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アイスバーン地方

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アイスバーン地獄
アイスバーン地獄とはバオバブ宗教における大地の俗称の1つである。

バオバブ教では、世界は巨大なアイスバーンであるとしている。
アイスバーンは広大な氷地であり、そこには無数の雪が降り積もっている。
そしてその雪に埋もれて「神」は存在しているという。

アイスバーンの下には「神」と、それに従属する生物がいるとされている。
人間もその一つだが、人間には生まれつき知能が低く、アイスバーンの下で暮らしているうちに徐々に退化してしまったと考えられた。
そのため、「神」や「神の子」に対して敬虔になることができず、堕落してしまうのだという。

また、樹木人間はアイスバーンで生活するために肉体を改造し、皮膚が硬くなったり、体毛が薄くなって寒さに強くなっている。そのため、樹木人間の外見は獣に似ているとされる。
アイスバーンで生活しているため、彼らの知能は著しく低くなり、言葉すら発することができない。
アイスバーンの下の世界には「神」が住んでいるとされているが、その姿を見た者はいない。
もし仮にその姿を見てしまうとその者は即座に凍死してしまい、「神」の養分になってしまうからである。

人間も樹木人間も生きていけない事が地獄と言われる所以だ。

だが近年、アイスバーンにも適応できる能力を持った者が産まれ始めている。
それは、人為的に植え付けられた遺伝子情報を持つ子供であった。

彼らは「神の子」「神の子供」と呼ばれ、アイスバーンに適応した肉体を持って生まれた。
しかし、彼らには欠陥があった。
それは、彼らの中には「神」ではなく別のモノが見えてしまう者もおり、彼らを不浄の存在として恐れる者もいる。この事から「アイスバーン・チルドレン」と呼ばれるようになった。

アイスバーン・チルドレンの多くは女性である。
彼女達は、常に「何か」を探し、常に飢えており、自らの血肉を差し出す事で他者から食事を得る事もある。
最近の研究によると彼女達は一種の超能力を持ち得る事も確認されており、それを利用して、他の惑星から食糧を調達しているのではないかと言われている。
また、ある研究者の話によれば、現在のバオバブ教において最も信者数が多い集団はアイスバーンに適応した樹木人間ではなく人間達であるという。

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