みんなの心の傷になる死にキャラなのに、執着重めの皇太子が俺を死なせてくれない

兎束作哉

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第4部3章 バカンスと告白とエトセトラ

02 夏と海と触手

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「ニル先輩、見てください! お城作りました」
「サテリート帝国の皇宮に似てるっしょ? 徒花先輩」
「すごい……ディテールが」


 セシルが先回りして、ゼラフの足を引っかけたことにより先ほどの鬼ごっこはようやく終わりを迎えた。その後、ゼラフは、セシルとアルチュールに連れられまた三人であーだこーだと喧嘩を始めてしまい、俺はちょいちょいとアイネとフィリップに呼ばれたので砂浜の中央に来ていた。
 彼らは、俺たちがバカやっている間に作った砂のお城を自信満々にみせてき、褒めてほしそうに俺を見つめてきた。同級生三人と比べたら、アイネとフィリップはかわいいもので、純粋な目を向けてきてくれるところが愛らしい。別にあの三人がどう、と比べる必要もないが、俺にとってはかわいい後輩二人で、思わず二人の頭を撫でてしまった。

 フィリップに関しては「ちょいちょい、先輩!」とちょっと恥ずかしそうにしていたが、アイネは花が開くような愛らしい顔で、頭を撫でられることを喜んでいた。
 にしても、あの短時間で、サテリート帝国にある皇宮を模したものを作れるなんて大したものだと思う。細かい装飾部分もどうやって砂で固めたのかとか気になるところではあった。しかし、その大きさも寸法も、本当に縮小サイズといっても過言ではないと思うし、屋根の形も、離宮につながる庭園や廊下も作り込まれているから驚いた。
 どうやら、フィリップがアイネに設計図とまではいかずとも何を作るかまで指示をし、一緒に作っていたらしい。器用なものだと、感心する。


「てか、相変わらずっすね~あのお三方。王子先輩がいるのはすっげえ、謎っすけど。よくやるわ~って。あ、あの三人には内緒でお願いします」
「フィリップも相変わらずだと思うけど。君も、かなり図々しいよね」
「図太く生きるをモットーにしてるんで。誉め言葉っすね」


 フッと鼻で笑って、フィリップは俺を見た。
 もし彼が、現宰相と似たような容姿であったら、きっと俺は彼をすぐには受け入れられなかっただろう。あの宰相の息子だということを感じさせない人柄に、雰囲気。しかし、器用なところや容量のいいところは親譲りか。
 いろいろと考えてしまうが、かわいい後輩だ。まあ、あの三人に舐めた口をきいたら、同じ攻略キャラとはいえ、ただでは済まないだろうけど。


「あの、ニル先輩。誘ってくださってありがとうございました。こんな、広い海……島に」
「アイネ。ううん、所有者は皇族だし……セシルが許可したからってのもあって、お礼を言うなら彼に」
「そう、そうですけど。その、誘ってくださったのはニル先輩だったので……えっと、先輩が留学に行っている間、寂しかったなって」
「んんんっ、アイネ。かわいい、俺の後輩」


 癒しだ、と思わず抱き着いてしまい、よしよしと頭を撫でてしまった。
 アイネは、わ、わ、とかわいらしい声を出して、行き場のない手をばたつかせていた。これまで、俺よりも大きな男たちに囲まれてきたから、抱きしめてすっぽりハマるサイズというのは珍しい。抱きしめてはいないが、レッテリオ王子も小さかったし、抱きしめたらこんな感じだったのかもしれない。
 俺たちが留学に行っている間寂しかったなんて、心がきれいで素直な子だと、もう思う存分頭を撫でようと思った。亜麻色の髪はフワフワで撫で心地がいいし、小鳥みたいだ。


「もー、徒花先輩、アイネがすり減っちゃいますって」
「やきもちかな? フィリップ」
「い、いや……別にそんなんじゃ」


 ちょっとからかってやろうというつもりでいってみたのだが、見事にクリーンヒットしたらしく、フィリップは「そんなんじゃねーし」と頬を赤らめながら視線をそらした。
 まだどうやら、彼の一方通行らしい。
 お膳立てしてほしいタイプでもないだろうし、下手にからかってこじれるのも彼らのためにならない。本来誰かと結ばれるはずだった主人公なわけだし、俺が何をしなくてもいつかはきっと誰かと結ばれるだろう。
 今はもう少しあがいてみてほしい。
 素直になれなさそうなフィリップを見ながら、俺はアイネをようやく腕の中から解放した。アイネは、もう? みたいな顔をしていたが、あの三人が戻ってきて、何か言われるのは面倒だと思ったので離れた――のだが。


「ニル、何をしていた」
「え、ええ~何も?」
「嘘をつけ、ばっちり見ていたからな」
「さっきまで喧嘩してたんじゃないの!? セシル」


 喧嘩はしていない、とセシルは言ったうえで、不満ありありといった顔で俺を見てきた。
 かわいいものはめでたくなるものだよ、というように俺は言い訳しようとしたが、きっとこの言い訳も却下されるんだろうなという未来が見えている。


「俺以外ふれるのは禁止だ。触るなら、俺を触ってくれ」
「セシル、みんなの前……」
「俺は、かまわない」
「俺がかまうの! もう、油断も隙も無い……」
「どっちがだ……はあ。まあ、確かにいつも通りだな」


 と、セシルは、俺の腰を引き寄せながら言った。俺はセシルの隣にいなくちゃいけないみたいな、ちょっとした独占欲に恥ずかしくも、嬉しくて俺はそうだね、と返す。

 この無人島には、俺たちだけで来ているわけではない。無人島といっても、サテリート帝国領土内だし、本島からも近い位置にある。それと、大きな別荘があってそこに泊まるつもりだ。島の中はまだまだ探索仕様があり、数年前には、洞窟近辺に魔物が出たのだとか。
 この面子なら、魔物が出てもどうにかなりそうだし、別荘付近には防御結界が張り巡らされているのでよほど強力な魔物でない限りは安全だろう。それに、俺たちだけで来ているわけじゃなくて、ハイマート伯爵や、他にも何人かの騎士たちがついてきてくれている。
 だから、羽目を外しすぎること、イチャイチャするってことは容易ではないし、このプチ旅行が終わってからにしてほしい。セシルとしては、どこでも……いや、こういう特別な場所だからこそ、イチャイチャしたいんだろうなーとは思うけど。
 これだけ人がいるのだから、俺は遠慮したい。
 俺は、セシルの手をはがそうとしたが、絶妙な力加減で俺の腰を抱いているのではがそうにもはがせなかった。


「殿下せんぱーい、この後どうするんすか。もう少し海で遊びたいなーって個人的には思うんすけど」
「別荘のほうで、夕食の支度をするつもりだ。材料は用意してあるが、この島にあるものを少しばかり採取して……とも、考えている。ツァーンラート。貴様は、釣りは好きか?」
「釣りっすか!? 面白そうなんでやりたいでーす。な、アイネ」
「え、僕? 釣り……か、やってみたいかも」
「なら、決まりだな。もう少し、遊んでいてもいいが、あまり沖に出るなよ。流されても知らないからな」


 セシルはそう言って、釣りの道具を持ってこさせようと従者たちを呼ぶ。どこからともなく駆けつけて、セシルの命を受け、別荘のほうへと走っていった。
 まだまだ、遊び足りなくはあるが、自分たちで食事の準備をすると言うのも楽しそうで、俺はセシルに何かすることはないかと尋ねてみた。


「そうだな、俺たちは少し森のほうへ入ってみるか。アルチュールとヴィルベルヴィントは……」
「じゃあ、僕たちもペアで散策します。本当はニーくんとがいいですが、セッシーが離してくれなさそうですしね」
「おい、アルチュール。俺を巻き込むな。お前とペアなんて、俺は了解してねえだろ……」
「まあまあ、ルームメイトだったんですからね。ゼラフ」


 ふふふふ、とアルチュールはゼラフが逃げられないようにとわざと彼の腕に手を絡ませ押さえつけていた。
 よくやるよ全く、と俺は楽しそうなアルチュールと、嫌そうなゼラフを見て口元を引くつかせた。アルチュールも、アルチュールでゼラフに絡みたいのかもしれない。半年ぶりに見る光景は、懐かしさもあり、あの時よりも酷くなっているような気もした。
 そんな、二人を見ていると、セシルがスッと俺の肩に手を置く。


「あいつらは、放っておけ。ニルは、俺と一緒に……」


 きゃあああっ!! と、甲高い悲鳴が聞こえ、俺たちはいっせいに声のする方向へと目を向けた。
 そこには、釣りを楽しみに待っていたアイネとフィリップがいたのだが、海から突如現れた大きなイソギンチャクの形をした魔物に腰を抜かしていた。


(うわっ、何あれグロ……っ!!)


 魔物が出るはずもない無人島――しかしそこには、五メートルほどの巨大なイソギンチャクの形をした魔物がいた。うねうねと伸びる半透明なピンク色の触手は生き生きとしており、耳の鼓膜を破壊するくらいには大きな奇声を発していた。触手の根元に見えた歯はクリーチャーのように異形で、何本ものギザギザとした歯が生えている。
 フィリップはすぐさまアイネを守るために彼に駆け寄ろうとしたが、イソギンチャクの形をした魔物は、触手を何本も伸ばし、アイネの身体に絡みつくと、ひょいと軽々彼の身体を持ち上げてしまった。


「あ、アイネ!」


 フィリップは、触手に邪魔をされつつも彼に手を伸ばしていた。しかし、その手は空を切って、フィリップは砂浜に顔面衝突してしまう。


「ふぃ、フィリップ~!!」


 アイネは持ち上げられながら、フィリップを心配していたが、宙づりになってしまい顔を青くしてバタバタと手足を動かしていた。触手は、彼の身体を包み込むように絡みつき、何かを絞るとるように、ドクンドクンと脈打っていた。


「珍しいタイプの魔物だな」
「セシル、感心してる場合じゃないの! てか、何でここに魔物が……!?」
「……おそらく、彼の魔力に引き付けられてきたんじゃないでしょうか」


 と、途中で割り込んできたのはアルチュールだった。彼もまた、すぐに助けようとはせず、分析をしているようで、ふむと顎に手を当てていた。その隣でゼラフも物珍しそうに「デケェイソギンチャクだな」と呟いている。

 なぜ、誰一人としてアイネを助けに行こうとしないのか。
 感心している場合じゃない。確かに、大きさは異常で、あの触手も胴体も発達しているけれど。


(ほんっとうに、この攻略キャラたちは主人公に興味がないんだから……!!)


 このイベントには見覚えがあった。
 もうすでに物語は破綻している。だが、本来であれば攻略キャラたちは、イソギンチャクに凌辱されるアイネを助けるために動き出すのだが……


「はあ……ふぅ……っ」
「ニル?」


 動こうとしない三人を置いて、俺は砂浜を駆け、海から半分ほど胴体が出ているイソギンチャクの魔物に向かって走った。
 途中で、銀色のリングに手を当て愛剣を取り出し大きく振りかぶって飛び上がる。魔法を使えばもっと飛距離を伸ばせただろうが、これしきの事で魔法を使うまでもない。俺は、すぐに距離を詰め、イソギンチャクの魔物の触手部分を切り落とした。シュパッ! と切られた触手はその場でピンク色の液体をまき散らしはじけ飛んだ。
 触手から解放されたアイネがふわりと空中から落ちてきて、俺はそれをキャッチする。だが、うまく着地できず、そのまま海へと落ちてしまった。
 とりあえずは、アイネの救出に成功したが、あれしきの攻撃でこの魔物が倒れるはずもなかった。
 触手が切り落とされたことで、怒りを覚えたのか、イソギンチャクの魔物は、水中へと触手を伸ばし俺たちに襲い掛かってきた。
 どうにか、脚がつくところまで逃げ切り、俺はアイネを姫だきしたまま走った。しかし、触手のスピードには勝てず、追いつかれてしまう。足をとられ、俺はイソギンチャクに引きずられるように海へと引っ張られる。


「だ、誰か、アイネのこと、たの――うああっ!?」


 アイネを抱きしめたままでは、せっかく助けたというのにまた同じことの繰り返しになってしまう。俺は申し訳ないと思いつつもアイネを投げ、そのままイソギンチャクの触手に引っ張られていく。
 どうにか、アイネの身体はフィリップが受け止めてくれたものの、今度は俺が捕まってしまい、木乃伊取りが木乃伊になってしまったようだ。


(うわ、べたべたする……)


 剣はいつの間にかリングに収納され、俺は先ほどのアイネと同じように宙づりにされてしまった。頭に血が上っていくのを感じ、ぶらぶらと左右に揺られるのも酔ってしまう。
 セシルたちが、アイネの魔力に引き付けられたのだろうといったように、魔力のあるものに対して反応する魔物らしかった。
 魔物が怒り状態だからか、それともこの魔物はアイネはあきらめて俺から魔力を吸い取ろうとしているのか、触手はだんだんと数を増やし、俺の身体に張り付いてきた。ぬめぬめと粘着質な触手には細かいひだのようなものがついており、気持ち悪さと、くすぐったさから身をよじる。


「に、ニル先輩……!!」


 アイネは、フィリップに抱きかかえられながら俺に向かって叫んでいる。ほんとうなら、もっとかっこよくアイネも助けて、この魔物も倒して……とやりたかったのだが、結果的に後輩に無様をさらす結果となってしまった。
 情けなく宙づりにされているし、打つ手がないし。心配しているアイネの顔を見ていると、恥かしくて顔向けできない。
 触手は俺の身体に絡みつき、服の隙間から入り込み素肌をぺたぺたと触ってくる。何かを探るような手つきに俺は身をよじる。力を入れようにも、宙づりになっておりうまく力が入らない。剣さえ取り出せれば話は変わるのだろうが、それもかなわなかった。


「や、やめ……んぐっ!?」


 ぬるぬるとした触手が口の中に入ってきて、息をするのもやっとだ。噛み切ってやろうかと思ったが口を閉じようにも閉じられない。


「ニル……!!」
「へひぃう……」


 そうだった。見られているのは、アイネやフィリップだけじゃない。
 セシルの切羽詰まったような声に、俺はカッと体温が上がるのを感じた。いや、セシルだけじゃなくて、アルチュールやゼラフにもこの痴態を見られている。
 恥ずかしさにどうにかなってしまいそうだったが、触手はこれ見よがしに俺の水着の中へと入り込んできた。
 こすこすと、触手の細い部分が俺の胸を撫で、時々吸い付くようにちゅうちゅうと先端を弄る。


「ひっ、あ……!?」


 変な声が出てしまい、俺は慌てて口をふさごうとした。しかし、腕は太い触手に絡み取られてしまい、ふさぐことがかなわなくなる。
 触手は遠慮なしに俺の身体をいじくりまわし、水着の中に入った触手は尻を撫でまわしていく。ぬるぬるとした液体がまとわりついて気持ち悪い。


(ううっ……こんな魔物にいいようにされるなんて)


 あるけどさ、こういう触手プレイ的なやつ。絶対にある。だって、BLゲームの世界だもん!
 しかし、いざ自分が触手からの凌辱を受けるとなると、恥かしさと情けなさでいっぱいになって泣きそうだ。
 抵抗できずに触手にいいようにされている。後輩と、同級生の前で!!


「クソ、今すぐ助けてやるからな……!! ニル!!」
「おい、やめとけよ。皇太子殿下」
「なっ!? ヴィルベルヴィント、貴様何を言う。このままでは、ニルが」
「ゼラフの言う通りかもしれません。下手に攻撃をしたら先ほどのように、セッシーが絡み取られてしまうかもしれませんし。逆に魔法攻撃を当てられたとしても、ニーくんにも被弾してしまうかもですし」
「では、どうすればいいんだ……お、おい。貴様ら、見るな! ニルの、ニルの痴態を!!」


(ち、痴態っていわないでよ。セシル!!)


 どうにか、あの二人も俺を助けようとしてくれ……ていないのかもしれないが、セシルは今すぐにでも助けてやる、といった姿勢を見せてくれた。だが、聞こえる話、ゼラフやアルチュールの言うようにこのイソギンチャクは再生能力にもたけているため、一撃で仕留めなければならないとか。
 木乃伊取りが木乃伊になるじゃないが、俺がアイネを助けたときのようになる可能性だって十分に考えられる。
 それと、魔法攻撃を当てたとして、俺を避けて……なんて至難の業だろう。


(け、けどこのままって!)


 ばっちりと、ゼラフとアルチュールは俺を見ており、セシルはどうにか俺を見せないようにと二人の前に立って両手を広げているが、あまり意味をなしていない。それと、セシルもなんだかんだで俺をちらちらと見ているし……
 助ける気はきっとあるんだろうけど、それにしても――


「あっ……そ、そこダメ……っ!!」


 触手は、水着の中で俺のペニスに絡みつき、まるで射精を促すような動きで扱いてくる。
 イソギンチャクは、魔力を搾り取るために人に絡みついているものとばかり思っていたが、違うというのだろうか。


(い、いやそれはあってるんだろうけど……けど!)


 本音と建て前的な。
 BLゲームの、サマーイベント。もちろん、夏、海、触手と何も起きないわけがない、エチエチイベント……!
 主人公が触手に凌辱されているときはすごく興奮したが、いざ自分の身に降りかかってみると何も嬉しくない。むしろ、こんな羞恥心プレイ。セシルの手でもないのに、こんなことって。
 口からいったんぬるんと出て行った触手は、今度は俺の尻の割れ目に沿ってぬるぬると、そこに入りたそうな動きをし始める。
 さすがに、そこはダメだと、俺は首を横に振る。


「もう、誰でもいいからお願い――!」


 助けて――なんて、口にできなかったが、もうこの際誰でもいいと思った。
 これ以上自分の痴態を見られるのが嫌だ。
 そう叫んだ瞬間、イソギンチャクを挟むように両側から大きな銀色の魔法陣が浮かび上がる。


「ニルを離せ、下種が――ッ!!」


 魔法を放ったのはセシルで、両側から水と青い炎がイソギンチャクに向かって押し寄せる。二つの異なる魔法はイソギンチャクに当たると同時に、大きな爆発を起こし、見るも無残に散り散りに触手は宙を舞っていく。俺は、ようやく触手から解放され、海に落ちる寸前でセシルに抱き留められた。


「ニル!」
「……うわ、声おっきいぃ。あ、ありがとう。セシル」
「いや、いい……磯臭いな」
「え、酷くない?」


 水の魔法と炎の魔法それらがぶつかったとき水蒸気爆発のようなものが起きたのだろう。俺を傷つけずになおかつ、あのイソギンチャクをしとめるには、これしかなかったのだとセシルの顔に書いてあるようだった。よく思いついたな、と俺は感心しつつも、確かにべたべたとした体をセシルに抱きかかえられているというのは申し訳なくなってきて、視線をそらした。
 もし、触手に服を溶かすような効果があったら、もっと最悪だったが幸いにもあのイソギンチャクにはなかったようだ。


「本当に大丈夫なんだな? 魔力は?」
「吸われてないよ……ええっと、違うところは吸われたけど」
「……っ、ニル。とりあえず体を洗い流すか」


 セシルは、顔を赤らめて俺と同じように視線をそらした。
 海には、もうあのイソギンチャクの魔物の姿かたちはなく、浜辺には取り残された四人がこちらをじっと見つめていた。


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