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第4章 ウエストシティの内戦
042 ウエストシティの内戦Ⅴ
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「ユーヤ、終わった。早く、行こう!」
二葉は紺色のマントを羽織り、地味な服を着ていた。
「あまり派手な服は着てないようだな。それでいい。じゃあ、近くのレストランで食事を取った後は、地下水道を通り、教会に乗り込む」
裕也は一通りの流れを二葉に伝えると、地図を直し、立ち上がった。
「なんで地下水道から乗り込むの? 他に地上から乗り込む場所はないの?」
「ない。どこも□になる場所が無いんだよ」
「だったら正面から堂々と中に入れば早いんじゃないの?」
「いや、それだと色々と不味いだろ……」
「そう。だったらそれでいい……」
「分かってくれてどうも……」
二人は部屋を出て、フードをかぶると裏口から外に出た。裕也を先頭に二葉がその後ろを追う。建築物の死角に入りながら近くのレストランに入る。
「どうやら後を付けられていないようだな」
「うん。今のところは大丈夫……」
二人はフードを脱ぎ、店内の奥の席に座るとこの店で一番安いモーニングセットを頼む。
他には一般人が朝の新聞を飲んだり、会話を楽しんでいる。
「じゃあ、今日は地下水道を通った後、教会に繋がる道を通り、内部に侵入する。その後は建物内に罠を用意した後、地下室の道を探すって寸法だ」
「ねぇ、ユーヤ。さすがの軍も私たちの行動はある程度読んでいると思うんだけど……」
「そうだな。だが、この教会の設計図を見てみろ……」
裕也はアルブレヒト教会の設計図を二葉に見せる。
教会の設計図には六階建ての大きさであり、地下室の存在は描かれていない。
最上階には時刻を知らせる鐘が設置されており、そのすぐ下に大きな時計がある。
「この教会の鐘が鳴るのは朝の六時から二時間おきに一回。それを夜の八時まで八回鳴り響く。これは教主が絶対にやらないといけない決まりがあるらしい。今、朝の七時十分。次の鐘が鳴るまで四十分ある。狙うのはその次、午前十時の鐘だ」
「だとするなら監視の目は薄くなるんだ」
「そうだ。その隙を狙う」
女性店員がモーニングセットを持ってくると裕也は地図をボックス内に戻し、パンを食べながらコーヒーを飲む。
「話は変わるけど、二人の事はいいの?」
「いいんだよ。そんなにあいつらの事が心配か?」
「うん。三つ子だからこそ分かる事だってあるから……」
二葉は紺色のマントを羽織り、地味な服を着ていた。
「あまり派手な服は着てないようだな。それでいい。じゃあ、近くのレストランで食事を取った後は、地下水道を通り、教会に乗り込む」
裕也は一通りの流れを二葉に伝えると、地図を直し、立ち上がった。
「なんで地下水道から乗り込むの? 他に地上から乗り込む場所はないの?」
「ない。どこも□になる場所が無いんだよ」
「だったら正面から堂々と中に入れば早いんじゃないの?」
「いや、それだと色々と不味いだろ……」
「そう。だったらそれでいい……」
「分かってくれてどうも……」
二人は部屋を出て、フードをかぶると裏口から外に出た。裕也を先頭に二葉がその後ろを追う。建築物の死角に入りながら近くのレストランに入る。
「どうやら後を付けられていないようだな」
「うん。今のところは大丈夫……」
二人はフードを脱ぎ、店内の奥の席に座るとこの店で一番安いモーニングセットを頼む。
他には一般人が朝の新聞を飲んだり、会話を楽しんでいる。
「じゃあ、今日は地下水道を通った後、教会に繋がる道を通り、内部に侵入する。その後は建物内に罠を用意した後、地下室の道を探すって寸法だ」
「ねぇ、ユーヤ。さすがの軍も私たちの行動はある程度読んでいると思うんだけど……」
「そうだな。だが、この教会の設計図を見てみろ……」
裕也はアルブレヒト教会の設計図を二葉に見せる。
教会の設計図には六階建ての大きさであり、地下室の存在は描かれていない。
最上階には時刻を知らせる鐘が設置されており、そのすぐ下に大きな時計がある。
「この教会の鐘が鳴るのは朝の六時から二時間おきに一回。それを夜の八時まで八回鳴り響く。これは教主が絶対にやらないといけない決まりがあるらしい。今、朝の七時十分。次の鐘が鳴るまで四十分ある。狙うのはその次、午前十時の鐘だ」
「だとするなら監視の目は薄くなるんだ」
「そうだ。その隙を狙う」
女性店員がモーニングセットを持ってくると裕也は地図をボックス内に戻し、パンを食べながらコーヒーを飲む。
「話は変わるけど、二人の事はいいの?」
「いいんだよ。そんなにあいつらの事が心配か?」
「うん。三つ子だからこそ分かる事だってあるから……」
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