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第3章  失われた魔法と無力の魔導師

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 月が少しずつ半月になりかかっている頃————

 一人の女子が夜の街を歩いていた。

「今日も星や月がきれい……」

 黒いバックを持ちながら歩道をゆっくりと歩いていた。周りには人の気配が無く、こんな夜に一人の女の子が歩いているのは危険だった。


 土曜日のお昼ごろ————

「はぁ……。寝みぃ……。あの雲の奥に天空の城でもあるのかな……。あるなら行ってみてぇーし、でも無いんだろうな。あの川で釣りしたいけど、釣り竿や餌もなければ、入れるバケツもない。暇だ、暇すぎる……」

 和哉は文句を言いながら堤防の土手で横になりながら空を見上げていた。

 風が心地よく、太陽が小さな雲に隠れていた。

 すると、一人の少女の顔がいきなり目の前に現れた。

「和哉、何をしているんですか? さぼらないで下さい!」
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