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第2部1章
01 仕事をしてください◇
しおりを挟む番契約――それは婚約よりも重く、相手と一生添い遂げるための互いを縛る枷のようなもの。
「殿下、仕事! しなくていいんですか?」
「公女が仕事中に部屋に入ってきたのが悪いんだろう」
「わ、私のせいにするんですか!? 私はただ、殿下を思ってお茶とお菓子を持ってきただけなのに」
「ああ、おかげで仕事がはかどりそうだ」
「それ、仕事をするって目じゃないですよね!?」
皇宮の執務室。部屋の一番奥にある机には、大量の書類がつまれており、ペンと印鑑も乱雑に転がっている。しかし、そんな書類をほっぽり出して、私の番――フォルモンド帝国皇太子、アインザーム・メテオリートは私の腰を掴み、全くもって仕事をする気はないというような目で私を見てきた。長く尾を引くような真紅の髪は、書類仕事をするときには邪魔なのか、高い位置でくくられており、いつもとは違った髪型に目を惹かれつつも、その強烈な夕焼けの瞳で見つめられてしまえば、私は彼から逃れることは出来なかった。
障害を乗り越え、番同士になった私達だが、思いが通じ合ってからはタガが外れたのか、殿下は所構わず求愛行動……愛を囁くようになった。あの、暴君と恐れられていたアインザーム・メテオリートの姿はどこにもない。といいたいところだが、私限定である。そこは嬉しくも思うが、恥ずかしくもあり、とにかく、今は仕事をして欲しかった。
持ってきたお茶とお菓子は、机におかれ、とっくに冷めてしまったようで、香りも薄くなってきている気がする。
殿下が目を通していた書類というのは、敵国であるフルーガー王国の視察資料だろう。フルーガー王国は、今はなき魔道士たちが住む国、ゲベート聖王国と深い同盟関係にあり魔道士と共存してきた。しかし、ゲベート聖王国の魔法、魔道士を恐れた帝国は奇襲を仕掛け、魔道士を根絶やしにしてしまったと。そのせいもあって、フォルモンド帝国と、フルーガー王国の仲は元から悪かったのに悪化し、敵対関係にある。今は冷戦状態であるが、いつ戦争が起こってもおかしくない状況だと。どうにか、和平交渉でことを納められないかと、何度も殿下は敵国に出向いているが、戻ってきて開口一番に「頭が固いヤツらだ」と悪態をついて機嫌悪く帰ってくる。
それもあって、もう和平交渉など無駄かも知れないと、戦争を視野に入れて対談に臨んでいるとか。殿下も、戦争は望んでいないが、何度も話の通じない相手のところに行くのは嫌だと腹を立てている。ただ、フルーガー王国には、ゲベート聖王国から逃げてきた魔道士もいるらしいのでうかつに手は出せないのだとか。帝国内にも魔法を使える人間はいるし、貴族なら誰しも使えて当たり前だが、その発祥の地が、魔道士の聖域がゲベート聖王国というのだから恐ろしい。まあ、それは置いておいて、帝国の魔道士というのは、戦闘になれているものは少なく、実戦もつんでいないため、戦争には参加させられないのだとか。あくまで魔法は、戦争の道具ではなく、普段の生活をよりよくするために使っているとか。
「殿下、いい加減にしてください!」
「酷いな、俺の番は。こんなにも頑張っている俺に、少しはご褒美をと思わないのか」
「またそれいいましたね? 私の身体はそんなに安くないです」
「何も身体で癒やせと言っていないだろう。それとも、公女は身体で癒やすことしか頭にないのか? とんだ、へんた――」
「ああ、もう。それ以上言ったら口利きませんからね」
詰め寄ってくる殿下の口を押さえ、私は彼をひと睨みした。しかし、それすらも彼のツボを刺激するのか、殿下はニヤリと口角を上げていた。私の手のひらで彼の頬が動くのを感じ取り、眉間に皺を寄せれば、ぺろりと、私の手のひらを彼は舐めたのだ。
「ひゃあっ!」
「可愛い声だな、公女」
「で、殿下!」
「何だ?」
「い、いきなり舐めるのはどうかと……品性を疑います」
「いいだろう。公女にしかしないのだから」
「そういう問題ではありません」
本当に油断も隙もない。
私は舐められた方の手をサッと引いて殿下から距離をとる。もう、こういった突然のハプニングには慣れたものだ。しかし、思いが通じ合ってからは流されることが今まで以上に多くなり、このままでは本当に所構わずという言葉を毎回体現してしまう気がしてならなかった。
私は、殿下からすぐに逃げられるようにと、扉付近まで移動する。
「なあ、公女」
「はい?」
殿下は、はあ……と大きなため息をつくと、後ろにあるカーテンをシャッと引いて、机を横切り私の方に歩いてきた。カーテンは分厚く、きゅうに部屋が薄暗くなる。それでも照明は消えることなく、その光を浴び彼の真紅の髪は宝石のように美しく輝いていた。うっとりと彼を見上げれば、不意に顎を捕らえられる。
「ほら、捕まえた」
「な、何するんですか殿下」
「逃げようと思えば、逃げられるはずだ。鍵はかけていないだろう?」
と、顎で、後ろの扉を指す殿下。
顎を捕まれているため、後ろなど確認できず、私は殿下を見つめることしか出来なかった。
「だが、公女はそうしなかった」
「だ、だから何だというのですか。殿下の行動は、いつも予測ができませんから」
「だったら尚更、注意するべきじゃないか? それとも、俺だから大丈夫だと、安心している?」
「……」
「図星か。まあ、それだけ公女に心を許して貰っている証拠か……ふむ。それで、公女、逃げなかったと言うことは、同意でいいな?」
「ど、同意? ……きゃあっ! で、殿下、手、どこに入れてっ」
「しー、扉の向こうは廊下だぞ? 誰かが来たら、聞えてしまうぞ?」
そういって、殿下は人差し指を自身の唇に当て、私の言葉を制した。その仕草がとても色気に溢れており、心臓が高鳴るのを感じる。しかし、それ以上に私は自分の格好に気が気じゃなかった。いつの間にか殿下の手は背後に回っており、お尻を揉まれていたのだ。しかも、片方の手は背中にまわされており、背中の肌が露出している部分をするりと撫でられる。
殿下の言ったとおり、扉の向こうは廊下だ。それも、皇宮の……せっせと仕事に励む人が行き交う所だ。そして、ここは執務室で――
「逃げなかったということは、そういうことだろう?」
「ち、違います!」
「そうか? 俺はてっきり同意だと思っていたが……残念だったな」
そういいながらも彼の手は、私の臀部を執拗に撫でてくる。服の上からのじれったい刺激に身体が反応してしまう。私は身体を捩らせてどうにかその手から逃れようとするが、殿下はそれを許してくれない。
「ん……やぁ……」
「嫌? そんな風には見えないんだが」
「そんなって……!」
「……なあ、公女」
トン、と殿下が扉に手をつく。所謂壁ドンというヤツに、さらに身体が大きく跳ねた。
だが、嬉しくない。
山のように詰めれた書類、それらを今日中にと彼の補佐官であるマルティンに聞いていた。根をつめすぎないように、でも仕事を頑張って欲しいとここに来た。殿下とこういうことをするためにここに来たのではないと、私は殿下を睨む。しかし、熱っぽい彼の瞳に当てられれば、怒る気も失せてしまった。自分が、流されている、そんな自覚はありつつも、その先を望んでしまう。
「大人しくなったな。少しの休憩だ、公女俺を癒やしてくれ」
そういうと、殿下は私の唇を奪い、それは段々激しくなっていく。
「んん……ふっ……」
私の意見など聞くことなく、殿下は勝手にことを進めていった。唾液を交換するようなキスに翻弄され、彼の分厚い舌が上顎をなぞり、くちゅくちゅと卑猥な音が静かな執務室に響く。そして、私は息継ぎの仕方も分からずに酸欠状態になりつつあった。
「ふぁ……でんか……」
殿下の肩を掴み、軽い力で押す。息が苦しいのだと伝えたかったのだが、伝わっただろうか。しかし、彼は私を解放するどころかさらに私に身を寄せてきたではないか。私はとっさに下がろうとしたがそこは扉だ。背中はびくとも動かず、彼の逞しい腕が私の腰に回されて逃げることも出来ない。
「公女さえ許してくれれば、今すぐにでも寝室に連れ込みたいところだが、これはあくまで休憩だからな。それに、ソファが汚れて気にするのは公女だろ?」
「で、殿下?」
「だから、こうしよう」
と、殿下は私の身体をぐるんと回転させたかと思えば、扉に手をつかせ、そうして、ドレスを捲りあげると、秘部に指を当ててきた。
「で、殿下!」
「静かにしてろ。声を聞かれたくなければな」
「……ん、ふぅっ……んん」
片手で私の秘部をなぞりながら、もう片方の手は、私の口の中へ突っ込んできた。私は抵抗しようと彼の腕を掴むが、私の力など無いに等しく、殿下に縋るような形になってしまう。
「んあっ、あッ……」
指が私の中を蠢く。つぷつぷと浅く出入りする感覚に悶えながら、思わず腰が揺れてしまうのを止められない。後ろから殿下の指が中を擦る度に体が跳ね上がりそうになる程気持ちが良いのだ。扉に手をついてどうにか立っているも、足がガクガクと震え立っているのがやっとだ。
「公女もう立っていられないのか」
「あっ、や……」
「仕方がないな……ほら公女、ここに手をついて。そうだ」
「んんッ!」
後ろから覆いかぶさるように殿下が私の耳元で囁く。私は言われるままに手を扉のくぼみに引っかける。その拍子に力が抜けて腰を落としそうになってしまったところを殿下に支えられる。彼の手はそんな私をなだめるかのように、頭を撫でたり耳を触ったりと忙しない。それさえも気持ち良く感じてしまうのはどうしてだろうか。耳たぶをこりこりと弄じる。
太ももから垂れた愛液は指で絡め取ってジュルリと舐めたような音が後ろから聞えた。何をされているのか全く分からず不安もあったが、ただただ気持ちいいという感覚だけは身体に伝わってきた。そして、彼お尻の割れ目に、彼の熱いものを感じる。
「公女、いれてもいいか?」
「言わなくても、いれる……くせに」
「ロルベーアの気持ちが知りたい。求められたら、嬉しいだろ?」
と、こんな時だけ名前を呼んで。それも、甘えるような優しい声を出して。
ここまできて、やらないとか、その方が考えられなかった。ここがどういう場所か理解していても、彼のそれに流されてしまう。
「い、いれて……下さい。殿下の、アインのが欲しいです」
「っ……ロルベーア」
彼の長く熱いものが私の中にはいってくる。ゆっくりゆっくりと奥に進んでいく。浅く呼吸を繰り返し、下半身に力を入れるが、やはり立っているのはやっとで、彼に腰を支えて貰わなければ立っていられなかった。しかし、そんな殿下に縋っても、彼は腰を押し進め、さらに足が快感で震えてしまう。
「は、ぁあ……っ」
「はあ、ロルベーアの中は、相変わらず熱いな。食いちぎられそうだ」
吐息混じりの声が、耳元で聞え、キュンと身体が反応してしまい、彼のものを締め付けてしまう。すると、さらにクッ、と殿下からくぐもった声が聞え、何だか嬉しくなってしまった。
「でん……あ、いん」
「なんだ?」
「アインは……気持ちいいですか?」
とろんとした声でそう問いかけるも、彼は何も言わない。不安になり彼の方を振り返れば、獰猛な目付きで私を見つめていた。ぞわりと肌が粟立つ感覚を覚えると同時にずんと強く奥まで突かれてしまう。突然の刺激に目の前がチカチカとして思わず達してしまった。しかし、それでも尚彼が止まることはない。それどころか腰を打ち付ける。
「あっ、ああっ、アイン、だめ、そんなっ、激しくしたらああっ!」
「大丈夫だ、支えてやる!」
パンパン、と肌と肌がぶつかる音と、ヌチュ、ジュブッ……と卑猥な水音が執務室に響く。
カーテンは閉じているものの、まだ、昼間だ。そんな昼間から、皇宮の仕事をするための執務室で、私は番と……そんな背徳感、罪悪感に駆られながらも、私は私を求めて止らない愛しい番と行為に及んでいる。こんな所誰かに見られでもしたら……
「殿下、いらっしゃいますか」
トントン――と、その時、顔の前くらいで扉が叩かれ、私はビクンと顔を上げる。扉の向こうから聞えてきたのは、マルティンの声で、私はそれまでのぼっていた熱が一気に冷めたように、サアア……と引いていく。
「で、殿下……、ぬ、ぬい……」
「何だ、マルティン」
私は、殿下に今すぐ抜いて、と訴えようとしたが、それに被せるように、殿下は何事もなかったように、マルティンに話しかけた。
「書類の進捗状況を聞きたいのですが。入ってもよろしいでしょうか」
「いや、進んでいる。入る必要はない」
「しかし、この後の会議で出して貰う書類があるので……そちらを渡して欲しいのですが」
「ふむ」
ずるっ……と、ゆっくり腰を引く殿下。伝わってくる刺激は微々たるものだったが、達したばかりの私にはそれでも十分すぎる程で、漏れそうになる声を抑えようと両手を口元に持って行き口をふさいだ。しかし、その手は殿下に簡単に剥ぎ取られてしまい、私の両手は彼の片手で封じられてしまった。
「アイン!」
思わずそう声をあげれば、彼はニヤリと笑ってみせるだけで行為を止めようとしない。そしてあろう事か彼の右手は私の腰をがっちりと掴み固定すると、ゆっくりとまた律動を始める。
「そうだな、……三〇分後には提出できそうだ」
「お、遅いで……わ、わかりました。お願いします。それと、今ロルベーア様の声が聞えたようですが……」
「ああ、今、ここで寝ているからな。お前の煩い声で、寝付けないのかも知れない。とっとと失せろ」
「……分かりました。あまり、ロルベーア様を困らせないようにお願いします」
「誰にものを言っているんだ。さっさと帰れ。それと、三〇分は、ここに誰も近寄らせるな、分かったな」
殿下は、そうマルティンを追い出すように言えば、扉越しに、不満ありげなオーラを漂わせたマルティンは靴音を鳴らしながら帰って行った。はたりと、彼の気配が消え、私は安堵のため息が漏れた。それと同時に、羞恥心と怒りが込み上げてきて、殿下に叫んだ。
「殿下、どういうつもりですか!」
「どういうつもりとは? ああ、少し刺激的だったか。公女には」
「そういう問題では……!」
「だが、三〇分は誰もここに近寄らない……続きをしようじゃないか。公女」
「殿下、私はするといってな――ああんっ!」
突然再開される行為。今度こそ、声を抑えることが出来ず、また誰かに聞かれたらどうするんだと抗議しようも、彼は律動を止めることなく私の弱い所を的確に狙いにいく。そのせいで身体が熱くて仕方がない。嫌だし、あんな恥ずかしい思いをしたっていうのに……いうのに、私の身体はいうことを聞いてくれない。せめてもの抵抗と、口から幼稚な悪口が飛び出す。
「殿下のいじわる! ばかあ!」
「ああ」
殿下は肯定とも否定とも取れないような返事で流し、乱暴に唇を塞いでくる。舌を絡め取られてしまい、抵抗する力は残されておらず彼の舌に応えてしまう。そしてまた下半身からぴちゃぴちゃと粘着質な水音が聞こえてくる。
「んん……ぅあ……っ!」
結合部から溢れ出る愛液が足を伝い、床に大きな水たまりをつくっている。とっくに足は限界を超えているのに、殿下に抑えられて、倒れることもできない。壁にしがみついて、後ろから突かれて続けて、腰も辛いし、そろそろ限界だ。
「で、あ、アイン……もう、私っ」
「また、イキそうか? ああそうだな俺もそろそろ限界だ……」
そう言ってさらに激しくなる律動に、私は身体をそらせると大きな嬌声を上げた。
「クッ……」
「あ、あぁああ…………っ」
ドクドクと、脈打った彼が中にはなったものは、また太ももを伝い、ポタリ、ポタ……と床に垂れ落ちた。
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