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番外編 新たな時代を切り拓く一歩
歯止めが効かない君が好き◆
しおりを挟む「もうやだ……ああんっ!!」
嘘だ。嘘をつかれた。
三本指を入れて解したら挿入るって言ったのに。いや、言ったっけ? 多分、言った。言ったことにしよう。
ぬぷ、ぬぷっとセシルの舌が俺のナカを出たり入ったりする。指とはまた違う硬さと熱さをもったそれは、俺のナカを執拗に舐めまわした。汚いから舐めないでくれ、キスしないから! と、セシルが止まりそうな言葉を発しているのに、聞こえていないのか、聞こえないふりをしているのか止まってくれない。
俺のそこ……溶けてなくなっちゃうんじゃないか……私
「はっ……あんっ、んぅっ……せし、もう、やだ……だめっ」
「ずっとイってるな。気持ちいいか?」
「もうわかんないよ……っ、ずっと、ふわふわしてるんだもんっ」
「ああ、かわいいな」
ようやくぴっと舌を引き抜き、セシルは満足そうに口元をぬぐった。
だが、俺は解放されたというのに感覚が戻らないままだ。ずっとふわふわして降りてこられない。そこもパクパクと開きっぱなしだし、俺の方が挿入前にダウンしてしまう。今、意識をかろうじて保っているのが奇跡だ。
「今日、なんか……っ、ねちっこいよ……っ、なん、で?」
「何でだろうな。ただずっと愛したいっていう気持ちがあった。お前が苦しんでたあの時から、今日今、この瞬間まで。お前を俺の愛で満たして、お前の中から辛い記憶を追い出せればと……もちろん、そんな罪悪感だけじゃなくて、単純にニルを可愛がりたかったんだと思う」
「せし……?」
「ほら、言っただろ? 我慢しなくていいと。受け止めてくれるんだろ?」
少し俯いていったセシルは、ふっと笑う。でも、どこか少しだけ寂しそうで悲しそうだった。
ずっと気にしていてくれたのか。そして、セシルもあの作戦のことを成功したが多少なり後悔が残ったと。
セシルは、この場にそういった暗い感情は持ち込みたくないとしたうえで、けれどもちゃんと伝えることは伝えないと口にしてくれた。本当に頭が上がらない。
最高で最良の伴侶だ。
俺は快楽で常に痙攣している両手を伸ばす。上半身にも力が入らず、腕は宙を切ってプルプルするばかりだ。
そんな俺の両手の中にセシルがスッと入って来てくれる。俺は両手をセシルの背中に回し抱き締めた。
「ありがと。受け止めるよ」
「ああ、ありがとう。ニル。受け止めてくれ。俺を、全部」
しばらくの抱擁のあと、セシルはゆっくりと俺から離れ、その屹立をそこにあてがった。
そういえば、俺をうんと愛でてる間彼のそれが萎えていなかったのだと今更気づく。持続力と忍耐はどうなっているのか本当に不思議だが、ようやく彼とつながれるのだ。もうくたくたなので、入れられた瞬間意識が飛びそうだが、ここは踏ん張らなければ。
「フッ、何を力んでいるんだ。ニル」
「力んでるわけじゃないよ」
「今から戦いが始まるような、緊張が迸っている表情をしているが?」
「……君が長い前戯をしたせいで、こっちは、体力が残ってないんだよ。だから、君のそれで貫かれたとき……意識を保っていられるか心配で」
「だからってそんな顔をしなくてもだな。まあ、どんな顔をしていてもかわいいし、ニルが俺のためを思っていろいろ考えてくれるのは嬉しいが」
俺だって今からつながれるのに、力の入った顔をしたくない。
だが、セシルとの行為が気持ちいいのを知っているし、未だって甘イキを繰り返しているんだ。その状態で挿入られたらどうなるか、セシルには想像つかないんじゃないか。過去に、焦らされたあげく挿入られてイってしまったことがあった。だから、それの二の舞にならないようにするためには力むしか方法がないというか。でも、そのせいで窄まりがキュッとしまってしまっては、セシルも挿入しにくいというもの。
ナカがうねって、早くくれと催促しているのが分かる。これ以上焦らされては困るけど、一方的に気持ちよくなるのは嫌だ。せめて一緒に――
「セシルだって覚悟した方がいいよ。俺のナカ君のせいで、ふかふかのキュンキュンになってるから」
「かわいい言い方をする。確かに気を抜くと、持っていかれてしまうかもな」
「余裕そうに笑ってさ……絶対に絞りあげる」
こういうのを、尻で抱くというのだろうか。
もうすでに満身創痍なのだが、気は大きく持っていたい。今日、ベッドに入ってからのことを思い出し、再度セシルに仕掛けてみることを試みる。
俺は震える手で、自らの後孔に指を這わせ、彼に散々弄られたそこを開いてみせた。途中で恥ずかしくなりきゅっと目を閉じてしまったので、この時点で敗北しているようなものだ。ならば、もうできる限りのことをしよう。
かわいい、とセシルが言ってくれるのならそのかわいさを最大限活用しなければ損だ。俺の唯一の切り札。
恥ずかしいけど――
俺がくぱっとそこを開いてみせると、セシルの動きがぴたりと止まるのが分かった。静寂が流れるが、すぐにごくりと大量につばを飲み込む音が聞こえる。右目だけかすかにひらくと、大きな喉仏が上下し、瞳孔が見開かれているようにも見えた。
ああ、セシルの視線を独り占めで着ている。そう実感した瞬間だった。
「――ニル」
「早く、俺のナカにセシルのおち……それ、挿れて。俺のナカ、い、いっぱい突いて、めちゃくちゃにして」
「言っていることが二転三転してるような気がするが……そこもニルの可愛さだな。受けて立つ。いっぱいにしてやる。お望み通りっ」
「――ああああぁぁっ!!」
ズブッ!! とナカに熱がねじ込まれる。
口にしている途中で、さすがに恥ずかしくなった。途中で濁した単語もあったし、恥じらいを捨てることはできなかった。かえってそれがよかったのかもしれないけど。
宛がわれた屹立は一気に奥まで入り込んだ。あれだけ解されたのだから勢いよく入っても難なく彼のモノを受け入れられた。とはいえ、一番太い部分を飲み込む際は少し痛かったようにも思う。でも、その痛みさえも吹き飛ばす快感がそこにはあった。
「あ、ぁ……」
「もう何も出ないな。ふるふる震えていてかわいい」
ちょんと指ではじかれた俺の雄は、猛々しいセシルのものとは違いすっかり萎れていた。出すものは出し切ってしまい、透明な液体が時々たらたらと流れるくらい。そこに威厳はない。
恥ずかしいから触らないで、と震える指を伸ばすが、それよりも先にセシルが俺の腰を掴み動き出す。
ズンッと彼の側に引き寄せられ、最奥を思いっきり突かれる。彼の剛直が突き刺さり、俺は喉を開いてまた身体を弓なりにしならせた。下半身から脳に駆け巡る快楽。開いた口はしばらくの間閉じなかった。
喉からかすれた声が聞こえる。許容量をはるかに超えた刺激に、涙が出てくる。気持ちよすぎて、もう一生降りてこれる気がしない。
「くっ……確かに、よく締まる。搾り取られそうだ」
「せしっ……せしるっ……」
「どうかしたか? 止まった方がいいか?」
「うぅん、あっ、とまってないっ……それ止まってないから!!」
確かに抜き差しの動きはない。しかし、巧みに腰を揺らし最奥をぐりぐりと刺激している。激しい動きでないものの、与えられる刺激としては十分で、より彼のモノを締め付けてしまう。そして、だんだんとその刺激だけでは足りなくなっていくから実に怖い。まるで、中毒性があるみたいだ。
俺は首を横に振った。ちょっとだけ休ませてほしい……でも、弱音を吐いたらセシルを満足させられない。
涙目でセシルを見上げれば、一段と意地悪そうな愉しそうな顔をしていた。
「セシル……いじわるだっ」
「確かにいじめすぎた気がするな。泣かせたいわけじゃないんだ。ただ、かわいすぎるお前を見ると、止まらなくなってしまうんだ」
「きゅぅーとあぐれっしょん?」
ろれつが回らない。
セシルは人差し指をそっと俺の目じりにあてて、涙をぬぐう。けれど、俺の涙はすぐにまた流れて横へ流れていく。
時たま……いや、セシルは昔からそうだった。いきなり俺を叩いたことがあったが、あの時彼自身どう感情を処理していいか分からないみたいな顔をしていたのだ。大人になった今も時々キュートアグレッションを起こすのだろう。俺には理解できないけど。
「かわいいお前を見ると歯止めが効かない。かわいいままでいてくれて構わないが、かわいいままだと俺がどうにかなってしまうんだ」
「俺のせい?」
「人のせいにしてはいけないが、ニルのせいだな」
「ひ、酷い……そこは……ううん、いいよ。セシルが俺のこと大好きだ~ってことだもんね。へへ、うれしい。いいよ、そのままのセシルで」
「……っ!! だから、そういうところだぞ。ニル!!」
「んぁっ!?」
止まっていた腰が再び動き出す。
ぎりぎりまで引き抜き、そのままパンッ!! と最奥を穿った。
目の前に白い星がはじける。
もう勃ちあがることがないだろうと思っていたソレからぴゅくっと残りかすのようなものが飛び出す。そして、再び襲う快楽の波に俺は身体を震わせた。足の先がピンと伸び、ピクン、ピクと痙攣している。
「は、ぁ……っ、あぅっ……っ」
「好きすぎて止まってやれない。嫌なら俺の背中に思いっきり爪を立ててくれ」
「そ……なっ……あっ、あ、あ、あんっ、あっ……ああっ!!」
抽挿が再開し、パン、パン、パンッ!! と肌と肌が打ち付けられる乾いた音が響く。それに伴い、ずちゅ、ぬちゅとそこが泡立ったそこが卑猥な音を上げ始める。
あまりに激しい動きだったため、嫌じゃなくても彼の背中に手を回し振り落とされまいとしがみつかなければならなかった。
ギッと彼の背中に爪を立ててしまい、ハッと意識が一瞬戻る。しかし、そんなこと気にしなくていいとでも言わんばかりの激しさに俺は何度意識を飛ばしかけたか。
「あっ……あんっ、んっ、あっ……あああぁっ!!」
「ニルっ……クッ……そんなに気持ちがいいか?」
「うんっ……はっ、んっ、きも、ちっ……」
「それならいい。爪、気にしなくていいからな」
「ふぇ? ああんっ……!!」
激しさの中に優しさがある。かと思えば、俺の気持ちがいいところをピンポイントで当て抉ってくる容赦のなさもあった。
自分が気持ちよくなるためだけに腰を振っているのではないと分かるその動きに、俺は胸までいっぱいになる。足の先から頭のてっぺんまでセシルで満たされていた。
口からはひっきりなしに嬌声が漏れ、気持ちよさでバカになった涙腺がボロボロと涙をこぼした。
先ほどまで疲れていたのに、身体はセシルを求めて離さない。自分でもどこにそんな体力が残っていたんだと叫びたくなるほどだった。
「はっ、あ……あっ、せしっ、おっきくなった」
「気持ち良すぎるから、なっ……ニル、ナカで果てていいか?」
「いっ、よ……っ、ほしい、せしるがいっぱいっ」
「フッ……本当にかわいいな。お前は」
ラストスパートと言わんばかりに腰を打ち付ける。奥をガンガンに突かれ、そのたび目の前に星が散った。
そして、一際強く最奥に打ち付けた瞬間、ナカで彼のモノが弾けた。熱い飛沫が注がれ、ドクドクと俺のナカを満たしていく。
「ふ……ふっ……」
「セシル……も、かーいい」
「俺が、か? どうして?」
「俺のナカに一滴も無駄にしないようにって……すりつけてるとこ、かわいい」
「お前のほうがかわいい」
腰を小刻みに揺らし、俺のナカに擦り付けるような動きをする。無意識なのかと思ったが、俺の質問に答えたセシルから意図的なのだと聞かされる。
どこまでも俺のことが好きだな、と俺はへにゃりと笑ってみせた。口が上手く動かなかったが、柔らかい笑みは返せたと思う。
そうして、セシルはゆっくりと俺のナカから出ていく。あれだけ激しく出入りを繰り返していたのに、抜くときはゆっくりと慎重に腰を引いていくからなんだかおかしかった。それから、ぬぽんと音を立てて彼の一番太い部分がナカから出ていく。
セシルは、ふぅ……と息を吐き、汗で張り付いた前髪をグイッと搔き上げた。筋肉の割れ目に沿って流れ落ちる汗はダイヤモンドのような輝きを放っていた。流れてシーツに吸い込まれていくのがもったいなく感じる。
彼の大きな肩が上下している様子を眺めながら、俺も呼吸を整えていた。体力はかなり消耗したがまだあと一戦は行けるんじゃないかとちょっと余裕があった。とはいっても、時間を空けなければ無理だ。連戦できるセシルとは違う。
俺は、とりあえずセシルに抱き着きたくて震える両手を宙に持ち上げる。すると、すぐに気付いたセシルが俺の両手を引っ張り上げてくれて体を起こすことができた。セシルに介抱してもらわなければ抱きしめられないなんて、自分の体力のなさが恨めしい。
「甘えたい気分なのか?」
「そうかも。甘えたい。君に抱き着きたかった」
「それは嬉しいな。俺も同じ気持ちだった」
そう言って彼は俺の両手を自分の首の後ろに持って行かせ、自分の手は俺の背中にピタリと当てられた。分厚い胸筋が、俺の薄い胸に押し当てられる。これまた一段と大きく脈打っている心臓が肌を通して伝わってきた。
大地が脈動しているような力強さをそこに感じる。それに呼応するように、俺のか弱い心臓も必死に動く。
呼吸は段々と落ち着いてきた。でも、時々胸が擦れてピクンと身体が反応してしまう。裸で抱き合っているものだから、相手の体温から何から何まで素肌で感じ取ってしまうのだ。きっと些細な変化ですら見逃さないだろう。
「セシルの心臓の音が好きだよ。力強くて、かっこよくて……さ。何だろう。言葉にするのは難しいけど」
「ニルの心臓だってちゃんと動いているじゃないか。安心する。お前の身体を抱きしめていると、もっと強くなろうと思う」
「それ以上強くなるの?」
「ああ、ニルのためなら何だってできる気がするんだ」
「愛だね」
いつの間にこんなに体格差ができていたのだろうか。
着やせするタイプだから、普段は並んでもそこまでの差はないように思う。遠目で見たら……といったところだし、着やせと言っても元ががっしりしていることには変わりない。
小さいころから俺よりちょっと身長が大きかったけど、今はもっとたくましく心身ともに成熟しきった大人という感じがする。俺の前ではかわいくなるし、甘えてくれる、そんな一面を見せてくれるけど。
彼にもっと抱き着きたくてぎゅっと抱きしめれば、セシルの手がサラッと俺の髪の中に入ってきた。
「俺の髪、好きなの?」
「今も昔も」
「色、変わっちゃったのに?」
「ニルはいつだってきれいだ。色が変わろうが、長くても短くても……ニルの一部だろ?」
「俺にはない感覚だよ。でも、セシルが好きなら嬉しい。俺もセシルの髪、好きだよ。力強い光と、硬さと……全部好き」
俺も彼の髪を撫でてみる。うなじあたりまで伸びた髪をじょりっと触ると少しチクチクして痛かった。銀色の髪は差し込む月明かりによって幾倍もその美しさを増す。空に浮かぶ白銀の月をそのまま削り取ったような色だ。ダイヤモンドの輝きにも勝る。
ずっと見てきたその色を、こんなに近くで見られるなんて不思議な気分だった。隣にいても、ここまで至近距離に近づく機会なんてなかったから。
俺が彼の首をすりすりと撫でていると、腹あたりでむくりと何かが勃ち上がるような気がした。俺は少し離れて、視線を下に落とす。すると、見るなと言わんばかりに顎を掴まれ強制的に目を合わせることとなってしまった。
「何で?」
「そんなに見たいのか? さっきは、グロテスクだの、凶悪だの言ったくせに」
「セシル、恥ずかしいの?」
「別にそういうわけではない。ただ、その……褒められるのは嬉しいんだが、マジマジ観察されるのは、それだけで何というか」
「俺に見られてイっちゃいそうになるってこと?」
俺の言葉に、セシルは顔を覆った。
俺は新たな弱点を見つけた気がして気がよくなる。確かに、グロテスクだの、凶悪だの思うけど別に嫌いじゃないし。あと、セシルのソレを見えるのも俺だけの特権なのだから。まあ、見られて恥ずかしいという気持ちは俺にもある。特にセシルと自分のが並んだ時の何とも言えない虚しさと言ったら……男として負けた気持ちになる。大きいだけがすべてじゃないんだけど、俺にだって何かしら勝負事には勝ちたいというか。
「…………ニル、二戦目いいか……?」
「もしかして、却下されると思った?」
「あれだけ激しくしたんだ。それと、もうこれがピロートークかと思った」
「ちょっと休憩時間は欲しかったんだよ。あと、揺さぶられながら抱き着くのと、ただ抱き着くのってまた違うじゃん。俺はただ君と抱き合う時間もほしかったってだけだよ。あとね、セシルが今日はすっごくねちっこいから体力の消耗が激しかったの」
「だ、だが、それはその……味わいたかったんだ。お前を。久しぶりなのだから……」
ブツブツと聞き取れない声で言ったセシルは凶悪になったそれを俺の腹に擦り付けてきた。俺はそれに思わず反応してしまい、カッと顔に熱が集まる。
そういえば、この体制でそれを擦り付けられるといつもここまで届いているんだぞーと自覚させられるというか……
「どうかしたか?」
「……いや、いつもここまで届いているんだって思って」
「もっと届くぞ?」
「え?」
冗談かと思ってみてみたが、彼の顔は本気か冗談か分からない顔をしていた。
確かに今日はまだ、奥の奥まで届いていないけど……
(え、まさかセーブしてたとか?)
二戦目があることを見越して?
まさかまさか、と想像がよぎるが口にしてくれないことには分からない。でも、聞くのも怖いので口を閉じることしかできなかった。
セシルのことを搔き乱したいと思うのに、相手は理性を飛ばすまでに至っていないというのか。負けた気がして悔しすぎるんだが……
しかし、勝つ方法なんて一生分からない。マウントを取れる体位もしばらくはできないし、俺がセシルにできることなんて限られているし……
セシルは再度俺の腹にソレをこすりつけてきて腰を揺らす。そのリズムが絶妙で俺は首を横に振った。
「ダメか?」
「ダメじゃない、けど……」
「けど?」
「セシルは意地悪だ」
「たまには意地悪もしたくなるさ。お前がかわいいから」
「かわいいってつければ許してもらえるって思ってない? ……あっ」
俺が文句を言っている最中にトサッと押し倒す。だが、決して強引なものではなく、俺の身体はゆっくりベッドに沈むように倒れた。痛みはない。
そして、目を開けるとまた熱を取り戻した獣の目が俺を見下ろしていた。凶悪なものをぶらさげて、俺を見下ろしている。
(食われそう、だな……)
まだ付き合える。
休息は十分に取れたわけじゃないけど、彼を受け入れるくらいできた。というか、受け入れたくてまた身体がうずうずしている。俺も大概だ。
セシルが俺に覆いかぶさったところで、俺はタラリとナカから彼の出した残滓が垂れてきたのを感じた。恥ずかしくなって、サッとそこに手を持ってくる。
「ニル?」
「や……出ちゃう……」
「……っ!!」
下半身に力を入れて何とか外へ出ていくのを防ごうとした。でも、身体はまだ十分な休息が取れていないのかいうことを聞かない。そのうちにシーツにトロトロと流れ出ていく。もったいなくて、寂しい。
あ、あ……と、慌てて手で受け止めようとするが、その手をセシルが強引に頭の上で縫い付けたのだ。光の速さだった。
痛くはなかった。ただ、一体何が起こったのかまるで俺は理解できなかったのだ。
下半身にあてていた手が、いつの間にか、自分の頭の上にあって……しかも、セシルが片手で俺の両手を縛っていて。
「セ、セシル?」
「問題ない。また注いでやる」
「え、あ、……ああああぅっ!!」
ズブッ!! と、再びナカに彼の熱がねじ込まれた。先ほどよりも強烈で、加減を知らない獣のような動きだった。最奥をグッと穿かれ、すでによわよわになっていたそこが開くのを感じる。次の一突きで挿入ってしまいそうだ。
「あ、まって、せし、せし、おれ、そんなっ……きょうれつなのはっ……!!」
限界まで引き抜かれたのを感じた。
ジェットコースターの落ちるか落ちないかあのギリギリのラインのようだ。落ちるのは一瞬それと同じで――
「――かはっ……」
喉が奥が開く。
想像の何倍もの快楽が一気に身体を駆け巡った。腰が自分でも驚くくらい柔らかく反る。身体はほとんどベッドから離れてしまっていたかもしれない。腰が浮いている。
最奥を穿ったそれは、グポンと腹の奥から音を立てていた。入っちゃいけないところまではいったセシルのモノを、俺は全身で締め付ける。
「あ、あっ、あっ」
全然降りれない。フワフワが続いている。
恐怖と快楽が一気に叩き込まれた身体は悲鳴を上げていた。でも、星がちらつく瞳に見た彼の顔はとても真っ赤で、俺を愛おしそうに見ているのだから全部許せてしまったのだ。
「ニル、好きだ。この世界で誰よりも。俺の、唯一」
そう言ってキスと共に、腰が打ち付けられる。激しさが増していく中、俺は必死に意識を保つことで精いっぱいだった。
この絶倫……でも、俺も好きだよ。
キスに応えて、抱きしめる。時々背中に爪を立ててしまうのは許してほしい。
その後、何回続いたか分からない。
声が枯れるほど、溢れてしまうほどナカに出されて、それでもまだトばないでくれと意識を強制的に引き戻されたのだけは、なんとなく記憶に残っていたのだった。
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