RAID05

ゆき & rumi

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1 プロローグ

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「退屈な日々を過ごす世界と、自分が何者かにならなきゃいけない世界、どちらを選ぶ?」
「ゲーム? 接続切ってたのに、もしかしてメイリアが?」
 スマホに現れた少女が、急に話しかけてきた。

「現実だよ。世界が危ないの」
「じゃあ、あまり課金できないけど後者にしとかな」
 少女が微笑む。
「よかった、私の目に狂いはなかった。君に力を…」




 目を開けると、美しい草原の上に立っていた。
 少年と天使が現れる。

「ニーナ! 俺は認めない! この世界の住人じゃないんだ。しかも、たった、数時間しか入れないのに、マルクト王国を任せるなんて」
「そうです。マルクト団は誇り高い王国の軍なのです」

「貴女は悪魔です。半端な人間が来るなんて。どうぞおかえりください」
「私は・・・・」
「また戦闘が始まります。お願いです。帰って」
 天使が祈るように言う。

 いきなり、帰れだなんて・・・。
 ニーナのほうを見る。

「いい加減にして」
「ニーナ様・・・」
「私が呼んだの。陽菜、私はこの国の秩序を守る精霊ニーナ。案内しながら、この国の現状の説明を説明するね」
「うん」
 ニーナに案内されるまま、城のあるほうへ歩いていく。

「っ・・・・・」
 天使も少年も目を合わせなかった。

 悪魔・・・か。

 小さくため息をつく。
 私はどこに行っても嫌われる。
 好かれるのは、上辺だけ。




 ニーナの話すマルクト王国に行くと200人くらいの軍が整列していた。
 王国のはるか遠く、上の空には基地のようなものが浮かんでいる。

 火星から来た生命体が住み着いているのだという。
 マルクト王国を拠点にし、世界を乗っ取ろうとしているのだと話していた。
「私はこの国を任されているの。絶対に守らなきゃいけない」

 よくあるゲームのはじまりだと思いながら聞いていた。


「静粛に」
 ニーナが現れると、ざわめきが静まり、敬礼していた。

 壇上にはさっきの少年と天使も並んでいた。

「ニーナ様、その者は?」
「突然だけど、異世界から人間を連れてきたの。彼女をマルクト王国の総司令官とする。彼女に従うこと」
 私は転移したと同時に、マルクト王国軍の服を着せられていた。
 胸に紋章がついている。

「ニーナ様!? 何をおっしゃっているのですか」
「第一、彼女の体は透過してる。実体がないんだろ?」
「そうよ。この子は異世界から連れてきたの」

「!?」
 ざわめきが大きくなっていった。

「そんな! 異世界の者がここに」
「火星は強い。何か別の手を打たないと全滅してしまう」
 ニーナの杖の宝玉が輝く。

「マルクト王国はこのままでは火星に負けてしまう。あの生命体が何なのかもわからないんだから。でも、彼女なら、この世界を変えられる」
「・・・・・・」
 ゆっくりと前に出て、軍を見下ろす。
 エルフ族、人間、魔族? 様々な種族がこちらを見上げていた。

「あれが敵?」
 天を仰ぐ。

 上空に浮かぶ基地から、小さなロボットのようなものが巡回してるのが見えた。

「あれは火星の幻獣。攻撃はしてこないんだけど、何もせずにマルクト王国を一周して帰っていく」
「幻獣・・・?」
「属性も不明。魔法は跳ね返してしまうの」
 遠隔操作できるロボット。

 おそらく、偵察機だ。

「マルクト王国はたびたびあの基地から来る者たちの攻撃を受けている。私たちは戦闘経験が浅いから、このままじゃ全滅してしまうわ」
 ニーナが杖の宝玉を撫でて。長い瞬きをした。

「そっか」
「そのアバターは使いにくい?」
「ううん、動きには問題ないよ。確かにさっきの子が言うように、かすかに透過してるけど、ゲームだと思えば」
 自分の手を見つめる。
 スマホは魔道具のような杖に代わっていた。

 本当に異世界に?

「私、異世界に来たの・・・?」
「君が選択したでしょ? 君なら私が与えた力を使いこなせるよ。でも、君が来れるのはまだ3時間」
「時間に制限があるの?」
「アバターが馴染んでいないから、そうゆう制約がかかってる。アバターと完全に一体化すれば制約もなくなるんだけど・・・でも、気にしないで。陽菜なら3時間でも成果を出せるから」
 ニーナが微笑んだ。

「ニーナ様は強引ですね。でも、命令とあらば仕方ない」
「仕方ないのです」
 双子の少女が不安げな顔をしてうなずいていた。

「皆の者、総司令官の命令に従うように」
「はい!」
 戦闘員たちが私に向かって敬礼する。
 属性と職種から推測する限り、陣形を組むのに悪くない。

「陽菜、どうか世界を守ってください」
 ニーナが深々と頭を下げる。

「俺は嫌だね」
「え・・・」
「俺らには国民の命がかかってる。それを異世界の者に任せるなんて・・・・。俺はお前を信用しない」
 さっきの少年がこちらを見ながら言う。

「リアクトル!」
「俺、戦闘の準備に行かなきゃいけないから。火星から奴らが来る」
 リアクトルがぱっと目をそらして、城の中に入っていった。 
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