実らなかった啜を

安馬川 隠

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甘くて、ほろ苦い

5

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 この詰まるような空気は、一体。


 皇祈から、御廉が非彩なのか。というメッセージを貰った当日はお互いにぎこちなさを消せぬまま触れること無く終えてしまう。

 が、やはり疑問は答えなくして納得は難しい。

 皇祈は御廉に話せるかと問い、御廉もそれを了承した。
そんな二人が話し合うだけの為に選んだ場所はラブホテル。
 どうして、そうなった?と話を聞いた人間は思うかもしれない。
実際のところ皇祈も何故だ、と頭の中ハテナでいっぱいだったが御廉と二人でいれるならと吹っ切れる形でそこにいた。



 鈴兼兄弟の家はとある財団の栄誉顧問の鈴兼竜一郎の息子、成久が大黒柱の根からのボンボンであった。
性格、見た目共に中の下に近い成久でも金の亡者には素敵な男に見えてくる。

 そうやって群がった中で、子供という武器を手に入れられたのが正妻の潔子と妾の麻奈美であった。
 そんな二人はなんの因果なのか運命か、麻奈美の出産予定日だったその日、突然潔子は突然破水し早産になり、同日同時刻というタイミングで御廉と皇祈は産まれた。

 麻奈美はこの子こそ先に産まれたのだと言わんばかりに皇帝の「皇」の字を取り名付けた。
 潔子もまたこの子こそ先に産まれたのだと言わんばかりに「帝」という字を漢字だけ変えて名付けた。

 しかし妾から変わることの無い関係性に飽き飽きした麻奈美は皇祈だけを残し何処かへ行ってしまった。

 正妻のやりたい放題な環境下は、皇祈にとっては居づらく苦しい場所である。
それは御廉も思うところ有で、親の正妻、妾、愛人という関係性のマウントが欠伸するほどどうでも良いことなのに、子供にまでそのマウントを押し付けるのか、と。


 御廉と皇祈は家の中では潔子の言い付けで話をする事に制限がかけられている。
だからこそ、外で鈴兼を捨てて話せる場所を作る他無かった。


 ただ、なぜラブホテルになったのかだけは理解しがたい。
 そしてそんな悩ましさに眉に皺が寄っている皇祈を愛しそうに眺め続ける御廉は、愛しげな表情変えること無く淡々と告げた。


 「皇祈は非彩が好きなんだろ?、顔も姿も見たこともない非彩が。
俺が非彩だと言ったら皇祈は俺を愛してくれる?
 皇祈が望むなら何だって叶えるから、俺に愛されてくれない?」
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