お前たち夫婦のことについてはヒロから少しは聞いている。どうせ、『稼ぎの悪い自分が何を言っても』とか卑屈になって責任から逃げ続けていたんだろう。おかげで妻君は『自分ひとりで何とかしなくてはならない』と追い詰められてあの様だ。
 はっきり言っておくぞ。
 お前の妻君はお前のようなうだつのあがらない人間と結婚した。その時点でもう、立身出世にこだわるような人間じゃないんだ。あんな風に勉強、勉強とがなり立てる人間であったはずがない。それなのに、そんなふうにしたのは、子供の将来について共に責任を負おうとしなかったお前自身だ」
 「そ、そんな……」
 「それにだ。お前、結婚してから一度でも『愛している』と言ったことがあるか?」
 「えっ⁉」
 賢人のその驚きの表情は言ったことがないのはもちろん、言おうという発想すらなかったことを示していた。
 「花束のひとつも贈ったことはあるか? あるわけないよな。お前にとって妻君はすでに『母親』であって『女』じゃなかったはずだからな。自分の妻を女扱いしないでどうする。そんなお前の態度が妻君をああしたんだ」
 言われてさすがに賢人は表情を険しくした。
 普段は卑屈さの下に隠れて現れることのないどす黒いものが表面に現れた。
 森也はそんな賢人を鼻で嗤った。
 「『結婚もしてない若造が何を偉そうに』。そう言いたそうな顔だな。たしかに、おれは結婚はしていない。子供もいない。だが、物心付いたときから親に殺される思いをしてきた人間だ。家族であろうとしなければどういうことになるか。その点に関しては身をもって知っている」
 森也はそれ以上、賢人を相手にしようとはしなかった。
 ヒロに向き直った。
 「帰るぞ、黒瀬。これからこいつの性根をたたき直さなきゃならない。そのためには準備がいる」

 日曜の昼下がり。
 クリエイターズカフェの隣に作られた公園を兼ねた観光農園。鉢植えの果樹が立ち並び、カモが歩き、牛が草を食む。そんななかで栄人は元気よく他の子供たちと遊んでいた。
 その姿を店内のテーブル席について軽食をとりながら、ゆかりと賢人の夫婦が微笑ましそうに見つめている。
 ふたりとも、憑き物が落ちたかのように穏やかで優しげな表情になっている。
 「なんかすっかり雰囲気がかわったわね、あの家族」
 ふたりの様子を見ていたヒロが言った。
 その隣では森也がうんざりした愚痴をこぼした。
 「当たり前だ。この二週間、さんざんレクチャーしたんだぞ。かわってくれなきゃたまらん」
 その言葉通り、森也は田島夫妻に対して徹底的に『講義』を繰り返した。
 特に力を入れたのがリチャード・セント・ジョンの『八つの成功法則』。
 『「どうしたら成功できるの?』
 一〇代の少女のその質問に答えるために七年の年月をかけて五〇〇人の『成功者』に対してインタビューを行い、そのなかから導き出した成功するための八つの秘密。それは、

 熱意。
 懸命に働く。
 練習で腕を磨く。
 一点集中。
 自信のなさや疲れを吹き飛ばす。
 他人の役に立つ。
 アイディア。
 やり通す。
 
 この八つを実践しよう。そうすれば成功できる。

 と言うもの。
 この八つの成功条件のなかに『勉強する』は含まれていない。『高学歴を得る』もない。そのことを説明し、『将来、成功するために必要なことは勉強づけにすることではない。本人が本気になれる道を見つけ、その道に邁進することだ』と、そう納得させたのだ。
 もちろん、それは並大抵のことではなかった。
 森也の言葉によって一時的に緊張から解き放たれとは言え、ゆかりのもっていた『将来のためには勉強するしかない!』という思い込みがなくなったわけではない。その思い込みを少しずつときほぐし、新しい考え方を受け入れさせる。
 それだけでも途方もなく難しいことだ。
 しかも、それを、単に教えるのではなく、夫婦の共同作業として自分たちで考え、自分たちでその結論に達し、実践していくよう誘導しなくてはならなかったのだ。その苦労たるや『なんで、おれがこんな苦労をしなきゃならんのだ』という森也のぼやきに誰もが共感せずにはいられないほどのものだった。
 「でも、おかげで夫婦仲もすっかり良くなったようだし」
 以前とは別人のように仲むつまじく寄り添い、おしゃべりしながら食事をとる田島夫妻の姿を見ながらヒロは言った。その姿はまさに『共同作業を通じて人の絆は深まる』という言葉の見本だった。
 「ありがとう、あたしからもお礼を言うわ。あんたは何だかんだ文句言ってもちゃんとやってくれるものね。感謝するわ」
 「ふん」と、森也は鼻を鳴らした。
 「家族の問題を解決するなどドラ○もんには出来まい」
 ――あ、そこにこだわるんだ。
 そう思うヒロであった。
 やがて、田島夫妻が帰り支度をはじめた。
 栄人を呼び戻し、店に挨拶する。
 「ありがとうございました」
 そう頭をさげるゆかりの姿に、かつての『教育ママ』としての面影はない。すっかり穏やかになった『奥さま』の姿だ。
 賢人がそんな妻を見ながらはにかんだ笑顔を浮かべた。
 「じゃあ……帰ろうか。愛してるよ、ゆかりちゃん。」
 「……ええ。愛しているわ、健人君」
 そう言い合い、手を繋ぎながら帰って行く。
 そんなふたりを見送りながら森也は憮然とした表情で呟いた。
 「……そこまで甘々になれとは言ってない」
 
                  完
しおりを挟む

処理中です...