みんなの心の傷になる死にキャラなのに、執着重めの皇太子が俺を死なせてくれない

兎束作哉

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番外編SS

初々しい俺は嫌い?◆

 
「まったく、あいつは何を考えていたんだ……」


 はあ、と呆れたため息なのか、怒りによるため息なのか微妙なラインのため息をつき、セシルはベッドサイドに腰を掛けた。彼が腰を掛けるとボフンと、柔らかなベッドは大きく沈む。
 彼がなぜこんなふうに怒っているかというと、俺たちがデートに行っている間フィルマメントを預けていたゼラフがやらかしたからだ。
 とはいえ、やらかしたといっても、フィルマメントの要望を聞いて飛竜に乗せて空の上を飛んでいただけだし、やらかしというほど大きなやらかしではない。ただ、周りに許可をとらずに強行したことは少々いただけない部分でもあった。

 ゼラフに対して、セシルがかなりきつく怒ったこともあり、その怒号に驚いたフィルマメントが泣いてしまうという二次災害も発生し、かなり大変だった。その際に、フィルマメントがセシルに対し「ぜぅをいじめないでぇーちぇちぃきらいになりゅ」と言ったので、これまたセシルもダメージを負ってしまったというわけだ。


(俺たちが思っている以上にフィルはゼラフにぞっこんだなあ……)


 ゼラフの足にしがみついて泣いているフィルマメントを見ていると、彼がどれほどゼラフに懐いているかよくわかった。なにが、フィルマメントの心を掴んだのかは分からないが、あのセシルに対してフィルマメントがあれだけ強く出たのは正直意外だった。
 それほど、ゼラフとブリーゼとの空の旅が楽しかったのだろう。その楽しい雰囲気を壊されたことにフィルマメントは腹を立てていたと。

 俺は、その話をセシルにしたら「理解できる。すまなかった」とフィルマメントとなぜか俺にも謝ってきた。俺への謝罪は必要なかったようにも思うが、セシルもだいぶ反省しているようだった。いつものごとく、フィルマメントに嫌われたんじゃないかと気が気じゃないらしい。
 ゼラフのほうは気にしていないが、フィルマメントはその後も「やっ、やっ。ちぇちぃや!」とぐずっていたので、子どもと俺にだけはガラスの心臓のセシルはノックアウトされてしまったようだ。
 それで、今はゼラフに怒りをぶつけている……と、何とも幼稚だが、俺の伴侶様は気が休まらないようだった。

 俺は、セシルの隣に腰を下ろし「許可は取ってほしかったよね」と彼の肩に寄り添った。


「……フィルに怒りたかったわけじゃない。あいつに怒りたかっただけなんだ」
「分かってるよ? でも、ゼラフだって分かってたはずだし。それでもフィルの願いをかなえてあげたかったんじゃないかな。彼、優しいんだよ」
「……優しくなったの間違いだ。ニル」
「え?」
「………………なんでもない」


 セシルはそう言うと、肩にもたれかかっている俺の頭を撫でた。俺は、彼にされるがままになり、身を委ねていた。


「俺もまだまだ子どもだな。フィルの前であんなに怒って……今度はフィルのいないところで怒るようにする」
「あはは、そういう問題なのかなあ……ゼラフも反省してるし、もうそこらへんにしてあげなよ」


 確かに、許可もなしにいきなり飛竜に騎乗なんて危なくてひやひやする。ゼラフだから安心できる――なんていう魔法のような言葉はないわけで、ゼラフであっても不測の事態があればどうなるか分かったものじゃない。そういう意味では、踏みとどまってくれてもよかったのかな、なんて思う。
 それでも、フィルマメントのことを優先してくれて、細心の注意を払って飛竜への騎乗を許したゼラフに俺はちょっとだけ感動していた。フィルマメントが飛竜であるブリーゼから降りてきたとき、とても幸せそうな顔をしていたからだ。
 セシルが記憶を失っているときや、他にもフィルマメントを置いていかなければならないことなんて多々あった。そのとき、親である俺たちに会えないフィルマメントはさぞ寂しかっただろうと……まだ小さいとはいえ、親が頻繁に現れないとなれば寂しさを感じるか、親に対して無関心になるかどっちかじゃないだろうか。

 そんな寂しい思いをしているだろうフィルマメントが、俺たち以外に笑顔を見せて幸せそうにしていた。俺はそんな姿を見れて少しだけホッとしたんだ。


「セシル、今は俺と二人きり……でしょ?」
「……っ、そう、そうだったな。すまない。また、ヴィルベルヴィントに嫉妬していた……ニルだけではなく、フィルまでたぶらかしたのかと」
「本人そんなつもりないと思うけどな……てか、俺はたぶらかされてないし」


 彼の膝を人差し指でなぞれば彼は分かりやすく反応を示した。それから、俺のほうにゆっくりと顔を向け、熱っぽい目で見つめてくる。


「ニル、誘い方がいやらしいぞ」
「ダメ?」
「……ダメなわけがない。ただ、久しぶりすぎてだな……さすがに、下半身にクる」


 セシルはそう言うと、右手を自身の下半身に持っていき、開いていた足をきゅっと閉じた。
 あまりにも恥ずかしそうに言うので、こちらも照れてしまう。そんなつもりで触ったわけじゃないのに、セシルが想像以上に初々しい反応を見せるものだから、こちらも反応に困ってしまったのだ。
 行き場を失った俺の手は、宙でかたまってしまっている。


「ニル、一つ聞いておきたいことがある」
「な、なに……ちょっと、目が怖いかな……? セシル……」
「……俺が記憶を失っている間、一人でシていないだろうな」
「なっ、な……もう、そういうこと聞くなよ!」


 真剣な顔でいったい何を聞いてくるのかと思えば、だいたい予想がついていたことだった。それでも、身構えていたくせに俺はベッドから立ち上がりセシルから距離をとる。すると、あからさまにセシルは寂しそうな顔をしたが、すぐに「どうなんだ?」と距離を詰めてきた。


「そ、そんなの……シてないよ……」
「本当か?」
「……一回だけ……? でも、出す前に収まったし」
「………………はあ」
「ため息つかないでよ。本当のことだから」


 一度だけ、セシルのことを思い出してシてしまいそうになった。でも、結局興奮もできなければ最後まで出すに至らず、というかセシルによって邪魔されてしまった。
 だから、シようとはしたが、出来なかったというのが正しい。
 セシルは片手で顔を覆った後、指の隙間からその夜色の瞳をのぞかせた。俺は、彼の瞳に射抜かれどきりと心臓が跳ねる。何かをされたわけじゃないのに、その目があきらかにそういった欲を孕んだものだったため、胎の奥が疼く。


(久しぶりなのに……俺の身体、覚えてる……)


 浅ましい身体だ、なんて思ったが、彼が俺をそういうふうに開発したのだからセシルに責任をとってもらうしかなかった。
 セシルは、銀色の前髪をぐっと搔き上げると色気をたっぷりと含んだため息を再びついて俺のほうを見る。


「ニル、キスがしたい」
「セシル……今、自分がどんな顔してるか理解してる?」
「それを言うなら、お前もだ。ニル」


 ああ、本当にセシルは意地悪だ。
 まるで、命令するようにこっちにこいと手招きをする。圧倒的な雄の眼に射抜かれれば従うしかなかった。
 俺は座り直し、彼の近くににじり寄ると、すぐにもセシルの手に顎を掴まれてしまう。
 形のいい唇に吸い込まれるように俺は顔を斜めに傾けた。すると、セシルは「いい子だ」と俺に言い、挨拶でもするようにチュッと俺の唇にキスを落とした。


「ん……っ、ふ、んっ……」
「……は、ニル……っ」
「んぅっ、んんっ……!!」


 深いキスは、そういう気持ちになるからと押さえていた。だから、久しぶりの快楽に身体が驚いてしまっていた。
 彼の舌は俺の唇を割って入り、逃げ場なんてないくせに逃げる俺の舌を絡め取り吸い上げる。彼の分厚くて長い舌は力強くて一度からめとられてしまえば逃げ出すことは敵わなかった。
 ぴちゃ、ぴちゃと厭らしい水音が鼓膜に響き、飲みきれない唾液が唇の端から溢れ顎を伝う。下半身に熱が集まり、同時に背筋を甘い痺れが駆け上った。


「はぅ、っん、んん……っ」


 上顎を舌先でなぞられると一段と身体が跳ねた。それを見計らったかのようにセシルは俺の腰を抱き寄せた。


「ニル、息継ぎは……っ、鼻でしろ」
「ん、んっ……やぁ、むぃ……っ」
「お前は、キスが下手だな……んっ、かわいいっ」


 セシルは、下手と言いながら、かわいいと口にし、再びキスをした。
 下手な自覚はあったものの、今の俺は初めてキスをするキス初心者に戻っていた。息継ぎの方法なんて分からないし、彼に翻弄される。
 セシルはキスが上手だ。俺なんかと違って、腰が抜けるようなキスのテクニックを持っている。
 俺は、セシルに縋り付くように彼のシャツを掴んだ。
 口に入りきらない唾液がぽたぽたと落ちていくのが分かる。酸欠で頭が回らなくなり、よりいっそ快楽に支配されていくのが分かった。
 そうして、長いキスの後、彼はようやく唇を離した。俺たちの間に銀色の糸がつぅと伸び、ある距離まで来るとそれはぷつんと切れた。それと同時に、俺は彼の胸に飛び込むような形で倒れ込んだ。


「きしゅ……ながいよぉ」
「すまない、久しぶりで加減ができなかった。キス、下手になったか?」
「は、はあ? な、なに、ひどい……俺、元から上手くないよ」
「俺が教え込んだはずなんだがな……まあ、初々しくてかわいかったからいい。ニルはそのままでいてくれ」


 セシルはそう言いながら、俺の背なかを優しく撫でた。
 どっちなんだ、と俺は嫉妬もありつつ、俺への愛おしさで顔をほころばせているセシルを見て思った。
 結局、なんだって俺がいいんだろうっていう話なんだろうが、キスが下手なんて直接言われると傷ついてしまう。そりゃ、セシルよりうまくできるはずもないけれど。
 そもそも、セシルにかなうはずもない。なぜか童貞だったころからキスも、前戯も、本番もすべてにおいて百点満点だったセシルに、俺がかなうはずもないのだ。それと、相乗効果で俺と身体の相性がいいっていうのも加点で。


「キス、練習しよっかな……」
「待て、誰とだ?」
「セシルと?」
「……そう、そうだよな。俺以外とするわけないよな」
「慌てなくても、君意外にしないよ。それに、君は俺がぬいぐるみにキスしても嫉妬しちゃうくらい、俺とのキスが好きなんだから。バレたら、俺、次の日には唇なくなってそうだもん」


 俺が口をとがらせて言えば「その通りだ……」と反省しているような声色でセシルは項垂れた。


「だから、君としかしないよ。俺のキスが下手でも許して」
「怒ってないだろう。かわいいといっているのだ。短い舌を懸命に出して俺のキスに答えてくれるニルが、たまらなく愛おしくてだな……」


 そう言うと、セシルは俺の手を掴み、自らの下半身へと持っていった。ちょっと、という間もなく、俺は彼の昂りに触れることになる。


「~~っ!?」
「お前とのキスでこうなった」
「さ、触らせなくてもいいじゃんか! バカっ……あ、ぁぁ、また、おっきく、なって……」


 どこに興奮する要素があったというのだろうか。
 俺の指先は、すでに先走りを垂らしているセシルの昂りの頂点に当たってしまう。ぬちゅっと卑猥な音が聴こえ、俺は手を放そうとしたが、セシルに掴まれているせいでそれも構わない。どういうプレイだ、とも苦言を呈したかったが、恥かしさのあまり声が出なくなる。


「せし……せしる?」
「お前の手は俺より小さくて、すべすべしている。かわいい」
「また、かわいいが口癖になってる! なんでも、かんでも、かわいいっていって!」
「かわいいからな」


 そう言ったかと思うと、セシルは俺を押し倒した。
 ボフンと柔らかなベッドが俺たちを包んでくれる。
 俺は、両手をセシルに拘束されてろくに身動きもとれない。セシルは俺の足の間に膝を滑り込ませてきたため、脚も閉じれないという状況。
 きゅっと目を閉じれば耳元で「目を閉じるな、俺を視ろ」なんて言われるから目も開けるしかなくなる。


「今日は、なんか意地悪だ……セシル」
「意地悪した覚えはないのだが……そう思われてしまったのならすまない」
「……うぅ、謝らなくていいよ。ちょっと、久しぶりだから、恥かしくて……いつも、こんなに恥ずかしかったのかな」
「ああ、いつもそんな顔をしているな。だが、今日は一段と……初めてシたときのことを思い出す。いや、それ以上に初々しいな」


 チュッと首筋にキスをする。そして、二度目、同じく首筋ではあったものの場所を変えて今度は強く吸った。チクリと痛みが走ったため、そこに痕がつけられたことをなんとなく察する。
 セシルは久しぶりだというのに容赦がない。
 彼には羞恥心というのものがないのだろうか。
 かわいい、なんて口にしながら俺の服を脱がし、鎖骨にキスを、胸にキスを、身体の至る所にキスの雨を降らせる。時々チュっと強く吸われるが、その差はなんなのかよくわからない。
 男らしい手で愛撫をするのも忘れず、セシルはあっという間に俺を生まれたままの姿にしてしまった。


「よかった。勃ってるな」
「勃つに決まってんじゃん……セシル、に、こんなふうに触れられて……勃たないほうがおかしい」
「だが、久しぶりと言っていただろう?」
「セシルに触れられる感覚、身体が覚えてるから……俺の身体、セシルじゃなきゃ反応しない……」
「そうか。それは嬉しいな」


 セシルはフッと笑って俺の手を取り、手の甲にキスを落とす。
 それから、セシルは俺の下半身に指を這わせ、そこをトントンと指で押した。


「硬いな。本当にしていなかったんだな」
「疑ってたの?」
「まさか」
「じゃあ、今の発言はおかしいよ……んんっ、もう、っ、ちょっと! セシルッ!!」


 都合が悪くなったのか、セシルは俺の蕾の周りをくるりと指で回し、一本一本しわをなぞった後、ぐっと人差し指を差し込んだ。
 久しぶりにこじ開けられたそこは異物感を感じており、押し出そうと懸命に力を入れてしまう。しかし、くいくいと何度か動かされれば、見知った感覚だとでも言わんばかりにあっさりと陥落してしまった。するとすぐにそこは快楽を拾い始める。


「お前のナカは温かいな。フワフワしている」
「わっかんないよっ……そんなこといわれたってっ! かといって、っ、実況してほしいわけじゃないっ」
「素直に喘いでくれていいんだぞ?」
「い、意地悪だ……ああああっ」


 ピンポイントで俺のいいところを押し込み、数回軽くノックされただけで、俺は呆気なく果ててしまった。
 久しぶりの大きな快楽の波。セシルに触られると自分でも信じられないくらい敏感になる。


「早いな」
「……セシルのバカ」
「ああ、バカでも構わない。だが、果てたからと言ってまだ解せていないだろう。もう少し我慢してくれ」
「我慢って、なにをっ」
「俺のをお前のナカに挿入る我慢だ」
「な、なにそれ……あっ、ああっ、もうっ、出したばっかりだからっ」


 ぴくぴくと痙攣するように俺の身体は小刻みに震える。出したばかりで敏感になっている身体に彼は指を突き立てるのだ。一本だったものは二本に、さらには三本まではいって俺のナカを蹂躙する。
 思い出してきた感覚に俺は身体を震わせながら、口では待って、やだ、と繰り返す。でも、それが本気で嫌がっているわけではないと分かっているセシルは、手を止めることはしなかった。


「お前のナカは、お前の体温と違って温かい。いつもここで俺のを包み込んでくれるんだ。気持ちよくて、すぐに出てしまいそうになる」
「はずかしいっ、だから、はずかしいんだってっ……あ、あああっ」


 二度目の射精。
 俺は、くたりとベッドに沈み込み浅い呼吸を繰り返していた。
 あっけなく二度もイカされてしまった。
 許容量を超えた快楽にあたまがフワフワとしている。しかし、セシルは己のモノを取り出すとそれを掲げで俺に見せつけてきた。彼の雄の象徴は俺の中んかよりも大きくて、圧倒的なオーラを放っている。


「ニル、そろそろいいか?」
「我慢できないって顔してるね。久しぶりだから、その、ゆっくりね?」
「善処はする」


 セシルは、耐えいきれないなというように、俺のそこに自らの剛直の先端を擦り付けた。熱いモノが今にも俺を貫こうとしている。
 久しぶりのため、少しの恐怖と、そしてこれから与えられるであろう快楽に心臓が高鳴る。それでも、ちょっと恐怖のほうが勝った。


「怖いか?」
「久しぶりだからね。それに、セシルのおっきいから……そんなに大きかったっけって」
「……っ、それは褒めているのか?」
「ん? 褒めてる……褒めてるよ?」
「そうか。なら、お前のナカで思い出してくれ。俺の大きさを、俺の存在をっ」
「へ? ……~~~~っ!?」


 優しくするといった、ゆっくりするといった。
 それなのに、彼はドチュンと一気にそのサイズのもので俺を貫いた。
 かはっ、と目を見開きながら俺は身体をのけぞらせる。
 先ほどよりも強烈な快楽の波が一気に押し寄せた。もうすでに力なくくったりとしていた俺のモノから少量の白濁が押し出されるように飛び出し、腹にかかる。


「……だめっ、って、いったっ、いったのにぃっ」
「ニルがかわいいのがダメだ」
「また、また俺のせいにして!」


 俺の腰を掴んだまま、セシルは、はーはーと息を切らしている。息を切らしたいのはこっちなのに、セシルは、俺のナカが締まったために、少し苦しそうにうめいていた。


「くっ、やはり、ニルのナカはすごいな……締め付けてくる」
「だって、今……」
「イったもんな? 知っている」
「……っ! バカ、だから、そういうの、デリカシーないっていうの!」


 俺が言えば、すまない、と心のこもっていない謝罪をされる。それから多分俺に聞こえないように言ったのだろうが「入れただけでイクなんて……」と感嘆の声を上げていた。一発叩いてやろうかと思ったが、彼のを締め付けるたび、嫌でもセシルの存在を感じてしまい、もうすでに出したのに早く奥を突いてほしいと身体が求めていた。


「動いていいか?」
「……動きたいんでしょ?」
「ニルだって、欲しそうに腰を揺らしている。俺だけにしないでくれ」
「セシル、ひどいよ」
「ひどくはしない」


 絶対に嘘だ。

 熱に侵された夜色の瞳は、俺の奥をガンガンにつきたいという欲望が感じられる。そんな瞳に見つめられて「ああ、欲しい。早く欲しい」って思う俺は同罪だ牢。
 セシルの剛直はぴったりと俺の結合部にハマっており動く気配はない。俺が許せば、すぐにもガンガンに奥を突いてくれるのだろう。


「……わかった、いいよ。でも、その代わり……セシルも気持ちよくなって?」
「……っ、ああ、お前のナカで気持ちよくならせてくれ。俺も、ニルを気持ちよくさせる」


 セシルは優しく微笑むと、俺の腰を高く持ち上げ、上から突き刺すように、腰を打ちつけた。


「あっ! ああっ!」


 セシルの剛直は俺の奥をガツガツと無遠慮に穿つ。その衝撃は、俺の脳天を突き抜け、目の前に星が飛ぶ。
 与えられる快楽はいつだって強烈だ。俺はもう、ただ喘ぐだけしかできなかった。


「ニル……っ」


 セシルの切羽詰まった声を聴くと、さらにギュッと彼のモノを締め付けてしまう。
 必死になって俺を求めている彼の表情が好きだ。


「あっ! ああんっ!」
「ニル……っ」


 セシルの腰の動きはどんどん早く、そして、強くなっていく。俺もその動きに合わせて自然と腰が動いてしまっていた。
 最奥をノックされれば、一際強い波がグッと押し寄せる。


「あ、やだっ、そこっ」
「いいだろう? まだいける」
「知ってるけどっ……久しぶりだからっ」
「それは、魔法の言葉かなにかか?」


 コツン、コツンと彼が俺の最奥をノックする。そのたび、段々と緩くそこが開き始めるのを感じる。


「やっ、ひらいちゃっ、んんっ!」
「俺を、そこに入れてくれ――ッ!!」


 俺の腰を自分の側に引き付け、彼は思いっきり穿った。まるで、串刺しにでもされたような衝撃が全身に伝っていく。


「あっ、あああっ!!」


 先ほどよりも多くの星が見えた。白くてキラキラした星が、俺の目の前に散っていく。
 喉も背中ものけぞらせて、俺は耐えきれない快楽を身体で感じていた。一種の拷問にも近いが、そこには愛が感じられる。だって、俺が彼を俺の最奥に導いたのだから。
 口端からは唾液が溢れ、脳天まで突き抜ける快楽にただただ喘いだ。


「ああっ! セシルっ! 壊れちゃうっ」
「壊れはしないっ、大丈夫だっ」
「やっ、ああんっ、やだっ、やあっ!!」


 お腹もお尻も気持ちいい。でも、気持ち良すぎて怖かった。
 久しぶりに与えられる快楽に、俺は翻弄されっぱなしだ。以前もこうだっただろうか。
 全身で、セシルを感じている。これ以上ないほどに彼を感じている。気持ちよくて幸せなのに、ちょっとの恐怖があった。気持ち良すぎて怖い。
 もう無理だと叫ぶのに、セシルの腰の動きは止まらない。それどころかさらに激しくなるばかり。俺はもう、ただ喘ぐことしか出来ない。


「ああっ、セシルッ!」
「ニルっ」
「やあっ、もうっ」
「……っ、俺も……イきそうだ……ニル、お前の一番奥で果ててもいいか?」
「へっ、奥?」
「ああ。お前の一番奥でだ」


 少しだけ腰を緩めながら、彼は俺に問うてきた。だが、それは最速のようにも感じる。
 俺が答えられずにいれば、答えを急がせるように、 彼の腰の動きがさらに早くなる。俺はその快楽を受け止めるのがやっとで、ただ彼にしがみついた。


「いいっ、いいからっ。俺の奥にちょうだぃっ、セシルの、セシルの欲しいっ」
「フッ……ああ、くれてやる。お前に、俺の熱もすべてっ」


 セシルはそう言って、最奥に己の熱を叩きつけた。
 俺は、声にならない嬌声をあげ、全身で彼を受け止めていた。最奥に熱いものが叩きつけられるのを感じた。指先まで、彼から耐えられた快楽にどっぷりとつかっている。
 さらに深く、ベッドに沈み込めば、まだ出しきれていない彼の熱が注がれているのを感じる。
 俺は彼のモノがしぼんでいくのを感じながら、するりと腹を撫でる。すると、どういったわけか、また彼が熱を取り戻す。


「せしる……?」
「もう少し、ナカにいさせてくれ」
「ぅん、いいよ……」


 ギュッと俺を抱え込むようにセシルは俺を抱きしめた。それから「好きだ、かわいかった」といつものように口にしながら、俺の髪を撫でる。
 俺はそんなセシルの背中に腕を回し自分のほうへ引き寄せた。


「セシル、好き」
「俺も好きだ、ニル」
「ちゅーしたい」
「ああ、いくらでもしよう」


 キスを強請れば、セシルは優しく俺の唇を奪う。ちゅ、ちゅ、と何度も振れるようなキスを繰り返し、それから一度離れて見つめあう。
 つけていた蝋燭はいつの間にか消えてしまったが、俺たちの熱はまだまだ収まりそうにない。


(ああ、本当に幸せだな)


 俺たちはもう一度お互いの体温を感じるために抱き合い、そしてまたキスをしたのだった。

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